御影瑛路のレビュー一覧
-
-
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ解釈が一通りではない、いろいろと考えさせられる、そんな文章が随所に散らばっていて文学らしさが多少垣間見える。
秋田に刺殺されて意識が薄れていく最後、時雄は今まで聞こえていた鎖の音が他の誰でもない、自分自身を縛りあげている鎖の音であることを確信する。鎖とはいわゆる常識、共通認識、固定概念といったものを指し、それらを遵守している優等生ほど「鎖に縛られている」と表現する。つまり、今までずっと鎖に縛られている人達を嫌悪していた、殺人願望を常に抱いていた時雄もまた、ステレオタイプの枠組みに当てはまっていた人だったことになる。
私は時雄がどうして鎖に縛られていたのかがわからなかった。友人いわく、殺人に -
-
-
Posted by ブクログ
世間のレビューの低さは御影瑛路の今までの作風が好きだったからでであとがきでこの作者はこういう側面もあり、好き勝手出来て楽しい、自分らしい作品になったと語っている。
アリスというメインヒロイン、読んでいて口の悪さが「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の桐野と「ゼロの使い魔」のルイズ、喋りの頭の良さが「化物語」の八九寺真宵を彷彿とさせた。主人公がアリスを助けるシーンなど話の構成、もっていき方など非常に「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」に雰囲気が似ていると思った。
アリスの口の悪さは癖になるし、会話は思わず笑ってしまうセリフばかり。非常におもしろかったし感動もさせてもらった。あとチョコちゃんてキ -
-
-
-
Posted by ブクログ
仕事中、どうしても気分転換したくてこの本を手に取りました。
……正直、今までは敬遠してましたです。
タイトルはいかにも曲者っぽく、イラストは申し分ない、加えて作者の名前が「そっち系」である事を示唆している……。
多分良作なんだとは思うんですが、余りにもはまりすぎて逆に地雷の可能性を疑ったというか。
絶賛されてる分底が浅いとがっかりするよなぁ的な、そんな予防線。
タイトル詐欺とかも警戒してて近づかなかった理由です、別に読まなくても何か減る訳じゃないし。
……結論、余分な心配でしたね。
「そこまで」曲者かって言われるとそうでもないですが、良い展開を見せてくれたと思います。
謎の構成も心情描写も丁 -
-
Posted by ブクログ
読み終わってからだいぶ時間があいてしまった。そのためにちゃんとかけないかとおもうのでご了承。
さて、この本の内容は「繰り返しの日々の果てに、再び星野一輝の前に現れた音無麻理亜。しかし、ふたりで過ごす穏やかな時間は長くは続かない。一輝の周辺で不思議な事が起き始めたのだ。送った記憶のない告白メール、断絶する記憶、「自分ではない自分」が引き起こす事件、死体。そして、携帯電話に残された宣戦布告―『ボクはアンタを壊す。アンタが大切にしているものを全部壊す。“箱”を手にしたボクは、アンタから全てを奪える』“所有者”が一輝に向ける “悪意の理由”と“願い”とは…?緊迫の第二巻」です。
一巻を読み終わ -
-
-
Posted by ブクログ
誰かに成り代わるという行為は矛盾を内包する
その「誰か」に成り切ってしまうと「自分」が消失する
しかし「自分」を維持したままでは「誰か」になれない
徐々に存在を乗っ取られていく中での一輝と音無の共闘は
今回は時間制限ありと言う事で緊迫したものでした
だからか、つい音無が本音を漏らしてしまうのがいいですね
「もう、見失うな」
最後のデレも、ごちそうさまって感じで
しかし願望機としての『箱』を巡るこの物語は、今回も重いです
人の弱さにつけ込みそれを浮き彫りにするという骨子はいささかもぶれず
シナリオは最後までどろどろと泥臭い
読んでいる最中はずっと苦虫をかみつぶしているよ -