あらすじ
1942年、戦争がつづくロンドンに戻ったわたし、マギー・ホープは、ドイツの強制収容所に収監されている異父姉妹と再会できる日を心待ちにしつつ、特別作戦執行部(SOE)で事務の仕事についていた。そんななか、MI‐5の長官から、ある事件の捜査協力を要請される。SOEの訓練を受けた女性ばかりが行方不明になり、そのうちの一人の死体が発見されたというのだ。死体の状態から、犯人はあのいまわしい事件を模倣しているとしか思えないのだが……。マギー・ホープ、今度は戦時下のロンドンで勃発する連続殺人事件に挑む! 大好評のシリーズ第6弾。
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Posted by ブクログ
イギリスのスパイ、マギー・ホープシリーズの6作目。
1942年。戦時下のイギリスは出兵した男性に代わり、女性が社会に出て働き始めるようになる。
そんな新しい風潮の中、イギリスの戦勝を信じて工作員として活躍するべく訓練を受けた若い女性を襲う連続殺人事件が起こる。「切り裂きジャック」の再来?
マギー・ホープはスコットランドヤードと結託して事件にあたる。
マギー・ホープシリーズは、人種や階級などいろんな種類の差別に抗うのが軸なのだが、今回は女性差別。描かれる男性から女性に対する嫌がらせは今の日本でも「あるある」である。
奮闘するマギーを応援したり、一緒に憤ったり。
「だけど、何が一番頭にくるかって(中略)これだけいろんな、ありとあらゆることを切り抜けてきたっていうのに、わたしたちをこんな目にあわせたやつがナチじゃなかったってこと。ったく、同胞の人間だなんて。」
襲われ、ぎりぎりの状況で悪党を撃ったマギーは、駆けつけたスコットランドヤードの男性に「もう大丈夫だ」と抱きしめられるが、抱きしめられながら悪党の血を両頬と額に塗る。
「これでわたしは、ハンターになったんだ」
・・・このシーンに痺れた。
作中、ウールトン・パイやイラクサのワインが出てくる。
戦時下で考えられたイギリス料理。どんなだろう?
表紙のイラストが表すほどライトノベルじゃないんだけどなぁ。
そこだけが残念。
そして、「ここで終わる!?ほんまに!?なんで!?」というところで次巻に続く。
Posted by ブクログ
シリーズ第六弾。
ロンドンに帰ってきたマギー。
特別作戦執行部(SOE)で事務仕事をしながら、異父妹・エリーゼがドイツの強制収容所から救出されて、再会できるのを心待ちにしています。
そこへMI-5(軍情報部五課)の長官・フレインから殺人事件の捜査に協力してほしいと頼まれて・・・。
女性ばかりを狙い、“切り裂きジャック”を模倣した連続殺人犯を追うことになったマギー。
スコットランドヤードのダージン警部と行動を共にすることになるのですが、このダージン警部、無愛想ですがキレ者で紅茶好き・・・“こ、この要素は、某漫画の某兵長を彷彿とさせるよね( ゚д゚)ハッ!”と、いう事で(?)勝手にダージン警部推しで読み進める私。
このシリーズは第二次世界大戦が舞台なのですが、戦時下というテーマと共に時代背景ならではの問題も取り上げられていて、今回は“女性差別と暴力”に焦点があてられています。
マギーも周囲のモラハラ男たちに立ち向かいながら、連続殺人犯“ブラック・ビースト”を捕まえる為に、自ら囮になって捜査に尽力して、頼もしい限りです。
犯人の予測は割と簡単についちゃう感じですが、やはり相手がサイコなので、無事逮捕できるかハラハラしました。
一方、マギーの異父妹・エリーゼですが、登場当初は優しいお嬢様という感じだったのに、強制収容所で過酷な日々を送っているうちに、すっかり“ど根性娘”になっていました。
自分の意思を貫き通す頑固さは、姉のマギーと通ずる部分がありますね。
で、そのエリーゼが、せっかくSOEに救出されたのに、到着したフランスで行方をくらましてしまったのですよ~。
マギーはエリーゼと再会できるのでしょうか・・・。
さらに、フランスにはマギーの親友サラと元カレBのヒューがスパイとして潜入しようとしているところ。
(因みに元カレAのジョンは、ロサンゼルスにてウォルト・ディズニーと仕事をしていて今回登場せず。)
と、いうことで、マギーがフランスに乗り込もうとしているところで、本作はここまで!
次作はどのような展開になっているのでしょうか?続きが気になります~。
Posted by ブクログ
マギー・ホープのシリーズ第6作。
ロンドンに戻ったマギーが、連続殺人事件の捜査で活躍します。
アメリカ育ちの英国人、マギー・ホープ。
戦時下のロンドンでスパイの訓練を受け、数々の試練をこなしてきました。
特別作戦執行部(SOE)で働いていたところ、採用した女性が不審な死を遂げ、マギーはMI-5の依頼で捜査に加わることに。
スコットランドヤードの警部ダージンは、これまでマギーが付き合ってきたエリートの若者とは違う人種。
若いマギーを見ても最初は世間知らずの女の子ぐらいにしか思わず、他のお偉いさんはさらにサイテー(笑)
男性が戦地に駆り出されたために女性の社会進出が進む一方で、まだ格差はあからさまという。
優秀で生きのいいマギーは鼻をあかせるか?(笑)
戦況も暗い時期のうえ、女性の連続殺人はまるで切り裂きジャックを真似たよう。
異父妹がドイツにいるマギーには、そちらも心配。
妹はナチスの圧力をなんとか交わしながら、生きているのですが‥
事件の中心へ切り込むマギー。
いつもVIPの傍にいる立場なのは、作者は歴史的な危機をありありと体験するかのように描きたいのでしょう。
超人的という設定ではありませんが、かなり優秀でないと大事件に関われませんよね。
不安要素だらけの苦境を生き抜くことになるだろう勇気の物語ですね。