坂井豊貴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は、一見するとミクロ経済学の入門書をさらに平易に記述した書籍にみえるかもしれない。だが、読者のことを考えた仕組みが満載である。
豊富な具体例は、経済学に欠かせない数字をより直接的に想像することを助けてくれる。おそらく、最初のコーラの例で一気に内容に引き込まれた方も多いのではないだろうか。
また、新書に限らず書籍においてはレイアウトの問題は常に付きまとう。「図1ー1を参照」とあって、その度にページを行ったり来たりするのは本の醍醐味ではあるものの、理解を優先したい場合には少々煩わしい。本書はほぼ全ての参照すべき図や表が、ページをめくることなく見開きで完結する。苦手な概念を理解したいときに -
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Posted by ブクログ
ルソーによる『人間不平等起源論』。主に社会不平等が拡大するなかで人間同士が疎外していくプロセスを描いたもの。支配する者の中には高慢と虚栄が、支配されるものの中には卑屈と追従が生まれる。しかし、結局は、富者さえも、欲望の奴隷。
ー 人間は、欲望の奴隷。
私も10代だった頃、よくその事を考えた。しかし、欲望に程良く従い、飼い慣らした先に、遺伝子との共創があり、種の連続性があるのだと。これは、個人の話だ。関係性において、この奴隷状態をこれを克服するために『社会契約論』がある。
人民主権。それを運営するのが一般意志。共通化、平等性を志向する傾向をもつ、民衆の代弁、総括。一般意志は、どのように導かれ -
Posted by ブクログ
タイトルを見て手に取った人は多少なりとも多数決という仕組みが不完全であることには気づいていると思うが,本書は多数決が不完全であることからスタートして,では完全な投票システムとはどのようなものかを数学の知識がない人にもわかるように解説してくれている。
後半多少難解な部分もあるけれど,読み飛ばしたとしても十分ためになる内容。
民主主義を支える投票というシステムが、現実には全然民意を反映できない仕組みになっていることを啓発する一冊。
われわれ日本人が幼少の頃より平等な決定方法と刷り込まれてきた多数決があまりにおおきな欠陥を抱えているということはなかなか意識されないところ。この本のような内容を、簡略で -
Posted by ブクログ
以前同著者の「多数決を疑う」を読んでなるほどなぁと思う事がたくさんありましたが、本書も暗号通貨に関して学者らしく参考文献もしっかり載せて簡明に解説しており、著者の伝える力を再び感じ取る事が出来ました。
経済学者ということもあり、プルーフ各方式のインセンティブ設計に対する考察も簡単なものながら含まれており、暗号通貨を知らない人にそのさまざまな見方を提供するに足る作品だと感じます。
「vs国家」というタイトルは少しミスリーディングな感じがしましたが、暗号通貨にそれほど興味を抱いていない人々にこの新書を手に取ってもらうのにはこの程度のアグレッシブさを持ったタイトルをつけるのが良いのでしょう。