あらすじ
「水の惑星」46億年の事件史! 宇宙で唯一知られる「液体の水」をもつ海は、さながら「地獄絵図」の原始地球でいくつもの「幸運」の末に産声をあげました。しかし、それはわたしたちにとっては、猛毒物質に満ちたおそるべき海だったのです。原始海洋が想像を絶する数々の大事件を経て「母なる海」へと変容するまでの過程から46億年の地球進化史を読み解き、将来、海が消えるシナリオにまで迫ります。(ブルーバックス・2013年2月刊)
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Posted by ブクログ
◯山、川と読んで、順不同ながら三冊目を読み終わった。海の生成についてのみ扱うのかと思いきや、そこは地学の本、やはり幅広く地球に関して扱われており、どちらかというと、地球の始まりから終わりまで、というタイトルの方がピッタリきそうな印象だった。
◯第二部の終わり、悠久の時の中でその姿を変えてきた地球を思って書かれている内容に、思わずグッときてしまう。
◯また、地球の遥かなる未来と近未来について、最終章の最後に記載されているが、自分という人間の小ささと、自然への影響の大きさを感じさせる。
◯なぜこの地球で生命が誕生したのか、現象として理解しても、その意味を見出すことは、生きるものにとっての最大の使命なのかもしれないと思うが、少なくとも、現象を通して得られるものがあるのかもしれないと思う。そういった感傷によって、自分は地学に引き寄せられているんだなと認識した。
Posted by ブクログ
自分にはびっくりすることばかり。
例えば、以下のようなこと。
・超大陸は3億年周期で何回も形成されていた。
・水は、海溝から地球内部へ飲み込まれ、火山活動によって放出されている。
・地球内部の放射性元素の崩壊熱によって地球が暖められているが、放射性元素が減っている。その結果、地球は冷えるため、海溝から取り込まれた水は地球内部にとどまり、10億年後には海がなくなるかもしれない。
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初めて月の起源として「ジャイアント・インパクト説」というのがあり、それが科学的に一番もっともらしいということを知った。
まだまだ知らないことがたくさんある。この本を読んでよかった。
壮大な物語を分かり易く
地球の成立、海の出来上がりから将来の海が消えてゆくまでの壮大な物語を分かり易く書いてある。
特に海の消滅を書いた最終章は読みごたえがあった。
Posted by ブクログ
水の惑星と言われる地球。その水の大部分は海にあるが、本書では、その海の地球史的な変遷と、プレートテクトニクスを基本とする海洋地形の形成について大きなスケールで描かれている。原初の海に発生したシアノバクテリアが当時の生物にとっては有害な廃棄物であった酸素を生産し、その活動によって現在のような窒素と酸素を中心とする大気を形成したなど、偶然のようなできごとを著者は共進化と呼んで、現在の地球へと至る道筋を示してみせる。また、後半では、10億年後におとずれるという海の消滅という仮説を描いてみせる。海洋の水がプレート境界の海溝からマントルに吸い込まれてしまうというちょっと信じられないような話だが、46億年と言われる地球の歴史で地球内部からの熱供給源である放射性元素がいずれ枯渇し、地球は冷えていくという。考えてみたこともなった説明に興奮した。
Posted by ブクログ
同じブルーバックスの『地球進化 46億年の物語』が難しかったので、そのガイドブック的なことを期待して読みました。期待通りでした。
海がどのようにできたかは、地球がどのようにできたかに関することなので、その点についても興味のあるある方は是非。
Posted by ブクログ
同著者による『山はどうしてできるのか』と併読しました。どちらも、山や海を語りながら、地球の歴史を紐解いていく作りになっています。それだけに、飽きずに楽しく読むことが出来ました。
初めて知ったのが、第4部「海のゆくえ」に書かれていることです。まさか、このあと海がなくなっていくかも知れないというシナリオがあるなんてしりませんでした。
Posted by ブクログ
海の歴史、現在の姿から未来の予測まで。第一部と第二部は四十六億年を一年に換算して歴史を概観、第三部は海を鍋に例えて海水の変化を見て、最後にはこれから海がどうなっていくのかを予想する構成になっています。海にテーマを絞っていますが、結局それは地球の歴史そのものなんだなあと実感しました。
Posted by ブクログ
GWなので海の本。海がどうしてできたか、どのようにしてできたか、海と生物の関係、これからの海など。語り口もわかりやすく、知っているようで知らなかったことが多かった。
Posted by ブクログ
地球がどうしてできたのか、そして海はどうしてできたのか。たくさんの仮説があって、そしていま支持されているのはこういう説だ、という本。現在のような海が、いかについ最近できたものなのか、ということが、そしてそれ以前はどんな世界だったのか、知っていたつもりでも知らなかったことばかり、あるいは想像を至らせなかったことがたくさんある。海とは鍋である。一冊で46億年分楽しめる、とても愉快な本。
Posted by ブクログ
地球の46億年の歴史を、地球カレンダーとして1年に置き換え、海の歴史をおう。
最初の海は、2月上旬にマグマオーシャンとして誕生。宇宙から、隕石に含まれた水がやってきて、2月9日に、想像を絶する雨が降り、海に水が満たされた。その後、生命の誕生、酸素の発生、超大陸の出現、氷河期などを経て現在の海に至る。
以下の言葉が印象に残りました。
たとえ人類がこれまで危機感にあふれた活動を繰り返してきたとしても、長いスケールで見れば海にとっては一過性の現象に過ぎません。みずからが破壊した環境のために人類が滅びても、海はまたなにごともなかったように潮騒を鳴らしつづけることでしょう。
地球環境に配慮するといっても、結局人類の未来を守るため。
Posted by ブクログ
地球の成り立ち、海の成り立ちがわかる本。
遠い未来、火星のようにすべての水が地上からなくなってしまう可能性があるらしい。
この壮大な物語の一部を自分が関わっているのが信じられない。
この世がなんのためにこうなっているのかがわからない。
人間自体、自分自身があるような、ないような、そんな世界に生きている。
Posted by ブクログ
海の誕生を語るには、宇宙科学と地球の歴史を知る必要がある。海の歴史を語るには、分子化学と生命の誕生を知る必要がある。海の形を語るには、物理学とプレートテクトニクス論を知る必要がある。
海の全てを知る事とは、この世の全てを知る事と同義なのではないかと勘違いするほどの深淵を、新書一冊にまとめあげたのが本書だ。
生命誕生や断層など、詳細については専門の一冊の方が詳しいのは間違いないが、海の誕生から現在までの変化を一連の流れで概観出来る。
海の生物、深海の圧力、探査機の性能。本書に書かれていないことは多いが、そんな部分にまで想いを馳せるきっかけとなる一冊。