水野学のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
デザインの力を使ってブランドの力を引き出し、売るのではなく売れるように仕向けるのがブランディングデザイン
利益を追求していなかったとしても、自分たちの活動などをきちんと世の中に伝えなくてはならない
売れるを作るための方法
・発明する
・ブームを作る
・ブランドを作る
これまでは上2つだけでも売れた
ブランドとは、そのものがもつ個性や特徴、持ち味を表現しているもの
「ブランドとは"らしさ"である」
ブランドイメージは、小さな石を積み重ねていくようなもの。企業のアウトプットが企業のブランドをつくる。
ブランドを作ろうと思ったら、その企業や商品について「目に見え、耳に聞こえ、身体で感じる、すべてのもののデザインをきちんとする」必要がある
「ブランドとは、見え方のコントロールである」
要するに、世の中から見えるあらゆるものを、その企業にとって理想的な状態になるようコントロールする。それが「ブランドをつくる」ということ
デザインは
・機能デザイン 伝わりやすさ
・装飾デザイン 魅力的に見せる
に分かれる
クリエイティブコンサルタントという仕事の席は空いている
大事なのに社会で習わないもの
・センス
・段取り
「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」
つまり、センスは努力で身につけることができる
センスの磨き方
・王道定番を知ること
・流行を見つけること
・共通点を見つけること
コンセプトは、ものをつくるための地図
シンプルな方がいい
説明できないデザインはない
★言葉・ビジョンについても、わかりやすいもの、わかりにくいものの共通点をまとめる
「世の中をあっと驚かせてはいけない」
一瞬売れても継続しない
ブランド力がある企業の共通点とは?
・トップのクリエイティブ感覚が優れていること
・経営者の右脳としてクリエイティブディレクターを招き、経営判断を行なっていること
・経営の直下にクリエイティブ特区があること
ジョン・C・ジェイ氏
存命するナンバーワンクリエイティブディレクターだと思う
企業の目的と大義が大事
企業の活動のすべては、この2つから生まれている。そこを押さえておけばまず方向を間違えることはない。
目的は答えられる人はいても、大義を明確に答えられる人は多くない。ないわけではなく、言葉になっていないということが多い。
らしさは、自分の中にある
色々調べた上で、らしさを探るときは時間を決めてやる。例えば30分で30個。必ず時間と目安を決めてやる。
一番大切なのは、みんなが聞いて分かるものを見つけること。もっといえば、人の意識のわりと浅いところにあって、なんとなくは知ってるけどまたフォーカスされていないようなもの。
例 日曜日のらしさ
→朝寝坊、月曜の準備、サザエさん、、
深く考え込まずに、とにかくますばたくさん出してみる。時間をかけるべきは、アウトプットの完成度を上げるプロセス。
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Posted by ブクログ
イノベーションはしばしば「(技術)革新」と訳されるが、
この言葉は本来、単に全く新しいものを生み出すという意味を表しているわけではない。
今まであったもの同士をくっつけ(新結合)、今までになかったもの生み出すこと意味する。
アイディアの接着剤とはまさに、新結合に必要なものである。
著者はこの点をよく理解していると感じた。
また、この本の著者は素晴らしいアイディアを世の中に出してきた人だが、
そのアイディアを作り出す過程は至ってシンプルであり、
決して突飛なことをしているわけではないことがよくわかった。
読んでいて身の回りのことをもっとよくみようと、
わくわくとした気持ちになる楽しい本だった。 -
Posted by ブクログ
