藤岡換太郎のレビュー一覧
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プレートテクトニクスに行き着く前の理論には,水成論,火成論,一斉説があり,そのご,地球収縮説や地向斜造山運動論などと呼ばれるものがあったなんて,初耳。
現代の〈行き着いた理論〉だけではなく,歴史をさかのぼりながら,山を登るようにして,「山はどうしてできるのか」を説明してくれる辺りの編集は,なかなかです。読んでいて楽しいです。
9合目には「日本の山のなりたち」がまとめられているし,10合目には,もう一度,本書のまとめがあります。
最後に,君が代にある「さざれ石」をわざわざ出してきた意味は,わからなくもないけど,「だから日本の歌にふさわしい」というのは,本書にとっては蛇足でしかない。 -
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「山はどうしてできるのか」・・・言われてみれば何でだろう? まぁ、今や中学生くらいでも知っている「プレートテクトニクス」によって、プレート同士がぶつかり合った結果ではあるんですが、この本では、それをもう少し深く掘り下げて、というか地球の深いところで起こっている「プルームテクトニクス」って説で説明してます(この言葉も最近はチラホラ聞きますが)。 他に、プレートテクトニクス以前にどんな説が唱えられていたか?なんてのも書かれていて、前半は結構面白かった。
後半は山の形成過程や日本に当てはめた具体例についての話ですが、少々羅列気味で読むスピードも失速。 拙者が地理苦手なのもあるかもしれないけど、地名であれこれ説明されてるところでは、言ってることを地図上で追っていこうって気が起きない・・・ 地名をたくさん用いるなら、載せてる図に地名を書き入れてくれると有り難いんだが・・・
「山が何故あるのか?」という疑問に、「そこに山があるからだ」なんて答えになってない答えを言って満足するんじゃなく、知的好奇心を追い求めた結果の一冊と言っていいんじゃないでしょうか。 -
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この本は「山」を題材にしているが,この本を読めば地球科学の基本が理解できるように仕上がっている.読み物としても,地球科学や海洋科学の入門書としても最適であろう.
それにしても本書を読んで実感したことは,「山」と一口に言ってもかくも多様な成因があるのか,ということである.私は地球科学を専門に勉強してきたが,あらためて,「山」の多様性に気づかされた.そして,「山」を理解できれば地球科学を理解できることにも気づかされた.
「山」と言えば,富士山に代表される火山を思い浮かべるのが日本人だろう.しかし,それだけではない,プレート同士の衝突によってできる「山」や密度の低い岩体が浮かび上がってできる「山」,生物がつくる「山」など,様々な山の成因がある.
本書ではそれぞれの成因ごとに「山」のでき方を解説している.そして,それぞれの章が連動しながら,全体として地球の活動が理解できるように編まれている.それは「章立て」に顕著に表れている.この本の章は,一章,二章ではなく,「準備運動」からはじまり,「一合目」「二合目」と進んでいき,最後に「十合目」に達する.まるで山登りのように「山」を理解できるのだ.そして,実は「あとがき」にすらもう一つの「山」の成因に言及しており「山」尽くしの一冊になっている.
さらに特筆すべきことがある.本書では,単に「山」の成因や地球の活動を解説しているのではなく,プレートテクトニクスをはじめとした理論が生まれた背景や研究史も披露している.また,随所に藤岡先生らしいうんちくが挟み込まれており,読んでいて楽しい.
私は藤岡先生と10年ほど前から日本海溝での調査航海などでお世話になっている.本書にも登場する蛇紋岩でできた早池峰山には一緒に登りもしたので,そのときの様子が頭に浮かび,個人的にもさらに楽しい一冊であった.
藤岡先生のこれまでの著作には,(たぶん)すべて目を通しているつもりだが,その中でも本書が最も良いと思う.
本書の図版(線画)はすべて新しく描き起こされているようで,きれいで統一感もある.もう少し図の説明が詳しく書かれていると,より一層わかりやすくなるのだろう.
