あらすじ
石の名前はとかく、ややこしい。それは「水の惑星」地球が、最も石の種類が豊富な「石の惑星」でもあるからだ。せっかくの石の深さ、面白さを、ややこしいからと知らないでいるのはあまりにも、もったいない。実は複雑に見える石の世界は、たった三つの石の名前を覚えるだけで、驚くほどすっきりと頭に入ってくる。そしてこの地球の意外ななりたちまで理解できてしまうのだ。では、その三つの石とは? 日本一やさしい石の入門書。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
地形や地質を学び始めた際、最初の壁は岩石の種類が多くわからないことだった。
本書は岩石の基本となる始祖的な岩石をわかりやすく紹介しており、岩石の分類を学ぶ入門として非常に役立つと感じた。
登山の際にフィールドで実際の岩石の区別が大まかにわかるようになりたいと思っているので、本書の内容をベースとしてより知識を深めていきたい。
Posted by ブクログ
岩石や鉱物には興味があるけれど、石の名前がどうもややこしくて覚える気になれない……という人だったので読みました(笑)。めっちゃ面白かったです!今、めっちゃどこかのジオパーク行きたいです!
石黒耀先生の小説『死都日本』の影響で火山が好きになり、あちこちのジオパークに行くものの、そこに燦然と輝く石の展示を観ては「なにを楽しんだらいいのかわからん!」と思っていました。この本を読んだからには次からは楽しめそうです♪
著者の先生のお人柄も良く表れているところも素敵でした。イタリアの学会でキリスト教の三位一体をネタにしてスベった話、先生が推してる仮説、玄武岩をカレーに喩えた説明などなど、なんだか親近感が湧きました。
Posted by ブクログ
いろいろな石があるが、全ての石の生い立ちを3つの石から紐解いたもの。よくわかる。
序章 そもそも、石とは何だろうか
石はケイ酸塩鉱物でできている。
第1章 マントルを作る緑の石
橄欖(かんらん)石はマントルを形成する石で地上で見ることはほぼない(ごくたまにあることもある)緑色をしており高温、高圧下で固体である。
第2章 海洋をつくる黒い石
二人目の主役、玄武岩。橄欖岩の直属の子孫。主に海底から噴出するマグマが急速に冷却されてできた石。
第3章 大陸をつくる白い石
花崗岩。玄武岩とは違いゆっくり冷却された石、プレートの沈み込みで形成された。
第4章 石のサイエンス
元素レベルから石のことを説明してある
第5章 三つの石と家族たち
橄欖石、玄武岩、花崗岩の違いを説明
第6章 三つの石からみた地球の進化
地球の進化に見え隠れしている三つの石の総まとめ
終章 他人の石たち
堆積岩など火成岩でない石の紹介
大陸と海底では石の種類が違う(花崗岩と玄武岩)。富士山は玄武岩でできている、が一番のびっくりでした。
Posted by ブクログ
三つの石とは橄欖岩・玄武岩・花崗岩のこと。それぞれマントル・海洋地殻・大陸地殻を形作る主役である。
岩石や鉱物の大半の主成分は酸化したケイ素の化合物(珪酸塩)なのだけど、何がどのようになってこれほど多様な石が作られているのか、いままで系統立てて学んだことがなかった。しかしこの本では、マントルから地殻が、そしてそれぞれの岩石などが、どのように生み出されてくるのかを順序立てて説明してくれているので、暗記ではない知識が得られるので覚えやすい。
また、要所に若干の化学式が使われていることにより、珪酸塩鉱物のそれぞれの特徴が掴みやすくなっている。最低限度の科学情報というのは言葉を積み重ねるよりも理解しやすくしてくれることを改めて教えてくれた。
鉱物図鑑があればより楽しめる本だと思う。とてもオススメ。
Posted by ブクログ
タモリさんのせいで岩石も勉強しようと思ったものの、書店に行っても岩石の写真集ばかりで何処でどう出来るものなのかさっぱり、と思ってました。
この本は、あえてマントルを作る橄欖岩、海洋地殻を作る玄武岩、大陸地殻を作る花崗岩、と、大雑把に説明することで頭に入りやすくなっています。石についての最初の勉強に、もってこいな本ですね。
Posted by ブクログ
三つの石とは橄欖(かんらん)岩、玄武岩、花崗岩。橄欖岩はマントルを作り、玄武岩は海底を作り、花崗岩は陸を作ります。
「三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられて、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球の内部へと運ばれるようになりました。水は生命をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。三つの石が地球を特別な星へと進化させたのです」。
46億年前に生まれた地球は、太陽系で最もケイ素が集まったためSiO4四面体が独立している橄欖石を中心に多彩な鉱物が出現しました。SiO4四面体に鉄、マグネシウム、カルシウムなどが結合し、その結晶構造の違いによって輝石、角閃石、雲母、石英、長石が作らました。
