水上悟志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「妖精合体!!魔法相転移魔女化!!」
「歪曲現実場だ!!いつの間にか魔法汚染地帯に入っちまってる!!」
「この旅は二週目!お前らと出会ったばっかのところまで時間を巻き戻されたんだ!」
「おれは魔界で死者の国を探して父さんと母さんに会うんだ!」
という水上悟志の新作不定期連載ファンタジー。
奴隷商人に売られた孤児のソルテが仲間とともに魔界の奥地を目指して旅するお話。
魔法が悪夢みたいな整合性の無い感じなのとか、魔法にかかわっただけで街ごと焼却処分みたいな禁忌になってる系の設定好きです。
プロローグがすべて終わった後にソルテが語る物語の形式なのも、タイトルコールが最終ページなのもすごく好きです。
あとあと、ループで2度目の妖精セレンが全部分かってる顔して導く…と見せかけていきなり「前回」と違う展開なのもわくわくします。
やっぱり水上悟志のこう、ノリというか雰囲気というか、いいなあと。
合法魔法アイテム・霊宝の名称が、「彩火剣」「雷公鞭」で宝貝ですねえ…。作者の傾向的にあんまり実のある伏線ってわけじゃないと思いますけど、わたし気になります。
>子供のころの私には
>この冒険の始まりが 全てを失った私の人生への復讐開始の鐘の音に聞こえてたけど
>違ったんだ
>本当は──
>この日こそが私が全てを手に入れた日だったんだ -
購入済み
マンガもちゃんと面白い
アニメを何度も観て次の展開もわかっているのに読んでいて楽しくてしょうがない
マンガとしてどう表現したらいいのか考えて作られているから読み応えがあるのだろう
特に見開きの使い方が洗練されている巻でした。またアニメが観たくなった
-
Posted by ブクログ
アニメ7話終盤から9話終盤までが収録された漫画版第5巻
グランドパラディンを打倒し当初の復讐目標を果たしてしまったことで曖昧な感覚の中に置き去りにされてしまった宗矢があまりに寂しげ。
だからこそ、宗矢に対し宗矢が守った物の価値を見せようとするのぞみ、戦いたくないと俯く宗矢を許す虎居の姿が尊く映る
アニメで描かれなかった部分で印象的なシーンと言えばやはり虎居が封印装置に再び閉じ込められたシーンか
アニメでは紅華の心理描写を優先するために挟まれなかったのかな?ただ、漫画においてもそれ程尺をとって描かれているわけではないのだけど
第1巻で描かれた幻も併せて考えると虎居という人物は家族の喪失について強いトラウマを持っているのだろうな。多くの場面において人を助ける英雄的人物として描かれてきた彼。けれど、彼自身が芯の部分で強く救いを求めていたというのは何とも皮肉な話
そういや、白石の幻を打ち破る流れが宇宙の神秘かのような描かれ方をしていた点にはちょっと笑ってしまった -
Posted by ブクログ
幾つもの過去生を体験する中で自我も認識もあやふやになりつつ有る風太
このあまりに明確すぎる危うさは鉱子と向き合い続ける危うさに加わるもの。イーストが止めるのも当然の状態
だというのに風太は……
ここで風太が持ち出した理論は恐ろしいまでに曖昧。
「なんか前よりやる気出てきたから」なんて主人公の主張じゃない
でも、自分の過去性が鉱子の過去生や無関係の人々に何をしたかを知ってもなお、そう言い切れるのは一つの強さでは有るのか
止めに来たイーストでさえ、応援したくなった風太の強さ。彼の強さの源泉は一体どこにあるのか…
第五章方太朗
これまでが古代ヨーロッパ風や南米系の世界観だったのに対してこちらは江戸時代初期辺りかな?その御蔭か世界観は非常に判りやすかった印象
このエピソードでは鉱子の過去生、岩菜が関わるのは終盤になってから。どちらかというと、これまでに登場した他の人物の過去生、特にテツとウミの過去生に決着をつける意味合いが大きかったように思う
第四章でも色恋の香りがした二人の過去生、こちらのエピソードでも身分違いの恋という在り方は変わらないままに第四章とは大きく異なる結果を得ることが出来た
これはフウロの人生における後悔が有った結果、方太朗の意識に影響を与えたのではないかと思えてしまう
そして衝撃的と言えるのは方太朗と岩菜の結末
過去生の影響もあってか命を奪い合う寸前まで戦いあった二人。だというのに住職の言葉一つでその関係が変わってしまうとは
これも全てはロカが因縁を回避しようとした努力の結果なのか…?
