島村浩子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ペナンブラ氏の24時間書店」の前日譚で、若きペナンブラが書店員になるまでの物語。
130Pほどしかなく、1Pの文字数も少ないけれど、この短い中でペナンブラがモー(組織)の“書店”に惹かれていく様が心理的な面も含めて描かれ、「ペナンブラ氏の24時間書店」で語られていなかった部分(ペナンブラはなぜ古いコンピューターマニアだったのか)について「なるほどそれで」と推察できる描写まである。
いずれも後付け感がなく、著者はかつて予言めいた映像作品を作ったことでも知られるけどめちゃくちゃ頭がいいのではないかと思う。
「ペナンブラ氏の24時間書店」は、TRPGのパーティーさながら、主人公が様々な業界に属する友人たちの協力を得て「書店」「協会」「本」の謎を解いていく物語。その彼のボスにもかつて同じように仲間がいて、同じように「クエスト」し、書店員となった。この前日譚を読んでから再び「ペナンブラ氏の〜」を読むとまた違った感慨があるだろうと思う。 -
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婆ちゃんが何回も転ぶ話
「ワニの町へ来たスパイ」
シリーズ三作目
CIAの秘密工作員フォーチュンは、ある事件をきっかけに命を狙われることになり、ルイジアナ州の地味な湿地帯の町シンフルに潜伏することになった。
だが、シンフルには様々な危険が…
まず、三作目にして二週間しか経っていないのだが…三作品とも人が死んでいる…トラブルが起こり過ぎている。
今回は友人のアイダ・ベル婆ちゃんに
殺人容疑がかかり、疑いをはらすため
主人公が奔走する。
いつも読みはじめは「あぁ、この感じね」と、ひたすら悪い方向に展開していくことにやや冷めた目で見つつ
たまにニヤニヤする感じでスタートする。
だんだん「なんでそうなる」と言いたくなるほど事態が悪化
それをドタバタと、飄々と、突き進んでいく三人を見て楽しくなっていく。
他の作品では見ることのない、一般市民なりに機転をきかせた"問題児として睨まれている保安官へのアリバイ工作"も面白かった。
友人もいないスパイとして育ったフォーチュンにとって現代文化は異質。
前回はそれで大恥をかいたが、テレビやネットでの勉強を重ね、理解を深めつつある。
「戦場より危険な町」の暮らしは
命を守るための仮の暮らしで、早くもとの戦場に戻りたいと思っていたフォーチュンだが、
「本当にスパイの生活に戻りたいと思えているのか?」という問いが見え隠れして、町でトラブルに巻き込まれつつ保安官に少し恋心を抱いて「人を殺すとき」よりアドレナリンが出たり…
ヤンチャな婆ちゃん二人との会話も
なんだか戦友との会話のようで楽しそう
読んでて、だんだんコレが主人公にとっての青春なんじゃないか?と、ちょっとホロっときた途端、それを一瞬で忘れさせるくらい馬鹿馬鹿しい展開が押し寄せてきたり…
楽しめました!
追記: 前作ではフォーチュンとは正反対のカッコイイスパイのイメージとして「ララ・クロフト」や、今作にも男だったら誰でも好きになってしまう対象として「アンジェリーナ・ジョリー」の単語が出てくる。
もし、もう少し前に映画化になっていたとしたら、フォーチュン役をアンジーに演じさせて"あえて"いじるというのも面白かったかもしれない。
もう何年か経って、アイダ・ベル役をやってもらうのもアリかも… -
Posted by ブクログ
ワニの町に来たスパイ・シリーズ第三弾。国際武器商人の暗殺リストに載ってしまった女スパイ・フォーチュンが、罪深き町シンフルに身を潜めるようになってから二週間しか経過していないが、早くも三つ目の事件。第一作の事件は、潜入先の飼い犬が白骨死体を掘り起こしてしまったことに勃発したものの、その後の二つの事件はフォーチュン潜伏開始以来、まるでフォーチュンを目立たせようとでもいうかのような運命の悪戯により、彼女が来る前何十年も平和であった田舎町が、火薬庫をひっくり返したかのような大騒ぎに見舞われる。
一作一作がしっかり接続しているためにすべてが大きな長編小説のようにも思えるようなこのシリーズ、巻を追うごとに、フォーチュンとおばあちゃんズを中心としたお騒がせ危険トリオのスリリングなドタバタ捜査ぶりは、スケールを増しているように思える。特に体がついてゆかない太めのキャラであるガーティの満身創痍ぶりは、読者の方が心配したくなるくらい。肚を抱えて笑いながらの心配だけど。
登場人物中数少ないまともなキャラであるカフェ店員のアリーと、保安官助手カーターとの、人間的交流が徐々に増えてきて、全身武器とでもいうような人間機械であったフォーチュンに、普通の女の子の感覚を初めて芽生えさせてゆく気配もあり、なんだか切ないような、おかしいような、そしてやはりこの先が心配なような。
要するに三作も読むと、さすがにキャラたちへの愛情が読者サイドにも生まれてきちゃうのだ。それほどに愛すべきキャラたちを生み出した作家の策略にまんまとひっかかったような、さらにひっかり続けてゆきたいような、要するに幸せな感覚が、主人公のニックネーム<フォーチュン>に繋がってしまう辺り、何故か妙に納得してしまうシリーズなのである。
出版社はシリーズ版権を三作くらいサンプル的に獲得して、翻訳先の売れ行きが悪ければその先は打ち切りにしてしまうという。出版社も商売だから仕方がないとは言え、この際是非、日本の読者にこのシリーズを読んで頂きたい。読まなくても買って頂きたい。なぜならこの先フォーチュンの10作以上あるシリーズ事件を追いかけたいし、そこでつながっている愛すべき町の人たちとずっと交流を続けたいからだ。
原作がそこにあるのに、翻訳がされないという悲劇を生まないためにも是非このレビューを読んだ方々、ご協力をお願いいたします。フォーチュン愛で繋がりたい。シンフル愛で繋がりたい。おばあちゃんズに再会したい。レッツ・ゴー、ルイジアナ! -
Posted by ブクログ
「ワニ町」シリーズ2作目。
女スパイが田舎町に潜伏しての、痛快ユーモア・ミステリ。
CIAの工作員フォーチュンは、命を狙われて、南部の小さな町シンフルに隠れ住むことに。
1作目が解決した翌朝から始まるという、人を食った展開!