圧巻は「3つに石から見た地球の進化」の章。著者は46億年前に地球を作った隕石が橄欖岩そのものだと推理します。空と海も隕石により作られ、大陸を作る島弧も石に含まれた水が大きな役割を果たしたと、わくわくするような理論が展開します。
著者の藤岡換太郎さんは地球科学を専門とする理学博士。「しんかい6500」に51回乗船されたとあります。深海で生物の起源も見られたのかもしれません。読んでいて楽しい★★★★★のブルーバックスです。
Posted by ブクログ
ケイ素からなり地球を構成する橄欖岩、玄武岩、花崗岩のそれぞれの生成過程や地球の構造と歴史や
生命の起源の可能性まで説明する。専門用語ではなく、硬いのか柔らかいのか、どのように動いているのか、或いは分からない部分も含め、非常に分かりやすく説明されている。(とはいえ理解できているとは言い難いが)
最終章に他人の石という他の組成の石についても違いが分かり易い。ちゃんと学びたい一冊。
Posted by ブクログ
ド文系だったので、理科全般が驚くほどダメで、中学で習うような基礎的な内容すらわかっていない人間なのだが、この本は奇跡的に全部読めた
すごいと思う
途中の元素記号の話あたりはさすがに理解しきれなかったけれど、なんとなく概要はわかった気がするし、中学生向けのところからちゃんと読んでみようという気持ちになった
そもそも石のことを知りたくて読み始めたのだが、ますます石すごいじゃん、好き!と思った
Posted by ブクログ
どうしてどこに行っても花崗岩がたくさんあるんだろう、と思っていました。図鑑を見ると、見る頻度の低い石も高い石も同じように並列に記載されています。が、実際に沢山存在する、出会う頻度の高い石についてわかりやすく書かれており、今まで図鑑を眺めていても迷路の隙間を歩かされているような気分だったのが、やっと全体像を掴めたような気がしました。
カレーの例えがちょっとよくわからないので星一つマイナスです。
Posted by ブクログ
「石に興味を持った人がはじめて読む本」として最適な本。一読しやすいし、複数回読めば理解が深まるし、興味のある方面に活かす手掛かりになると思えた。
Posted by ブクログ
登山の途中に見える様々な岩石が気になって、初心者向けの岩石書籍を探していて見つけた本。細かい説明を省き、平易な文体で分かりやすく書かれており、非常に分かりやすい。
「本書は石に興味をもった人が初めて読む本、もしくはこれを読むことで石に興味をもっていただく本というつもりで書いていますので、厳密さよりも大づかみなイメージを大事にしたいのです」
「石の名前は、いくつも覚える必要はありません。基本的には、たった三つ、覚えるだけでいいのです」
と全編を通してハードルを下げる努力をしている。特に種々の火成岩の形成過程をカレー鍋に例えているのが秀逸。
また「岩石そのものの説明」よりも「地球形成のダイナミズム」を軸にしているので、ロマンあふれる記述が多く、最後までワクワクしながら読める。
「三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられ、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球の内部へと運ばれるようになりました。水は声明をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。」
最後に、登山がらみでいうと、富士山の謎の記述がとても面白い。
「世界でも類がないほどの美しい形をした山、富士山」
「富士山だけがなぜ、玄武岩でできているのかは、いまだによくわかっていない」
「3枚のプレートが接する『三重会合点』ともいわれる地点があるのですが、なんと、その真上にできた山が富士山」
などしばらく追ってみたくなるテーマもあって、さらに岩石への興味が続きそうだ。
Posted by ブクログ
◯個別の石の特徴や、採掘できるところでも教えてくれるのかと思って読むと、やはり地学関係、宇宙から生物、化学まで幅広い展開を見せる。
◯3つの石を軸に分かりやすく論が展開されているが、個別の文章的な意味合いではスッと頭に入らないことがやや多かった(知識が足りないだけかもしれないが)
◯とはいえ、この分野に興味が出てきたときに読むには十分知的好奇心を満たしてくれると思う。面白い。
Posted by ブクログ
ブラタモリを見ていると、石の話が時々出てくる。
それで好奇心を掻き立てられ、何か入門書はないかと探して出会ったのが本書。
この本を読めば、細かな石の種類を見分けたりできる、とはならない。
しかし、ビッグバンから原始地球ができ、マグマだまりから橄欖岩、玄武岩、花崗岩が析出していった仕組みを、わかりやすく説明してあり、地球科学初学者にもつかみやすい。
筆者、藤岡さんは、本書が正確さをやや犠牲にしていると繰り返し断っているが、初学者が他の、関連書を読みたいと思うのなら、それは大成功ではないだろうか?