というか、この時点で因縁が解けてしまうなら残りの過去生で風太は何を見ることになるのやら… -
Posted by ブクログ
ヴァンの過去生を体験して互いの事情を報告し合う風太と鉱子
ヴァンはヴァンの目から見た事実しか判らなかった。だから魔女が何をしていたかなんて知らなかった。同様にフォンも神官ストナがどれだけ配慮してどれだけ悩んでいたかなんて知らなかった
でも、知らなかったという意味では鉱子もフォンやヴァンがどんな事情を抱えていたかなんて知らなかった
因縁を持つ二人が互いに過去生を体験し合う中で見えてくる見えなかった事情
ただ、鉱子は先に幾つもの過去生を体験しているから、理解している最中の風太よりも互いの因縁を冷めた目で見ている。既に運命の残酷さを知っている
この幾つもの過去生における関係の中で紘子は自身の体験を被害者的な視線で見ている。それはあまり間違っていないのだけど、そうなってくると風太の立場は加害者のものとなってしまうわけで
フォンにもヴァンにも見えなかった真実を知った風太のショックを受けた顔があまりにも……
意外だったのはここで鉱子が少し怯んだように見えたことか
また、風太が何日も寝込んだと知れば見舞いに来てしまった。おまけに下着を見られて号泣……
いや、本当にこれらの姿は意外としか。第一巻における中学生とは到底思えない激しさを湛えた姿とはあまり一致しない
これはフロウの話を受けたあとの様子も同じ。
こういった姿を見るに鉱子という少女は生来きちんとした優しさを持った少女なのだろうと判る
だからこそ、どうしてフルトゥナの魂を持つ風太にここまで執着するのか見えてこないのだけれど
第四章フロウ
前2つの過去生が血腥さに満ちていたのに比べこちらの話は平穏そのもの。
どちらかというと第三章を受けての人間関係の変遷が面白い
ほぼ初対面で何も繋がりなんて無いし、身分も違うのに楽しく酒を呑んだ三人の様子には胸が熱くなりますよ……
印象深いのはロカの行動。占い師の彼女は他の過去生を感じ取ったがために自分とフロウの間に横たわる因縁をどうにか解消しようとした
それは結局叶わなかったけど、こういった人物がこの時点で登場した点はかなり大きな意味を持っているように思える -
Posted by ブクログ
メインキャラ達の前世が物語に大きく影響していく、なんてありふれたプロットなわけだけど、本作ではその前世ならぬ過去生が7つもある豪華仕様
それぞれの魂が少しずつリンクしているから一つの人生が無惨に終わっても、その次の人生へ何かしらの影響を残している
いわば幾つもの人生を辿ることで見えてくる今生へ至る因業を求める物語なわけだ
主人公の桶屋風太は中学生らしさに溢れる少年。また、親しい友達の良い所をたくさん知っているし、それを人に伝えることが出来る
つまり、彼自身も「いい人」に分類されるわけだね
だからこそ、そんな彼が転校してきたばかりの少女、石神鉱子から滅茶苦茶に恨まれ、あまつさえ殺されかける展開に驚かされるし、もし今の風太に恨まれる原因が無いのだとしたらそれは過去生に求めるしか無いという展開も納得できる
そして「いい人」である風太は過去生を見ていけばお互いを理解して仲良くなれるのでは?と考えてしまうのだけど……
最初に描かれる過去生、フォン
これは物語の導入部分も兼ねているためか、あっさりめ
けれど、そこに込められた因縁が後々の風太と鉱子の過去生に重大な影響を及ぼしているのだろうとこれでもかと伝わってくる
役目を全うしたストナ、大事なものを守れる戦士になれなかったフォン
既に二人の対立が始まっていることが判る
続くはヴァンの過去生
役目を全うできなかった黒髪の魔女、騎士にも戦士にもなれなかったけど大切なものを手に入れたヴァン
変わらず二人の対立は生じているのだけど、早い段階で鉱子の過去生が死んでしまったためか、ヴァンは呪いを受けつつものんびりとした人生を過ごし、長い時の果てにレイの別の過去生に出会う奇跡的展開
多くは手に入らなかったし、レイの花嫁姿も見ることは出来なかった。けれど、尊く大切なものを手に入れ守ることも出来た
フォンが不幸に終わったことに比べると随分幸福な人生を過ごしたように見えてしまうけれど……?