時間制限を設けないと仕事が無駄に膨らんでしまうパーキンソンの法則など、「時間で区切る」という考え方自体は知識として知っていましたが、本書の「仕事はサッカーと同じで、限られた時間内でどれだけ点を取るかの競技である」という例えによって、一気に腹落ちしました。
特に響いたポイントは次の2点です。
・時間=成果を最大化するための枠組
締め切り時間になったら試合終了。その時点でその仕事は一旦完成。限られた時間の中でどう工夫して成果を最大化させるかという思考のシフトが重要。
・ 「時間で切る」からこそできる軌道修正と連携
30分や1時間で区切る効用は、都度ボールを止め、周囲を見渡して状況判断ができること。パスを出すのか、進むのかを確認せずに抱え込み続けるのは、サッカーで言えば一人でボールを持ち孤立している状態と同じ。時間で切って状況確認する癖こそが、結果的に仕事のスピードとクオリティを上げる。
また、人に仕事を振る際に「使っていい時間の総量」を伝える手法もとても実践的な学びでした。やり過ぎを防ぐだけでなく、時間設定自体が期待値(ラフでいいのか、作り込むべきか)の指標になるという視点は目から鱗です。
「時間」で仕事をコントロールしていく考え方を早速社内チームにも共有し、働き方を変えていく良いきっかけになりました。時間に対する意識と働き方を見直せる、おすすめの一冊です。 -
Posted by ブクログ
「役に立つ」という市場
山口 日本の場合、水野さんが言うところの「文明タイプ」というか、もともとある組織能力として、BtoBの仕事が得意な企業は多いと思います。なぜなら、かつては世の中にもたくさん問題があったので、BtoB的な「役に立つ」という能力がBtoCの市場でも生かせたからです。パナソニックのようなメーカーが、わかりやすい例でしょうね。身近な不便を解決してあげる、「役に立つ製品」をつくることが価値の提供だった。
でも今は、「不便だ」とか「使い勝手が悪い」といった世の中の身近な問題がほぼ解決されて、文明的に行くところまで行ってしまいました。そこで水野さんがおっしゃる「文化の出番」になるわけです。
水野 そうか、「文明=役に立つ」で、「文化=意味がある」と言い換えることができますね。 そして企業は、「役に立つ」と「意味がある」の分かれ道に立っている、と。
山口 あえて二極化させたら、組織の能力は「役に立つ」と「意味がある」の2種類しかありません。その上で、「自分たちはあくまで、『役に立つ』の道に進むんだ」と決めた会社もある。そういう会社はインフラを整えるとかダムを造るといった、BtoBの仕事に集中していきます。
なぜかと言えば、BtoBなら「役に立つ」という市場で戦えるからですよ。その業界ごとの役に立つ物差し、つまり「正解」がありますからね。たとえば「このダムの発電効率は」 みたいな物差しが業界ごとにあるわけじゃないですか。
水野 まさにおっしゃるとおりですね。僕は以前、とあるメーカーの携帯電話の仕事をしていて、彼らがBtoCの携帯事業から撤退する瞬間に立ち会ったことがあります。関わっていたプロジェクトがバーッとなくなっていって、「あ、この人たちはBtoBに行くんだな」 と肌で感じました。
山口 産業史の貴重な1ページを現場の当事者として目撃したわけですね(笑)。
山口 僕は広告の仕事をやっていたので、「この広告のメッセージのコアは何だ」と考えるわけです。電通時代に杉山恒太郎さんや佐藤雅彦さんに教えてもらったのは、「広告の究極の目的は、その人にとっての商品の意味合いを変える」ということ。自分にとって全然関係ないと思っていた商品やサービスが、広告によって自分と関係あるものに変わる。つまり意味づけが変わるということで、「広告は究極的に意味をつくっていくこと」だと感じました。
水野 「セブン‐イレブンいい気分」の杉山さんと、「バザールでござーる」や「ピタゴラスイッチ」の佐藤さん。電通のクリエイティブディレクターの大スターですね。
山口 お二人とも意味をつくれるクリエイターですが、そういう人は実は電通の中で1% もいない。残る9%の人は何をやっていたかというと「役に立つ」を15秒で伝えること。
世界観をつくるには?
