圷香織のレビュー一覧
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確固とした自分をもつヴェロニカが、有無をいわせず南極に乗り込む話w
ペンギンや南極の自然、研究員、のちに孫息子のパトリックに触れ、次第に心を溶かしていくわけですが…
ペンギン、特にピップの可愛さはズルいですね♡
ヴェロニカのガチガチに凍った心は、人間では溶かせなかったことは容易に推察できますし、それを果たしたのがペンギンだったというのも、なんだかわかる気がします。
自分を取り戻せてよかった!
そして、ヴェロニカが周りに与えた影響も素晴らしかったですね。
話の進め方も気持ちがよかったです。
ヴェロニカのターンはですます調で丁寧に、パトリックのターンはどうしようもないけど愛らしい雰囲気。
より好感が持てる書き方でした。 -
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ネタバレ本の雑誌のミステリ部門でランクインしていた本。
金のインゴットを巡ってトラブルに巻き込まれていった二人のロードストーリー。登場人物があまり多くないので読みやすいです。驚くようなトリックはないです。それでも2人が現金がない中、どのくらいの違法行為をしながら追っ手から逃れるか、数々のピンチをどう切り抜けるか、が気になり、引き込まれて一気読みしました。
ただ、殴られるシーンが多々出てくるので、苦手な方は読まない方がいいと思います。ハッピーエンドになるだろう、と信じて読まないと辛いものがあります。
何年も前にシドニー(東側)ですが、ワーキングホリデーに行っていました。オーストラリアの壮大な自然を切り拓いてつくられた道路が目に浮かびます。そうそう、郊外には野良カンガルーがいるんですよね。
オーストラリア人って、男性も女性も『クソ』とか4文字ワードなどなど言いまくりだったので、チャーリーが特に口が悪いとは思えませんでした。チャーリーは強がっているけれどもお姉さん思いの熱い子という感じです。
強い女性たちの物語です。姉妹の絆や女性同士の絆を感じられる作品でした。 -
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ロマンあふれる素晴らしい作品。
まず第一章が素晴らしい。ルパン三世と銭形警部でアニメ化してもおかしくないような世界観。テンション爆あがりです。
第二章以降、盛り上がりは落ち着きますが、ショーヴランが出てきてまたぐっと盛り返します。ここからはハラハラドキドキの連続で、ページが止まりませんでした。
現在の目線でいけば、マルグリートの活躍場面がもっと欲しかったかなぁ、という思いもあります。ですがこれはこれでなんというか、古めかしいがゆえに逆に今となれば新しい感じも受けます。
ディケンズの「二都物語」に影響を受けた作品だそうですが、その読み口は全然違います。「二都物語」の方は、フランス革命の恐ろしさを存分に描いた作品でしたが、「紅はこべ」はそれほどそこに目がいきません。むしろ頭を空っぽにして「格好いい」「すごい!」と楽しむことができる、一級の娯楽作品と思いました。ベタですが、ラストも素晴らしく読後感は最高でした。 -
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ネタバレ創元推理文庫の表紙とタイトルの美しさ、装丁で買っでしまいました。
エマ・スタイルズ『銃と助手席の歌』
No Country for Girls.
チャーリーは17歳。学校を退学させられ、荒れている。姉のジーナの彼氏・ダリルが見せびらかしていた金の延べ棒を1本盗んでしまう。一方、血と傷を負って、明らかにトラブルを抱えたナオがチャーリー宅に助けを求めやってくる。
ダリルの襲撃から身を守るため、誤ってチャーリーは冷蔵庫の上にあったナタで彼を殴り、ダリルを殺してしまう。ナオの対応により、2人は死体を湖に沈め、証拠隠滅を図る。その後、チャーリーの家の入り口に誰かがいるのを発見し、2人は、ダリルの車で逃げ出してしまう。ダリルのトラックに金の延べ棒が詰まったバッグを発見した2人は、それを助手席に隠し、本格的な逃走を開始する。舞台は、西オーストラリアのグレート・ノーザンハイウェイへ 。本当に目的も旅支度もなく、成り行きで。
後を追ってくるものはなにものなのか。黄金はどこからきたのか。性格も立場も違うチャーリーとナオの2000キロに及ぶ逃避行が始まる。
最初は話になかなか入り込めなかったんですよね。チャーリーとナオの2人に感情移入がうまくできなくて。どちらも少しエキセントリックな性格をしているので。ですが、2人はやがて、旅の中で心を開き、触れ合い、過去を話し始めます。そうすることで、2人に読者もだんだん触れ合い、話にのめり込んでいく形になります。
話の展開があまりにも突拍子ないけれど、読後感は良いです。あ、これはロードムービーなんだって。
「やっぱりゴールド・コーストじゃない?