改めて読み直すと、第一巻の時点から伏線のオンパレードになっている展開には痺れるね -
ネタバレ 購入済み
相変わらず作画が素晴らしい
この巻では竜の戦闘シーンがアニメ以上に迫力があって素晴らしかったです
特に見開きページはは電子書籍を30インチ程度のモニターで開くと迫力が全然違う
願わくばもう少し解像度を上げて貰えるといいのだけど
コミック版のオリジナルシーンや宇宙船AIの作業猫が可愛かったのも+
-
購入済み
新たな可能性を感じる新刊
アニメを何度も何度も見てしまって、幾ら大好きな水上作品とはいえ繰り返し咀嚼してしまったものを再度漫画で読んで楽しめるのか?
2巻まではそういう迷いがあったのですが3巻ではこの迷いを完全に払拭してくれました。
2巻からデジタル作画に移行していたらしいのですが、3巻のバトルシーンがこれまでの作画と根本的に違う迫力が出てきて、アニメでも出せなかった魅力が生まれている。
手描きの魅力を生かしたまま迫力があって解り易い表現が生まれてきていて読んでいてゾクゾクする。ついつい今の作画で戦国妖狐の後半を描いたらどんなふうになるのだろうと妄想してしまった。
次の新刊が楽しみでならない -
Posted by ブクログ
キャラ紹介が行われた第4巻に続く第5巻は日常と戦場の間で揺れ動くような構成。
冒頭から唐突にカラー絵で水着姿が描かれるけど、その様子はあっさり終わり、続いて描かれるのはさみだれの地球破壊意志の再確認、それを八宵が聞いてしまう展開
その衝撃のまま泥人形との戦いが始まってしまうのだから八宵の気持ちの整理はされないまま展開は進む
戦いの場面では戦闘経験豊富な夕日とさみだれだけ別行動。そこでアニムスはさみだれの中のアニマに話しかけようとする。いわば戦場そっちのけで自分の「日常」を押し付けようとするが、アニマは寝たまま。さみだれはのんきに話しかけてくるアニムスを殴りつけて無理やり戦場に変えてしまう
相変わらずさみだれの強大な力は相手のあらゆる都合を問答無用でぶっ飛ばしてしまうものだね
そして第31話から第33話にて描かれるのはこの巻の肝であるさみだれと母親の話
地球を砕くか砕かれるか、そんな物語の中にいるさみだれにとっては家族との不和なんて本来は大きな問題には成りえないはずのもの。さみだれの物語が進めばいずれ全てが壊れてしまうのだから
それでも親子だから何も気にしないなんて出来なくて。もう母親には期待なんてしてない、母親が忙しいのはきちんと判ってる。それでも……というさみだれの難しい表情がこれでもかと描写される
日常の中にいる母親が相手ならさみだれは拳を振るう訳にはいかない。さみだれはどうしたら良いか判らず思い悩む
そんなさみだれを前にして、祖父に対してさみだれと同じように複雑な感情を懐き、それでいてさみだれの騎士で在ろうとする夕日は彼女の手本になろうとする。支えになろうとする
夕日の行動は日常の中で有っても鈍ることはない。むしろこれまでに半月やノイから受け取った想いを糧にして氷雨にさみだれと話し合う原動力を与え、さみだれを母親の前まで連れて行く
この話はさみだれにとっても、夕日にとっても。地球を砕く物語の中で大きな転換点となったように思えた
そんな事があった後に精霊アニマは唐突に目覚めるのだけど……
遣ること成すこと脈絡が無さ過ぎてどういう人物なのかこの時点では全く見えてこないね。ダンスを何の前振りもなくユニコーンに変化させたり、夕日達に食事を用意させたり。
精霊アニマの復活、戦力アップ、倒される8体目の泥人形。物語がおおきく動いたように見えるけど、これでまだまだ中盤戦なのだから堪らない -
Posted by ブクログ
3巻で本編の幕が開き、生存している獣の騎士は全て揃った
第4巻ではその急ぎすぎたスタートダッシュを緩めるかのように3巻で初登場した各キャラクターが紹介される。そのエピソードの作り方は非常に上手く、それぞれのキャラクターがどういう性格なのか、どのような立ち位置に居るのかが存分に描かれている
