酒井駒子のレビュー一覧
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ネタバレチチとハハは別居した。
チチは生まれ育った王子島に帰って喫茶店を開くことにし、ハハは童話作家の仕事を続けながらも、新聞記者として働き始めた。
となりに住んでいるセンくんは一つ年上の五年生で、毎朝一緒に登校する。学校は行きたくない。たくさん考えて考えて、考えた先に出てきた「わたし、わかんないです」を言うと、先生は困った顔をするしみんなはわかんないちゃんって言う。
装画:酒井駒子
表紙の女の子、主人公中(ナカ)ちゃんの絵の雰囲気からか、このお話を読んでいる間ずっと、ジトっとして薄暗いイメージを持ち続けていました。
お父さんとお母さんが別居するということは、主人公にとってとても大きな事件なはずなのに、そのことについては大きくは触れられず日常が続いていく、その中で小さな、事件と言えるかどうかも分からない、もしかしたら大きな事件になり得るかもしれないことが日常の延長上に起こったり、学校に馴染めないでいる居心地の悪さが描かれたり、読んでいてなんだか得体の知れない物が背後に蠢いているような気持ちになりました。
学校の先生にとって主人公は賢いけれど困った子。先生が期待する言葉を言えない子、きっと先生からすると言ってくれそうに思えるから当てるのだろうなと思いました。でもそう一筋縄ではいかない主人公を持て余してしまっている最中に思えました。
その子が、浮いた存在になってしまう初期の状態が描かれているなと感じました。
残り数ページだけどこれどうなっちゃうの?どういうエンディングを迎えるの?と半ばサスペンスやホラーでも読んでいるようなハラハラした気持ちで読んでいたところ、あっさりスッと幕が引かれて驚きました。ここで終わり??と。でも、ずっと、わかんないって思い続けてきた主人公が一つの大きな決断をしたことで、ほんの少しだけホッとしました。この子の行く末は「わかんない」けれど、小さな身体でぐるぐると考え巡らせていることを根気よく聞いて共感してくれる人が現れるといいなと思いました。
巻末、作者の別の本ですが江國香織さんがコメントされていて、確かに江國香織さんが好きそうな文章だと妙に納得してしまいました。
決して好みの文章や内容ではないけれど、なぜか読んでしまうし、読後頭に残ってしまうお話でした。
好みではないというか、没入してしまい、この仄暗さに引き摺られてしまいそうだから苦手なのだろうなと思います。
そして何より苦手だなと思う所以は、このお話は小学生中学年の女の子が主人公ですが、大人に向けて描かれているような感覚になるからです。これについては、作者の本を読むのが初めてなので、他の作品も読んだ上でもう一度考えたいと思います。
追記:初めてではなかったです、同時期に『ぼくのねこポー』を読んでいました。二作読み比べて、やはりこちらは若干大人向けに書かれているようにも思えましたし、こういうお話を好んで読む、江國香織さんの子どもの頃のような小学四年生の女の子もいるかもしれない、そこへ向けて描かれたようにも思えました。 -
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感想
これって1巻に1回は姫神が降りるパターン?
姫神を降ろせる器も絶滅危惧種であれば、彼女に降りたが最後で絶滅という意味もタイトルは含んでいるのかな?
