藤岡換太郎のレビュー一覧
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岩石や鉱物には興味があるけれど、石の名前がどうもややこしくて覚える気になれない……という人だったので読みました(笑)。めっちゃ面白かったです!今、めっちゃどこかのジオパーク行きたいです!
石黒耀先生の小説『死都日本』の影響で火山が好きになり、あちこちのジオパークに行くものの、そこに燦然と輝く石の展示を観ては「なにを楽しんだらいいのかわからん!」と思っていました。この本を読んだからには次からは楽しめそうです♪
著者の先生のお人柄も良く表れているところも素敵でした。イタリアの学会でキリスト教の三位一体をネタにしてスベった話、先生が推してる仮説、玄武岩をカレーに喩えた説明などなど、なんだか親近感 -
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江戸時代に富士山を描いた安藤広重や谷文晁 らは、富士山の両側の 稜線 がなす角度を 85 度くらいの、直角よりやや小さい鋭角で表現しています。しかし近代に入ってから太宰治は「富嶽百景」という小説で、実際は鈍角で、およそ117~124度であると書いています。数学者にとっても富士山の稜線は関心の的で、その曲線を一つの方程式で表すことに熱中した人は少なくなかったようです。
日本列島は四方を海に囲まれていますが、どこにいても必ず山が見えます。だから私たちは「山がそこにある」ことを空気のように当たり前に考えています。しかし、山があることは決して当たり前のことではありません。この世界には山が -
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藤岡換太郎
1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバル・オーシャン・ディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構特任上席研究員を歴任。現在は神奈川大学などで非常勤講師。潜水調査船「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋人類初潜航を達成。海底地形名小委員会における長年の功績から2012年に海上保安庁長官表彰
この地形に関心を抱いたナウマンはその後も、この地域を二度、調査旅行で訪ねている。
あらためていうと「フォッサマグナ」とは、本州 -
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ネタバレ海底の地形はどうやってできるのか。
なぜ巨大な地形ができるのか。
プレートテクトニクスにより海溝や山脈ができる。それを基本として何が加わると実際の地形になるのかを海底を世界一周する態で解説する。
マントルからマグマが地表に噴き出す、その形態の違いで海台のような大規模な地形からハワイ諸島まで、形成された様子がつきとめられる。
興味深いのはプレートテクトニクスが「いつ始まり」「このあとどうなるのか」。いつ始まったのか、を解説するために古代地球(冥王代地球)の形成の歴史も活写する。
太陽系の惑星が岩石惑星、氷惑星、ガス惑星に分かれた理由もわかった。
プレートテクトニクスが存在する惑星は太陽系では地球 -
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◯山、川と読んで、順不同ながら三冊目を読み終わった。海の生成についてのみ扱うのかと思いきや、そこは地学の本、やはり幅広く地球に関して扱われており、どちらかというと、地球の始まりから終わりまで、というタイトルの方がピッタリきそうな印象だった。
◯第二部の終わり、悠久の時の中でその姿を変えてきた地球を思って書かれている内容に、思わずグッときてしまう。
◯また、地球の遥かなる未来と近未来について、最終章の最後に記載されているが、自分という人間の小ささと、自然への影響の大きさを感じさせる。
◯なぜこの地球で生命が誕生したのか、現象として理解しても、その意味を見出すことは、生きるものにとっての最大の使命 -
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◯山はどうしてできるのか、海はどうしてできるのか、から最後の一冊とのことだが、すっ飛ばして山の次に川を読んでしまった。しかし、内容的には特に問題ない。それでいてわかりやすく面白い。読み物としての工夫がふんだんに凝らしてあり、読者を惹きつける。
◯四万十川の下は、ブラタモリで出た話でもあったため、興味深く読んだ。しかし番組の方が詳しいのは紙面の問題もあると思われる。
◯巻末の著者による試論も面白い。超大陸の川の話はロマンがあると思う。
◯しかし、川は流れていくものだけに、物的客観的資料も流されてしまうことで研究も難しくなるという面があるが、地学も近年でも大きな進歩を遂げていることから、いつか川の -
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いろいろな石があるが、全ての石の生い立ちを3つの石から紐解いたもの。よくわかる。
序章 そもそも、石とは何だろうか
石はケイ酸塩鉱物でできている。
第1章 マントルを作る緑の石
橄欖(かんらん)石はマントルを形成する石で地上で見ることはほぼない(ごくたまにあることもある)緑色をしており高温、高圧下で固体である。
第2章 海洋をつくる黒い石
二人目の主役、玄武岩。橄欖岩の直属の子孫。主に海底から噴出するマグマが急速に冷却されてできた石。
第3章 大陸をつくる白い石
花崗岩。玄武岩とは違いゆっくり冷却された石、プレートの沈み込みで形成された。
第4章 石のサイエンス
元素レベルから石の -
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小さい頃から耳にしているフォッサマグナだが、なんだか巨大な断層くらいにしか理解していなかった。
本書は、フォッサマグナの特殊性、日本の成り立ちの足跡としての意味、未だに解明されていないその成立の謎について、専門的知識のない読者にも分かるように説明されている。
日本の一地域の特殊な地質的特徴が、全地球的なメカニズムの発露につながるのかと思うと、非常にスケールが大きく、知的好奇心をかき立てる内容である。
本書を読んで、興味を持つ読者が多く現れるといいなと思う。
学問の地域性というか、その場所に特殊な事象があることで、該当領域の学問が促進される側面があるかと思うが、そういう意味では日本は地球物理学の -
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三つの石とは橄欖岩・玄武岩・花崗岩のこと。それぞれマントル・海洋地殻・大陸地殻を形作る主役である。
岩石や鉱物の大半の主成分は酸化したケイ素の化合物(珪酸塩)なのだけど、何がどのようになってこれほど多様な石が作られているのか、いままで系統立てて学んだことがなかった。しかしこの本では、マントルから地殻が、そしてそれぞれの岩石などが、どのように生み出されてくるのかを順序立てて説明してくれているので、暗記ではない知識が得られるので覚えやすい。
また、要所に若干の化学式が使われていることにより、珪酸塩鉱物のそれぞれの特徴が掴みやすくなっている。最低限度の科学情報というのは言葉を積み重ねるよりも理解しや -
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三つの石とは橄欖(かんらん)岩、玄武岩、花崗岩。橄欖岩はマントルを作り、玄武岩は海底を作り、花崗岩は陸を作ります。
「三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられて、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球の内部へと運ばれるようになりました。水は生命をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。三つの石が地球を特別な星へと進化させたのです」。
46億年前に生まれた地球は、太陽系で最もケイ素が集まったためS