南木佳士のレビュー一覧
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ネタバレ著者作品、お初。芥川賞作家さんだったのね、知らなかった。
新聞に連載していたエッセイをまとめたもの。2020年から2021年の秋ごろまでの連載なので、読む前にコロナ禍の当時の世相を活写した高村薫の『作家は時代の神経である』や、真山仁の『タイムズ』、あるいは庶民目線の山田詠美の『吉祥寺ドリーミン』的な内容を期待した。当時の振り返りになるかなと手に取ってみた。
が、思ったほど時代に寄り添った記述はなく、コロナについても隣家の延焼で自宅の改築が「コロナ禍で建材の手配が遅れた」とか、「長男も次男もコロナウィルスの流行の影響で結婚式を挙げられなかった」と、2か所程度か。
もっとも、小説家の前 -
Posted by ブクログ
寒さが厳しい田舎の病院に勤める看護士が主人公で、父親と、父親と同じ病室のアメリカ人の「死」、「幼馴染との再会」、「風車」をキーワードに繰り広げられる決してハートウォーミングではないけどもどこか読み終わって暖かい気持ちになる芥川賞受賞作。
はい。全然意味分かんないですね。どーも芥川賞作ってコメントが難しいことが多い。すっと読める中にもどこか深いメッセージ性を強く感じるんだけどそれを文字にするのが難しい。結局メッセージ性を拾いきれてないんですね。いやいや難しい。
作者がお医者さんということもあって結構看護士/患者の心理が細かく描写されてます。前述の通り「死」も物語の大きなテーマとなっているのにラ -
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テンポが良く、簡潔かつ率直で読みやすい。医学部がテーマであるため死に直面する部分などシリアスな部分もあるものの、大衆小説っぽく気軽に読める本であり、筆者がこの本は自分の過去だといっているのにも非常に納得した。
自分の専攻と近い分、カリキュラムや学生特有の空気感、日々の悩み等、読んでいて共通、共感する部分が多く、重苦しく凝り固まっていたモヤモヤした感情が若干ではあるものの昇華していくような気がした。読後、こんな風に悩むのは当然だし、答えなんてないし、こんな生き方をしていくのもありなんだろうな、と思えた。まだまだ青い
以降、心に留めておきたい部分。思ったこと。共感した部分。
・医療に関わっ -
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ネタバレおうめばあさんには何か実在のモデルがあるのだろうか?
時代を遡れば、田舎には、こういう「人から切り離されて共同体のために自分を捧げる存在」はあったと思うけれど。
子どもを授かるという終わり方が、帳尻が合わないように感じた。子どもを産み育てるってもっともっと犠牲が大きいものでは?心を病んだとはいえ仕事をある程度順調にこなせてきた女性が後半において子どもを授かる、っていうのはうまくいきすぎのような。作者男性だからかな。私がひがみ根治強すぎですね。
ダイヤモンドダストのような終い方をどこかで期待しておりました。この作者にはそっちの方が似合うのでは? -
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芥川賞作家・南木佳士さんの山行記。
うつ病から逃れるために50歳を過ぎて山歩きを始めた南木さんが北アルプスや南アルプスに登った記録ですが、もちろん本格的な登山ではありません。青色吐息で稜線をよじ登る姿が浮かびます。
私も若い頃、山に登っていました。もっとも、中四国の丸みたっぷりの山頂がほとんどでしたが。それでも一度は南アに行ったことがあり、この本を読みながら北岳の雄大な姿や青空に映える3000m級の峨々たる稜線を懐かしく思い出してしまいました。
マニアックな部類に入る南木さんの、マニアックな領域である山行記ですから読者は限られると思いますが、ハマる人はハマる作品だと思います。 -
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「八冊の本を介して『わたし』の来歴を記述し」た本 (p28).
本自身の紹介の部分はそれほど多くなく,その本を取り巻く著者の来歴の部分が主.自伝風な記述もあり,著者のエッセイの愛読者であれば,すでに知っているエピソードも多いが,必然的に医師として部分にも多くのページが割かれているのが他の本にないところ.とりあげてられている八冊の本も次のように医学書を含むもの.
H. Yamashita: Roentgenologic anatomy of the lung
若月俊一:村で病気とたたかう
エピクロス:説教と手紙
養老孟司:脳と自然と日本,手入れ文化と日本
大森荘蔵:流れとよどみ
岡沢静也:マンネ