【感想・ネタバレ】侍女の物語のレビュー

あらすじ

【カナダ総督文学賞受賞】男性絶対優位の独裁体制が敷かれた近未来国家。出生率の激減により、支配階級の子供を産むための「侍女」たちは、自由と人間性を奪われた道具でしかない。侍女のオブフレッドは生き別れになった娘に会うため恋人と共に脱出しようとするが……。辛辣なシニシズムで描かれた戦慄の世界。

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「侍女の物語」について

この物語は、ギレアデ政権の間、バンゴア市と呼ばれていた場所から発掘された、およそ30本のカセットテープに吹き込まれていたものを文章に起こしたものという設定。

語り手の女性は、出産を目的に集められた女性の第1陣のうちの1人。ギレアデ政権は、その後、様々な粛清と内乱を経て崩壊したようですが、まだまだその初期段階にあり、日々の監視が厳しく、違反者は容赦なく処刑されていた時代です。

各個人からその個性を奪い取るには、名前と言葉を取り去るのが効果的なのですね。
単なる出産する道具である侍女たちの名前は「オブ+主人の名」。

この物語を語っているのは「オブフレッド」と呼ばれる女性です。
侍女たちはくるぶしまで届く赤い衣装を纏い、顔の周りには白い翼のようなものが付けられて、周囲とは遮断されています。日々決められた通りに行動し、侍女同士での挨拶ややり取りも決められた通りの言葉。

もちろん私物と言えるようなものは一切ありませんし、自殺や逃亡に使えそうな道具は慎重に取り除かれています。
侍女たちにはもちろん自由もなく、その存在に人間性などこれっぽっちも求められていません。まさに「二本足を持った子宮」。

一見荒唐無稽な設定なのですが、しかし、よくよく考えて見れば、これは十分あり得る未来。それが恐ろしいです。
いつどこでこのようなことが起きてもおかしくありません。

この作品は1985年に書かれた作品なので、それから40年経ったことになるのですが、世界的な状況はますます悪化するばかり。
ここまで極端ではなくとも、ここに書かれた現実が近づいているような気がします。
既にどこかでこういった類の洗脳が行われているかもしれませんね。

それでも、子供や夫を奪われて「侍女」となった女性たちは、そうなる以前の暮らしを覚えているのです。
それに対して、次世代の「侍女」たちは、元々そのような自由な世界が存在していたなど知る由もなく、それがまた恐ろしいところです。

子供ができない夫婦にとって侍女はありがたいはずの存在なのですが、そこは人間。
人間の感情はそう簡単に割り切れるものではありません。
単なる行為に過ぎないとはいえ、主人の妻には嫉妬されることになりますし、水面下では様々な感情が入り乱れることになります。
その辺りも面白かったですね。

#深い #シュール

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2025年09月22日

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