相田裕のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
とにかく痛々しさを感じる物語。かつてのキャッチコピーに「少女が手にしたのは大きな銃と小さな幸せ」というのがあった記憶があるが、この巻ではその「幸せ」の象徴であったヘンリエッタすらも「ロボット兵士」として扱われ、担当官のジョゼもそれを是とし(あるいはそのように自身を納得させ)戦いに赴く。
「戦闘」ではなく「戦争」と表現するのが正しいのかもしれないと思わされる両者の争いは、多くの犠牲を憎しみを生む。そんな中窮地に立たされたトリエラと彼女を救わんと死地に向かうヒルシャーの姿に思わず目が潤む。戦いの前日譚を含め、この二人の関係性は本当に良い。互いに自分の想いが愛情と知り、思いやりを持って言葉を掛け -
Posted by ブクログ
ネタバレイタリア社会の暗部を象徴する過激派勢力、五共和国派。
彼らを壊滅させるべく秘密裏に組織された社会福祉公社。
いま、両者による最後の総力戦の火蓋が切って落とされる。
そして、熾烈極まりない戦いの果てに彼女たちが迎える運命は・・・。
義体という作られた命 社会福祉公社の戦兵として
使い捨てられる運命にある彼女達
だからと言ってそれが死を正当化する理由足り得るだろうか
彼女たちが本当に求めていたのはほんの少しの思い遣りだったのかもしれない
「今となって思うのは、利己的な生き方・・・愛情 モラル・・・偽善 すべてが自分ってことだ。俺は誰にも恥じないぞ!」(byジョゼ・クローチェ) -
Posted by ブクログ
ネタバレ平和だったあの頃が嘘だったかのよう。
VS五共和国派のクライマックスに近づいてきたように思う。
そしてこのシリーズでもっとも激しいドンパチが繰り広げられます。
塔のテロも僕らにとっては激しく驚きの戦闘だったけど
今回に比べたら大したことない。
戦闘というか…戦争、殲滅戦ですね。
全ての力をもって公社はこの作戦に望むんだけど
そのための心意気とかがその部分を強調していて緊迫感がすごい。
塔のときと同様に今まで登場しなかった義体が活躍していて、
その他の課員や戦闘要員も凄まじいい戦いを繰り広げられていて
手に汗握りまくりんぐです。
しかもここにきてトラウマというものが作戦じ非常に大きく
かかわりを -
Posted by ブクログ
ネタバレ徐々に終わっていく物語も、もうすぐ終わるのではないかという雰囲気。まさに最終決戦。
なんかここまで来てしまうと淡々と終わってく様を眺めていくだけかと思っていたが、意外と今巻の描写は熱い。特にジャコモ=ダンテがいい味を出している。12巻がクローチェ兄弟の復讐劇の描写メインだったが為に。
ジョゼは確かに因果応報だがヘンリエッタに関してはもはや悲劇としか言いようがないなぁ。ヘンリエッタとジョゼの続きも気になるが、それ以上にトリエラとヒルシャーが猛烈に気になるのであった。ええい13巻はいつ発売だ…。
あ、書き忘れてた。アレッサンドロもげろ。 -
Posted by ブクログ
いよいよ始まった公社VSジャコモとの決戦。
この巻はぞわぞわと忍び寄る滅びの予感と戦いながら、それでもずっと憑かれたようにページを捲っていたような気がする。
誰が生き残るのか分からない戦いの描写は以前よりも迫力を増しているように見えて、作者の気迫が感じられた。
1期生が次々と窮地に陥るが、ペトラたち2期生も油断できない状況。本当にいつ誰が死ぬのか分からない。何とか少しでも救いのあるラストにならないものだろうか…。
そして、最後のジョゼのうめくような呟きが容赦なく胸を抉ってきた。まさに衝撃のラストだった。
次で最終巻なのだろうか。
誰が生き残るのか。救いはあるのか。
続きをゆっくり待とうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前情報一切無しで表紙見て衝動買いした漫画はこれっきり。少女・イタリア・重火器で戦う、なんて設定だけで私の心を掴んで離しません。もう大好き。義体と担当官の関係性もそれぞれ全く違っていて、フラテッロそれぞれのエピソードをスピンオフで一冊の本として読んでみたいくらいです。
エッタの「殺す理由は十分に」、ペトラの「くそったれのアレッサンドロ!」、トリエラの「ばかなひと でもうれしい」って台詞がとっても好き。ヒルシャーさんがトリエラを酷使しまいと自分から任務をこなして負傷した時、トリエラが一度部屋から飛び出して、やっぱり戻ってきてヒルシャーさんを抱きしめるシーンが本当に泣けて仕方ない。 -
Posted by ブクログ
ジャコモ戦とエンリカの過去話を収録した11巻。
クローチェ兄弟の憎しみの対象、ジャコモとの鐘楼戦。戦闘前のそれぞれの義体の描かれ方が上手い。
この巻で頻繁に登場するベアトリーチェは今まであまり出てこなかったので嫌な予感がしていたけれど……やっぱり死んでしまった。
ビーチェが最後に500kg弾頭を投げることができたのは担当官のベルナルドの言葉と皆に好かれているトリエラがいたからだと思う。
ビーチェは感情を持たず、「死」についても怖いという感情を持てずにいた。そんな彼女がトリエラを守るために自分の命を犠牲にして、「臆病者にはできない仕事」をした。アンジェの死とはまた違った悲しさや虚しさを感じた。
-
Posted by ブクログ
今回はトリエラ・ヒルシャー組のお話。
生真面目で不器用なヒルシャーとクールなトリエラのコンビの関係が、二人の過去の話を通して大きく変わっていく。その流れがとてもいい。
前にトリエラたちが関わったミミとグエルフィさんが再登場したのが嬉しかった。ミミは相変わらず元気だし、グエルフィさんは逞しくなっている。そのきっかけを与えたのがトリエラたちだと思うと、嬉しいような切ないような複雑な気持ちになる。
ヒルシャーはトリエラの言う通り、トリエラによって人生を台無しにされたのかもしれないけれど、はっきりと「これが僕の生き方だ」と言えるヒルシャーはかっこいいと思った。
どの義体とも違った関係となったトリエラと