輪渡颯介のレビュー一覧
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皆塵堂シリーズ第11作。
今回は久しぶりに太一郎が主人公。〈銀杏屋〉の若旦那として、霊能力者としては第一作から一回りも二回りも成長した太一郎が、このシリーズでどんな活躍を見せるのか…という話には勿論ならない。そのわけはあとがきにて書かれている。
物語は太一郎視点で進むが、主人公は峰吉の妹・お縫と言えるだろう。彼女は大店の札差の養女となっていて、峰吉とは全く境遇は違う(その理由も本作にある)だけに見た目や話し方はお嬢様なのだが、付き合えば付き合うほど峰吉の妹だなと感じる。
彼女は幽霊に興味があり、幽霊が出るという家を見つけてはその霊現象を収める解決策を試している。太一郎は彼女のフォロー役で、 -
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シリーズ第十一弾。
曰く物ばかりの品ぞろえでお馴染みの古道具屋〈皆塵堂〉を舞台にした、おとぼけ怪談(?)連作五話が収録されております。
浅草の古道具屋〈銀杏屋〉の主・太一郎は幽霊が視える能力の持ち主。
そんな太一郎の元に、大店の札差〈大和屋〉の養女・お縫が“ある物を見てほしい”とのことでやってきます。
彼女が持ち込んだ香炉には女の霊の執念が憑いていて、この香炉の扱いについて太一郎に相談したいと、お縫は言うのですが・・・。
今回は久しぶりに、太一郎視点でお送りしております。
基本、このシリーズはその巻の“被害者”が主人公で、その視点で進むパターンなのですが、今回はそのパターンではなく、太一 -
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堀割ー地面を掘った水路。お堀です。
メフィスト賞で珍しく時代小説です。
浪人左門あやかし指南でシリーズ化されているようです。
解説者もおっしゃる通り、ミステリ+時代小説+怪談=捕物帳 という図式です。
江戸の怪談を挟み、その怪談を利用した事件が起こり、世の中に不思議はないのです。という流れかと思います。
設定もストーリーも面白いのですが、登場人物が多い割に唐突に出てくる感じなので、関係性とか立場とか読み取るのが少し大変。使われる怪談の場面の変化のつながりももう少し。
浪人左門が最後に自分の立場の説明をしたので、次作から読みやすいと思います。 -
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シリーズ第十弾。
越ケ谷宿の旅籠で働く藤七は、亡くなった旅籠の主人で伯父の仁兵衛の遺品に憑いていた幽霊を見てしまいます。
どうも仁兵衛は昔、「すっぽんの桑次郎」という異名で借金の取り立てをしていたらしいことが判明。
この曰く付きの遺品を元の持ち主たちに返す為に江戸に行くことになった藤七ですが・・・。
遺品を返すと共に、幽霊の謎と、恩人である仁兵衛が本当に恨まれていたのかということを解明する為に、「皆塵堂」の“クセ強”メンバー達の協力を得て江戸のあちこちを訪ねる藤七。
今回は怪談パートが少な目で、話の展開もサクサク進んでアッサリとした感じでした。
本筋の内容が浅かったのは、ご隠居・清左衛門の -
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古道具屋皆塵堂シリーズ、10作目。
幽霊が憑いた叔父の遺品を元の持ち主に返すため、「知りたがりの藤七」こと甥の藤七が江戸に出向き、皆塵堂メンバーの助けを借りつつ、叔父の正体、遺品の謎を解き明かす。
皆塵堂メンバーとのやり取りはいつもながらに楽しいんだけど、「知りたがりの藤七」だけに話がしばしば脱線して、ちょっと展開が遅く感じた。怪異噺も、最初のが一番怖かっただけで、いつもよりパワーダウン気味。ホラー苦手なので、とびっきりのホラーを望んではいないんだけど、もう少し怖くてもいいかも?
