柳澤健のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
昨年ステイホーム月間に電子書籍で柳澤氏の「1976年のアントニオ猪木」と「1985年のクラッシュ・ギャルズ」を読み、この「1964年のジャイアント馬場」にも興味を抱いていたのですが今回やっと読むことが出来ました。
派手で話題に事欠かないアントニオ猪木に関する本は数多ありますが、それと比べると数少ないジャイアント馬場の本は貴重。自分がプロレスを見出したのは76年のアタマあたりなので、リアルタイムで見ていたのは芸人にモノマネされてた頃の馬場さんで、この本を読むと全盛期を見たかったなぁと改めて思いました。
それにしても馬場さんが渡米した前後のアメプロの歴史が本当によく調べてあってとても勉強になりました。本当に柳澤氏の取材力と点を線にする構成力には感服します。
本人があまり語らない事もあり今ひとつ感情移入出来なかった人間馬場正平がより身近に感じられた一冊。 -
Posted by ブクログ
よかった。すごい本だ。600P近くの大著だが1週間で一気に読んだ。
巨体ゆえに奇怪視された不遇と、それゆえにモルモンに入信した不遇の少年時代。プロ野球に入団するもこれも嫉妬(本著ではこれはある意味キーワードになっている)ゆえに1軍で活躍できず、大洋移籍直前の風呂場の怪我で野球生活にピリオドを打つ。そしてプロレス入門。一貫しているのは馬場が単に巨体であるだけでなく運動神経に優れ、スポーツ万能であったという見解である。それゆえ、アメリカでも成功する。この本の白眉はアメリカでの実績の詳説だ。東郷をマネージャとした第1期、一旦帰国し、力道山死後フレッドアトキンスをマネージャとした第2期、ここまでの筆者の筆致は馬場に優しい、と同時に、NWA,WWWF、AWA世界戦連続挑戦を頂点としたこの時期(これこそこの著書のタイトルそのものだが)の過剰とも言えた成功が、その後の馬場の人生を狂わせたとも言えるかの筆致に変わっていく。日テレ丸抱えの全日本旗揚げ、サラリーマンプロレスの鶴田、と馬場への批判は手のひらを返したように厳しくなり、反面長州、天龍に加担するような筆致へと変わっていく。それを救ったのはターザン山本であり、かれのおかけで静かな晩年を迎える、という結論となっている。全日本以降の流れは些か主観が過剰になっているとも思えるが、そのスリルを含めて(おそらくこの辺りが筆者のリアルタイムな経験なのだろう)この大著を一気に読ませるモチベーションとなっている。「1976年のアントニオ猪木」なる前著があるようであるが、恐らく読み物としては語り尽くされた猪木伝より、少年時代、アメリカ遠征時代を含めて比較的謎の多かった馬場伝の方がミステリアスな魅力に満ちているはずである。脳下垂体の良性腫瘍による成長ホルモンの異常分泌という巨人体質の原因を明言したこと、70年代以降胸と腕が薄くなり(まだ30代のはずだが)
巨人症ゆえの早期老化が信仰していたことなどの明示も、アメリカ遠征の資料と並んで貴重だと思う。また「高橋本」以降の著書ゆえ、プロレスの「プラン」を公知の事実であることを前提にすべて記すことができたのは幸運、というか本著は存在し得なかっただろう。そうでなければアメリカ遠征を含めた馬場の成功も、その後の全日本のマッチメーキングの失態も、到底説明できず、本書のスリルは到底味わえなかったはずだ。 -
Posted by ブクログ
実は漫画『バーナード嬢曰く』で紹介されていた、同じ著者の『1978年のアントニオ猪木』と勘違いをして手に取った。どうも、上記の本が先に出て、その続編的位置づけで、本書が出たらしい。
全くプロレスの知識のないままに読み始めたのだけれども、とても面白い本だった。はじめは『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』の逆バージョンかなと思っていたのだけれども、あちらが主人公にかなり入れ込んで書いているのにくらべ、本書はジャイアント馬場について、レスラーとしてだけではなく、個人事業主・興行主としての姿を描いており、全体としては日本におけるプロレスの興亡史を、ショービジネスの側面から描いたものとなっている。そのため、「お茶の間のヒーロー」としてのジャイアント馬場を期待して読むと、裏切られると思う。
以上のことから、プロレスファン向けというよりは、日本のサブカルチャー史を知りたい人に向けた本といえるし、それをきたしてい読む読者にとっては優れた本だと思う。 -
Posted by ブクログ
1976年というと、もう30年以上も前の話になる。高校生だった当時、別にプロレスが好きだったわけでもなく、アントニオ猪木に興味があったわけでもないのだけれども、猪木がモハメド・アリと試合をする、という話には非常にひきつけられた。一時期、クラスの男どもの話題の中心だったと思う。まぁ、それを見てクラスの女子は眉をおおいにひそめていた、との記憶もあるけれども。が、試合はひたすら退屈なものだった。ボクシングの世界チャンピオンと一流のプロレスラーが、ガチンコ(真剣勝負)で試合をしたら、ほとんど必然的にこういう試合になってしまうのだよ、ということが説得的にこの本には書かれているけれども、当時はそういう理屈を知る由もなく、ひたすらがっかりしたことを記憶している。上記したように、プロレスにも猪木にもほとんど興味がなかったし、この試合のあとも興味を覚えたわけでは勿論なく、プロレス・猪木のことはほとんど知らないのだけれども、それでも、この本は充分に面白かった。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ女子プロレスブームを牽引していた、主に元全日本女子の選手達のインタビュー集。
Kamiproに連載されていた時も読んでいたけど、改めて読むと、結構内容を忘れていた。
ブルvsアジャ・コングの抗争や対抗戦ブームの只中の時にゴリゴリプロレスを観ていたので、今読むと、そりゃあの頃は面白かったよなと思う程剥き出しの感情をぶつけ合っていた事等を当事者の目線から語られているのが面白かった。
ただ、このインタビューが女子プロレスの発展やブーム再来(今はスターダムや仙女等のお陰で何度目かのブームが来つつありますが)
の手助けになるのかな?という意味では疑問が残った。
コテコテのプロレスファンは楽しめるとは思うけど。 -
Posted by ブクログ
昨日夕刻に購入し、読み終えてしまった。
僕自身はこの本に書かれている終盤、パックインミュージックの終焉とオールナイトニッポンの隆盛期にラジオを聴き始めた世代なので、すべてのエピソードが目新しかった。
パーソナリティとリスナーとの繋がり、リスナー同士の連帯感は「鶴瓶・神野のぬかるみの世界」を思い出させる。
林自身はこの本の連載時にすでに亡くなっており、彼に影響された人々、影響を与えた人のみの証言で成り立っている。
当然、良い話ばかりでなく、人間というのはいろいろな面がある。だけどその人が掬い上げようとした対象や言葉をかけられた人にとっては、全面的な人格にかかわらず、受け取ったモノが一生残ることがあるのだ。
一番びっくりしたのは僕の父親が集めていて、子供の頃よく眺めていた『一億人の昭和史』のうち、一冊の表紙に少年時代の林美雄が大きく映ってたこと。見覚えのある表紙だった。