次回作のためにさらにリクエストしておくと,ぜひ,藤岡先生の口調そのままの本を読んでみたいと思う.「ドヒャー」とか「So what?」とかを文字で見てみたい.まあ,これは個人的な欲求である. -
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石や岩のことが知りたくて、読んでみました。
まず何から学んだら全体像がつかめるのか知りたかったのですが、この本は通常の枠組みではなく、よく見かける3つの石をピックアップして書いています。枠組みより、よくある3種!という観点です。
かんらん石(マントル)
玄武岩(海)
花崗岩(大陸)
読む前にp190の図を見ると、3つの石がイメージしやすいです。
私はイラストのほうが頭に入ってくるので、「地層のきほん」目代邦康、笹岡美穂 のほうが基本的で超初心者的には全体像を掴むのによかったです。
この本は、途中で専門的になり混乱しました。内容はよいので、もう少しいろんな本で概要を掴んでから、改めて読んでみたいです。 -
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地球の46億年の歴史を、地球カレンダーとして1年に置き換え、海の歴史をおう。
最初の海は、2月上旬にマグマオーシャンとして誕生。宇宙から、隕石に含まれた水がやってきて、2月9日に、想像を絶する雨が降り、海に水が満たされた。その後、生命の誕生、酸素の発生、超大陸の出現、氷河期などを経て現在の海に至る。
以下の言葉が印象に残りました。
たとえ人類がこれまで危機感にあふれた活動を繰り返してきたとしても、長いスケールで見れば海にとっては一過性の現象に過ぎません。みずからが破壊した環境のために人類が滅びても、海はまたなにごともなかったように潮騒を鳴らしつづけることでしょう。
地球環境に配慮するといっても、結局人類の未来を守るため。 -
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「三つの石」とはかんらん(橄欖)岩、玄武岩、花崗岩。
かんらん岩はマントル、玄武岩は地殻下部(海底)、花崗岩は地殻上部(地上)を構成するという。
地殻のうち海面より上にあるのが陸地、下にあるのが海底なのではなくて、成り立ちや組成も含めて明確に違うらしい。
「石」はどれも主にSiO4からできているが、外殻電子の結合(共有)状態が異なり、結晶構造も違う。
かんらん岩、玄武岩、花崗岩の順に密になり、すき間に金属原子が入りにくくなるため、比重も軽く、色も白くなる。
かんらん岩がマグマを経て玄武岩となり、海底の海嶺から湧き上がって玄武岩の海底を作り、プレートを動かし、そのプレート境界の沈み込みによる作用で花崗岩ができる。
安山岩、流紋岩、閃緑岩なども成り立ちはやや異なるものの親類関係にあるそうだ。 -
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地学は高校で習わなかったせいか、化石や岩石や地形といった動かないものを対象とした、歴史や考古学のように静的なイメージ。でも、この本を読み、災害がとみに身近になった昨今、実は非常に激しく変動してるものを対象としてる学問だと再認識。
現代の科学・学問は細分化されているはずなんだけど、この本のように地球システム自体を捉えようとすると、おそらく地球科学という学問体系の知見を総動員しないといけないんだろう。巻末の参考図書がえらく多いのをみてそう思った。
時間軸のスケールが大きすぎて、何のためにやってんの?って感じもするけど。まあ学問ってそんなもんで、はやぶさプロジェクトの生物の起源は宇宙からなのかとか、素人じゃ見分けのつかない新種の発見とかよりは、防災だったり気候変動への示唆があるだけ良いのかな?
地球システムに棲む生物は、銀河のメリーゴーラウンドに翻弄される、儚くも逞しい存在。種の9割上が絶滅するような環境激変が起きても、数%は生き残ったってどういうことだったんだろう? -
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深海調査船で51回も世界の深海を目の当たりにした著者がガイドしてくれる世界一周(深海)旅行という仕立て。海溝、海淵、海嶺、海膨。海盆、海台などを一気に周遊できる。
地球の起源に関する知識の積み上げは、地味であり遅々としているものと実感する反面、この半世紀のテクノロジーの進化による科学的知見の積み上げには目を見張るものがある。なんとも矛盾する言い回しであるが、地球科学というのか地質学というのか知的探究の一方、資源の探求という物的欲求とも隣り合わせの分野であるが、著者の知的探究としての研究費の獲得に対する危惧の念も伝わってくる。
本著「冥王代の物語」では著者の仮説が披露されている。怖いもの知らずで持論を展開する著者のこの分野でガッチリ仕事してきた人間味が花を添えている(笑)。 -
