藤岡換太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
三つの石とは橄欖(かんらん)岩、玄武岩、花崗岩。橄欖岩はマントルを作り、玄武岩は海底を作り、花崗岩は陸を作ります。
「三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられて、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球の内部へと運ばれるようになりました。水は生命をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。三つの石が地球を特別な星へと進化させたのです」。
46億年前に生まれた地球は、太陽系で最もケイ素が集まったためSiO4四面体が独立している橄欖石を中心に多彩な鉱物が出現しました。SiO4四面体に鉄、マグネシウム、カルシウムなどが結合し、その結晶構造の違いによって輝石、角閃石、雲母、石英、長石が作らました。
圧巻は「3つに石から見た地球の進化」の章。著者は46億年前に地球を作った隕石が橄欖岩そのものだと推理します。空と海も隕石により作られ、大陸を作る島弧も石に含まれた水が大きな役割を果たしたと、わくわくするような理論が展開します。
著者の藤岡換太郎さんは地球科学を専門とする理学博士。「しんかい6500」に51回乗船されたとあります。深海で生物の起源も見られたのかもしれません。読んでいて楽しい★★★★★のブルーバックスです。 -
Posted by ブクログ
『川はどうしてできるのか』という書名だが、川ができてからの、時には億年単位の長い変遷の話が面白い本である。
「一」の字に流れていた川が、断層がずれて「Z」の字のように曲って流れる川。四国の四万十川のように標高の高い山岳地帯を大河が蛇行しているのは、土地が隆起したためであるとか、百万年以上の単位の時間を感じることになる。
中国大陸では、大陸移動で小大陸が衝突したときの境界が大河になっているというので、日本国内とはスケールが違う。
天竜川の上流は、犀川とつながっていて、そのころの犀川は南へ流れていた可能性もあるらしいとか。
藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス 2014年 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
日本の深海探査技術は世界のトップレベルになったと言われるが、その陰で毎日のように未知の深海に黙々と潜り続けるパイロットたちがいることはほとんど知られていない。
そんな深海探査船のパイロットたちにスポットを当てる。
[ 目次 ]
第1部 深海には面白いエピソードがいっぱい(どうやって海底を調べたらいいの?-潜水調査技術が確立するまでの苦労話、裏話 海底探検へのライセンス申請はこちら-潜水調査船パイロットが一人前になるまで 潜水調査船の上手な動かしかた教えます-マニュアルには書かれていないテクニック ほか)
第2部 パイロットが語る「しんかい六五〇〇」の世界(日本と世界の深海潜水調査船の歴史 「しんかい六五〇〇」の仕組み 太陽の光と海 ほか)
第3部 「しんかい二〇〇〇」がもたらした十大発見(「しんかい二〇〇〇」の科学への貢献 なぜ有人の潜水調査船が必要なのか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
深海は,宇宙とは別に未知とロマンが詰まった未開拓領域と考えられる.しかし,常に大きく脚光を浴びる宇宙関連と比べると,深海への挑戦・冒険については,それほど広く関心をもたれて知られているわけではなさそうだ.本書では,そういった状況に風穴を開けてくれることを期待したくなるような,数多くの興味深い話が語られている.深海調査船の元パイロットや深海調査で活躍した科学者らの実体験談にはすごい臨場感がある.日本海溝の底で「スーパーのビニール袋」がたくさん見つかったという話には,人間活動が影響を及ぼしている範囲の広漠さに,慄然とさせられた.また,わが国の深海研究・開発史も楽しめる.ぜひ,広く読まれて欲しい一冊なので5点.
-
Posted by ブクログ
まずはキャッチーな書名に惹かれで本書を読み始めた。ブラタモリの影響も少なからずあった笑
筆者の思考実験や仮説に乗せられて、なんとなく地球の成り立ちと進化の過程が大まかに理解出来た気がする。その点では筆者の目論見は成功していると思う。途中化学式や元素記号が沢山出てきた時には挫折しそうになったが。
そもそも筆者の言う三つの石とは、橄欖岩、玄武岩、花崗岩の三つ。それも大元の一番大事な石は橄欖岩と言うことになるのだが、この三つの石をよく調べ説明することによって、地球の形成から現在の陸地のの姿になるまでの壮大なドラマが、プレートテクニクス理論の初歩的な説明を駆使して解説されている。
ただ、自分の目に触れる石を見てこれは玄武岩だ、橄欖岩の一種だと分かるようにはなってない。それが少し残念ではあったが。ただし本書ではそれが目的にはなってない。
読み終わって地学は面白い。そして地球はまさに「奇跡の星」なんだと言うのを強く感じた。 -
Posted by ブクログ
これは面白かった。地質学の立場から46億年の間に起こった天変地異について書いてあるのだが、その多くが大陸の移動とリンクしている。そしてその大陸を移動させているのは、地球のマントルのホットプルームとコールドプルームの動きなのだ。地球上には東アフリカとポリネシアにホットプルームがあり、日本や中国、インドにはコールドプルームがあって、地球上の大陸は統合して再び超大陸を形成するのかもしれない。
