マーガレット・アトウッドのレビュー一覧

  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    ブッカー賞とハメット賞をW受賞した作品の文庫化.老女の現在,彼女の回想,若くして死んだ妹の処女作,兼,遺作が相互に絡み合い,妹の死を始めとする数々の謎が終盤で解き明かされる.
    正直,途中までは「見え見えのトリックでミステリーとして読むと少々期待外れだなあ」と思っていたのであるが,最後にはたたみかけるように,予期していなかったことまで全てが解き明かされる.
    現在と過去とフィクションが重層的に構築され,そのうちのフィクション部分(妹の遺作)のタイトルが本書のタイトルにもなっているのだが,その意味は深い.

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    2019年11月14日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    作中作が重要な意味を持ち、事件の真相とも密接に関わっているという結末。解説によると、『薔薇の名前』とも似た構造とのことだけど、自分には類似点が殆ど理解出来んかった。サーガとしては結構楽しく読めたけど、ミステリ的側面からはいまひとつピンとこなかった。ってかそもそもが、あくまで文学であって、エンタメ的・ミステリ的に楽しむ必要はないのかもしらんけど。

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    2019年10月17日
  • 昏き目の暗殺者 上

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    アトウッドの代表作。色んな書評やらで見かけて、いつかは読みたいと思ってた作品を、文庫化にあたって入手。あと、ノーベル文学賞授賞かも、っていうタイミングもあって。でもそれは逃したけど。メタフィクションの体を取っているけど、それぞれが章立てで区別されていたり、登場人物もそこまで多くなかったりするから、前半を読み終えた印象として、難解度はそれほど高くない。自分の理解度が低いから、単純にこれ以上だとついていけない、っていう話だけど。最初に提示された、妹の死にまつわる謎を解き明かすのが本題だとは思っているんだけど、この超大作の果てに、どんな結末が待っているのか、期待大。

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    2019年10月15日
  • ダンシング・ガールズ:マーガレット・アトウッド短編集

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    「ケツァール」がよかった。サラの豹変を恐れつつ、ただのサラに安堵するエドワード。誰もがどこかで感じたことに気づく。

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    2025年11月22日
  • 侍女の物語

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    初めてディストピア作品を読んだ。この本は1980年代に描かれたものなのに、今の世界にも通じる内容が多く印象的だった。英語版を先に読んだが、より直接的な表現が目立ち、読者に強い緊張感や生々しさを感じさせる部分が日本語版よりも多いと思った。全体的に重いテーマだけど、現代にも通じるメッセージ性の強い作品だと思う。読み進めるうちに考えさせられることが多かった。読みやすくは無かったけど、読み終わった後には深い余韻が残る一冊でした。

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    2025年11月09日
  • ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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    楽しい、楽しい、楽しいー、と、ニヤニヤしながらページをめくり、そして、昔読んだ「イリアム(ダン・シモンズ)」を再読するぞ、心に決めたのでした。

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    2025年11月03日
  • ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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    大昔読んだオデュッセイアは当たり前にオデュッセウスの冒険が描かれていて、ペネロペイアはひたすら夫の帰りを待っているだけの存在だった。
    正直、12人の女中が殺されたくだりがあったかどうかも覚えていない。
    英雄の物語の裏で、女たちにはこういうことがあったのかもしれない。新しい視点でおもしろかった。

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    2025年09月22日
  • ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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    初めてアウトウッドの著作を読んだ。

    英雄譚というものは古来より男性視点で語られており、英雄譚の中の女性は戦利品で、家の財産で、奴隷で弱者で声なき者である。ペネロペイアは『賢く貞淑なオデュッセウスの妻』という評判だからこそリアルな女性として声を上げる様を私は想像したことすらなかった。彼女らの生き生きとした姿がよみがえる。

    話が進むに従って、互いの言い分が食い違うペネロペイアと12人の女中たちのコーラスにゾッとした。ペネロペイアも嘘をついたり素知らぬ顔をできるこの仕掛けが気に入った。

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    2025年09月18日
  • 侍女の物語

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    ありえない世界の話とは言い切れない怖さ。
    次々と思考がかわったり唐突に終わったりするところがリアル。
    後の世界の対談がまた深みがあって面白い。

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    2025年08月27日
  • 侍女の物語

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    海外文学としては読みやすかったが、あまりにも救われなさすぎて、好みではなかった。
    自由があること、選択できることは幸せだと感じた。

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    2025年08月14日
  • 侍女の物語

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    夫と幼い娘とアメリカで暮らしていた主人公は、クーデターを境に自由を失い、子どもを産むための道具として身分の高い既婚者男性の家に派遣された。社会は一変し、女性は男性の所有物とされ、逆らう者は粛清される。かつての生活の記憶を支えにしながら、主人公は日々を生き抜いていた。性とは、自由とは、社会とは何かを考えさせられるディストピア小説。

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    2025年08月12日
  • 侍女の物語

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    女性ディストピア小説。全体的に説明が不足していて分かりづらい事と、最後まで目立った展開が無いので、読み進めるのがやや辛い本書。続編が出ており、そちらは読みやすいとの評価も多く、トライしてみる。