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地球科学者の著者による海底地形からみた地球の成り立ちを分かりやすく解説した1冊です。著者は日本が保有する世界有数の深海調査船「しんかい6500」で何度も海底調査に同行し、その体験をもとに本書前半はバーチャルな深海底世界1周という構成になっています。
海で最も深いマリアナ海溝でも深さ1万メートル強。そこに潜った潜水艇は限られ、人類が直接深海底に脚を踏み入れたことは未だありません。宇宙に目を向ければ高度400㎞に国際宇宙ステーションがあり、38万㎞離れた月に人間が降り立ち、無人探査は既に億㎞の距離に到達しています。これほど身近でありながら、なかなかアクセスできない深海に、どのような地形があり、それが地球の成り立ちにいかに関わってきたのかを分かりやすく解説しています。
膨大な量の海水に遮られ、人類が目にすることはできませんが、海中に存在する海嶺(海底山脈)、海溝(深い谷)、海台(海中の広大な大地)は、地上に存在する山脈の代表ヒマラヤ山脈や、渓谷の代表グランドキャニオン、台地ではデカン高原などとは比較にならないほど大規模です。もしも海水がなければ、どれほどダイナミックな地形が現れるのか、著者が熱く語っています。
宇宙開発は近年、さまざまな成果が紹介され、それなりに予算が確保されているようですが、日本の深海調査は「しんかい6500」の竣工が1981年、深海掘削船の「ちきゅう」は2005年。「しんかい6500」はそろそろ老巧化も問題で、後継機の予算が確保されるのかどうか、気になるところです。「しんかい6500」の退役後、海外の深海調査船を借りなければ南海トラフ巨大地震の調査など日本近海での深海調査ができない、などと言う事態に陥らないように、海に囲まれた海洋国家だからこそ、ちゃんと予算を付けてほしいと思います。 -
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あまり知識のない人にも楽しめるように、工夫して書かれている
著者の地学以外の知識の広さも感じられ、面白く、
良書であった
ヒマラヤを乗り越える川、河川の争奪、流れる川、さまよえる川、海底を流れる川
このようなタイトルだけで「ハテナ?」でいっぱいになる
気になったものをピックアップ
■富士山には川がない
静岡県にある柿田川は源流がない
いきなり平地から現れる
正確には崖下からいきなり川が始まるらしい
これを柿田川湧水地という
しかしながら柿田川の水は実は富士山から来ている
だが富士山には川がない
なぜか
富士山というのは山内の内部に3つの山が隠されている
一番古い「先小御岳(せんこみたけ)」は今から約27万年前、順に「小御岳」、「古富士」で、この「古富士」が約10万〜1万年前にできたと言われている
これらの山の上に噴火により今の富士山が乗っかったいわば4階建ての構造
この噴火で流れ出したのは玄武岩の溶岩でさらさらしており、流動性が高い
そのため、富士山に降った雨や雪解け水は表面を覆うそれらの割れ目や穴を通して山体の中へ浸み込んでしまう
ところが古富士の溶岩は同じ玄武岩でありながら、緻密で割れ目や孔がほとんどない
よって古富士に浸み込まず表面を流れ下りる
(これを伏流水という)
柿田川は富士山からえんえんと流れてきたこの伏流水が顔を出すところなのだ
ちなみに柿田川は四万十川、長良川とともに日本三大清流のひとつ
(初めて知った!この辺りだと富士山にばかり魅せられちゃうからなぁ…行ってみたいものだ)
■川の終着駅は
川は海に注ぎ込まれ終わりといえばそうであるが、さらに海の傾斜に沿って流れ下る
その行き先は海溝で、ここが終着地である
■海底谷
なぜ海に入った川の水が拡散せず海底を流れるか
海底には陸上の川を延長した谷である「海底谷」という海底を流れる川がある
■海底谷が運んだ堆積物
海底谷が陸上から運び込む堆積物のとてつもない量に驚く
相模湾の中央に4000m以上、富士山より高く積もっている
もっと凄いのはベンガル湾
こちらは9000m、エベレスト以上
このように堆積物が大量にたまるとその中に含まれる有機物が変質する
これが天然ガスや石油などの有用な資源へと生まれ変わるのである
やはり川の規模の大きい場所は石油資源が大量に埋蔵されている
(だから日本には石油がないのね…)
川が地球の物質循環の大きなサイクルとなっている
多摩川を例にし、源流から海までを下りながら、川の基本を教えてくださる…と読者への見せ方がなかなか面白い
他にもたくさんの興味深いトピックがあった
もう少し知識を増やしてから再読してみたい
子供の頃、断然「川」より「海」!
と川の魅力を理解していなかったが、年を重ねたせいか?近頃は奥深い川がとても気になっている
立派な一級河川である最上川を見た時は圧倒され、黒部の源流近くでは力強い生命を感じ、長良川はもう見てるだけで清められていく…(笑)
もちろん視覚的だけでなく、音も大好きだ
(癒されますよね!)
著者も日本人が川に独特の思い入れを持つのは「流れ」があるから…だと言い、はかなさや無常さを感じ取るからではないかとのこと
この「流れ」が生み出す地球上の神秘をもっと知ってみたい