輪渡颯介のレビュー一覧
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古道具屋皆塵堂シリーズ、11作目。
久しぶりの太一郎視点。とは言え、今回は幽霊を見たい札差大和屋の養女・お縫いの補佐に回る。お縫いは実は○○の妹なのだが、これまたあの兄にしてこの妹といった感じで愛らしいユニークなキャラ。太一郎のような幽霊を見る能力は皆無であるにもかかわらず、幽霊沙汰を意外にも上手に捌いていくので安心して読める。まぁ、女の子相手なので、いつもと違って全然怖くない幽霊さんばっかりでしたけど。怖いのは正直苦手だけど、このシリーズではもうちょっと怖くされてもいいかな、なんて。
今作、久々の太一郎視点で、、、やっぱり太一郎が主人公がいいなぁ、と思いながら読んでいたんですが、著者のあとがきを読むと、ここしばらく太一郎視点が遠のいていた理由が明かされてありまして。まぁ、確かに、、、と思いつつも、そこは著者に今後も何とか捻り出してもらって太一郎を何卒主人公に置いてやってください、どうかお願いします、という気持ちに至りましたデス。 -
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皆塵堂シリーズ第11作。
今回は久しぶりに太一郎が主人公。〈銀杏屋〉の若旦那として、霊能力者としては第一作から一回りも二回りも成長した太一郎が、このシリーズでどんな活躍を見せるのか…という話には勿論ならない。そのわけはあとがきにて書かれている。
物語は太一郎視点で進むが、主人公は峰吉の妹・お縫と言えるだろう。彼女は大店の札差の養女となっていて、峰吉とは全く境遇は違う(その理由も本作にある)だけに見た目や話し方はお嬢様なのだが、付き合えば付き合うほど峰吉の妹だなと感じる。
彼女は幽霊に興味があり、幽霊が出るという家を見つけてはその霊現象を収める解決策を試している。太一郎は彼女のフォロー役で、解決策が違っていても裏で上手く解決するようにという命を受けて見守り役になっているのだが、その結果は…という内容。
いつものシリーズらしく、太一郎は猫の鮪助に遊ばれ、巳之助はお縫のお付きの女中の美しい娘に速攻で振られ、茂蔵は役に立っているのか立たないのかで、庄三郎は幽霊のような存在感の薄さで、伊平次は珍しくお店にいることもあるが基本釣りに行っていて、清左衛門は木のうんちくを披露し…という楽しさはある。
唯一、峰吉がお縫といるときのみちょっと調子が違うところがあるのが面白かった。
おかげで面白く読めたのだが、最初の予想とは違う転換で少し肩透かしな部分もあった。
何といってもお縫が幽霊が見えないから見たいという好奇心いっぱいのお嬢さんかと思ったら、結構現実的な子で、そこも兄妹だなという印象。
そしてもっと太一郎を振り回すのかと思ったら、結果的に太一郎はほぼ何もしていなかった。
それもこのシリーズらしさと言えば言えるのだろうけれど。
最後は茂蔵と巳之助のお約束の場面ということで上手く収まった…と言えるだろうか。
シリーズ一覧 ※はレビュー登録あり
①古道具屋皆塵堂
②猫除け ※
③蔵盗み
④迎え猫 ※
⑤祟り婿 ※
⑥影憑き ※
⑦夢の猫 ※
⑧呪い禍 ※
⑨髪追い ※
⑩怨返し ※
⑪闇試し 本作 ※ -
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シリーズ第十一弾。
曰く物ばかりの品ぞろえでお馴染みの古道具屋〈皆塵堂〉を舞台にした、おとぼけ怪談(?)連作五話が収録されております。
浅草の古道具屋〈銀杏屋〉の主・太一郎は幽霊が視える能力の持ち主。
そんな太一郎の元に、大店の札差〈大和屋〉の養女・お縫が“ある物を見てほしい”とのことでやってきます。
彼女が持ち込んだ香炉には女の霊の執念が憑いていて、この香炉の扱いについて太一郎に相談したいと、お縫は言うのですが・・・。
今回は久しぶりに、太一郎視点でお送りしております。
基本、このシリーズはその巻の“被害者”が主人公で、その視点で進むパターンなのですが、今回はそのパターンではなく、太一郎は傍観者というかお縫ちゃんのオブザーバー的なポジションです。
(あ、猫に関しては相変わらず“被害”に遭っていますがw)
というのは、霊感は無いものの幽霊に興味津々のお縫ちゃんの、“幽霊への対処法”を見守り、合っている場合は良いとして違っている場合は太一郎が裏でコソっと対処するという役割を押し付けられたという次第で、この巻は、お縫ちゃんの霊への対処“腕試しツアー”に太一郎他数名が連れまわされる展開となっております。