その分、夕日とさみだれの出番が減ってしまったのは少し残念だけどね
白道八宵は色々と意外性を秘めたキャラクター。竹刀を持ち歩く女性というだけでも目立つのに、日常生活では誰にも見せないコスプレしたり、浮浪者に剣を教わったり。かなり変わった女性であると見えてくる。そしてどうやら夕日に複雑な感情を持ち始めているようで
そんな彼女の願いは大切な人が笑って死ねるようにとのこと。永遠など無いと考えながらも最後の幸福を重視するタイプか
南雲宗一郎は騎士達の纏め役というポジションの割に妻子持ちの無職というキラーワードが目立つ
刑事をやりつつも正義の味方ではない、そんなものにはなれないと、ある意味見える現実を狭めている印象は受けた。でも、その分自身の行動に対する責任感は強いタイプであるように感じられる
彼の願いは一体何なんだろう?
日下部太郎と宙乃花子は正反対なタイプ。同時にラブコメ漫画のような間柄でも有り。また、彼らに付いた獣の騎士が割と主人と似通ったタイプであった点は印象的。太郎達を見れば獣がどのような性格か判り、獣を見れば太郎達の選ぶ道が見えてくる
あまりに呆気なく他者の死を願ってしまった花子。その彼女を守るために命を張る決断をした太郎。悪の魔法使いからお姫様を守る物語の中で別の物語を始めた彼らの行く末が楽しみでも在り怖くもあり
風巻豹はこれまでどのようなタイプかあまり見えなかった人物であり、この話でもそれほど見えてこない
ただ、確かなのは魔法使いに最も近いと言われた豹がアニムスの誘いを断った上で彼と同じ手段を使い全く別の道を進むことを選んだ。それは大きな意味を持っているように思える
自身の能力を強化し泥人形を創るために願いを使った豹。やはり彼は普通の騎士の枠に収まらないようだね
そしてこの巻で最もインパクトある人物であり、シリーズ的にも超重要人物と言える秋谷稲近。彼は既に死んでいる人物でこれ以上物語に関わってくることはない。それでも彼が遺したものは多くの影響を与えてくる
アニムスと豹が願った全知。それを当たり前のように持っていた人物でありながら、彼の結論はアニムス達が望んだものとは全く違う方向性
500年掛けて自分が全知の神などではなく、無知の人であると学んだ彼の言葉は含蓄に溢れている
最後の大仕事として昴と雪待を育て上げた稲近。けれど、全知として教える立場である彼が一方的に教え続けるに終わらず、最期には獣の騎士であり稲近のことなんてそれほど知らないはずのザン=アマルが稲近に生き様を教えるシーンは素晴らしい
そして彼の薫陶を受けた昴と雪待がこれからどのような心の強さを示すのか期待してしまう
それにしても稲近の背景を知っていてもザン=アマルの角に大ビビリするシーンにはつい笑ってしまう -
Posted by ブクログ
第二巻で序章が終わり三巻から本編が始まるわけだけど、それもあってかこの巻ではあっという間に獣の騎士が集まっていく。というか存命の騎士はこれで全員登場したことになるのか
これまでに登場した獣はトカゲのノイを除けば、まあ普通と言えなくも無い犬や烏だったけど、この巻で登場する獣は一風変わったものが多い。馬や蛇はいいとしても亀やカマキリって相当変わってる。
まあ、極めつけに風変わりな獣はカジキマグロなわけですが。この時点ではあまりに脈絡無さ過ぎて意味不明なカジキマグロが後々あのような伏線に繋がっていくなど誰が想像できただろうね
これまでは単独主人公の形をとっていた夕日。そこに現れのが夕日のライバルを名乗る三日月。主人公のライバルということは物語上のもう一人の主人公となり得るわけで
この巻の前半では夕日、三日月それぞれが半月の死を引きずる様子が描かれる