どう思う、ナオ?ガソリンは満タンになってるけど」
「いいんじゃない?」
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イギリスのスパイ、マギー・ホープシリーズの8作目。最終巻。
忌まわしい過去がある孤島の古城に、スパイとしての訓練は終わっているものの工作活動に適さないと判断されたが内情を知りすぎている工作員たちが隔離監禁されている。
目が覚めたらマギー・ホープもそこに収監されていた。
囚人たちは外界と隔離され、戦争など嘘か夢だったかのように贅沢にその日その日を過ごしている。
そして、新しい囚人が送り込まれてきて
ひとり、またひとりと殺されていくようになる。
誰が敵で誰が味方なのか。
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせられるが、また違うおもしろさがあった。
これが最終巻であるのだが、マギーが証言する予定の裁判のことなど、次巻が出ても少しもおかしくない終わり方だった。
ぜひとも続きが読みたい。
マギー・ホープシリーズを読んでいる時は、やたら紅茶が飲みたくなる。マギーの赤毛は紅茶の色のイメージがついてしまった。 -
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イギリスのスパイ、マギー・ホープシリーズの7作目。
イギリスのスパイ、マギー・ホープはドイツ占領下のフランス、パリに潜入。パリでの工作活動が実際どうなっているのかを調査し、ドイツから脱出した妹を救出する目的があった。
マギー・ホープシリーズは実在した人物が出て来たり、モデルになることが多いのだが、今回はココ・シャネルが登場。
ファッションについての言と、表には出さないが諾々とドイツに従わざるを得ない屈辱、しなやかに一矢報いてやろうと虎視眈々としているココ・シャネルの様子がおもしろい。
公用施設の入り口が違うなどのドイツ人によるフランス人差別があったことを初めて知った。
フィクションとノンフィクションが混在するこの小説の中で、「私は読書が好きだ。家には庭がある。かつてはユダヤ人の友がいた。ナチになど、決してなりたくはなかった」というナチス将校の言葉がフィクションではないことを祈らずにいられない。
マギーを助けたこの将校はどんな道を歩んだろう。
再登場してほしいな。 -
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イギリスのスパイ、マギー・ホープシリーズの6作目。
1942年。戦時下のイギリスは出兵した男性に代わり、女性が社会に出て働き始めるようになる。
そんな新しい風潮の中、イギリスの戦勝を信じて工作員として活躍するべく訓練を受けた若い女性を襲う連続殺人事件が起こる。「切り裂きジャック」の再来?
マギー・ホープはスコットランドヤードと結託して事件にあたる。
マギー・ホープシリーズは、人種や階級などいろんな種類の差別に抗うのが軸なのだが、今回は女性差別。描かれる男性から女性に対する嫌がらせは今の日本でも「あるある」である。
奮闘するマギーを応援したり、一緒に憤ったり。
「だけど、何が一番頭にくるかって(中略)これだけいろんな、ありとあらゆることを切り抜けてきたっていうのに、わたしたちをこんな目にあわせたやつがナチじゃなかったってこと。ったく、同胞の人間だなんて。」
襲われ、ぎりぎりの状況で悪党を撃ったマギーは、駆けつけたスコットランドヤードの男性に「もう大丈夫だ」と抱きしめられるが、抱きしめられながら悪党の血を両頬と額に塗る。
「これでわたしは、ハンターになったんだ」
・・・このシーンに痺れた。
作中、ウールトン・パイやイラクサのワインが出てくる。
戦時下で考えられたイギリス料理。どんなだろう?
