【感想・ネタバレ】ロイスと歌うパン種のレビュー

あらすじ

サンフランシスコのIT企業に就職した女性プログラマのロイス。激務で消耗した彼女の心身を救ったのは、近所の宅配レストランのパンとスープだった。親しくなった店主がアメリカを去ることになり、ロイスは秘伝のパン種を贈られる。それを使い自分でもパンを焼きはじめたとたん、彼女に思わぬ人や場所との出会いが訪れる……。千年以上もパン種を受け継ぐ奇妙な一族の物語、最新鋭ロボットアームを駆使したパン作り、謎の地下ファーマーズ・マーケット……パンが世界を変えていく!? とびきりヘンテコ、とびきり美味しい。新感覚フード・エンタテインメント!/解説=池澤春菜

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Posted by ブクログ

ネタバレ

古来から伝わるものと最先端のテクノロジーを発酵させるとこんなに面白いものができるのかと、同じ著者の作品を続けて読んで感動した。ロビン・スローンは職人だ。旧作にあたる「ペナンブラ氏の〜」を読んでいるとニヤッとできるファンサービスあり。
ベオのメールがだんだん長文になっていき(おそらくロイスのメールもそうなのだろう)、全てを受け入れてほしいという気持ちからか先祖の黒歴史っぽいことまで話しておきながら一応創作の可能性を匂わせておくのが微笑ましい。

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2021年05月11日

Posted by ブクログ

たまたま知り合いが興味を持った本をSNSにアップしていたのを見て、ついつい入手。

パンを作るのが好きで、自分で生地をこねたりすることに癒しを感じていたので、この本の内容も大変興味深く読みました。

ストーリーはファンタジーなのですが、パン作りと新たなテクノロジーが融合したかと思うと、摩訶不思議な菌の世界に。微生物や菌類といったジャンルも好きなので、これまた楽しみながら読みました。

読み終わってとにかくパンを作りたくなりましたが、特にサワードゥを作ってみたいです。

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2019年11月01日

Posted by ブクログ

日々の労働に疲れ果てていたロイスが気まぐれで頼んだデリバリー。その美味しさにつられて常連となったもののその店が閉店することになり、彼女はパン種を譲ってもらう。そのパン種は実に奇妙で、夜中に歌ったり出来上がったパンに笑顔を刻んだりさせる…

というなんだなんだという序盤から、あれよあれよと不思議な世界が展開していきます。やたら規模の大きな謎の地下マーケットや代々受け継がれるパン種の秘密、そしてロボットアームが卵を割りパンをこねる……コメディのようで実際読んでいて笑える描写や比喩も少なくないのですが、その実、活力を見失っていた女性が自己を取り戻し生きる道を見つけていくお話でもあり、彼女の行動や選択ひとつひとつを気持ちよく追っかけて読んでいくのでとても軽やかな気分になれました。

こういう話では、だから現代のシステム化された労働は!ブラック企業は!自然こそ素晴らしい!みたいな極論に走りそうですが、そんな単純には描かれてないのが子の本のいいところです。
先端技術開発に携わる女性が主人公が、その現代の最新技術を生かしてこその展開になっています。つまり「文明と文化の共存」が楽しく愉快に、ちょうどいい程度のファンタジックさを添えて描かれているんですね。そのバランス感覚がちょうどいいな、と思えました。

海外文学はどうしても合うかな、どうかなと考えながら読み始めるのですが、序盤の文体の軽やかさから一気に話に惹きこまれて、大変楽しく読ませて頂けました。

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2019年08月15日

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現代的であり、ファンタジーでもあり、
ロイスの性格がいいせいで出会う事柄が面白い方向に進む。
面白い小説でした。
パン食べよう。

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2019年07月02日

Posted by ブクログ

サンフランシスコってサワードウが名物なんだ。知らなかったな〜。
終盤、昔話のような展開で意外な方向へ。でもロボットアームをすてて素朴なほうへ回帰するのじゃなく、新しい道を探そうとするところがいいよね。
それをいうなら、ブラック企業のような会社も、パンを焼き始めてすぐにやめるのかなと思ったら意外と粘り強く働きつづけていたし、そこらへんに著者の信念が現れているみたい。おもしろかったです。

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2019年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

