マーガレット・アトウッドのレビュー一覧
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【火星から来た男 = The man from Mars】
こういうタイトルだが、別に宇宙人は登場しない。大学に通う主人公が、西欧系ではない男性に出会って、友達認定される。無下にもしないで適当にあしらっていたら、家にまで訪問される。これまで男性に見向きもされない、男性とはお友達関係しか築けないと思われてきた主人公は、にわかにモテるようにもなるが。
北と南という語句が登場するので、おそらく男性は朝鮮半島の出身。確かに、行くところ行くところどこにでも現れたら気持ち悪いかもしれないが、暴力をふるったわけではない。にもかかわらず、警察を呼ぶのは、彼の国籍が潜在的な差別意識に繋がったのでは。
【ベ -
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ネタバレあとがきにも書いてあったが、読後モヤモヤとした不安が残る話ばかりだった。
他者とわかりあえない、自分が正義だと思いこんでいても見方を変えればそんなことはない、無自覚な差別、いつかすべてが崩壊する予感など。
これが最初に日本で刊行されたのが1989年とのことだけど、現代のテーマでもおかしくない話が多かった。
決して明るい気持ちになる話ではないけど、惹き込まれるものがあり、あっという間に読めた。
『ベティ』の最後、「永遠に謎なのは、この世のベティたちなのだ」がすごく印象に残った。
正直私もフレッドの気持ちのほうが理解できるし、フレッドは世の中に多くいると思う。
『旅行記事』は、どうしても生きる -
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ネタバレキリスト教原理主義者によって設立された独裁国家「ギレアデ共和国」を舞台に、子供を産むことだけを強いられる女性「侍女」の過酷な運命を描いたディストピア小説。
希望(現実)と絶望(過去)の狭間で苦悶する心理描写が凄まじかった。特に、p.100のなんでもないホテルの一室を懐かしむシーンや、p.141「わたしは西洋梨の形をした中心物のまわりに凝結した雲にすぎない」という一文は、読んでいてとても辛かった。
自由が奪われても、愛があれば生きていける。でも、自由も愛も奪われてしまったら、なんのために人間は生きるのか。
100年以上後に学会で議論しているラストだが、この物語が後世に残ったということは、オブフレ -
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1985年に刊行されたこの物語の続編が、2019年、34年後に書かれた。
続編の「誓願」を読んでから、やっと感想を書く気になれた。この、絶望的な物語に対して、この一冊だけで何かを言うことができなかった。恐怖であることはもちろんだが、2025年の今、単なるディストピア小説の域を超えた現実味を帯びている。
「人種差別者の不安がギレアデの政権奪取の成功を許す感情的な支えのひとつになった」
あまりにも悲しく、みじめな「女」の独白。
クーデターによりうまれた独裁国家ギレアデの愚民政策により、女は名前を奪われて、書くこと、読むこと、学ぶこと、産む産まないの自由を奪われた。全てが変わってしまった世界 -
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ネタバレディストピアだが、近いうちに現実に起こり得ないとも思えない。
前半は世界観の説明が多く、かなり単調で読むのに時間がかかったが、後半に物語が動き出した!と感じてからはサクサク読めた。
日本では少子化が問題と考えられているが、(あえて「考えられている」という。)少子化対策が極まればこういうことになるのではないかと思ってしまう。
女性の自由を奪うために、仕事と金をまず奪うというのは恐ろしい。
やろうと思えば簡単にできてしまいそうで。
そして、仕事と金を奪われた彼女に対し、ルークが支配的な、安堵のようなものを感じているように思われて恐ろしい。
簡単に、守られるべきもの、裏を返せば支配を受け入れざる -
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ネタバレ女性が子を出産するための国家資産として管理されるディストピア小説。フェミニズム小説として名高いようだが、本書を読む限り、それは小説を形作る一要素として利用しているだけではないかと思われる。執筆時の国際情勢を鑑みるに、むしろソ連の強権政治やルーマニアの出生政策からの影響のほうが大きく見える。
ただ、それすらも物語を盛り上げるためのパーツでしかない。著者は、世のなかが評するほどのメッセージ性は込めていないと思う。それは映画版へのラブロマンス的なドラマへの改変をかんたんに了承したことからも窺える。
本書はどうやら政治的なイシューに関連して語られることが多いようだ。それはそれでよいとして、重要なこと -
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正直、半分読むまでなかなか入り込めなかった。
ディストピア小説といっていいのか?こういった架空の近未来小説といえば、完全に現世とかけ離れた「理想の」世界におけるちょっと異質な主人公が、その世界の「常識」を疑い、一石投じる、といった展開が多いが、抗っているというよりも、流れに身を任せているような。それから、過渡期を扱っているのはあまり読んだことがないかもしれない。
特定の子宮が国家の所有物となった世界の中。好きとか嫌いとか許す許さない認める認めないじゃないんだな。無機質な世界の中では、暇を持て余す夜よりも愛人契約の方がマシってことか。
最後の最後に、ああやっぱり自分がこの本を手に取ったのは、 -
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Posted by ブクログ
ディストピア小説だが、現実にも繋がる話 キリスト教原理主義がアメリカ合衆国大統領を暗殺し、議会を襲撃し、クーデターを起こす。
主人公は一児の母である平凡な女性。クーデターをきっかけに人生が狂い、エリート男性の子種をもらい出産するのが役目の「侍女」という身分になる。
キリスト教原理主義に限らず、イスラム教、儒教など女性を蔑視する宗教は様々ある。そして蔑視される女性側も、真っ向からそれに対抗する者、自分の居場所を作るために他の女性を抑圧し優位に立とうとする者、恐怖から体制に盲目的に従う者など様々だ。
作者が描き出したこの物語の状況は、戦争のような大きな恐怖から、いじめのような身近な恐 -
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いろいろな感想を読んでいると、アイリスの回想が長すぎるという声が多いけれど、わたしはアイリス部分は面白くて、逆に「昏き目の暗殺者」とその作中作が冗長でちょっと飛ばし読みになってしまった。
全体として面白かったかといわれると、うーん、だし、作中作の秘密も終盤でうっすらと察しはしたけど、それでも放り出せない魔力のようなものは感じた。『侍女の物語』は近未来(?)のディストピアだったけど、実はそんな世界はちょっと前に厳然と存在していたし、なんなら今でも地域によってはあるしということをあらためて突きつけられる。
アイリスの己に対する回想や評価はひたすら辛辣なのだけど、描かれていない部分でよろこびを味わ -
Posted by ブクログ
入れ子構造になった複雑な物語。
・人生の終盤を迎えたアイリスの現在と回想。
・車ごと橋から落ちて、若くして亡くなったアイリスの妹、ローラが、生涯に1作だけ書いた小説『昏き目の暗殺者』
・その小説自体も、人目を忍んで逢瀬を重ねる男女の逢い引きのなかで、男の口から、とある惑星を舞台にした物語(それこそが『昏き目の暗殺者』)が語られていく。
……とまあ、自分の頭の中を整理するために書いてみた。
ちょっと長くて、どれもこれも謎ばかりなので、わくわくというよりは少し読み疲れる感じもあるのだけど、それでも下巻は読むつもり。あと、老いに対する容赦ないぶった切り方など、どきっとするところも多くて、この呵責