九岡望のレビュー一覧
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鬼虫の要・星鉄を手に入れた九曜たちは四番式・井筒の復活を試みるも中々成果を結ばない。そんな中、叶葉は勤め先の捨屋の前で行き倒れになった少女・久留守を助ける。インバネスコートに帽子という季節はずれの出で立ちの久留守は叶葉の申し出もそこそこに(でもしっかり三人前は食って)「南があかるくなったら、あぶないから、にげたほうがいい」と言い残すと姿を消す。果たして帝都は炎を操る甲虫の襲撃を受ける中、弩将の井筒が目を覚ます――。
溜めが長いことが特徴なのかも知れない。だがそれがいい。今巻は目覚めた井筒の逡巡を巻の半分ほどの時間(尤も他の描写も並行しながらなので、単純に半分とも言えないが)を使って悩ましている。その分、終盤の高出力・大火力がちょうきもちいい。大体主人公がその枠を埋めるのだが、九曜は「真面目な新人」と評されるだけあってあんまりガンつけたりオラオラオラとは言わないタイプなので、一人くらいはこんなメンバーが欲しい、というところにしっかりはまってくれた感。
他の主要メンバーに関してもそれぞれの役回しが生きている。九曜と菊丸のコンビは毎度白兵戦が楽しみであるし、新たに登場した久留守に関しては、個人的に今後の展開に期待をしている。剣菱と巴に関しては主戦力で出ずっぱり感あるので、何となく心配であるが。 -
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ネタバレ新しい住居で暮らしはじめた叶葉の元に、鬼虫の資料を携えて尽天から菘がやって来た。叶葉と鴇子、菊丸は捨屋で働き、九曜は可児らと協力の任につく。あらたに加わった菘も整備士として日々を暮らすことになった。
そんな折、<星鉄>を巡る鴇子の記憶が蘇る。<星鉄>は鬼虫の秘密だった。そんな<星鉄>で精製された刀・流星刀を御所の倉で触れた九曜は突然昏倒してしまう。
段々と敵方の姿が見えるようになってきたシリーズ三冊目。九曜の攻撃も菊丸のロケットパンチもパワーアップ、巴・剣菱も参戦の上、可児等の援助も受けられる様になっても相変わらず苦しい戦いを続けるのが何とも秀一。鬼虫の機体が敵方へ渡り、<星鉄>の半分も敵方に渡るという展開ながら流星刀を使った攻撃や鬼虫二体が中央方で未だ眠っている事を勘案すると、ストーリーの展開上ここが一番の踏ん張り所か。先を読もうと思えばおぼろげながらこんな展開になるんじゃないか――というのが見えてくるものの、それをしっかり(面白く)書けるという点で信用出来る作品だと思う。 -
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ネタバレ廃墟から復興しつつある都市に舞台を移し、ボーイ・ミーツ・ガール第二段。叶葉と機体の大半を失った九曜は帝都≪東京≫に辿り着く。皇女を名乗る少女・鴇子と護衛・菊丸と下町と呼ばれるエリアで暮らしはじめるが、鴇子を狙って謎の兵器「甲虫」が動き出す。再びの戦闘に巻き込まれて不利な形勢に立たされた叶葉たちだったが、そこに現れたのは先の戦争で失われたはずの「鬼虫」シリーズ、剣菱と巴だった。それぞれ利害の一致した一同は、鴇子の失われた記憶を求めて廃墟に出撃する。
あ…ありのまま今読んだことを呟く! ロ ケ ッ ト パ ン チ が出た……な…何を言っているのかわからねーと思うが超高速とか魔性ロリとか恐ろしい片鱗を味わったぜ。ライトノベルなんて世間で言われてる程チャチなもんじゃあ断じてねえ 俺も何があったのか一瞬判らなくなった…
鴇子の失われた記憶が物語を動かす原動力となっているが、そこに至るまでの帝都での生活描写や細やかな日常が要を得て(というかむしろ王道に!)、各キャラクターの性格もしっかりしていて良く、サービスシーンも楽しい。前作で不在となった四天の竜胆、失われた機体≪蜂≫を巡る現在の九曜の逡巡が、主人公を強さではなく弱さを描写しているという点で地に足がついている感じがした。 -
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かつての戦争で荒廃した都市の中で生きる生存者の少女・叶葉、そして兵器≪鬼虫≫の≪蜂≫・九曜のガールミーツメカもしくはボーイミーツガール。
戦争が終わった日常には長物の九曜だったが、叶葉らとの交流を通じて徐々に生存者の集団に馴染んで行く。しかしそこに鬼虫の≪蜻蛉≫・竜胆が現れ、再び戦闘が始まる。
戦闘! メカ! あとエスケヱプとか旧体な文字遣い!
