宇野朴人のレビュー一覧
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前巻の衝撃があまりに大きすぎて、実はずっと続きを読むのを避けてきた。
でも、アニメが始まったこともあり、恐る恐る手に取った。
その結果は……そうだよなあ。そうなるよなあ。
今巻では、まず敵方であるキオカの事から物語が始まるのだけど、これは前巻の衝撃にひとつのクッションを置いて、心の準備をさせる意味で作者の用意周到さを感じる。
でも、その内容はジャンとアナライとの出会いという今後の物語的には非常に重要な出来事。
これで、ますますジャンは手強くなるのが目に見える。
一方、帝国の方は変わり果てたみんなの姿がー姫さんの姿が、胸を突く。
2年の月日は失ったものの大きさを何も癒すことはなく、寧ろより大きく心を縛り付けている。
弱音を吐けるマシューはまだマシなほうだろう。
真面目なトルウェイは全てを抱え込み、姫さんは一人だけで帝国を背負おうと悪も辞さない。
誰にも相談できず、ただ魂の抜けたイクタにだけすがっている。
そんな状況で、最後の絆だったハロに遂に隠れた役割が回ってくる。
これはもうどうなるんだろうか?
ヤトリが退場した今、次はハロの番だとしても何も驚かない。
いやむしろ、姫とイクタ以外全てが退場する可能性だってあるのだ。
そんな最悪な展開の中、いったいイクタの復活はいつになるのか?
復活の鍵は多分、ヤトリに託されたものを彼が思い出せるかどうかだろう。
次巻でそんな場面があるのか?
それともまだ、この状態が続くのか。
続きを読むしかない。 -
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ネタバレ評価:☆4.5
※ネタバレ注意。未読の方は回れ右
イグセム派の将校として捜索隊を率いるヤトリと戦場で対峙することになるイクタ。
お互いにお互いを知り尽くしたもの同士の戦いは熾烈を極める。戦いの行方は果たして・・・!
この巻では今まで明かされなかったイクタとヤトリの過去が語られることになる。
二人の馴れ初めは微笑ましかった。イクタとヤトリは二人で一つ、そんな絆の深さもわかった。だからこそ二人が戦場で戦うのを見てるのが辛かった。
幼い頃からヤトリはイグセムで、ヤトリの中のイグセムは成長してからも消えることはなかった。
それでも過ごして来た時間の中に確かにヤトリシノの時間はあった。それが彼女にとっての救いだったのかなと。
読み応えあったし、間違いなく面白かった。だがあまりにも辛いこの結果に軽く放心状態・・・賛否両論になるのも頷ける。
次巻から新章が始まるそうだが、迷走しないことを祈る。
「ひとつだけ言っておくよ。君が謝るべきことなんか、この世界に何一つない」
「――しぶといじゃないの。ヤトリシノ――」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価:☆4.5
北域での過酷な戦争から帰還したイクタ達。
今回は戦闘がメインではなく、政治問題がメインになるのかな。(シナーク族の難民をどう扱うか等)
海戦もあったけどほとんど巻き込まれる形だったしね。2,3巻と比べると落ち着いた巻だったけど面白かった。
にしてもマシューがめちゃくちゃ頼もしくなってておじさん胸が熱くなっちゃうよ・・・成長してるよね。まさかポルミニュエとフラグ立てるとは思わなかったけどw励ますシーンのマシューのイケメンさは異常。
次回は本格的に海戦になるだろうが、陸とは勝手が違う戦場でイクタ達はどう戦うのか、姫様の企みは、そしてイクタとヤトリの過去に何かあったであろう意味深なやり取りも気になるところ。
7巻までは買ってあるのでどんどん読んでいきます! -
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ええ?! まさか、これは…衝撃の展開だよ。
イクタとヤトリのあの関係がどうやって紡がれたのか、いつか描かれる時を期待していた。
それが今巻だったわけだけど、予想していたのとはちょっと違った。
きっと学生時代に出逢って、すごく衝突して、そのうちに無二の友になった……ようなことを考えてたら、そうか、もっと昔にあっていたんだ。
そして無二の友よりも深く、二人でひとつ、互いが片割れになった。
子供時代も、再会後も、二人の関係の深さに心が躍った。
それだけに、敵味方になって闘うことになったときの、自分自身の全てを切り捨てたヤトリの悲痛さがイタイほどだった。
でも、きっとイクタが、そんなヤトリを救ってくれるのだと信じていた。だから、信じて読み進めたのだけど、その果てに……
確かに救うことは出来た。
でも、永遠に失われてしまった。
この展開、いや、ひどすぎない?
