藤崎翔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
お盆らしい本を、と思い、選択する。
「虫の知らせ」「生まれ変わり」といった死生観を、著者らしいハートフルコメディとして展開していた。
まず、亡くなった人が死後49日間限定で現世に戻るというサービスの発想が面白い。亡くなった人には、生前の日頃の行いに応じてポイントが付与され、そのポイントを使って、自らの目的に応じた生き物に生まれ変わることができる。まるでカタログサービスのような身近な設定にも、親近感がわいた。
亡くなった人は、同じルールのもとでサービスを受ける。しかし、現世への思いはそれぞれだ。自分をアピールしたい者もいれば、やり残したことを達成しようとする者、現世に残した人を思いやり、必死になる者もいる。一人ひとりに、それぞれのドラマがある。
本書は連作で、時代背景も前後しながら、登場人物たちが複雑に絡み合っていく。どうやって全体を組み立てたのだろう? 関係図から? 一人ひとりのライフプランから? などと余計なことを考えつつ、随所に散りばめられた楽しい仕掛けの多さに感心した。 -
Posted by ブクログ
夏だから、ちょっとだけ怖い本を読みたいと思い、手にした。ところが、怖いどころか、笑い転げてしまった。小説を読んで、これほど笑ったことがあっただろうかと思うほど、笑った。
500年前から存在するお梅という人形から見た人間社会という設定が、そもそも面白い。さらに、批判的な視点から描かれる現代社会のあれこれが、実に滑稽である。そして、お梅は自らの使命として、フリーターや引きこもり、犯罪者など、人生がうまくいっていない人たちをさらなる不幸へ陥れようと呪いをかけるのだが、ことごとく失敗する。むしろ、その呪いが幸せへ導く結果となる。
ハートフルなのに押し付けがましくなく、そのうえユーモアに満ちあふれていて、読んでいる間じゅう実に楽しかった。
さらに、連作ならではの登場人物同士のつながりが実に見事で美しい。何より、お梅は呪いが失敗するたびに次のターゲットを探して移動するのだが、その絶妙な距離感が、物語全体を自然につないでいるところにも感心した。