さて、この新キャラ・お縫ちゃんですが、一見礼儀正しく、聡明な少女なのですが、何気に強引でやたら動きが素早く、恐るべき情報収集能力を持っているという具合で、彼女を初めて見た時、太一郎が“そこはかとない不安に襲われた”との事・・・そんな彼女の正体は・・・笑えます。(正体に“驚く”ではなく“笑える”のがミソww私だけかな~)
まぁ、“この兄にしてこの妹あり”という感じでしょうか。
というわけで、ここのところ出番が少なかった太一郎(その件については、「あとがき」で著者の輪渡さんが言い訳?しています)が、この巻では終始登場しております。
とはいえ、彼が前面で活躍するわけでもなく、ただ振り回されていたという、いつものユルい展開でした。
(因みに、今回の“被害者”は茂蔵だった気が・・)
ただ、お縫ちゃんや、お美しい女中・お志乃さんという新キャラが登場したとはいえ、ちょっと内容がマンネリ化した気がしないでもないので、いっそのこと、巳之助の背中に「猫好き日本一」の幟をたてて、太一郎、峰吉、茂蔵をお供に“猫をいじめる野郎を退治する諸国漫遊の旅”という新展開(で、行く先々で怪異に出会う)でもいいかも~なんて思った次第です。 -
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堀割ー地面を掘った水路。お堀です。
メフィスト賞で珍しく時代小説です。
浪人左門あやかし指南でシリーズ化されているようです。
解説者もおっしゃる通り、ミステリ+時代小説+怪談=捕物帳 という図式です。
江戸の怪談を挟み、その怪談を利用した事件が起こり、世の中に不思議はないのです。という流れかと思います。
設定もストーリーも面白いのですが、登場人物が多い割に唐突に出てくる感じなので、関係性とか立場とか読み取るのが少し大変。使われる怪談の場面の変化のつながりももう少し。
浪人左門が最後に自分の立場の説明をしたので、次作から読みやすいと思います。 -
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シリーズ第十弾。
越ケ谷宿の旅籠で働く藤七は、亡くなった旅籠の主人で伯父の仁兵衛の遺品に憑いていた幽霊を見てしまいます。
どうも仁兵衛は昔、「すっぽんの桑次郎」という異名で借金の取り立てをしていたらしいことが判明。
この曰く付きの遺品を元の持ち主たちに返す為に江戸に行くことになった藤七ですが・・・。
遺品を返すと共に、幽霊の謎と、恩人である仁兵衛が本当に恨まれていたのかということを解明する為に、「皆塵堂」の“クセ強”メンバー達の協力を得て江戸のあちこちを訪ねる藤七。
今回は怪談パートが少な目で、話の展開もサクサク進んでアッサリとした感じでした。
本筋の内容が浅かったのは、ご隠居・清左衛門の“木の話”にページが割かれていたのが原因では?と勝手に思っております。
「知りたがり」が災いして(?)ご隠居の話し相手をさせられていた藤七ですが、そんな藤七に伊平次が料理屋への口利きを提案するなど、(おそらくご隠居のお相手要員として)江戸に滞在できるよういつになく熱心だったのが、“どんだけご隠居の話相手するのが嫌やねん!”と思わず苦笑しました。
因みに太一郎は、“猫”が原因で寝込んでいた為(ねこでねこむ・・・あ、いや、洒落ではないですww)、終盤にちょっとしか出てきませんでして、この“太一郎小出しパターン”にも慣れてきた感じです。
あと、著者の方のあとがきで描かれていた“猫三十郎”裏話にはニヤリとさせて頂きました。
これからも、遊び心とユルさとちょっぴりの怖さが盛り込まれた当シリーズを楽しみにしております~。 -
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古道具屋皆塵堂シリーズ、10作目。
幽霊が憑いた叔父の遺品を元の持ち主に返すため、「知りたがりの藤七」こと甥の藤七が江戸に出向き、皆塵堂メンバーの助けを借りつつ、叔父の正体、遺品の謎を解き明かす。
皆塵堂メンバーとのやり取りはいつもながらに楽しいんだけど、「知りたがりの藤七」だけに話がしばしば脱線して、ちょっと展開が遅く感じた。怪異噺も、最初のが一番怖かっただけで、いつもよりパワーダウン気味。ホラー苦手なので、とびっきりのホラーを望んではいないんだけど、もう少し怖くてもいいかも?