ちょっとこれはあまりにもひどい。
確かにこの物語は、そういうことも容赦はしない傾向にあったけれど、ここで彼女を失うことは、この先の魅力の半分を失うことと同義だと思うのだ。
なんだか、続きを読み進めることが出来るか分からない。
そんな気分。
それでもこの先を、見届けるべきだろうか。
彼女の願いと共に。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ怠け者でひねくれものだが、豊富な知識と優れた頭脳で誰よりも戦略、戦術に秀でる少年が主人公の戦記もの。
激情家でガキっぽい面を除けば、なかなか好みのタイプの主人公。
お話も面白い。キャラの魅力も十分。これは期待できそうだ。
この手のお話では萌え成分が希薄になるけど、まあ話が面白ければいいや。続巻にも期待したい。
ただ、シャミーユが語る「国を負けさせて栄えさせる」論は正直疑問に思う。
これって敗戦をバネに高度成長を果たした日本と同じ道を歩ませたいんだろうけど、帝国のような大きな国ではじめからそれを狙って行うってのは無理がないかな。
日本はやむにやまれず、他に道がなかったからああなったわけで、もしやり直せるなら最善の一手は「敗戦」ではなかったはず。
ところが、シャミーユは最初から最善の一手として(日本をモデルとしたと思われる)敗戦を選ぼうとしている。
まあ日本の戦後復興がモデルじゃないのかもしれないけど、どうもこのシャミーユの敗戦論はぴんと来なかった。
戦線を縮小する方法はいくらでもあるだろうし、政治改革だって出来ないわけではないだろう。
シャミーユや、今後出世するかもしれないイクタの立場を考えれば、敗戦結論あり気は飛躍しすぎじゃないか?
シャミーユが女帝になる、軍事クーデターを起こす、民衆革命を起こす、国際連盟を構築する、立憲君主制に移行する、などなど、いくらでもやりようはあるのではないかと。
どう転んでも犠牲者を出す「敗戦」を最初から目標に定めるこの思想だけは、どうにも頓珍漢で理解しづらいなぁと感じた。
敗戦により他国から受ける文化、経済、政治哲学といった外圧を利用して帝国を浄化する。
まさに敗戦後の日本がたどった道ではないか?
勝ってはならない。ただし負けすぎてもならない。
上手く負ける。論としては面白いし、結果的にそうなってしまうことはあると思うが、政治や軍事のトップが語っていいことではない。
これが何の力も持たない街娘と不良生徒の幼いたくらみならまだ面白い。
が、持ちかけたのが王族の娘で、受けたのは将来有望とみなされた若き士官。
こんなたくらみに正義はない。
多くの将兵を死なせる戦争には必ず正義が必要で、わざと負ける戦いに戦争の正義など存在しない。
しかも、状況的に追い込まれてやむなく負けるための戦いを強いられたリカン中将と違い、シャミーユとイクタは長期的戦略として負けるために、言い換えるなら多くの将兵を死なせるために戦争を起こそうと画策するわけである。これはいけない。
もっと前にやれることを探るべきだ。
この極論、飛躍論に飛びつき、そこから先へと思考を進めなかったのは、いかにも度し難い。
この一点を除けば十分に面白かったんだけど、同考えてもこのエピローグだけはいただけない。
これさえなければ文句なく★★★★★なんだけど、どうにもこれが受け入れがたくて★★★★★つけづらいな。
思うに、シャミーユの敗戦論は提示するのが早すぎたんだと思う。
この敗戦論を読者に披露する前に、説明しておくことがたくさんあったと思うんだよね。
1.シャミーユが皇帝になる可能性
まずこれが語られなければ話にならない。
シャミーユ自身が皇帝になる可能性があるのなら、敗戦論などぶつまでもなく、自ら皇帝となって国を変えればそれでいい。
つまりは、覇剣の皇姫アルティーナと理想を同じくするわけだ。
シャミーユの王位継承権については語られた記憶がないんだが、果たしてどうなっているのか。
現皇帝が急死すれば、政治の有力者がそれぞれ次期皇帝を擁立して覇権争いすることになる、との記述はある。
その中にシャミーユは含まれるんじゃないか?