表紙のイラストが表すほどライトノベルじゃないんだけどなぁ。
そこだけが残念。
そして、「ここで終わる!?ほんまに!?なんで!?」というところで次巻に続く。 -
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ぶつかり合いながらも相手を思いやり、自身を乗り越えていく犯罪&青春ロードノベル #銃と助手席の歌
■あらすじ
高校を退学になった少女チャーリーは姉の彼氏ダリルのことが大嫌い。チャーリーはダリルから金のインゴットをこっそり盗み出してしまう。
チャーリーが帰宅すると見知らぬ大学生の女性ナオがいた。彼女は何かこの家に用事があるようだが、正体も理由もよくわからない。自宅には姉の彼氏ダリルが待ち構えており、インゴットの件で言い争いになってしまう。
勢いあまってダリルを殺害してしまった二人は、ダリルの車を奪いハイウェイを北へと向かう。しかし彼女たちを追ってくる者がいて…
■きっと読みたくなるレビュー
まだ世間を知らない若い少女たちが図らずも事件を犯してしまう犯罪小説。そしてオーストラリアの西海岸を逃げながら、同乗者と心の痛みを交わしていく青春ロードノベルでもあります。
本作メインの登場人物である女子三人、彼女たちがしくしくと胸に刺さるんですよ。ひとりひとりすんごく尖っていて、まさに触るものみな傷つける的な感じ。私にも息子がいるんですが、今まさに反抗期気味でして、ちょっと似てるんだよなー
○チャーリー:妹
世間知らずで粋がってる若者、口が悪く向こう見ず。いつも衝動的な行動をとるため、頻繁にナオを怒らしてしまう。きっと悪い娘じゃないんだけど、必死に生きてる感じが痛々しい。
○ナオ:大学生
先住民アボリジニの血を引く女性、法律を学ぶ大学生で生真面目。しかし言えない秘密があり、チャーリーに隠し事を繰り返してしまい、全く信用を得られない。知恵は多少あるけど圧倒的に経験不足な女の子。まぁ20代なんてみんなそうだよね。
○ジーン:姉
いつも良くない連中とつるんでいる悪ガキな娘。でも妹思いのお姉ちゃん、特に両親が居なくなってからは、いつもチャーリーのことを気にかけているイイ奴。なんでこんな生活してんだって思うけど、実は彼女こそ必死に生きてきたんだよなー。個人的には一番好き。
チャーリーとナオは、全編ずーっと二人きりで逃走し続けるんですが、この二人の性格が全く合わなくていつも喧嘩ですよ。
最初はチャーリーの粗野っぷりが気に入らなかったけど、読んでいくとナオにも原因があるんですよね。もちろんそこには言えない秘密、理由があるからなんですが、読者視点からすると仲良くやりなよって思っちゃう。
しかし、ここが本作の一番の読みどころなんです。チャーリーではなく、ナオがいかに自分を乗り越えていくか、というところが成長のポイントなんですよね。
そして姉ジーンと妹チャーリー、姉妹の関係性も良く描けていて切なかった。すでに両親がいない二人は、お互いに寄り添って生きようとしている。姉は母親代わりになるように妹を想い、妹は姉のことを少しでも支えよう、助けようとするんです。二人ともやり方は幼稚なんだけど、愛情の深さは手に取るようにわかるんですよ。
ひたすら逃げ続けるロードノベルですが、中盤辺りからストーリーが一気にサスペンス風味を増してきます。そしてナオの過去には何があったのか、彼女たちを追ってくる者は何者なのか、そしてインゴットに関する秘密など、徐々に分からなかったの謎も明かされてきて… 終盤からラストは一気読みです。
途中イライラしたことが何度もあったんですが、最後はすっかり彼女たちを応援しっぱなしでした。そしてラストは、もう完全に号泣でした。
■ぜっさん推しポイント
本作をまるごと振り返ってみて、なんで未来のある若い女性たちがこんなことになってるんだと問いたい。
彼女たちの奮闘ぶりの影に、身勝手な大人たちに腹が立って仕方がありませんでした。もっと悪者たちが報いを受けるシーンを入れてほしいですっ -