水野 僕はこれまで、「ブランディングって何ですか」という話をするとき、「見え方のコントロールだ」って言ってきたんです。ここまでお話ししてきて、「世界観をつくること」だと説明してあげたほうが、ロマンチックでわかりやすく、みんなが受け入れやすいなと感じました。これからは説明のしかたを変えようと思います。
山口 まさにクリエイティブ・ガバナンスが必要になりますね。
水野 デザイナーって個性的な人が多いし、「人のことはどうでもいいから一人で絵を描いていたい」という人も多い。業界的にはちょっと情けない話ですけど、ビジネスとデザインが協力していくうえで、そこは案外大きな課題なんですよね。
山口でも、水野さんはその両方ができるから、橋渡しも可能になる。クリエイティブディレクターと呼ばれる人たちは、美やアートの世界とビジネスの世界の垣根を越えられるし、繋げられる人たちじゃないでしゃないでしょうか。
水野 おっしゃるとおりですね
クリエイティブな組織をつくる第一歩は、まず経営者が、クリエイティブの重要性、「意味をつくる」ことの必要性を理解することです。自分にクリエイティブの良し悪しを判断できるスキルがなければ、外部からクリエイティブディレクターを招く。僕は、自分は経営者の右脳だと説明しています。経営者とクリエイティブディレクターが、二人で一つのチームになればいいんです。
次に、組織構造を変える。
経済産業省と特許庁が2018年5月に「『デザイン経営』の先行事例」をまとめた資料を発表しています。デザイン部を社長直轄の組織にしているソニー、マツダ、キヤノン、TO TOなどの実例が載っていて、最近は、ニコンもこの動きに追随しています。でもほんとうは、 この時期に「先行」事例とされていることがかなしいんですよね。ダイソンやサムスンなどはずっと前からやっていることですから。ソニーには1960年代から社長直轄のデザイン室(現・クリエイティブセンター)がありますが、そういう日本企業は少ない。
デザインやクリエイティブの部門は、今後は社長直轄にしないとだめだと思います。昔ながらの硬直化した日本型組織で、下から上げた案に中間からNGが出て差し戻しを繰り返し、さらに社内で順番に稟議を通して・・・・・・とやっていたら、「意味をつくる」戦いでは勝負になりません。
山口 インプットの方法を含めて、水野さんが教える学び方というのはどんなものですか? デザインは人に教わってできるようになるものでしょうか。
水野 慶應で講義していたのですが、端的に言うと「知識×やり方」です。知識が少ないのにやり方だけ知っていてもダメだし、知識が多くてもやり方を知らないとダメ。まずはたくさんのものを見ることがスタートですよね。
その上で、「簡単な上達法は?」と聞かれることはよくあります。僕が手掛けているだけでも、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、内装デザイン・・・・・・と分野がさまざまなので、グラフィックだけに絞ると、大きく三つあります。
一番目は、「らしさ」を見極められるようになること。「シズル」っていう言い方をするときもあるのですが、そのものらしさをしっかりと見極めて、そのものが持つ魅力が伝わる表現をすることが何より大切です。世の中にあふれるデザインには、出発点からずれちゃっているものが結構多いんです。上質な商品として見せたかったはずなのになぜこんなポップな色を使ってしまったんだろう、とか。世界観をちゃんとつくれていないし、捉えられていない、ということですよね。
二番目は、書体や色といった、デザインにまつわる超基本的な知識を身につけること。色に関していえば、色相環を理解しているだけでもまるで違いますよね。山口さんには常識中の常識だと思いますが、講演で話すと、色相環を理解していない人って案外いるんです。