Posted by ブクログ
マントルを構成する橄欖岩、海洋プレートを構成する玄武岩、大陸プレートを構成する花崗岩の3つに焦点を当て、地球の成り立ちやそれぞれの岩石の関係などについて分かりやすく解説される。この分かりやすさが本書のポイントで、専門性を多少犠牲にしても、一般向けに理解しやすいように書かれている。それでいて、造岩鉱物の組成とかシリカの配列・原子ベースで見たシリカどうしの結合形態など、かなり突っ込んだ物理・化学的な話にも読者を誘導していて、全くの一般向けというよりは、「ブルーバックスの読者」向けの内容になっていて、知的な刺激も多い。
著者の本はブルーバックスで色々と読んでいるが、本書も中々面白かった。
Posted by ブクログ
石や岩のことが知りたくて、読んでみました。
まず何から学んだら全体像がつかめるのか知りたかったのですが、この本は通常の枠組みではなく、よく見かける3つの石をピックアップして書いています。枠組みより、よくある3種!という観点です。
かんらん石(マントル)
玄武岩(海)
花崗岩(大陸)
読む前にp190の図を見ると、3つの石がイメージしやすいです。
私はイラストのほうが頭に入ってくるので、「地層のきほん」目代邦康、笹岡美穂 のほうが基本的で超初心者的には全体像を掴むのによかったです。
この本は、途中で専門的になり混乱しました。内容はよいので、もう少しいろんな本で概要を掴んでから、改めて読んでみたいです。
Posted by ブクログ
「三つの石」とはかんらん(橄欖)岩、玄武岩、花崗岩。
かんらん岩はマントル、玄武岩は地殻下部(海底)、花崗岩は地殻上部(地上)を構成するという。
地殻のうち海面より上にあるのが陸地、下にあるのが海底なのではなくて、成り立ちや組成も含めて明確に違うらしい。
「石」はどれも主にSiO4からできているが、外殻電子の結合(共有)状態が異なり、結晶構造も違う。
かんらん岩、玄武岩、花崗岩の順に密になり、すき間に金属原子が入りにくくなるため、比重も軽く、色も白くなる。
かんらん岩がマグマを経て玄武岩となり、海底の海嶺から湧き上がって玄武岩の海底を作り、プレートを動かし、そのプレート境界の沈み込みによる作用で花崗岩ができる。
安山岩、流紋岩、閃緑岩なども成り立ちはやや異なるものの親類関係にあるそうだ。
Posted by ブクログ
地球を構成する岩石は、大きくは3つしかない…。
さてそれは何なのか?から始まり、その兄弟たちの話も含めて名称がとにかく覚えにくい岩石のことを、カレーの例を使いながらかなりわかりやすく説明してくれ、その岩石たちからどう地球が出来上がってきたのかの推論を立てる内容。
著者の本はフォッサマグナを読んたことがあるが、毎度岩石学者の視点から大分下りてきた目線で、本作も説明がわかりやすく、クスっとさせられるユーモアもあり、読んでいて楽しい。
Posted by ブクログ
この本を読んでも、ブラタモリのタモさんの話が理解できるようにはならない。タモさん得意の砂岩、泥岩は堆積岩の話で、この本の世代で行けば第二世代の新しい石だ。この本は、地球ができてすぐにできた3つの石(第一世代)のお話がメイン。
判りやすくて面白い。
地球の年齢46億歳はどうやって決めたのか?
ちょっと知人に喋りたくなる小ネタ(スケールはでかい)も挟みつつ、オヤジギャグ的なもの(こちらはちっとも笑えない)もいくつかあって、読者を飽きさせない工夫もちらりほらり。
高校生理系クラスなら、難なく理解できる難易度。
電子殻の話がなければ、文系クラスでも理解できるように思うのですが……意外に説明し辛いよね……
ブルーバックスは写真が白黒なので、非常に残念なことになってしまっている。鉱物図鑑とはいかないまでも、鉱物の写真はキラキラのカラー写真じゃないと魅力半減だと思うんですが、講談社さん、何とかなりませんか?