それにしても学園モノは何故か生徒会長は絶対的な存在。実際はそんなことない。
あらすじ
東京の高尾山の北側にある設立まもない鳳城学園に途中編入した泉水子と深行。
泉水子は寮で同じ部屋になった真響にあれこれ面倒を見てもらう。その弟の真夏とも知り合う。
学校が始まり、同じクラスになったリカルドは人外の者であると気づく。
リカルドは学年一成績の良い高柳の式神だったのだ。真響によると高柳は陰陽師で、生徒会長になって学園を牛耳ろうとしているという。
真響は戸隠忍者の系統。深行と協力して、現生徒会に入り、高柳を阻止する計画を立てる。
真響が高柳にやられたことに腹を立てた真夏は、神霊である兄弟の真澄を呼び出し、高柳の式神を破り、この勢力を抑える。
その後、相楽雪政が非常勤講師として現れ、学園から式神が減る。生徒会長も予定通り如月が就任する。
泉水子は、初代生徒会長の歌舞伎役者の穂高にみそめられて、踊りを披露しようとするが出来ず、そこに再び姫神が降りる。 -
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皺ひとつないダークスーツに身を包んだ正体不明の日本人ビジネスマン、タキ氏。故人を生の世界へ連れ戻す、時間制限付きの"ビジネス"を描いたジェントルゴースト・ストーリー。著者初期作の復刊。
死神は生者を死の世界へと連れ去るけれど、タキ氏がおこなう「ギブのビジネス」はその逆だと言えばまあまあ合っていると思う。だが、話の主体になるのは6歳から50代までの女性たちであり、タキ氏はあくまで彼女らをエスコートする狂言回し。元はコバルト文庫のために書き下ろした少女小説だ。
4つの連作のうち、「通夜の客」は東雅夫・編のアンソロジー『少女怪談』で既読だが、お屋敷、美濃夫人、双子たちと、和洋折衷のモチーフが重ねて描かれる幻想的な〈五月の日本〉の空気感が抜群によく、やっぱり完成度が高いなと思う。「オリーブ・トーマス」も導入用の可愛らしい話に見えて、父親の顔知らない娘当事者としてリアリズムを感じるところがあるし、「夏への一日」の映像的なディティール描写も印象に残る。そして作品全体の閉じ方がお洒落! ちょっと跳ねた感じがとても可愛らしい。内容は全く違うけれど、山尾作品のなかでは「童話・支那風小夜曲集」に似た抜け感があると思う。
どの話も語りは三人称だが細かく操作されていて、第一話が一番タキ氏に近く、第二話は死者との再会を強く望む生者の視点、第三話は"ビジネス"の記憶を持つ生者と彼女を見つめる若者の視点、第四話でついに死者の視点に入り込んでいく。それぞれの角度からタキ氏とそのビジネスが描かれるも、詳細は最後までモヤモヤっとしている。言ってしまえばシステムの設定があいまいでゆるい、だからこそ気負わずに読める。それでいて親の再婚や双子などのモチーフが各話で少しずつリンクする構成になっていたり。こういう軽いタッチの少女小説を山尾悠子の文章で味わえるのは本当に嬉しい。
〈初夏〉が入ったタイトルにふさわしい軽みと余裕のある小説の作りに、経済的に豊かだった時代の空気を感じ取ってしまうのは44年後(?!)の読者のこじつけなのだろうか。80年刊行ということを念頭に置くと、どことはハッキリ特定できないけれどフワッと素敵な外国のイメージや、日本人ビジネスマンのステレオタイプを逆手に取ったキャラ造形など、日本という国が経済的な「盛夏」に達する直前の「初夏」が封じ込められた硝子壜のような、そんな作品にも思えるのだ。 -
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感想
泉水子が何者でそこにどんな力が秘められていて、どう使うのかが最後まで読んでもわからない。が、続きは知りたい。神道?山伏が絡む和製版エヴァンゲリオン的な感じか?
あらすじ
泉水子は紀伊半島の山奥の神社で暮らす中学三年生。高校進学を機に街に出たいと考えている。
母親は公安、父はプログラマーで別居しており、祖父と暮らしている。
泉水子はPCや携帯に触れると壊れることがあったため、それらに苦手意識があった。
二者面談に父は来られず代わりに父親の友達の相楽がやってくる。彼は自分の息子を泉水子の下僕だと言い、逆らう彼をねじ伏せ無理矢理転校させる。
泉水子は相楽が山伏の家系で女神の泉水子を守ると聞いて訳がわからなかった。
泉水子は、母親の紫子に会えるということで東京へ行く修学旅行に参加するも、何か黒いものに追われる感覚があり、深行と一緒に必死に母親の元へ行こうとするが、会えずそこに現れたのは相楽だった。
泉水は東京で姫神が憑依する体験をする。姫神は、泉水子が最後の器であること、山伏に15年で転機が訪れることを予言して去る。
その後、紀伊に帰り、東京の鳳城学園へ行く決心がついたものの、クラスメイトの和宮が許さないという。和宮は、泉水子が作り出した幻影で地場の神の化身だったのだ。和宮に危うく殺されそうになるも、泉水子が追い払う。
かくして、泉水子と深行は鳳城学園への転入を決意するのだった。