南木佳士のレビュー一覧

  • 医学生

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    新設されて間もない秋田大学医学部に入学した4人のそれぞれの視点から、入学から卒業、その後まで描かれる小説。

    筆者の実体験がほとんどで、そこに脚色が入って小説になっていると思われる。
    陰鬱とした秋田の田舎で6年間の課程を過ごした筆者の大学生活を垣間見たようだった。

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    2022年12月16日
  • 猫に教わる

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    ネタバレ

     著者作品、お初。芥川賞作家さんだったのね、知らなかった。

     新聞に連載していたエッセイをまとめたもの。2020年から2021年の秋ごろまでの連載なので、読む前にコロナ禍の当時の世相を活写した高村薫の『作家は時代の神経である』や、真山仁の『タイムズ』、あるいは庶民目線の山田詠美の『吉祥寺ドリーミン』的な内容を期待した。当時の振り返りになるかなと手に取ってみた。

     が、思ったほど時代に寄り添った記述はなく、コロナについても隣家の延焼で自宅の改築が「コロナ禍で建材の手配が遅れた」とか、「長男も次男もコロナウィルスの流行の影響で結婚式を挙げられなかった」と、2か所程度か。
     もっとも、小説家の前

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    2022年07月11日
  • ダイヤモンドダスト

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    発展途上国へ医療派遣で行った医師が、その義務を終えて日本に帰ってからの話。

    各章の話が少しずつ繋がりがあるのは面白かった。

    途上国の医療の過酷な現場について理解が深まる。

    また、時を経て昔懐かしい人と再会する話があった。人と再会するというのは、嬉しさや喜びの溢れるものだと思っていたが、真逆のこともある。だから、偶然の再会も嬉しいけど、会いたいと思った時に自分から動くことも大切だと感じた。人はいつなにが起こるかわからない、それを改めて実感させてくれるお話だった。

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    2022年06月23日
  • 猫に教わる

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    ネコに引かれて手にしたが、ネコは2篇だけ。それでも懐かしい信州の山の暮らし楽しめたから、マッいいか。「未来は明日ですら完璧に隠されていると了解し、夢など抱かず、とりあえずいまを生きる」NHK郵便屋さん姿の中島みゆき見たけど先崎さんの涙は気が付かなかった。

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    2022年04月13日
  • ダイヤモンドダスト

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    寒さが厳しい田舎の病院に勤める看護士が主人公で、父親と、父親と同じ病室のアメリカ人の「死」、「幼馴染との再会」、「風車」をキーワードに繰り広げられる決してハートウォーミングではないけどもどこか読み終わって暖かい気持ちになる芥川賞受賞作。

    はい。全然意味分かんないですね。どーも芥川賞作ってコメントが難しいことが多い。すっと読める中にもどこか深いメッセージ性を強く感じるんだけどそれを文字にするのが難しい。結局メッセージ性を拾いきれてないんですね。いやいや難しい。
    作者がお医者さんということもあって結構看護士/患者の心理が細かく描写されてます。前述の通り「死」も物語の大きなテーマとなっているのにラ

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    2022年01月06日
  • ダイヤモンドダスト

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    ネタバレ

    命との向き合い方がテーマなんでしょうか。

    医師として、タイ・カンボジア国境に行っていたという著者の来歴と、作中の人物たちの設定が重なります。まさに私小説・純文学という趣で、イロイロ考察させられますが、正直よくわかりませんでした……

    例えば、ワカサギ釣りがやけに象徴的に描かれているように感じたのですが、何の象徴かよくわからない、みたいなところ。国語のテストで題材に出されたら、確実に点がとれない自信があります(涙)

    そんなこともあって、なんだか国語の教科書っぽい作品だなぁ、という印象が強く残りました。

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    2021年10月24日
  • ダイヤモンドダスト

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    ネタバレ

    地方の山の中の病院 カンボジアの難民キャンプに行っていた医師、
    ダイヤモンドダストは看護師、老父親と保育園児を抱えて病院勤務 肺がんの宣教師と父親との交流、水車造り

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    2021年09月11日
  • 小屋を燃す

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    医師でも著者が群馬での生活をもとに書いた私小説らしく、山で仲間と朴訥と過ごす日常を描く短編集と言ったところか。著者を知らなかったが、80年代に芥川賞をとったようで、たんたんとした文体は悪くないと思った。

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    2021年09月05日
  • 医学生

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    ドラマチックな展開はありませんが、共感できるところが随所にありました。人生の途中を振り返るのに、もってこいの一冊です。

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    2021年07月11日
  • 小屋を燃す

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    私小説なのだと意識して読んだことは実はあまり無かったが、改めてこの文庫の書きぶりにて「書くことが生きること」であり支えなのだと伝わってくる。著者の「医者と作家」「生と死」のバランスの取り方を感じた。今までで最も著者自身の存在をありありと思い浮かべた、まさに私小説。

