似鳥航一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初めて読む作家さん。
こちらも様子見だが、シリーズ一作目なら、きっと書き手もそうに違いない。
冒頭の「十五年前」という章が、いきなり衝撃的。
母の愛に溢れた、母のモノローグ…なのだが、これが読んでいて居心地悪い。
息子たちが自分の命、というお母さん。
この後ほどなく死んでしまうことを知れば、やむ無しなのかとも思うけれど、このお母さんがリアルにいたら、怖い。
大人になり、巣立っていく息子たちとの関係を堪えられるのか、まったく他人事ながら心配になってしまう。
家族が宝という割に、夫や姑のことは全く触れていないのも不自然だし。
純粋培養された母性愛が薄気味悪い。
もっと気色悪いのが、唯一の悪役、神崎の造形。
実直な兄が社会のひずみの中で心が壊されたことで、歪んでしまったという事情が語られるものの、なぜそこまで主人公たちの三毛猫食堂を攻撃するか、理解に苦しむ。
ゆがんだ人物にしても、チェーン店の店長が地元の食堂をそこまで潰そうとするだろうか?
そんな暇あったら、もっと売り上げを上げる方法を見つけなよ、という感じ。
こんなアホな社会人、いるんだろうか?
そういう意味で、リアリティを感じられない。
社会に対する洞察が薄い気がする。
彼はこの巻だけで使い捨てられる悪役なのかもしれないが、悪役に魅力がないのはつまらない。
キャラクター小説って、こういうものなのかなあ。
確かに主人公柊一や、謎の少女、杏は魅力的だったけれど。
それから、食べ物の描写はおいしそうだった。
空腹を感じなくなって一か月経った私にも、おいしそうと思わせるほどに。