輪渡颯介のレビュー一覧
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何故か『曰く付き』の品と不運な男が引き寄せられる〈古道具屋皆塵堂〉。前作「夢の猫」のあとがきで『完結編』と書いてあったことはなかったことになっている…つまりシリーズは続くということらしい。好きなシリーズなので嬉しいことではある。
今回〈皆塵堂〉で働くことになったのは麻四郎。料理人として長年勤めていた料理屋からリストラされ退職金もなく、当てにしていた親類の居酒屋で働くことも出来なくなり振り売りの仕事でしのいでいて…という典型的な転落振り。そんな折に知り合いの料理屋の主から紹介されて〈皆塵堂〉で働くことに。
早速働かない店主・伊平次や相手によって見事に態度を使い分ける小僧・峰吉、『曰く付き』の品 -
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面白くてちょっぴり怖い(?)、ユーモア悪霊時代小説です。
薬種屋の息子・伊勢次と貧乏御家人の七男・文七郎は、共に死んだ祖父の幽霊に悩まされています。
ある日、伊勢次は祖父・左五平の幽霊に、聞き込んだ幽霊騒動を調査するように頼まれ、渋々、件のお店に足を運ぶことに。
一方、左五平に張り合う文七郎の祖父・十右衛門の幽霊も、孫に幽霊騒動を解決するように命令する始末。
怖がりで、自分のじいちゃんの幽霊にも毎回ビビりまくる伊勢次と、悪霊除けの御札を張った刀で自分の祖父の幽霊を成敗しようとする、怖いものしらずの文七郎のコンビが、絶妙なバランスで良い味出ています。
この二人のメインキャラが理不尽に苦労する羽目 -
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輪渡さんらしいコミカルなホラーエンタメ。
生前の世話焼きが死んで幽霊となっても変わらず、自分の代わりに孫の伊勢次にむりやり押し付ける祖父の左五平。
伊勢次は跡取り息子として店の仕事を覚えなければならないのに、左五平の霊のせいで奔走させられる上に両親や店の者たちからは放蕩息子と思われてすっかり見限られている始末。
さらに怖いものが大の苦手の伊勢次に左五平は知り合いの店の幽霊騒動の解決を命じて…。
怖いものが大の苦手なのに幽霊だの化け物だのに無理やり付き合わされてしまうという輪渡さんお得意の展開。
そしてもう一つ、輪渡さんの作品ではそういう怖がりキャラと対照的に幽霊や化け物の類が全く怖くない -
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このパターン、そろそろ変えてほしい気も。
身に覚えのない濡れ衣を着せされ、長く勤めた橘屋を追い出された益次郎。
橘屋に仕返しができないかと悶々とする時に出逢ったのは。
成り行きで皆塵堂で働くことになった益次郎。
かなりのやり手で、店前で呼び込み、せっせと道具を売り、商品を片付け、大道具を売り込むために長屋回り。夜は峰吉に読み書きを教えることまで。
同じ苦労人でも前作の庄三郎とは随分違うなあ。
そんな庄三郎も今回は不器用ながらも益次郎を助けようと働く。頑張ってるのね、なんてついほっこり。
相変わらず、事件は凄惨、だんだんと明かされていく過去も陰鬱。
でも、また皆塵堂の面々がのんびりと解決してい