輪渡颯介のレビュー一覧
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“祝・皆塵堂再開”ということで、しれっとシリーズ第八弾です。
今回、皆塵堂で働くことになったのは、人が良くて真面目な元料理人の麻四郎。
彼に立て続けに起こる“地味な不運”は果たして“呪い”によるものなのでしょうか・・・。
まずは、久々に皆塵堂メンバーに再会できて嬉しいですね。良くも悪くも相変わらず・・と言いたいところですが、峰吉の“客察知センサー”と巳之助の“猫馬鹿データ”がさらにパワーアップしている気がします。
そして『祟り婿』に登場した連助と『影憑き』に登場した円九郎も再登場。
頑なに幽霊を信じなくて太一郎を敵視する連助に、またもやイラっとさせられましたが、峰吉の言う“正しい連助の楽しみ方”に、目から鱗が落ちたような気持になりました(笑)。これで私も“連助を楽しむ”ことができるかも?
ついでに麻四郎が言うていた“峰吉の正しい楽しみ方”も知りたいものです。
せっかくシリーズ再始動したのに、太一郎の出番がちょっとしかなくて寂しかったので、今後はもっと登場して欲しいです。という事で次作も楽しみにしております。 -
Posted by ブクログ
何故か『曰く付き』の品と不運な男が引き寄せられる〈古道具屋皆塵堂〉。前作「夢の猫」のあとがきで『完結編』と書いてあったことはなかったことになっている…つまりシリーズは続くということらしい。好きなシリーズなので嬉しいことではある。
今回〈皆塵堂〉で働くことになったのは麻四郎。料理人として長年勤めていた料理屋からリストラされ退職金もなく、当てにしていた親類の居酒屋で働くことも出来なくなり振り売りの仕事でしのいでいて…という典型的な転落振り。そんな折に知り合いの料理屋の主から紹介されて〈皆塵堂〉で働くことに。
早速働かない店主・伊平次や相手によって見事に態度を使い分ける小僧・峰吉、『曰く付き』の品による怪異という〈皆塵堂〉の洗礼を受ける。
麻四郎の『不運』は一つ一つは小さなものなのだが、重なれば呪いか?と疑いたくなる。居酒屋を営む親類から聞かされた話は正にその疑いから確定になりそうなものだったが、真相は。そして麻四郎の『不運』は収まるのか。
タイトルの「呪い禍」は多分「コロナ禍」に引っ掛けているのだろうが、もう一つ、「呪いか?(呪いなのか、そうじゃないのか)」というダジャレでもあるようだ。
オチはこれまでの輪渡さんらしい脱力系。
シリーズ再開ということで、これまで〈皆塵堂〉で働いていた男たちも再登場。
隣の米屋で働く円九郎は相変わらず怠けることばかり考えているようだが、米俵を担ぐくらいは出来るようになった(その後が笑える)らしいし、女性の前ではキリッとしている。
間抜けな呪いを掛けられた連助は相変わらず幽霊や化け物を見ないし信じない。目の前に幽霊がいるのにほどけた褌の紐を閉め直すのに必死。間が良いのか悪いのか。
〈銀杏屋〉の若旦那・太一郎は猫が苦手なのに相変わらず猫に追いかけられている。だが彼の目利きは確かで安心出来る。
そして〈皆塵堂〉で働いてはいないがレギュラーの巳之助。相変わらずの猫好きは変態レベルで町内の飼い猫から新たに産まれた猫まで全て把握している。引き取り手探しから猫の快適な暮らしのためなら部屋主を蔑ろにすることすら当たり前。
峰吉の達観も感心レベル。大家で世話好きな清右衛門が何故か円九郎にだけ厳しいのも笑える。
麻四郎が周囲に振り回されてばかりのキャラクターなのかと思っていたら、時に峰吉より先に客の応対をしようと対抗意識を持ったり(負けるけど)クセのある男たちを上手く使う方法を考えたりとなかなか逞しい。
ちょっと盛り上がりにかける話ではあったが、いつものユーモラスな輪渡作品らしさを楽しめた。このくらいのユルさが良いのかも知れない。
※古道具屋皆塵堂シリーズ一覧
(★はレビュー登録あり)
①「古道具屋皆塵堂」
②「猫除け」★
③「蔵盗み」
④「迎え猫」★
⑤「祟り婿」★
⑥「影憑き」★
⑦「夢の猫」★
⑧「呪い禍」(本作)★ -
