あらすじ
1942年、イギリスの特別作戦執行部の工作員であるわたし、マギー・ホープは亡き友になりすまし、ドイツ占領下のパリに潜入していた。異父妹のエリーゼをイギリスへ連れ帰るため。さらには、戦局の行方を左右する重大な情報を持っているはずの工作員を救うため。滞在先の〈ホテル・リッツ〉で高名なデザイナーのココ・シャネルと知り合ったわたしは、一瞬たりとも気を抜けない日々の連続を過ごしていた。そんな折、イギリスの工作員ネットワークに亀裂が生じる。裏切り者がいるのか? ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの大人気シリーズ!/解説=上条ひろみ
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Posted by ブクログ
イギリスのスパイ、マギー・ホープシリーズの7作目。
イギリスのスパイ、マギー・ホープはドイツ占領下のフランス、パリに潜入。パリでの工作活動が実際どうなっているのかを調査し、ドイツから脱出した妹を救出する目的があった。
マギー・ホープシリーズは実在した人物が出て来たり、モデルになることが多いのだが、今回はココ・シャネルが登場。
ファッションについての言と、表には出さないが諾々とドイツに従わざるを得ない屈辱、しなやかに一矢報いてやろうと虎視眈々としているココ・シャネルの様子がおもしろい。
公用施設の入り口が違うなどのドイツ人によるフランス人差別があったことを初めて知った。
フィクションとノンフィクションが混在するこの小説の中で、「私は読書が好きだ。家には庭がある。かつてはユダヤ人の友がいた。ナチになど、決してなりたくはなかった」というナチス将校の言葉がフィクションではないことを祈らずにいられない。
マギーを助けたこの将校はどんな道を歩んだろう。
再登場してほしいな。
Posted by ブクログ
シリーズ第七弾。
前巻で、フランスで行方をくらましてしまった異父妹・エリーゼと、フランス潜入中で安否が気になるSOE(特別作戦執行部)工作員・エリカを探す為、ナチス占領下のパリに潜入したマギー。
アイルランド人の令嬢になりすまして(アイルランドは中立国)、〈ホテル・リッツ〉に滞在することになりますが・・・。
今回は辛かった!シリーズ第三弾『国王陛下の新人スパイ』でドイツに潜入した時もかなり辛い展開でしたが、それ以上かもです。
毎回のように書いていますが、可愛い表紙や呑気なタイトルに、シビアな内容が合っていないですよね。
パリ潜入時したばかりのマギーに、SOEの航空輸送管・ジャックが言った、“誰も信じるな”という台詞まんまに、騙し騙されの熾烈なスパイ合戦が繰り広げられますが、もう一方的といってよい程、ドイツ優勢な展開です。
と、いうのもSOEメンバーに、ドイツ側に情報を流している二重スパイが存在していて、SOEのネットワークはナチスの手に墜ちてしまっているわけです。
まさに“飛んで火にいる夏の虫”状態で次々に捕まってしまう、SOEの工作員達。
そして、ゲシュタポに連行された英国スパイの末路は・・・ヒィィ!((((ll゚Д゚))))
この一方的な状況の中で、マギーも勿論ピンチに陥りますが持ち前の機転と度胸で乗り越えていく姿に、以前ドイツに潜入した時のような危なっかしさは無く、今や安定感すら感じる程成長していますね。
そしてもう一つの注目ポイント、異父妹・エリーゼと再会して解り合えたのも良かったです。個人的にエリーゼはお気に入りキャラなので、姉妹が仲良くなって嬉しいですね。
で、ナチスの拘束からの脱出、裏切り者が判明などのハラハラ展開を経て、やっとイギリスに帰国できたと思ったら・・とんでもないラストが待っていました。
と、いうわけで、マギーの運命やいかに・・・エリーゼ!お姉ちゃんがピンチですよ!!
Posted by ブクログ
マギー・ホープのシリーズも7作目。
マギーはアメリカ育ちのイギリス人で、優秀でいきいきした女性。
戦時下にロンドンにいたため、チャーチル首相の秘書を務めたことからスパイの道へ。
今回の任務は、ナチス・ドイツ占領下のパリへの潜入。
1942年、送り込まれていたスパイたちが消息を絶つという危険な状況での仕事です。
アイルランド女性を装い、結婚準備の買い物に来たという触れ込みでリッツ・ホテルに滞在。
アイルランドは中立国だったために、アイルランド人としてならまだパリを訪問することが出来たんですね。
頭がよく今では腕も立つようになっているマギー。だが、ドイツに行ったこともあるのでドイツ人に顔を見分けられたらおしまいという危険も。
当時流行のファッションに身を包み、デザイナーのシャネルらと知り合うのが楽しい。
ドイツ人の恋人がいたココ・シャネルは、戦後はドイツの協力者として睨まれることになるのですが。
マギーにはさらにもう一つ、異父妹の行方を突き止め、できれば連れ出したいという気持ちがありました。
この妹は二人の母親に似ず、優しい性格。
複雑な家族関係ですが、これもある進展を見せます。
どうなるのか予測不能なストーリー、命がけなのは当たり前で怖くなりますが。
スリルある冒険ものエンタテインメントと、それだけではない部分を上手く折衷した作品。