所々文体が崩れて口語体になる所書きになるが、それを差し引いても世界観は濃密、描写秀。だが戦闘描写が濃厚かつスピード感があるので思考回路が落ちる。なれている人であれば平気か。
戦闘クライマックスの描写については、乗っているときに読めばアドレナリンがどばどばなのだと思うが、一瞬でも冷めると笑うしかないというか笑えばいいと思うよというかもうちょい錯綜した文章を長くした方が超・加速感が出るんじゃあないかと思った。隙が命取りの戦闘描写であるが、読者にとっても隙は命取りにもなりうるので、ここ辺りはやや好みが分かれそう。
メカと少女のちぐはぐなやり取りは鉄板であるがやっぱり王道で外さない。一方で兵器の存在意義に絡む描写がしっかりと取られている所に好感。
視点は神視点だがさほど気にならない。九曜とカナ嬢に沿って展開しているからか。 -
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架空日本の戦後を舞台に、孤立した生存者達のサバイバルとアンドロイド兵器の因縁闘争を併走させた異能活劇。
隔絶された空間からの脱出劇でもあるが、彼ら生存者達にとっての天敵/死神であり救世主でもある、アンドロイド達に宿る意識の葛藤も同時に描いている。
アンドロイド達は単純無垢な創造物でなく、人間として或いは軍人/兵器として生きた過去をそれぞれ持ち、その記憶を回想パートとして共有させることで、死の都市となり果てた閉息感漂う劇中の世界観を拡張している。
劇中の世界観や時代性に沿ったやや堅苦しい言い回しに若干の引っかかりはあったものの、堅実なバランスの文体は頭にすっと入りやすく、読み手の咀嚼を阻害せず最後まで読ませた点は良かった。
難点は、暴走した架空の昭和…その戦後という世界設定、瓦礫都市というSFにしては古めかしいビジュアルイメージの舞台、人工知能の自我の問題と軍人精神の相関関係、何故か昆虫をベースにデザインされたアンドロイド兵器達のパーソナリティ武装、等々。
所詮は物語の表層を彩るデコレーションの問題ではある。
が、如何に巧みな語り口であろうと、読み手をノらせてくれるかどうかとなると、本作はどうにも自分の好みを通して眺めるとミスマッチの集合体でしかなかった。 -
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前半は砂漠の惑星を舞台とした冒険物として物語が進んでいき、後半から世界の成り立ちなど解き明かされていく怒涛の展開、とてもワクワクしながら読み進めることができました。
主人公の旗魚(カジキ)とひょんなことから行動を共にすることになる"運び屋"の鯱(シャチ)が、だんだんとお互いを信頼していくようになっていく展開も良く、良いからに後半はしんみりとしてしましました。また、同じく行動をともにすることになる"蟲使い"の珊瑚(さんご)は完全にヒロインでした。
物語は"言葉"が重要なキーワードになっており、文章の書き方も変わった節々があり面白かったです。本書のタイトルについても、最後まで読み終わり「ああ、なるほど」となりました。