藤岡換太郎のレビュー一覧
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プレートテクトニクスの平易な説明を含むマクロな観点と、山を構成する岩石というミクロな観点を程よく取り混ぜて、山ができる仕組みが解説されている。
それにしても、今では常識となっているマントル対流や大陸移動説が確立してきたのが、ほんの半世紀前だということには驚かされる。逆に言えば、これらは歴史的に見れば最先端の知見ということになる。同じ科学の世界でも、量子物理学などは最先端は専門家以外にはとても分かりにくいが、地球物理学は、それらに比べるとはるかに理解しやすい。それだけ、地球物理学の研究が遅れているとか、観察・実験が難しいということかもしれないが、いずれにせよ、素人でも十分楽しめる分野であることは -
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プレートテクトニクスに行き着く前の理論には,水成論,火成論,一斉説があり,そのご,地球収縮説や地向斜造山運動論などと呼ばれるものがあったなんて,初耳。
現代の〈行き着いた理論〉だけではなく,歴史をさかのぼりながら,山を登るようにして,「山はどうしてできるのか」を説明してくれる辺りの編集は,なかなかです。読んでいて楽しいです。
9合目には「日本の山のなりたち」がまとめられているし,10合目には,もう一度,本書のまとめがあります。
最後に,君が代にある「さざれ石」をわざわざ出してきた意味は,わからなくもないけど,「だから日本の歌にふさわしい」というのは,本書にとっては蛇足でしかない。 -
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「山はどうしてできるのか」・・・言われてみれば何でだろう? まぁ、今や中学生くらいでも知っている「プレートテクトニクス」によって、プレート同士がぶつかり合った結果ではあるんですが、この本では、それをもう少し深く掘り下げて、というか地球の深いところで起こっている「プルームテクトニクス」って説で説明してます(この言葉も最近はチラホラ聞きますが)。 他に、プレートテクトニクス以前にどんな説が唱えられていたか?なんてのも書かれていて、前半は結構面白かった。
後半は山の形成過程や日本に当てはめた具体例についての話ですが、少々羅列気味で読むスピードも失速。 拙者が地理苦手なのもあるかもしれないけど、地名 -
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この本は「山」を題材にしているが,この本を読めば地球科学の基本が理解できるように仕上がっている.読み物としても,地球科学や海洋科学の入門書としても最適であろう.
それにしても本書を読んで実感したことは,「山」と一口に言ってもかくも多様な成因があるのか,ということである.私は地球科学を専門に勉強してきたが,あらためて,「山」の多様性に気づかされた.そして,「山」を理解できれば地球科学を理解できることにも気づかされた.
「山」と言えば,富士山に代表される火山を思い浮かべるのが日本人だろう.しかし,それだけではない,プレート同士の衝突によってできる「山」や密度の低い岩体が浮かび上がってできる「山 -
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石や岩のことが知りたくて、読んでみました。
まず何から学んだら全体像がつかめるのか知りたかったのですが、この本は通常の枠組みではなく、よく見かける3つの石をピックアップして書いています。枠組みより、よくある3種!という観点です。
かんらん石(マントル)
玄武岩(海)
花崗岩(大陸)
読む前にp190の図を見ると、3つの石がイメージしやすいです。
私はイラストのほうが頭に入ってくるので、「地層のきほん」目代邦康、笹岡美穂 のほうが基本的で超初心者的には全体像を掴むのによかったです。
この本は、途中で専門的になり混乱しました。内容はよいので、もう少しいろんな本で概要を掴んでから、改めて読ん -
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地球の46億年の歴史を、地球カレンダーとして1年に置き換え、海の歴史をおう。
最初の海は、2月上旬にマグマオーシャンとして誕生。宇宙から、隕石に含まれた水がやってきて、2月9日に、想像を絶する雨が降り、海に水が満たされた。その後、生命の誕生、酸素の発生、超大陸の出現、氷河期などを経て現在の海に至る。
以下の言葉が印象に残りました。
たとえ人類がこれまで危機感にあふれた活動を繰り返してきたとしても、長いスケールで見れば海にとっては一過性の現象に過ぎません。みずからが破壊した環境のために人類が滅びても、海はまたなにごともなかったように潮騒を鳴らしつづけることでしょう。
地球環境に配慮すると