三番目は、やっちゃいけないことを知っておくこと。当然ながら差別的表現や、性の多様性への配慮がない表現は一切ダメですよね。それとは別に、デザインの中にも、実はタブーはたくさんあります。先ほども言いましたが「この書体を使うと、欧米の人はこう感じる」といった知識。あと、家に入ってくるチラシでよくあるのが、書体を7、8種類も使っていたり、色を何色も使いすぎていたり、文字の大きさもまちまちで、情報が頭に入ってこないもの。あえて狙ってそういうデザインをしている場合は別として、情報伝達を目的にした場合には、書体、色、文字サイズの種類があまりにも多いと、目的を果たさなくなることが大半です。
水野 そんな調子だから、商品開発のあらゆる場面で「他社でこれが売れているからうちでもこれをつくろうと思います」「提携工場から、これなら安くつくれると言われたのでこれでいきます」となる。「このブランドのコンセプトは○○なんだから、もっとこういう考え方の商品をつくりませんか?」と提案しても、「それだとうちのお客様は買わないと思います」。そのうち他社から先にそのアイデアの商品が出てヒットしてしまったりして (笑)。
ブランディングって長期戦で、最初の3年くらいはなかなか数字に反映されないんです。 3年過ぎたあたりから動きが出て、5年経ったあたりでぐっと売上に反映されていくことが多いんですよね。その会社でも、ある程度の数字的成果を上げることはできましたが、 仕事として長続きしなかったですね。
山口 既存顧客のこと、競合他社のことだけ見ているから、売上がどんどん落ちてきたわけで。自分たちのビジョンを定めて、そこにむかって未来をつくっていかなければならなかったんですが、過去だけを見ている会社に「意味をつくる」ことは難しいと思います。
日本の場合、起業から5年以内に倒産する会社が85%と言われています。仕事を通じてさまざまな企業とお付き合いをする中で、伸びていく会社と消えていく会社をいくつも見てきました。
そこで気がついたのが、資金が潤沢で勢いもあったのに失速してしまう会社の多くは、 「急成長してたくさんの利益を得たい」という欲求がエンジンになっていたということです。
利益は、経済活動において必ずクリアすべき最重要課題の一つです。僕自身、自分の役割の一つとして、ブランディングに携わった企業の利益を上げることにこだわってきました。 ですが、「数字だけ」だと未来は描けないのもまた事実です。ましてや「意味がある」を大切にすべきこれからの僕たちを動かす原動力になってはくれません。
「世の中をこうしたい」「未来をこう変えたい」という熱意と希望と強い意志。それがまさに大義です。大義がなければ、自分たちの未来のビジョンを明確に描くことはできない。ビジョンがなければ、世界観も自ずとブレていきます。
なにより、組織において世界観をつくる作業は、自分一人でできることではありません。
多くの人が同じ想いを共有し、同じイメージを描いて、「意味」をつくり続けなければならない。それには、大義を旗印に、かかわる人全員に情熱を行き渡らせる必要があります。
成果を生み出すプロジェクトにおいて、AIによって時間をどれだけ短縮できても、人間の関与が必要な時間はゼロにはなりません。その「ゼロでない時間」の内訳を考えてみると、 物理的な作業時間と「方向性の決定および実現のための調整」の部分に大きく分かれます。
後者はつまり「何をするか、どんなものをつくるかを一から考えること」「進行過程で、 進んでいる方向が適切か確認すること」「必要に応じて軌道修正すること」などです。デザイン検証やマーケティングの実装といった作業もAIに任せられるようになった今、この部分で最も重要になるのは「意思」です。
AIによって「作業」の時間が短縮されることの真の価値は、浮いた時間を使ってこうした本質的な思考――「意思」の生成や世界観の構築――に、これまでより多くのエネルギーを注げることにあります。
「どんな世界を描きたいのか」という強い意思と情熱は、5年経った今、一層その必要性を増しています。AIが生み出す数多の可能性を前に、最終的な方向を決めるのは人間自身です。「意味」を生み出し「世界観」を築けるかどうかが、個人、企業、そして社会全体の未来を形づくっていきます。
文庫化にあたり、この本がその問いを考える一助となれば、これほど嬉しいことはありません。