法月綸太郎のレビュー一覧
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小説でありながら、哲学書でもある。それは作家の内なる叫びが、作品世界という自らの創造する空間に、神の視座として降臨した、一種の降誕祭なのかもしれません。んー、我ながら何言ってんだ?
本作、ワシにとって初めての法月倫太郎氏は、しかし初めて接するにはいろんな意味でイレギュラーだったのかもしれません。本作を、小説という枠で捉えることはとても難しく、小説としてはむしろ蛇足かもしれない、作者自身の思想が反映された「哲学的な」テキストが、しかし作品世界にフィードバックされているのも確かで、とても、読み解くのが難しいです。
作品は、とても読みやすい。でも、読み解くのが難しい。
たぶん、小説作品としては★4つ付けたいほど普通に面白い、本格ミステリーをきっちり堪能できる作品なのですが、その哲学の部分に、良いも悪いも判断の付かないワシは、一冊の本としては★3つとしました。
この、作品への神(作者)の干渉、というのは、じっくり考察したくなるテーマです。これまで、物語の構成は気にしつつも、物語の構造を気にしたことが余りなかったので、それを考察したいと思わせてくれた本作は、ワシにとってとても有意義な読書でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本格あり、奇妙な味あり、ハードボイルドありな多彩な短編集でした。
パスティーシュや倣った作品が多く、本家も読んでみたくなります。
ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【使用中】新たな解釈での密室殺人を論じる推理作家と、それを理解しないおっちょこちょいの編集者。そのラストはとても皮肉的で、編集者の片桐が憎めない愛嬌のあるキャラクターとはいえ恐ろしかったです。
犯人の計画と異常性もおもしろい。
【ダブル・プレイ】交換殺人の裏に潜む真相。複雑な構図に惑わされましたし、夫婦間のサスペンスも良かった。内容もタイトルも野球がキーとなっていてお洒落。
【素人芸】腹話術人形や夫婦間の暴力場面は緊迫感がありましたが、下手くそな腹話術は不気味さよりも白々とした空気の方が勝っていてちょっと笑える。
【盗まれた手紙】推理ゲームみたいです。南京錠で施錠された鉄箱からどう手紙を取り出すか。しかもそれは往復で郵送されているという特殊な状況ですが、秘めた恋という材料であまり不自然になってません。がらりと文体を変えて海外ミステリの雰囲気になっているのがすごい。
【イン・メモリアム】奇妙な味のショートショート。
【猫の巡礼】不思議なお話です。猫を飼った経験があるので、飼い主の気持ちや猫の様子などには共感しました。
【四色問題】「四色問題」は数学の問題ですが、これは数学とは関係ありません。事件関係者が色分けされた戦隊物の出演者ということで、まさしく4色の内どれが犯人か?になっているのがおもしろいです。難しいダイイングメッセージでした。
【幽霊をやとった女】これも海外ミステリの雰囲気ですが、「盗まれた手紙」と違ってこちらはハードボイルド。彼女の計画がそんなに上手くいくかは疑問です。
【しらみつぶしの時計】これはもうまんま推理ゲーム。どれ一つとして同じ時を刻んでいない時計1440個の中から、現在の時刻を刻んでいる時計を当てよ、というもの。本当にただの推理クイズなんですが、あとがきに論理性よりも小説としてのテンポを重視したとあって、作者の苦心がうかがえます。
【トゥ・オブ・アス】病院のシーンがややこしいので兄弟の入れ替わりには気付きやすい。ただ、悲恋物語としては切なくてよかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ法月氏の小説はどうしてこう暗いのだろう。
面白い事は間違いない。
密閉された空間、そう密室の中で人が死んでいた。
本格だ。
間違いなく本格ミステリ。
もしかしたら、自殺かもしれない。いや、状況から考えてそのようなことはありえない。
高校生探偵工藤っつーと、コナン君を思い出させる。けど、コナン君ほど独善でもなく、高校生らしい目線で事件を追いかけていく。その姿はすがすがしさも感じられる。
けど、やっぱり氏らしい人間の闇みたいな性格描写があり、どうしても好きになれない。好みの問題だとは思いつつも、何のために人を殺すのか。フーダニッドに突っ込むのならばもっと納得させられるような論理構成の方が個人的には好きだ。
逆に京極氏のように、人を殺すのにそんなに深い理由が必要か。みたいにさらっと流してくれた方が納得できるような。
どうも、どうしてそんな理由で殺しちゃうの?という思考がグルグル回転を始めるとラストですっきりすることができないんだ。個人的には。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ≪内容覚書≫
法月綸太郎シリーズ。
人に刺されたと思っていた少女は無傷。
そして刺してきた男の死体が発見され、事態は混乱を極める。
探偵と言う自分の存在に苦悩している綸太郎は、
真実を探し出し少女を助けることができるのか。
≪感想≫
適当に選んだせいで、
綸太郎の苦悩の発端となる話がとんでしまった。
失敗。3部作のようなので、前2作を先に読むべきだった。
綸太郎が、探偵としての成長過程にいるのかもしれないが、
うじうじと後ろ向きで、
読んでいてちょっと面倒なこともあった。
同シリーズの別作品レビューでも書いた記憶があるが、
ヒーローのような探偵役を求めて読むとつらい。
私は、トリックをじっくり考えて読むタイプではないが、
きちんと騙してもらえてよかった。
最終的に、「悪」が犯人になってくれた点もホッとした。
「悪」が、多少短絡的で、あまりにも「悪」すぎる気もする。