あと、シリーズならではで、歴代のゲストキャラが再登場してくれるのは嬉しいんだけど、10作目となると、もはや覚えていないキャラもいて。思い出すのに少々苦労致しました。 -
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ネタバレ本作では新しい登場人物はなく,皆塵堂に居候することになるのは巳之助の弟分,茂蔵である。
「朽ち祠」
茂蔵が以前の遊び仲間との花見の宴の帰り道,ほろ酔い気分で歩いていたところ奇妙な祠を見つけて,つい扉を開けて,御神体が入っていると思われる箱を開けてしまう。するとそこから女の髪の毛らしきものが飛び出して茂蔵を襲った。「パキッ」という音とともに攻撃が止むと,髪の毛は自ら箱に戻ったので,茂蔵は蓋をしてしっかり紐で縛って祠に戻した。
しかし髪が箱から出たときの不穏な気配を遠くで太一郎が察知していた。
「髪絡み」
翌日再び祠を訪れると,箱が消えてしまっていた。皆塵堂チームは箱探しを始める。茂蔵はことの発端を作った責任から箱探しに加わることになり,その間皆塵堂に居候することになった。
太一郎が気配を感じた店に行ってみると,店主の八べえが梯子から落ちたところだった。その時足に黒いものが絡みついているという証言が出ていた。八兵衛はその後死亡し,葬儀が終わってから訪ねて箱のことを尋ねると捨ててしまったという。捨てられたゴミはすでにそこにはなかった。
「死神憑き」
太一郎が気配を感じた戸倉屋に古道具の買い取りを装い訪ねてみると逆に相談を持ちかけられてしまう。跡取り息子が死神にとりつかれたようで,自殺を図ったり死にたがっているという。息子の件を解決するのと引き換えに戸倉屋からなんでも譲ってもらえるということになる。皆塵堂チームはそれぞれ息子・喜三郎に生きる気力が湧きそうなものを持ち寄ることにする。巳之助はうまい魚,峰吉は高さの違う枕をたくさん,茂蔵は大量の枕絵を持ち寄った。そして太一郎は連助の件で宮越が折った刀から作ったという小刀を渡す。それで自殺を図ったらどうするんだという周囲の心配も気にする様子はない。
「髪つき首」
茂蔵はひとりではこの行方を追ってとある道具屋を訪れる。すると,箱は確かにあったが売れてしまったという。買った男の話を聞いて追いかける。次のところでもすでに転売されており,「八助」という男が買っていったらしい。その名前に危ういものを感じるが,緊急性があると思い一人で八助の家に向かうと...。
「花の祠」
太一郎は箱の最後のターゲットと思われる店を訪ねる。 -
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ネタバレ本作の問題人物は,腕の良い料理人ながら,勤め先の営業不振で自ら職を辞した麻四郎。親戚の料理屋で雇ってもらおうとしたところタイミングが良くないのでしばらく待ってくれと言われ,その間料理人以外の仕事をしておけと言われ塩の振り売りに身をやつしている。ある日,修行中に気にかけてくれていた老人に出会い,皆塵堂に行くように勧められる。前作までの連助や円九郎も引き続き登場し,ドタバタを繰り広げる。
「何かが起こる店」
富士見屋の弥平という男が怪しげなツボを買い取ってほしいとやってくる。峰吉はタダでもいらないと一度は突っぱねるが,店先に置かれたいくつかの品を買い取るという交換条件で引き取ることになる。しかし夜中に物音で目を覚ました麻四郎は暗闇に壺が倒れていてその口から男の頭が出てくるのを見てしまう。
「足音の主」
大工の作五郎という男から家のいらない道具をまとめて引き取って欲しいという依頼を受け,伊平次と麻四郎が引き取りに行く。女房が誰もいない2階で不審の物音がするといい,取り合わなかった作五郎と喧嘩をして実家に帰ってしまったという。しかし,伊平次と麻四郎も物音を聞いてしまい,原因を調査することになる。
「正しい楽しみ方」