であるのあら、シャミーユ自身が権力者を目指すのが正道だろう。
血で血を洗う骨肉の争いになろうとも、「わざと他国に負けて国を変える」などというよりもよほど正義があるというもの。
その道を選べないというのなら、シャミーユには継承権がない、どう転んでも皇帝にはなれないという説明が必要になると思う。
が、そんな記述はなかったはず。説明が不足している。
皇帝になる道があるのなら、なるべき。
「我が覇道に手を貸せ」でいいだろう。
2.イクタの王国に対する明確な復讐心
イクタは両親を国に奪われたようなものだから、国や王族に対する敵意は持っている。
しかし、明確な復讐心があるかというとそんなことはない。
イクタの望みは平和に怠惰に暮らすことであって、立身出世に興味もなければ、国家に対して復讐をなそうという気持ちもない。
もしもイクタが、国や王族に対して弑逆も辞さず!というほどの強い敵意を持っているのなら、「国をわざと負けさせる」というシャミーユのたくらみに乗ってもおかしくない。
その土台はあった。もともとのプロットでは、イクタは国に対する復讐心を燃やす主人公だったのかもしれない、とすら思える。
が、実際のところのイクタは無気力で、王族に対する敵意はあっても害意はない。
イクタが王族に対する復讐心を燃やし、他人を嫌い、隣人を憎むようなダークキャラなら、「最終的に国を滅ぼす」ようなシャミーユのたくらみに乗るのはありだし、その発想も面白いと思う。
3.宗教、哲学、思想の腐敗停滞と自浄能力の欠如
これも部分的には語られているが、敗戦論をぶちかますためにはまだ足りない。
科学的な考察を否定するアルデラ教の存在や、故意の敗戦で有能な将官を死なせる政治・軍部の腐敗は語られるが、それらの是正が決定的に不可能だと結論付けるだけの解説はされていない。
宗教は頑迷で、政治は腐敗し、軍は無闇に肥大している。
ならば打ち壊してしまえ!では何がなにやらわからない。
まず全うな手段での改革や改善を模索すべきだし、それがどうやっても不可能なのだから劇薬投入としての「敗戦論」という持ち出しにならないと共感できるはずもない。
決定的に説明が足りず、持ち出すのは早すぎたと感じる。
他の部分に関してはほぼ満足。
これでヒロインにもう少し愛嬌があり、主人公が激情を制御して子供っぽい感情論に走らなければ、かなり好みな物語だった。
でも十分面白かったので、期待している。
最後に、確かに銀英伝や皇国の守護者のパクリっツーか、影響を強く受けているっツーか、テイストをそのまま使っているのは間違いないけど、まあこれくらいいんじゃね?
ラノベらしい読み安さが最大の長所名わけで、両者の良い部分をラノベに持ち込み消化してくれるのは大歓迎。 -
Posted by ブクログ
電撃文庫の中でもかなり楽しみにしているシリーズの最新刊。
前半ではマシューの故郷で起きている事件を調査し、後半では海の人となったイクタたちによる共和国との海戦。
今回は我が友マシュー回と言ってもいいね。
故郷では領地の人々から愛されている様子が伝わってきて、船の上では若い女船長であるポルミニュエとのやり取り。
イクタやヤトリ、トルウェイら才能に恵まれた面々と違い、等身大で身近に感じられるマシューの活躍はどこか嬉しさを覚えるな。
特に
「それが戦争を舐めてるって言うんだよッ!いいかよく聞けよ、いつだって何が起こるか分からないのが戦場なんだ!数字の上では楽勝に見える時だって、不測の事態に備えて戦力は可能な限り確保しておかなきゃならないんだ!指揮官がその原則を忘れたらどうなるか分かるか?いや分かんないだろうな、だから教えてやる!人死にの桁が一つ上がるんだよ!」
のセリフを読んだときには、あぁやはり彼も戦場を行きぬいた英雄なんだな、と。
ほんと成長したなぁ。
戦闘後のポルミニュエへのフォローも、イクタの下で学んだ成果か。
とまぁマシューの魅力が発揮された巻ではあったけど、もう一つの見所を挙げるとしたら、やはり主人公のイクタね。
着飾ったヤトリに対して言った一言は、ハロが解説したとおり照れながらも言わずにはいられなかった言葉なんだろうな。
言うべきことをキチンと言えるキャラって、やっぱりかっこいい。
物語としては大きな動きは無く、今後に向けての布石を打った巻。
前巻もそうだったけどじっくり歴史を動かしていくタイプの作品か。
今後も彼らの成長と活躍が楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価:☆4.5
本格派ファンタジー戦記第二弾。
今回も面白かった!安定してますね。
用語や人物も増えてきてカタカナが多くなってきてるのにスラスラ読めるぐらいにはこの世界観にハマってるw
イクタは適当に見せかけて、誰よりも冷静で時に非情で現実見てるとこが好きだ。
無能な上官キャラってよくあるけどやっぱ腹立つなぁ(笑)
イクタ・ヤトリ・トルウェイの将棋勝負は見てみたかった。
デインクーン、清々しくて好きだったのに・・・(´;ω;`)
「ご無礼をばぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「お許しをばぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
には吹いたwww
ナナク・ダルとヤトリとの一騎打ちは燃えた!
回転剣舞は是非とも映像でも見たいね。
そして続く物語。
立ちはだかる絶望にどう立ち向かうのか、次巻も目を離せない!
「だってね、人はいつだって、状況の許す範囲でしか何かを遂げられないんだよ」