いずれにしても地球上の天変地異から完全に回避する方法なんてない。地球温暖化についてもかつて何回も温室効果ガスによる極端な地球温暖化によって多くの生物が絶滅してきたのだ。人間が自然という資源をまるで自分たちの所有物のように支配したとしても、天変地異は必ず起こるのだ。 -
Posted by ブクログ
藤岡換太郎(1946年~)氏は、東大理学系大学院修士課程修了、東大海洋研究所助手、海洋科学技術センター・グローバルオーシャンディベロップメント観測研究部長、海洋研究開発機構(JAMSTEC)特任上席研究員等を経て、静岡大学防災総合センター客員教授。専門は地球科学。「しんかい6500」に50回以上乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成。海底地形名小委員会における長年の功績から海上保安庁長官表彰。ブルーバックスで、地球科学に関する一般向け書籍多数執筆。また、著書『フォッサマグナ』は、伝説的書評サイトの「松岡正剛の千夜千冊」(1720夜)で取り上げられている。
我々の住む日本列島は、地震、台風をはじめ自然災害の非常に多い場所である。つい最近起こった輪島半島地震については、日々報道が続いている通りである。そうした自然災害(≒天変地異)は、概ね一定の周期で起きていると考えられているが、本書の狙いは、その周期は何が作っているのか、そのサイクルを次々と遡り、天変地異の究極の原因を明らかにすることである。
私なりに理解したポイントは以下の通り。
◆日本列島は、地球システムの中で、4つのプレート(太平洋プレート、北米プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート)、4つの気団(オホーツク海気団、シベリア気団、揚子江気団、小笠原気団)、4つの海流(黒潮、対馬海流、親潮、リマン海流)の影響を受けているため、世界でも稀な自然災害多発地域になっている。
◆日本では、平安時代の9世紀(貞観の富士山噴火、貞観の三陸地震、仁和地震等)と江戸時代の18世紀(宝永地震、宝永の富士山噴火等)に自然災害が多発しており、概ね1,000年間隔での集中が見られると言える。
◆「ミランコビッチ・サイクル」は、地球と太陽の関係から、①2.3万年(地球の自転軸の向きの変化の周期)、②4.1万年(地軸の傾きの変化の周期)、③10万年(地球の公転の軌道の変動の周期)の周期で、地球の寒暖が繰り返されるとする仮説。
◆古生代から中生代において、生物は5度の大量絶滅に見舞われた。6,600万年前の最後の大量絶滅(恐竜が姿を消した大量絶滅)は、直径10kmの隕石の衝突が原因とされているが、その他の原因ははっきりしていない。ただ、その周期は凡そ3,000万年程度と考えられる。
◆地球上の大陸はこれまで形成と分裂を繰り返してきた。3~2億年前に形成された、最も新しい超大陸パンゲアは、2億年前頃に再び分裂をはじめ、それにより、3,300万年前に南米大陸とオーストラリア大陸が分裂したことによる南極環流の成立(→南極大陸の寒冷化)、1,700万年前にインド・オーストラリアプレートがインドネシアンゲートウェイに衝突したことによる黒潮の発生、300万年前に南北アメリカ大陸の衝突によるパナマ海峡の閉鎖(太平洋と大西洋の遮断)、分裂したインド亜大陸がアジア大陸に衝突したことによるヒマラヤ山脈の形成(→モンスーンの発生)等が起こった。こうした超大陸の形成と分裂の周期を3億年とするのが「ウィルソン・サイクル」。プレート・テクトニクス理論によれば、大陸を動かしているのはプレートであるが、そのプレートの動きを作っているのは、「プルーム」と呼ばれる、温度差によって生じるマントルの対流である。
◆地球の気候は、地球上に氷があった時期(アイスハウス)と、氷がなかった時期(ホットハウス)が繰り返されており、その周期は3億年である。先カンブリア時代に2、3度起こったスノーボール・アースも、アイスハウスの時期に起きたと考えられる。直近の氷期はわずか2万年前に終わったばかり。
◆太陽系は、天の川銀河の中を2億5,000万年かけて一周するが、その間に、恒星の密度の高い場所と低い場所を4回ずつ通るため、約3,000万年毎に恒星分布の変化の影響を受ける。
◆結論として、地球の天変地異は、プルームによる3億年のサイクルと、銀河による3,000万年のサイクルによって、生み出されている。
このスケールのシステムは、人間の力で変えることは不可能であり、ミランコビッチ・サイクルによれば、あと2,000年経てば地球はもはや温暖化に向かうことはなく、ウィルソン・サイクルによれば、2億5,000万年後には日本列島を中心に超大陸ができている。。。そして、いずれにしても、50億年後には地球は太陽に吞み込まれ、仮に、人類が火星や木星の衛星エウロパへ移住していたとしても、やがては太陽そのものが爆発して無くなってしまうのだ。。。
そう考えると、一抹の寂しさも感じるのだが、だからと言って、刹那的に生きることが肯定されるわけではなく、むしろ、人類はもっと謙虚になり、自分たちは地球・太陽系・銀河系・宇宙というシステムの一部であり、それを維持するための出来得る限りの努力をしなければならないことを、再認識させてくれるのである。(地球が2,000年後に寒冷化に向かうからといって、それが、人類が今引き起こしている気候問題や環境問題を放置していい理由にはならない)
(2024年3月了)