伊平次が知り合いの古道具屋から良くないものを掴まされてしまったので引き取って欲しいと依頼を受ける。皆塵堂に新しい奉公人が入ったと聞いて様子を見に来た連助は麻四郎とともに引き取りに行ってほしいと頼まれる。その前に麻四郎は米屋で働いている円九郎に連助残し方を聞く。円九郎は連助に幽霊を見せて一泡吹かせたいと考えていて,麻四郎にも協力してほしいと頼む。そして引き取りに行った先は丸屋という店の蔵で。連助と二人で蔵の中に入った麻四郎は,不穏な空気を感じ,やがて実際幽霊を見るのだが,なぜか連助は絶妙なタイミングで幽霊を見ないで済んでしまう。流石の麻四郎もいらつくのだが...。
「開かない引き出し」
麻四郎の親戚で最初雇ってもらおうとしていた店の芝蔵が皆塵堂に呼ばれてやってきて,麻四郎の知らない呪いの話を知らせる。
一方木綿問屋の上総屋からの依頼で道具を引き取りに行くことになった麻四郎は円九郎を連れて行くことになる。ものは引き出しが開かなくなってしまった鏡台。上総屋の娘にいいところを見せようとした円九郎は力任せに鏡台の引き出しを開けようとする。するとついに開いた引き出しから老婆の頭が飛び出して...。
「のろいか」
芝蔵が熊谷に住む自分の父親惣兵衛を連れて皆塵堂を訪ねてくる。騒兵衛は前回芝蔵がした話についてより詳しいことを話すという。そして,太一郎が麻四郎が出会った幽霊たちについて素性を明らかにする。 -
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〈古道具屋皆塵堂〉シリーズ第十作。
好きなシリーズではあるが、作家さんが書かれているようにこんなに長いシリーズになるとは思わなかった。
今回の主人公は越ケ谷宿の旅籠で働く藤七(とうしち)。自分を引き取り育ててくれた伯父・仁兵衛が亡くなり、その息子で従兄弟・与吉に頼まれて仁兵衛の遺品を持ち主に返すために江戸へ行くことに。
もちろんその遺品はタダの品物ではなく、幽霊付き。そして持ち主が見つからなければ引き取ってくれるという古道具屋はもちろん〈皆塵堂〉。
男女の幽霊が出てきたり、江戸に着いたとたんに刀狩りに遭って遺品の刀を盗られたりと散々な目に遭う藤七だが、助けてくれたのはなんという偶然か、魚釣りにやって来た伊平次(今さらだが、彼が三十代半ばだったとは意外。もっと年上だと思っていた)。
そして早速、峰吉の小憎らしさ、伊平次の大らかさというかいい加減さ、清左衛門の話の長さに巳之助の猫好きというメインキャストたちの個性に面食らう。
今回も太一郎はなかなか登場しない。何故なら猫が生まれすぎて太一郎の部屋に集結してしまったからだという、太一郎の事情を知らない藤七には何とも理解しづらい状況だ。
だが最後に太一郎は格好の良いところも見せてくれるのでお楽しみに。猫に好かれ過ぎてお気の毒なところと、キリっと真相を見抜くギャップが面白い。
ただ今回の話だけで言えば、ちょっととんとん拍子すぎてあっけなかったようにも思う。
本筋としては藤七にとっては大恩ある伯父・仁兵衛が、実はとんでもない悪人だったのかどうなのかという真相を探るもの。
シリーズ初期であれば、その探索のなかで様々なホラーな出来事があり、一方でコミカルな要素があったりとバランスよく織り交ぜてあったのだが、段々とコミカル要素の方が強くなってきたように思う。
そのせいか、最後がちょっとバタバタしてあっけなく片付いていったのが残念。
ただ真相としてはホッとしたし、オチも面白かった。
これから峰吉の名が独り歩きしていくのかどうかも楽しみ。
※シリーズ作品一覧
★はレビュー登録あり
「古道具屋皆塵堂」
「猫除け」★
「蔵盗み」
「迎え猫」★
「祟り婿」★
「影憑き」★
「夢の猫」★
「呪い禍」★
「髪追い」★
「怨返し」本作★ -
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ネタバレ今作の中心人物は行き倒れて拾われて居候になったとかでなく,普通の商家の息子,連助。連助は幽霊とか呪いとか祟りとかを一切信じないばかりか,信じている人間をばかにするような男。それが皆塵堂の噂を聞いて,真実を明らかにすべく従業員として乗り込んできたという設定。しかしそれには訳があった。とは言え実際に皆塵堂には出てしまうわけで,伊平次や清左衛門は理由がわかるまでは連助になんとか見せないで済ませようと骨を折る。