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警官に射殺された姉の無実を証明するために奔走する妹・ボーの必死な推理と行動の過程を瑞々しく描いた青春小説でした。
ミステリとしての謎解きという意味ではさほどの意外性はありませんが、ボーを取り巻く環境の複雑さと、その中でもがき生き抜き希望を見つけようとあがく彼女の強さと弱さが繊細に描き出されていて、とてもリアリティが感じられました。
黒人差別が歴然と存在するアメリカ社会、その中でも貧困層に位置するボーたちの犯罪と背中合わせの毎日。それでも夢を描いて通う学校での人間模様。そして友情と恋愛。そういった、彼女が日常的に出会っている困難や偏見や苦労が、事件の発生と解決に向けての謎ときとともに描かれています。
彼女はときにとても幼く怒り、猪突猛進に行動し、自業自得の結果を招いたりもします。けれど幼いころから社会の不都合に付き合わされ、不合理に迎合せざるを得ない世の中を知る中では、たくましく生きようとしているようにも思いました。
「自由研究には向かない殺人」のピップのような賢しさではないけれど、彼女とは違った形で、大人の都合よく築いた現代社会であがく姿を生き生きと描いているように感じ、その生きざまがこの作品の一番の魅力だと私は感じました。 -
Posted by ブクログ
高校2年生の黒人の少女ボー。姉が不法侵入の疑いで警官に射殺され、姉が犯罪を犯すはずはないと無実の証明をしようとする。現在が語られていくパートと過去のボーと姉との日々が語られるパートとがある。黒人であるということで受ける差別や疑いの目のなかにあって、姉の無実と自分の権利を主張していくボーが魅力的。友情や恋愛もあるけれど姉のことを追っていく姿と、そのことで理解されない人たちとの平行線のような会話。その虚しさや孤独感が迫ってくる。差別や暴力などの社会問題だけの作品ではなく、姉妹のつながりとか友人たちとのエピソードにも魅力のある作品になっている。
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シリーズ第八弾。
前巻のラストで、SOE(特別作戦執行部)上層部からのとある協力要請を拒んだために拘束されてしまったマギーでしたが、本作は、その後の展開の物語です。
“知りすぎた”為に、SOEの収容所として使われている孤島にある城に囚われているマギー。
彼女の他にも、隔離が必要と判断された“訳アリ”工作員達9名が件の城で無為な日々を送っていましたが、ある日、新たな収監者として若き美人工作員がやってきた日から、ひとりまたひとりと収容者が謎の死を遂げていき・・・。
今回は、外部から遮断された状況・・所謂クローズドサークルの状況下で起こる連続殺人ということで、皆さまが描かれているように、さながら『そして誰もいなくなった』を彷彿とさせるようなミステリ仕立てとなっております。
次々と収容者が殺されていき、皆が疑心暗鬼に陥る中、収容者の中にナチスのスパイが紛れ込んでいることが判明したり、マギー達が囚われている城自体にも過去に忌まわしい事件があった事が明かされたりと、皆の心身が極限状態の中、なんとか正気を保とうとするマギーの姿勢が心強いですね。
一方、ロンドンでは、シリーズ第六弾『バッキンガム宮殿のVIP』に出てきた連続殺人犯“ブラックアウト・ビースト”の裁判でマギーの証言が必要になった為、スコットランドヤードのダージン警部が必死にマギーの行方を追っているのですが、なかな探し出せなくて“ダージン警部、早くマギーを助け出して!”とヤキモキしながら読んでいました。
そして、終盤では手に汗握るマギーと真犯人との攻防が繰り広げられ、果たしてマギー救出に向かうメンバー達は間に合うのでしょうか・・・(ドキドキ)と、最後まで楽しませて頂きました。
因みに、現時点でこのシリーズが翻訳されているのはこの巻までなのですが、原書ではマギーシリーズの続きの巻(『The Hollywood Spy』)が出ているようなので、翻訳を心待ちにしております~。