越えたかった半月が死んでしまった三日月は無軌道な暴力を南雲に向ける。目の前で自分に親しくしてくれた人の死を見た夕日は思うように戦えなくなる
ある意味スランプに陥ったような状況。それを乗り越えるためには雑念を捨て無我夢中になるしか無い。
そうして、三日月は山ごもりをして掌握領域を思うがままに使えるように成り、夕日は困難な状況の中で誰かを助けるために再び立ち上がる
特に夕日がノイの為に、そしてヒーローになる為に立ち上がるシーンは素晴らしい。ノイが夕日の祖父を助けたシーンとも重なるようになって居る点も尚更
あの時、ノイは夕日を「友」と呼んだ。そしてここに来て夕日もノイを「友」と呼んだ。更に半月から技を託されていたと知った夕日はようやくその死を嘆けるように成り、半月についても「友達」だと考えられるようになった
ノイが言うように夕日は強くなった。それは力のことではなく心の強さ。あれだけ他人に対して冷淡で自我が弱かった夕日は誰かを助けるために行動できるように成り、誰かのために涙を流せるようになった。それはとても大きな成長だろうね
そうやって夕日は成長してしまったから、以前のように地球を砕くというさみだれの願望を妄信的に叶える行為に疑問を抱くようになる
ラスト、存命の獣の騎士が勢揃いし彼等に向かってさみだれは演説を行う。わざわざ垂れ幕を引きちぎってマントにしたり、上空を飛んで登場したりと非常に芝居じみている
芝居じみた演説、その後でさみだれは夕日に向けて自分を止めるかと確認を行う。夕日はこの地球は魔王に捧げると誓う
さみだれも夕日もその遣り取りはどこか芝居じみているように感じられる
何人もの騎士が悪の魔法使いからお姫様を守って地球を救うという童話的物語。その裏で進むのは姫と騎士による地球を砕く物語
その物語めいた筋書きの中でお姫様の皮を被った魔王のために自分の役割を演じきる覚悟を決めた夕日
ここで彼がどの様な覚悟を決めたのか考えると、本当にこの巻で描かれた内容は夕日にとって転機となるものだったのだと思える -
Posted by ブクログ
東雲半月によって登場人物が動き始めた印象が強い第二巻。物語そのものは第一巻で始まっていても、地球を砕く物語は夕日とさみだれ、そしてノイしか知らなかった為ある意味狭い世界の遣り取りで済んでいた
それがさみだれより強い半月の登場によって、彼をどうやって打ち倒すのか、彼との交流の中でどの様な想いに目覚めるのかという部分が描かれ始める
大人と子供という視点は本シリーズで重要なポイントとなってくる要素。それが半月によって提示されたのは後々の展開を思えば感慨深い
特に「大人が笑うのはな 大人は楽しいぜって子供に羨ましがられるため 人生は希望に満ちてるって教えるためさ」という台詞は何年経っても忘れることの出来ない
この発言や地球が壊れなくても長生き出来ないさみだれの境遇を知ったことで夕日の中で少しずつ地球を砕く行為について考えが変わり行く描写は中々のもの
もう一つ本シリーズで象徴的に扱われている要素がヒーローについて。
正義の味方を名乗る半月は4体目の泥人形が現れた際に何かよく判んないポーズをとって登場する。
また、危うく揺れ動く夕日にしつこく絡み様々な想いを教え導こうとする。
その在り方はヒーローのようでいてとても格好いいものだが、実は彼こそヒーローに憧れる人間だったと判る展開。
それらによって発生した認識の差が悲しい結末を呼んでしまうのは…
夕日は元々自分に価値を感じられていなかった状態に加え、半月という理想の大人を目の前にしてしまった。だから、半月が自分を庇うなんてしないだろうと考える
半月は正義の味方になろうとしてなれなかった人間であり、正義の味方という名刺を持ち歩くのは今度こそ正義の味方になろうという意気込みの現れ。だから泥人形から夕日を庇ってしまう
その死はあまりにあっけない。それでいて衝撃的
突然現れてあっという間に消えてしまった半月。だというのに残された人物たちに与えた影響はとても大きくて。