コージー・ミステリでは、普通の町に住む普通の人のはずが身近でやたら殺人事件多いというのはよくあるんだけど、ふつう3か月ぐらいは間を開けます(笑)
ミスコン女王を総なめにしていた若い女性パンジーが帰郷。
フォーチュンはたまたま、ミスコンテストで優勝経験ありという経歴にしていたため、ライバル視されてしまう。本当は柄じゃないのにね~。
大げんかになった後、事件が起こり?!
婦人会を仕切る凄腕アイダ-ベルとおっとりしたガーティのおばあちゃんコンビの頼もしいこと、可笑しいこと。
保安官助手のカーターとは、ロマンスの兆し?
遅いような気がしたけど、いやまだ数日なんだった~(笑)
スパイとしては有能だったはずのフォーチュンが調子狂いがちで、常識を知らないところも笑えたり。
田舎町にちょっと馴染んでくるあたり、ほろりとします。
今はコロナで大変な時期、明るい気分になれる作品はいつにもまして貴重!
なので~病気と闘う話よりも、こちらを先に☆ -
Posted by ブクログ
ヒロインがかっこいい!!
これまでのコージーミステリの定番、お料理系ヒロインと違い戦う主人公。
そして、ルイジアナの熱くてムシッとしてアリゲーターの出没する環境がまた素晴らしい。
はちゃめちゃな地元おばあさんたちの活躍も勢いがあって、謎めいてる。
再読
シリーズ翻訳9巻発売に伴って、原点回帰してみた。
最初にシンプルに降り立ったフォーチュンに声をかけたのは、保安官助手のカーターやったんやね。カーターの声掛けに切り返すフォーチュンが強気ですぐに好きになってしまう。
ガーディの見事な害のない老婆演技(?)にもコロッとだまされて、司令官アイダ・ベルの作戦行動に巻き込まれるの最高。 -
Posted by ブクログ
やっぱり面白い‼︎ 愉快痛快爽快。前作の「ワニの町へ来たスパイ」をほぼ忘れていて、面白かったという記憶しか残っていなかったが、思い出すように前作の話が散りばめられているので、問題なく読み進められた。この主人公のCIAの凄腕工作員フォーチュン、田舎町シンフルの凄いとしか言いようがないお婆ちゃんコンビのアイダ・ベルとガーディ。3人の軽妙な掛け合いや、保安官助手カーターとのやり取り。読んでいてニヤニヤが止まらない。それでいてミステリーの面白さも十分にある。とにかく出てくる人物皆キャラが立っていて、読み出したら止まらない。まるでミステリ仕立てのコメディ映画。そして読後は元気を貰える。
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Posted by ブクログ
日々の労働に疲れ果てていたロイスが気まぐれで頼んだデリバリー。その美味しさにつられて常連となったもののその店が閉店することになり、彼女はパン種を譲ってもらう。そのパン種は実に奇妙で、夜中に歌ったり出来上がったパンに笑顔を刻んだりさせる…
というなんだなんだという序盤から、あれよあれよと不思議な世界が展開していきます。やたら規模の大きな謎の地下マーケットや代々受け継がれるパン種の秘密、そしてロボットアームが卵を割りパンをこねる……コメディのようで実際読んでいて笑える描写や比喩も少なくないのですが、その実、活力を見失っていた女性が自己を取り戻し生きる道を見つけていくお話でもあり、彼女の行動や選択ひとつひとつを気持ちよく追っかけて読んでいくのでとても軽やかな気分になれました。
こういう話では、だから現代のシステム化された労働は!ブラック企業は!自然こそ素晴らしい!みたいな極論に走りそうですが、そんな単純には描かれてないのが子の本のいいところです。
先端技術開発に携わる女性が主人公が、その現代の最新技術を生かしてこその展開になっています。つまり「文明と文化の共存」が楽しく愉快に、ちょうどいい程度のファンタジックさを添えて描かれているんですね。そのバランス感覚がちょうどいいな、と思えました。
海外文学はどうしても合うかな、どうかなと考えながら読み始めるのですが、序盤の文体の軽やかさから一気に話に惹きこまれて、大変楽しく読ませて頂けました。