版元の創元社さんでパンを焼くブームのきっかけになった作品というのをツイッターで見かけ、気になって読んでみました。解説が池澤春菜さんで、パンを焼いてみたくなります。
不思議なスターター(パン酵母)を譲られてサワードウ(天然酵母のどっしりしたパン)を焼くようになってから、かなり不健康なプログラマー生活をやっていたロイスが変わっていく。一風変わったお店が集められたファーマーズマーケットのオープンを前にいろいろ問題が持ち上がってついにスターターの正体が……過去と現在が絡み合って物語が進むのと、ロイスの性別を意識させない感じが好き。
パンに顔のように見える亀裂が出来たり、スターターが歌うような音を出したりと、ちょっと不気味さを残したまま話が進んでいくので、もしかしたらパラサイトイヴみたいな展開が来るのではと途中思っていました。(当たらずも遠からず?)

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2019年06月15日

Posted by ブクログ

おもしろかった。お腹すいた。パン食べたい。
新しいものと古いものの共存が、ユニークな形で成り立ってておもしろい。

ベルリンでどんなレストランが出来上がるのか、想像すると楽しい。

わたしもダブルスパイシー食べてみたい。

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2019年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

翻訳の独特の言い回しやテンポに苦戦した。あとロイスたちが途中で誰が誰だかよくわからなく…。

主人公の心情に深く入り込んで、それをぐちゃぐちゃかき混ぜるみたいな小説じゃなくて、そういうところはさらりと描写して進んでいくところが、なんと言うか、新鮮だった。
登場人物たちの繋がりや関係がドライというか、ベタベタしてなくて誰にも肩入れしてないところも。

心身ともに疲れた主人公がおいしい食事と提供者に癒されて、自分も食事を作って人生が変わっていくっていうストーリーは日本でもよく見かけるけど、謎のサワードウ・ロボットアーム・未来食的アプローチなどの要素が散りばめられてて癒し小説に収まらないエネルギィッシュな小説になっているなと感じました。

まぁ正直キャラクターたちの行動理由や考え方などは、あまり理解できなかったけど、なんというかアメリカの爽やかさ、カラッとした雰囲気、みたいなものを感じた。
あと社畜はどこの国でも似たようなものなのだな、と思ったw

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2020年02月05日

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IT企業に勤務し疲れ果てたロイスは、近所の宅配レストランのパンとスープに活力をもらう。その店主が去る際に譲ってくれたパン種は実に不思議。歌を聴いて育ち、焼き上がったパンには笑顔が浮かぶ。
パンを作るのが好きなので読み始めた作品ですが、これは一体ファンタジーなのか何なのかと思いながら読み進めた。
ロボットとの融合、菌の増殖が出てきたりと、読み終わってみれば現実的な部分と少しのファンタジー要素が混ざり合った話なのかと思うが、そういうのはあまりこだわらずに読んだ方がいいのかもしれない。

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2019年11月08日

Posted by ブクログ

IT企業のSEとしてハードな生活を続けるロイスは宅配レストランのパンとスープを食べることで活力を得ていた。そのお気に入りのお店が不法就労で閉店することになり、ヘビーユーザーのロイスにパン種をくれた。小麦を足し音楽を聴かせることで種は生き続ける。ロイスのプログラミングによるロボットアームとパン種が奇跡を起こす。

菌が増殖する不思議さがポイントの一つ。ちょっとファンタジックでサイエンスノベルといった感じ。

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2019年08月31日

Posted by ブクログ

 ノンフィクションかと思わせるような小説である。きっとある程度は実体験があると思う。
 主人公はロボットを制御するシステムを開発するIT企業で働く若者だが、ひょんなことでパンの発酵種(スターター)を入手し、それで作ったパンがおいしく、いろいろと認められてパン屋になるといったストーリーである。
 このパンは「サワードゥ」sourdoughという馴染みうすい種類で食べたことがあるかかどうか分からないようなもので、なおかつサンフランシスコの近辺で繰り広げられる話なので土地勘というか、雰囲気が伝わらないのだ。
 そんなに美味しいパンを食べてみたいと何度も思うくらいだったのだが、パン作りが好きな人には本書はおもしろく読めると思う。サンフランシスコに詳しいなら猶更である。

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2019年07月27日

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