「質屋蔵」
伊平次と清左衛門と連助は蔵に幽霊が出るという質屋,多丸屋を訪れる。そして幽霊を確認するために泊まり込む。夜中に蔵の方からの物音を聞いた連助は蔵に行ってみるも。何もいないし,蔵前の玉砂利には跡もついていない。蔵の幽霊の謎は解けるのか。
「衝立から除く顔」
飲み屋をやっている熊七という男が衝立を売りに来る。店に置いていたところ,その衝立から幽霊が覗くのだという。連助は幽霊のデマを暴こうと熊七の店に泊まり込む。熊七の店のある場所は立て続けに店が短期間で閉店を繰り返しているところだそうで,熊七の店も最初はそれなりに繁盛していたのに時間とともに客足が遠のくようになったという。そこに衝立の幽霊騒ぎでますます客が減ってしまっているらしい。
「幽霊屋敷 出ても見ぬふり」
清左衛門が知り合いの材木商の隠居,孫兵衛から新しく手に入れた隠宅にもともとあった家財道具を皆塵堂で一切引き取って欲しいと依頼を受ける。しかしその家には良からぬものが出るらしい。清左衛門はその作業に連助を行かせることを危惧している。果たして引き取り作業は無事行われるのか。そして連助の幽霊嫌いの訳も明らかになってくる。
「六連屋と妖刀」
連助の怪我を診に来ている藪医者の了玄が今診ている寿屋のおつるという少女の状態が良くないのだと話す。寿屋では少し前にお鶴の祖父,万平が亡くなっており,祈祷師が万平がおつるを一緒に連れて行こうとしてるのだなどと言っているらしい。これに激怒した連助は了玄とともに寿屋に乗り込むと宣言する。
祈祷師によると離れにある万平の気に入りの品も持っていこうとしてるということで,離れの品をお祓いして道具屋に引き取らせることになっているという。その祈祷師の連れてくる道具屋の名前が皆塵堂と言うそうだ。それを聞いて皆塵堂の面々は驚く。どうもインチキ祈祷師が偽の皆塵堂を従えてやってくるらしい。果たして幽霊話の真相は。一方巳之助と太一郎は,連助が婿入することになっている六連屋に乗り込み呪いの刀を見せてほしいと頼む。
「刀を折る者」
太一郎によると刀には強い力の呪いがいくつもかかっていて,自分にはどうしようもないという。刀は折ってしまえば良いらしいが,刀に害をなす意志を持つとそれを刀の呪いによって排除されるようだ。そこで伊平次は一計を案じる。 -
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ネタバレ橘屋という大店の手代だった益次郎は,主人にも可愛がられゆくゆくは娘の婿にして家を継がせ用途考えられていたが,ある時見に覚えのない,店の金を盗んだという濡れ衣を着せられ追い出されてしまった。店を恨み,強盗に入るか,火付けでもしてやろうかと考えていたところ,名を知られた盗賊・甚左に声をかけられ,押し込みの手引をしてくれたら代わりに橘屋に復讐してやると誘われ乗ってしまう。甚左は畜生働きはしない盗賊として有名だったので,人死にが出ないならと思ったのであった。しかし手引のために潜入する店は大店でもなんでもなく薄汚い古道具屋・皆塵堂であった。店の奥の立派な蔵の中になにか金目のものが入っていそうなのでそれを調べろというのである。首尾よく皆塵堂に雇われた益次郎だったが店の中はガラクタで足の踏み場もなく,文字通り蔵にはたどり着けない状態。そこで根気よく店の片付けから始めるのであった。
「水底の腕」
益次郎は伊平次に誘われ釣りに出る。そして伊平次は幽霊の話をしかける。昼間から幽霊の話をされてもと思っていると,伊平次が益次郎に渡した釣り竿が正に曰く品で,益次郎は釣り糸を垂らしていると水の中から現れた女に水の中に引きずり込まれてしまう。そこが材木商鳴海屋の木場だったので,鳴海屋の若い衆などに助け出され事なきを得た。