半月に背中を押された夕日と半月の背中を追った三日月。彼等が出会ったことで物語の本編が始まるという演出はとても素晴らしいね -
Posted by ブクログ
数年ぶりに再読
発売からかなり経っているのに、今読んでも面白いと思えるのだから素晴らしい
トカゲの姿をした騎士と協力して悪の魔法使いから姫を守り世界を救うというファンタジー色溢れる物語。だけれど、そこに込められた登場人物たちの想いが複雑に入り乱れ、そして読むこちらの感情を揺さぶるような遣り取りが頻繁になされる。単純なファンタジーで終わらない物語が展開される作品
1巻はまだ導入部のためか、伏線を各所に張りつつも普通に泥人形が襲ってきて、普通に戦う展開が続く
そういった後の展開を思えば大人しいとも思える展開の中で目立つのは主人公の夕日とヒロインのさみだれの在り方
息子を理不尽に失った哀しみから、誰も信じるなと縛るように教え続けた祖父の元で育った夕日。そんな彼は何もかもを斜めに見るし、ノイが示す地球の危機にも当初は耳を全く傾けようとしない
その姿勢が変わったのは泥人形も理不尽も全て打ち砕く強さを持ったさみだれに魅了されてから
さみだれはお伽噺的な物語であれば守られるはずのポジションでありながら圧倒的な強さを持つ。更には魔法使いが星を砕くのに使うビスケットハンマーを砕いた上で自分が地球を砕くと宣言する非常識さも併せ持つ
その異様さに夕日は呑まれ、少しずつ変わっていく様子が描かれる
ただ、第一巻では夕日はまださみだれに魅了されているだけ。だからか、さみだれの為に行動しようとするあまり、超能力を知った一般人を平然と殺そうとしてしまうほどの異常を見せる
いわば明確な自分を持たない状態
そんな彼が許せない筈の祖父の命が助かることを願うようになる一連の流れは秀逸だった
第8話では新しい騎士が登場。
驚異的な力を持つさみだれをいなした東雲、人質戦法をとった夕日を下の下と評したルド。この二人の登場によってさみだれと夕日に大きな変化が訪れ、様々な想いの始まりとなっていくと思うと感慨深い -
Posted by ブクログ
アニメで言えば3話~4話の途中まで
本作についての感想はアニメ放送時に大体出し尽くした感があるので、こちらはアニメとの差異で気付いた点を上げる程度に
・熊代の表情
漫画では宗矢をグランドパラディン3人で囲んだ時点から必死、ある意味追い込まれているような表情で竜になる時点まで基本的にその調子。反面、アニメでは少しずつ熊代の表情が追い込まれたようなものに変わっていき、竜になる直前に最高潮となるよう変更が加えられている
・オカ研の入部届
アニメでははっきりと入部届が部長の胸元に仕舞われる様子が描かれていたが、漫画ではよく見なければ判らない程度に。
アニメスタッフは何を強調すべきか判っていらっしゃる…
・根津屋のエスパー能力
宗矢と何処かで会っていないかと根津屋が聞かれた際、アニメでは「黒と白のイメージが…」と言う程度だったが、漫画では先生と閣下を念能力で読み取る描写が
グランドパラディンが念動装光を介さずに念能力を使う貴重なシーン
・のぞさんとの別れ
下校時に別れる際、漫画では手を降って別れるのは一つの流れとして描かれ、その直後宗矢は自身の手を見ながら「友…」と呟く。アニメでは一度手を降って歩き出した後、宗矢が振り返ると再びのぞさんが手を振る描写が。代わりに「友…」という台詞は無くなる
アニメでは言葉に出さずとも宗矢がのぞさんとの別れを惜しんでいること、のぞさんの優しさを強調する描写になっている
・根津屋の夢
アニメでは次々来る誘いや煩悩に流され夢に取り込まれる描写。その流れは漫画でも変わら無いが他に異世界転移や両親の顔についての話が登場する
アニメを見ていた時はあまり気にしなかっただけど、そういや根津屋の両親って何で同じ顔してるんだ……