岩波明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
201607/
国連児童基金(ユニセフ)は、2008年に先進国に住む子供達の「幸福度」に関する調査報告を発表した。
子供の「主観的な幸福度」に関する項目の中で、「孤独を感じる」と答えた日本の15歳の子供の割合は29.8%と、対象国の中で第一位で、ずば抜けて高かった。日本に続くのはアイスランド(10.3%)とポーランド(8.4%)だった。もっとも低いのはオランダの2.9%だった。
このように、日本の子供における「孤独さ」は、先進国の中で際立って高い。この点は、これまでに述べてきた社会的な「まなざしの欠如」と関連している現象であろう。つまり、子供達を見守り、同時に縛ることにもなる、目に見えない社 -
-
Posted by ブクログ
たまたまメディアで岩波明氏のことを知り、本書『精神医療の現実』の著者として紹介されていたのをきっかけに本書を読んだ。精神医療に関して全く知識がなかったが、本書の明快な文章に引き込まれて、一気に読んでしまった。
まず、精神医療の歴史をたどって説明しているところが素晴らしい。精神医療は他の医療以上に、また他の科学以上に紆余曲折があった。例えば、フロイトの精神分析は「有効性がない」ことが明らかになり、現在は使われなくなっているが、多くの心理療法や臨床心理学のベースになっているのはフロイトの理論であり、最近はやっている「認知行動療法」は精神分析の実質的な後継者であると喝破している。
また、精神医療をよ -
Posted by ブクログ
これでもか、というほどの事例が提示され、それぞれの当事者や関係者の行く末が丁寧に描かれていました。この分量のデータを集め、形にされた筆者の熱意を感じました。
以下、印象的だった内容です。
・物理的には比較的不自由なく生きてきた中で、何らかの原因で周りに馴染めない自分に理由を見つけたくて、「自分は女の子じゃないのかもしれない」という思いに至るというケースが多いということでした。
・未成年からの一方的な主張だけで、身体改造に進んでしまうと、後戻りできなくなる、ということも書かれていました。
・そこまで熱狂的にTGになりたいと思う裏側には、「仲間が欲しい」「何者かになりたい、思われたい」という欲が -
Posted by ブクログ
【書名と著者】
高学歴発達障害 エリートたちの転落と再生
岩波明
【目的】
わたし自身ADHDっぽい。エリートでもなんでもないが、コースアウト気味の人生においてどう、自分の気質とつきあうべきかヒントにするべく手に取った一冊。
【印象に残ったポイント】
・発達障害とは
先天的な脳機能の偏りであり、本書執筆時点でメカニズムが明らかになっていない。
・ADHDとASDの見分け方
4つ(不注意、衝動性、コミュ障、こだわり)の観点で見分け方があるにはあるが、異なる特徴から類似する症状を見せることがあるそう。
本書では具体的な見分け方が示されていないが、専門家の著書であることからすると表面的な症状だけ -
Posted by ブクログ
久しぶりに岩波明の本を読んだ。
新書ということもあってか、ここまで毒舌家だったっけと感じるくらいの毒舌ぶり。
特に、
新型うつは医師でもあるタレントの香山リカが命名した
てなくだりは、思わず吹き出してしまった。他にも読んでいて失笑する場面が多々。
まあ素人の私ですら「トラウマ」とか「サイコパス」とか、巷では全く違う意味で用いられているよな、と常々感じているから、専門家の岩波先生にはその誤用が腹に据えかねているのでしょうね、きっと。
そうそう件のフジテレビの元女子アナの「トラウマ」が診断名として確立したときのそのままの心的外傷だったら、そりゃまごう事なき「性暴力」の被害者ですわなあ。(分かってく -
Posted by ブクログ
高学歴と発達障害。
この二つの言葉は 私の中ではなかなか結びつかなかった。しかし“イーロン・マスク”や“エジソン” “スティーブ・ジョブズ”を引き合いに出されると納得。
学校に行っている間は なんとか成績も上位を保ち 他の目に余る行動は目をつぶってもらえた。
しかし社会に出ると世の中そんな甘いものではなく 綻びがあちこちに。挫折を経験し、そこから何とか立ち上がれる人と 長く抜け出せない人が。こんなに高学歴の人たちの例があるとは。
しかしADHD(注意欠如多動性障害)の特性を持つ起業家の一部には 新奇なアイデアと途方もない突破力で華々しい成功を収めている人たちも存在している
-