藤岡陽子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
初読みの作家さんの良さげな短編を読んでみようシリーズ第〇弾。
思ったより良かった。
読みやすい。
女性向けの作品が多いかな。
「波風」
5年振りにあった友人の一生に一度の頼みごととは。
「鬼灯」
病に倒れた母の再婚相手は風采の上がらぬ男だったが。
「月夜のディナー」
弟の結婚式前夜のディナーで家族が集まり。
「テンの手」
幼馴染であり将来を嘱望される天才高校生ピッチャーとバッテリーを組む男は。
「結い言」
女性用着付け教室に現れた只一人の高齢男性。
「真昼の月」
老人ホームに面会に来た美女。
「デンジソウ」
離婚して10年振りの社会復帰。整形外科医院で看護助手として働くのだが。
いずれも胸にじわんと来る家族や友人の物語。
いろいろな経験を経ている作者で、看護専門学校も出ているので医療関係の話が多い。
一話完結のドラマになんかしたら良さそう。
一番良かったのは「月夜のディナー」。30ページほどの短編ではあるが危険です。人目のあるところで読むのはお勧めできません。
次いで「結い言」。こちらは最も短く25ページほど。じんわりと笑顔になれる。
逆に最も長く100ページ近くある「テンの手」は、まったく評価できない。何が書きたかったんだろう、とさえ思った。
これは完全に私見ですし、異論もあるでしょうが、女性は男性を主人公にしたものは書かない方がいいと思う。特に一人称で書く場合は難しいでしょう。読んでいると妙な違和感を覚えます。同様に、男性作者は女性を主人公にしたものは難しいんじゃないかな。
「テンの手」も男同士の物語でした。
「真昼の月」も主人公は男。
どちらも正直良くなかった。
それ以外の女性を主人公にした作品はどれも素晴らしかったのにとても残念です。
「月夜のディナー」も弟の開いたディナーを姉目線で語っているからこその良さがありました。
「風が強く吹いている」三浦しおん著。
「バッテリー」あさのあつこ著。
などの有名作品も私には違和感を感じていました。
どうしても異性の世界の作品を書きたいなら、女性を主人公に据えておいて、その女性の目から見た話しにするとか。または三人称視点で群像ものにするとか。なんらかの工夫をして欲しいな、と思いました。 -
Posted by ブクログ
与那国島へ気分転換がてら来た周二と夏美。そこで、島や泊まった民宿で働く女の子を見て、周二は変な空気感を感じた。それは周二の従妹・美羽の存在とその女の子の雰囲気が似ていたのである。なぜこんな気持ちになったのかわからないまま、2ヶ月後、民宿の方から女の子が消えたということで連絡が来た。
どこか嘘っぽい印象もありましたが、幻想的でもある内容で楽しめました。女の子・花と周二の過去がどう結びついていくのか?
与那国島の風土や歴史を感じながら、ゆったりとした気持ちになりました。
島では穏やかな感じでしたが、それとは逆に、本州では殺人や家族同士のいがみ合いといった割と激しめな展開でしたので、その対比が楽しめました。
特に亡くなった美羽に対するそれぞれの心理描写には辛い気持ちになりました。深い所に眠る心情を抉るのは、良いのか悪いのか判断つきませんが、真摯に向き合うことで改善していくという意味では、良い結果で良かったと思いました。
そして、花と美羽がどう結びついていくのか?スピリチュアルな要素もありましたが、悲劇的ではあるものの、感動的でもあったので、報われて良かったと思いました。
繋がるとはないと思っていたそれぞれの登場人物たちが、一つの事件をきっかけに繋がっていく過程は、残酷でもありました。でも、結果としては温かみのある縁へと繋がったので、不思議な気持ちにもなりました。 -
Posted by ブクログ
出産の記憶が新しいうちに、と手に取った一冊。
産婦人科医、助産師さんたちの日常を書いた本。
お産はいつ始まるか、どんなお産になるのか予測がつかない所が恐ろしいと思う。
何が起きても不思議ではないし、赤ちゃんが無事に産まれるのって本当に奇跡に近いと言うか、何だか神がかってる気がする。
そんなお産の手伝い、母親のケアをしてくれる助産師さん。
初めて赤ちゃんと対面する彼女たちを『むかえびと』と言う言葉を使って呼んでいるのが何とも素敵。
話の中に出てくる事件は実際にあった事件ですよね。
ニュースで事件のことを聞いた時に、酷いなぁ…と色々考えてしまったので物凄く鮮明に覚えている。
出生前診断など、答えが出ない問題も沢山あるけれど
命が出てくる瞬間に立ち会う彼女たちの仕事はやはり素晴らしいと思う。