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面白くてちょっぴり怖い(?)、ユーモア悪霊時代小説です。
薬種屋の息子・伊勢次と貧乏御家人の七男・文七郎は、共に死んだ祖父の幽霊に悩まされています。
ある日、伊勢次は祖父・左五平の幽霊に、聞き込んだ幽霊騒動を調査するように頼まれ、渋々、件のお店に足を運ぶことに。
一方、左五平に張り合う文七郎の祖父・十右衛門の幽霊も、孫に幽霊騒動を解決するように命令する始末。
怖がりで、自分のじいちゃんの幽霊にも毎回ビビりまくる伊勢次と、悪霊除けの御札を張った刀で自分の祖父の幽霊を成敗しようとする、怖いものしらずの文七郎のコンビが、絶妙なバランスで良い味出ています。
この二人のメインキャラが理不尽に苦労する羽目になるのも、 輪渡作品のお約束という感じでお気の毒ですが笑えます。
このパターンで、続編もできそうな気がするので期待しております。 -
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輪渡さんらしいコミカルなホラーエンタメ。
生前の世話焼きが死んで幽霊となっても変わらず、自分の代わりに孫の伊勢次にむりやり押し付ける祖父の左五平。
伊勢次は跡取り息子として店の仕事を覚えなければならないのに、左五平の霊のせいで奔走させられる上に両親や店の者たちからは放蕩息子と思われてすっかり見限られている始末。
さらに怖いものが大の苦手の伊勢次に左五平は知り合いの店の幽霊騒動の解決を命じて…。
怖いものが大の苦手なのに幽霊だの化け物だのに無理やり付き合わされてしまうという輪渡さんお得意の展開。
そしてもう一つ、輪渡さんの作品ではそういう怖がりキャラと対照的に幽霊や化け物の類が全く怖くない、或いは全く感じない人間というのも出てくるのだが、この作品で言えば貧乏御家人の七男・文七郎。
面白いのは文七郎もまた伊勢次と同様、祖父の霊に嫌がらせをされて様々な指令を受けるわけだが、この祖父の十右衛門は何故か伊勢次の祖父・左五平と反りが合わず死んでもなお左五平と張り合っている。
そして左五平の命令を受けて伊勢次が幽霊騒動の解決に乗り出したと知るや、孫の文七郎にお前もやれと命じる。
幸い文七郎と伊勢次にはライバル意識はなく寧ろ互いに似た境遇の辛いもの同士、伊勢次は怖がりだが文七郎は剣の遣い手で怖いもの知らずというところからコンビとなって幽霊騒動に取り組んで行く。
ドタバタありユーモアあり、ちょっとホラーと謎解きありと輪渡さんらしさが楽しめる。
ただタイトルのようにおじいちゃんたちの霊が活躍するのではなく、命じられた孫たちが振り回されながらも頑張っているという話だし、『悪霊じいちゃん』というよりは『いじわるじいちゃん』という感じだ。
怖がりの伊勢次に対して左五平は毎度恐ろしいビジュアルで登場し(そして伊勢次は毎度猛烈に驚いてくれる)、常に貧乏でお腹を空かせている文七郎に対して十右衛門は食べ物の味を猛烈にまずくするという、しょうもない嫌がらせでサインを送る。
途中で古道具屋が登場したときはあの古道具屋か?と思わず期待してしまった。
結局伊勢次は店の仕事を覚えられないまま放蕩息子と思われたままで、彼の名誉回復はないのかなとお気の毒に思ったがそれも輪渡さんらしさだろうか。 -
Posted by ブクログ
このパターン、そろそろ変えてほしい気も。
身に覚えのない濡れ衣を着せされ、長く勤めた橘屋を追い出された益次郎。
橘屋に仕返しができないかと悶々とする時に出逢ったのは。
成り行きで皆塵堂で働くことになった益次郎。
かなりのやり手で、店前で呼び込み、せっせと道具を売り、商品を片付け、大道具を売り込むために長屋回り。夜は峰吉に読み書きを教えることまで。
同じ苦労人でも前作の庄三郎とは随分違うなあ。
そんな庄三郎も今回は不器用ながらも益次郎を助けようと働く。頑張ってるのね、なんてついほっこり。
相変わらず、事件は凄惨、だんだんと明かされていく過去も陰鬱。
でも、また皆塵堂の面々がのんびりと解決していく。
礼蔵さん、男前です。