皆塵堂に来て早々怖い目にあってしまった益次郎だが秘めた思惑のために逃げ出すわけにもいかない。
「おいらの机だ」
益次郎が店番をしていると,甚左の連絡係と思しき浪人がやってきて店先で騒ぎを起こす。手荒なことはしないという甚左の噂にそぐわないと少々疑問に思うのだが。
宮越礼蔵(以前,呪いの刀と辻斬りの事件で登場)がやってきて手習い所を始めたものの,必要な道具類が足りないので手に入れたいという。そのすぐ後,益次郎は店の中で子供の幽霊を見てしまう。その幽霊の視線の先に,手習い所で使うようなできのよい天神机があった。入手経緯から曰く有りげの品であったが,手習い所で使うなら昼間だから大丈夫だろうと,宮越の手習い所に持っていく。するとそこに来ていたこの一人が,この机は自分のものだと泣いて駄々をこねだす。
「幽霊屋敷 出るか出ないか」
猫を飼いたい巳之助は,そのために猫好きの女房をもらう必要があると考え,神頼みをして回っていた。その途中で,風体の悪い男に絡まれていた女を助ける。その男は近所で評判の遊び人茂蔵だった。何故か助けた女には見向きもされないのに,やっつけた茂蔵の方に男惚れされ懐かれてしまう。
皆塵堂に宗右衛門という男が現れ,手持ちのとある家の中にある道具類を一切合財引き取って欲しいという。そこで伊平次は益次郎に巳之助を連れて引き取ってくるように言いつける。巳之助は依頼主が振る舞うという酒に釣られたのだったが。胡散臭い話と訝る益次郎に,伊平次は太一郎が大丈夫だといったからと安心している。しかし,泊りがけで引き取りに行った二人は夜中に幽霊を見てしまう。
「人形の囁き」
主人のために根付を見繕いに来た庄三郎の帰り道に同行した益次郎は庄三郎の顔見知りの伊勢屋の主人・久兵衛から見てほしいものがあると言われて伊勢屋に向かう。久兵衛が見せたのは立派な人形だった。伊勢屋には幼くしてなくなった娘がいた。人形は娘のために作らせたもので,娘の部屋に置かれていた。ある朝女中のおまさが掃除をしていると部屋からなにか声が聞こえたのでこっそり除いてみると人形が動いて近づいてきたという。その後何度か同じようなことがあって,おまさは店を辞めてしまった。
久兵衛は人形に娘の霊が憑いているかもしれないと考え,皆塵堂に見てほしいというのだ。
益次郎は人形を連れて帰ると,夜中に気付くと,箱に入れてあったはずの人形が横に寝ていて,立ち上がって,「帰りたい」と囁くのを見てしまう。
「蔵の中」
益次郎の前に不意に甚左が現れてかねてからの計画を実行するという。益次郎はまだ蔵の中身を確かめられていなかったが別に構わないという。鍵を開けておくように言われるが,そもそも皆塵堂はちゃんと戸締まりなどしていない。しかし,実は...。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第九弾(一旦完結→再開を経て)。
酔った勢いで祠の戸を開けて、封印されていた箱を開けてしまった茂蔵。
中には女の髪が詰められていて、なんとその長い髪が茂蔵を襲ってきて・・・。
基本ユルいのですが、怪異描写は何気に怖いこのシリーズ。
襲う髪の毛は、不幸な目に遭って自害したお此さんというおかみさんの怨念との事で、茂蔵と皆塵堂メンバーがその怨念を残す魂を救うべく行動します。
今回は、太一郎が割と前面で活躍してくれて嬉しかったです。
なるほど、やけに件の箱を取り戻すのがノロノロしているなと思ったら、“敢えて襲わせて”いたのですな・・。
太一郎ってば、こういうドライな面もあれば、猫が苦手なのにやたら好かれて困っているところとか、そのギャップが好きですね。
猫が好きすぎる魚屋の巳之助や、食えない小僧・峰吉、材木屋のご隠居で家主の清左衛門さんも安定のキャラで楽しませてくれます。
そして謎の多い皆塵堂の主・伊平次が元植木屋で弟がいる事が判明(以前にも触れていたかもですが、全然覚えていないww)。
と、いうことで(?)個人的に今後、伊平次を深堀してほしいと思った次第です。