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    2025年08月14日
  • ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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    『オデュッセイア』を、夫を20年待ち続けた賢妻ペネロペイアの視点で⁉なんて、アトウッドにしかできまいよ。死後の世界で前世を振り返るペネロペイアの独白、不実と殺された12人の奴隷女たちによる恨みのコロス(ブロードウェイ風になっていたりしてオモシロ)から、衣食住の詳細も豊かに浮かび上がる現代の女性像との対比。いや~本質はそんなに変わっていないのかも…。
    たまたま飛行機で見た映画が、レイフ・ファインズ&ジュリエット・ビノシュがこの夫妻を演じる『The Return』だったりして、それぞれの解釈の違いも楽しく、薄い本なのに実に読みごたえがありました。

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    2025年08月03日
  • ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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    ホメロスのギイシャ神話「オデュッセイア」を、女性登場人物の視点で描く。
    オデュッセイアに20年放置された妻ペネロペイアと、オデュッセイアが帰還した際になぜか殺された12人の女中たちが、
    神話では語られなかったオデュッセイアが冒険に出かけていた間の20年を語る。

    ジェイムズ・ジョイス の「ユリシーズ」を読む前にこれを読んでいたら、「ユリシーズ」の感想は違ったものになっていた気がする。

    「オデュッセイア」を知らなくても楽しく読めるが、「オデュセイア」を知ってから読むと、パロディもの(?)二次創作もの(?)としても楽しめるんじゃないかな。

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    2025年07月17日
  • 侍女の物語

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    胸が悪くなるディストピア。
    じわじわ迫ってくる異変が恐ろしかった。
    最初は監視の目が増え、徐々に仕事や財産を奪われ、気付いたときにはもう後戻りできず強制連行、一家離散。

    自分も割とそういうところがあるけど、「何者かになりたくてもがき苦しんでいる」ような人にとっては、こんなディストピアでさえもしかしたら、救いや役割として機能する可能性もあるんじゃないだろうか。
    昨今の社会の余裕のなさや殺伐感は、全体主義を活性化する土壌のようなのものに見え、その恐ろしさが倍増した。

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    2025年06月10日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    「古き冷き時間は、古き悲しみは、池の沈泥のように、層をなして積む」

    カナダの小説家マーガレット・アトウッドの2000年の作品。

    チェイス家の二人の娘、アイリスとローラ。
    物語は、名家の没落と新興のブルジョアたちの様子、大恐慌、第二次大戦とその後など、その時代の匂いを、「暗き目の暗殺者」という入れ子の小説や当時の記事を挟みながら、アイリス自身の回顧録?を軸に語られていく。

    女性の内面を抉るような、それでいて「平穏」を繕う。
    老いと皮肉と気位の高さが、積もり積もってまとわりつく。
    煩わしくもあるが、厚着して身を隠したような心地良さも、内側から透けて見える。

    久しぶりに、苦戦した。
    ただ、「

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    2023年11月30日
  • デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語

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    ボカッチョのデカメロンをオマージュして、コロナ禍でのロックダウンの中で世界の作家たちが紡いだ短編集。それぞれの感性での物語は興味深いが、悲劇的なストーリーが多いような気がするのはパンデミックのせいだろうか。

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    2023年04月23日
  • デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語

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    バカ話集かと思いきやが、本当にコロナ小説だった。知らない作家が多いので、紹介は作品ごとに入れてほしかった。どこの国が舞台かわからない話もあり、イメージが掴みにくい点も。15ページ薄くなったのに。
    ライトトラックを軽トラと訳してはだめだろ、白人のティーンだから、ピックアップか。

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    2022年01月24日
  • デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語

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    コロナ禍になって、昔の疫病に関する本がいつくか脚光をあびて、読まれている本の一つ、デカメロン。
    古い本を紐解いてみたいものの、現在のコロナ関連の出版物だけでなかなか読めない。

    29の物語。表題やそれぞれのタイトルであるこのフォントがまがまがしい。英語ならではといったところ。

    起源の物語に日本の玄米茶が・・・
    うん?そんな起源なのと思いつつ、アイスクリームは元気になる。

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    2022年01月10日
  • 侍女の物語

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    ディストピア小説っていうのか、こういうの。
    ユートピアの反対語で反理想郷(暗黒世界)。
    出産率が危機的に低下し(バースコントロールによって)すべての女性から仕事と財産を奪い、妊娠可能な女性をエリート層(司令官)の男性の家に派遣される。
    ひたすら妊娠を待つ女で”侍女”。
    期間が決まっていてその兆候がなければ”コロニー”というとこに送られ危険な仕事を強いられ死を待つ身になる末路が待ってる。
    恐ろしい世界だった。最後は”目”のメンバーとして潜んで司令官の運転手をしていたニックによって逃げおおせたのか捕らえられて処刑されたのかはあいまいにされている。
    オブフレッド(名前も一郎ののような所有物のように変

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    2025年06月22日