九岡望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれたら読んで損をしない、間違いない面白さ。
地獄につながる眼を持ったシスコン刀使い、元大量殺人者の金髪碧眼シスコンガンスリンガー、己の規則に忠実なペスト医師マスクの殺し屋。設定だけで、その趣味の人にはぞくぞくするでしょ?
影を負う男二人のバディもの、技名を叫んで殴るタイプの異能バトル、死者が跋扈するハチャメチャな都市。と、中二心を刺激する要素満載。
前作「ニアデッドNo.7」に続く、B級映画的な匂いの派手なアクションラノベ。
前作が再殺部隊+バイオハザードなら、今回は凍京necro+血界戦線だろうか。
傑作「エスケヱプ・スピヰド」の作者だけあって、心躍る圧巻の戦闘描写は言うまでもなく、敵も味方も己の死と喪失と向き合い答えを求めるどこか高潔な姿が美しい。
久しぶりにシリーズ化、7月には2巻が出るので、今後も要チェック。 -
Posted by ブクログ
死者が(すなわちゾンビが)あふれる幽離都市・東凶で、特殊金属の身体を持つ亡者専門殺し屋・ミソギが出合ったのは、イギリスから来た対ゾンビ専門のエージェント・アナテマに所属するアッシュ姉弟と、コンテナで密輸されたラリった少女。不本意ながらアナテマと共闘することになったミソギは亡者の麻薬・通称Asの出本を探るうちに、生死をひっくり返すようなどでかい災厄が東凶に降りかからんとしているのを知る――
と、書くとお行儀が良いのは重々承知の上で、
あふれるゾンビ! 変幻自在の四肢ついでに滅茶苦茶カッケー車を乗り回す主人公属性男子! 金髪碧眼トラウマ持ちでついでに頭も回るエージェント! 犬猿の仲バディに、ふわふわ描写がキレッキレの少女に、正統派ヒロインに妙齢眼鏡閻魔にハッキンドローンJKにフランケン女児に地獄からよみがえる名刀!! あ、それとミサイルも追加で! ミサイル! 宇宙から発射されるチョーでかいやつ! こんな要素てんこ盛りでどうするんですか。てんこ盛りなのに書ききっているぞすごい。
キャラクター描写は毎度のことながら秀で、きちんと使い切っているのが非常に良い。累氏も良い。名前から当初、随分辛気臭いしゃべりをする女性だな……と思った(それが良い)ら、挿絵を見るとナイス中年男性で累ちゃんどこ行ったんだとしょ気たのも事実だが、非常に良い味が出ていたなと思った。ハッキンドローンJKと合わせて終盤まで非常に良かった。生かし切れていないのが残っているのは誰だ、と考えたところ約一名思い当たるキャラクターがいたが、想定されているエピソードに対して実際に開披されたものが少なかったせいだと思われるため続編に向けての布石なのだろう。
描写に関しては先述の累氏のミスリード(勝手に誤読しただけかもしれないが)等、やや偏りがあるか? と思われたが支障が出るほどではない。戦闘描写は相変わらず優だがやや嵩を減らしたか。
今回、九岡作品の特色だと思っていた長目のタメ(停滞)があまり感じられなかった。タメに相当する展開はあるのだが、タメつつタメの長さを上手く掻い摘んでいる印象だった。 -
Posted by ブクログ
採掘船で働く、学者志望の少年・旗魚が、思わぬ形であこがれの学者・浅蜊と出会う序盤から(そもそも遭遇する前から)、畳みかけるように重なる謎と発見、逃走劇と解答が、一気に読み終えるまでの推進力を持っていて良かった。
スチームパンクな世界観も緻密、蟲や詠石といった生物・物質の描写も優、後半のある意味無敵モードも快いが、何より相変わらずキーとなる文字/声の描き方のセンスが光っている。見開き一ページ分、(ネタバレ)が来たときには、予想はしていたものの来たか、とテンションが爆上がりだった。言葉を巡る思索のSFらしさも良い。
タイトルは最後の最後まで読んで、そうかと判る感じだった。終盤は類例をみないわけでもないが、読後感と相まって余韻を残す。 -
Posted by ブクログ
鴨が偏愛するコミック・アーティスト、弐瓶勉氏の代表作「BLAME!」を元ネタに、現代日本を代表するSF作家が腕を振るった二次創作アンソロジー。
「BLAME!」を読んだことのある方ならお分かりの通り、あの作品は世界設定が全てです。その世界の中で、どれだけ物語を展開できるかが腕の見せ所なわけで、プロのSF作家としても面白いお題だったんじゃないかと思いますねー。収録された5作品は、どれも全く異なるテイストの作品でありながら、ちゃんと「BLAME!」の世界の中で展開しており、なおかつ幅広いイメージを読者の眼前に提示します。「BLAME!」の世界観の揺るぎなさ(換言すると、細かいところは各自の想像に委ねても問題ないぐらい必要最小限で柔軟な初期設定)がよくわかる、「BLAME!」ファンにはたまらない作品集ですね。
一方で、「BLAME!」を読んだことが無い人にとってどうか、という視点では、結構ハードル高そうな気が。あの世界観を肌感覚で理解していないと、よくわからないまま終わってしまう可能性も高いと思います。
鴨的には、やはり酉島伝法・飛浩隆の両氏が圧巻。とんでもなく美しい舞台設定で魅せる酉島作品、圧倒的なタイムスケールで「悲恋もの」を描いてしまう飛作品。キャラクターが魅力的な九岡作品、ハードSFとして「こう来たか!」と唸らせる小川作品。いずれもさすがの読み応えです。
ただなぁ、野崎まど作品が・・・orz 癖のある作家だということは事前知識で知ってはいましたけど、鴨はこれダメですわ(^_^;これが収録されていなかったら☆5つだったかなー。