あと、シリーズならではで、歴代のゲストキャラが再登場してくれるのは嬉しいんだけど、10作目となると、もはや覚え -
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ネタバレ本作では新しい登場人物はなく,皆塵堂に居候することになるのは巳之助の弟分,茂蔵である。
「朽ち祠」
茂蔵が以前の遊び仲間との花見の宴の帰り道,ほろ酔い気分で歩いていたところ奇妙な祠を見つけて,つい扉を開けて,御神体が入っていると思われる箱を開けてしまう。するとそこから女の髪の毛らしきものが飛び出して茂蔵を襲った。「パキッ」という音とともに攻撃が止むと,髪の毛は自ら箱に戻ったので,茂蔵は蓋をしてしっかり紐で縛って祠に戻した。
しかし髪が箱から出たときの不穏な気配を遠くで太一郎が察知していた。
「髪絡み」
翌日再び祠を訪れると,箱が消えてしまっていた。皆塵堂チームは箱探しを始める。茂蔵はことの発端 -
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ネタバレ本作の問題人物は,腕の良い料理人ながら,勤め先の営業不振で自ら職を辞した麻四郎。親戚の料理屋で雇ってもらおうとしたところタイミングが良くないのでしばらく待ってくれと言われ,その間料理人以外の仕事をしておけと言われ塩の振り売りに身をやつしている。ある日,修行中に気にかけてくれていた老人に出会い,皆塵堂に行くように勧められる。前作までの連助や円九郎も引き続き登場し,ドタバタを繰り広げる。
「何かが起こる店」
富士見屋の弥平という男が怪しげなツボを買い取ってほしいとやってくる。峰吉はタダでもいらないと一度は突っぱねるが,店先に置かれたいくつかの品を買い取るという交換条件で引き取ることになる。しかし夜 -
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〈古道具屋皆塵堂〉シリーズ第十作。
好きなシリーズではあるが、作家さんが書かれているようにこんなに長いシリーズになるとは思わなかった。
今回の主人公は越ケ谷宿の旅籠で働く藤七(とうしち)。自分を引き取り育ててくれた伯父・仁兵衛が亡くなり、その息子で従兄弟・与吉に頼まれて仁兵衛の遺品を持ち主に返すために江戸へ行くことに。
もちろんその遺品はタダの品物ではなく、幽霊付き。そして持ち主が見つからなければ引き取ってくれるという古道具屋はもちろん〈皆塵堂〉。
男女の幽霊が出てきたり、江戸に着いたとたんに刀狩りに遭って遺品の刀を盗られたりと散々な目に遭う藤七だが、助けてくれたのはなんという偶然か、魚釣 -
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ネタバレ今作の中心人物は行き倒れて拾われて居候になったとかでなく,普通の商家の息子,連助。連助は幽霊とか呪いとか祟りとかを一切信じないばかりか,信じている人間をばかにするような男。それが皆塵堂の噂を聞いて,真実を明らかにすべく従業員として乗り込んできたという設定。しかしそれには訳があった。とは言え実際に皆塵堂には出てしまうわけで,伊平次や清左衛門は理由がわかるまでは連助になんとか見せないで済ませようと骨を折る。
「質屋蔵」
伊平次と清左衛門と連助は蔵に幽霊が出るという質屋,多丸屋を訪れる。そして幽霊を確認するために泊まり込む。夜中に蔵の方からの物音を聞いた連助は蔵に行ってみるも。何もいないし,蔵前の玉 -
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ネタバレ橘屋という大店の手代だった益次郎は,主人にも可愛がられゆくゆくは娘の婿にして家を継がせ用途考えられていたが,ある時見に覚えのない,店の金を盗んだという濡れ衣を着せられ追い出されてしまった。店を恨み,強盗に入るか,火付けでもしてやろうかと考えていたところ,名を知られた盗賊・甚左に声をかけられ,押し込みの手引をしてくれたら代わりに橘屋に復讐してやると誘われ乗ってしまう。甚左は畜生働きはしない盗賊として有名だったので,人死にが出ないならと思ったのであった。しかし手引のために潜入する店は大店でもなんでもなく薄汚い古道具屋・皆塵堂であった。店の奥の立派な蔵の中になにか金目のものが入っていそうなのでそれを
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シリーズ第九弾(一旦完結→再開を経て)。
酔った勢いで祠の戸を開けて、封印されていた箱を開けてしまった茂蔵。
中には女の髪が詰められていて、なんとその長い髪が茂蔵を襲ってきて・・・。
基本ユルいのですが、怪異描写は何気に怖いこのシリーズ。
襲う髪の毛は、不幸な目に遭って自害したお此さんというおかみさんの怨念との事で、茂蔵と皆塵堂メンバーがその怨念を残す魂を救うべく行動します。
今回は、太一郎が割と前面で活躍してくれて嬉しかったです。
なるほど、やけに件の箱を取り戻すのがノロノロしているなと思ったら、“敢えて襲わせて”いたのですな・・。
太一郎ってば、こういうドライな面もあれば、猫が苦手なの -
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“祝・皆塵堂再開”ということで、しれっとシリーズ第八弾です。
今回、皆塵堂で働くことになったのは、人が良くて真面目な元料理人の麻四郎。
彼に立て続けに起こる“地味な不運”は果たして“呪い”によるものなのでしょうか・・・。
まずは、久々に皆塵堂メンバーに再会できて嬉しいですね。良くも悪くも相変わらず・・と言いたいところですが、峰吉の“客察知センサー”と巳之助の“猫馬鹿データ”がさらにパワーアップしている気がします。
そして『祟り婿』に登場した連助と『影憑き』に登場した円九郎も再登場。
頑なに幽霊を信じなくて太一郎を敵視する連助に、またもやイラっとさせられましたが、峰吉の言う“正しい連助の楽しみ