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    2021年05月02日
  • 医学生

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     テンポが良く、簡潔かつ率直で読みやすい。医学部がテーマであるため死に直面する部分などシリアスな部分もあるものの、大衆小説っぽく気軽に読める本であり、筆者がこの本は自分の過去だといっているのにも非常に納得した。
     自分の専攻と近い分、カリキュラムや学生特有の空気感、日々の悩み等、読んでいて共通、共感する部分が多く、重苦しく凝り固まっていたモヤモヤした感情が若干ではあるものの昇華していくような気がした。読後、こんな風に悩むのは当然だし、答えなんてないし、こんな生き方をしていくのもありなんだろうな、と思えた。まだまだ青い

     以降、心に留めておきたい部分。思ったこと。共感した部分。
    ・医療に関わっ

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    2020年04月01日
  • 阿弥陀堂だより

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    ミステリーばかり読んでいた身には起伏のない展開がしんどかったが、次第になじんでくる。幸せに生きるとはどういうことか、どのように死に向かっていくのか。医者でもある著者が抑えた筆致で問うてくる。しかし私には、ここに出てくるどの人の生き方もできないな。

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    2019年01月27日
  • 阿弥陀堂だより

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    売れない物書きとキャリアウーマン医師の妻、妻が体調を崩し、夫の故郷の田舎村に帰る。自然、田舎の人達に触れながら第二の人生をゆっくりとでも健康に歩んでいく姿を描く。
    知人に「オススメ」と言われもらった本、座禅をやっていることもあり、タイトルにも惹かれ読んでみる。
    父も田舎暮らしをしていて、私もリタイアしたら田舎暮らしもいいなと思ったり、物語の自然とふれあう良さもわかるのだけれども、全体としては物足りなさを感じたかな。

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    2018年10月30日
  • 阿弥陀堂だより

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    ネタバレ

    おうめばあさんには何か実在のモデルがあるのだろうか?
    時代を遡れば、田舎には、こういう「人から切り離されて共同体のために自分を捧げる存在」はあったと思うけれど。

    子どもを授かるという終わり方が、帳尻が合わないように感じた。子どもを産み育てるってもっともっと犠牲が大きいものでは?心を病んだとはいえ仕事をある程度順調にこなせてきた女性が後半において子どもを授かる、っていうのはうまくいきすぎのような。作者男性だからかな。私がひがみ根治強すぎですね。
    ダイヤモンドダストのような終い方をどこかで期待しておりました。この作者にはそっちの方が似合うのでは?

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    2018年07月26日
  • 山行記

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    芥川賞作家・南木佳士さんの山行記。
    うつ病から逃れるために50歳を過ぎて山歩きを始めた南木さんが北アルプスや南アルプスに登った記録ですが、もちろん本格的な登山ではありません。青色吐息で稜線をよじ登る姿が浮かびます。
    私も若い頃、山に登っていました。もっとも、中四国の丸みたっぷりの山頂がほとんどでしたが。それでも一度は南アに行ったことがあり、この本を読みながら北岳の雄大な姿や青空に映える3000m級の峨々たる稜線を懐かしく思い出してしまいました。
    マニアックな部類に入る南木さんの、マニアックな領域である山行記ですから読者は限られると思いますが、ハマる人はハマる作品だと思います。

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    2016年06月17日
  • ダイヤモンドダスト

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    生と死、経済的な裕福さと心の正直さ、またスローな生活に憧れる自分とスピードのある生活に慣れきってしまった自分との葛藤のようなものを感じた。

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    2016年03月17日
  • 薬石としての本たち

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    「八冊の本を介して『わたし』の来歴を記述し」た本 (p28).
    本自身の紹介の部分はそれほど多くなく,その本を取り巻く著者の来歴の部分が主.自伝風な記述もあり,著者のエッセイの愛読者であれば,すでに知っているエピソードも多いが,必然的に医師として部分にも多くのページが割かれているのが他の本にないところ.とりあげてられている八冊の本も次のように医学書を含むもの.
    H. Yamashita: Roentgenologic anatomy of the lung
    若月俊一:村で病気とたたかう
    エピクロス:説教と手紙
    養老孟司:脳と自然と日本,手入れ文化と日本
    大森荘蔵:流れとよどみ
    岡沢静也:マンネ

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    2016年01月31日
  • 医学生

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    ネタバレ

    ~1.2
    ドクターになるのは本当に大変だよね。そう思わせる、「遺体解剖」のシーンが多いのが、良かった。そんなことを乗り越えて、彼らは医者になるんだ。今の秋田大学は違うけど、創立当時って、寂しかったんだね。心が折れそう。

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    2016年01月10日
  • 医学生

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    必ずしも望んで秋田大学の医学生になったわけでもない第五班のメンバ−4人のそれぞれの事情.でも6年経つうちに,いろんなことを経験し,医者としてあるいは人間として育っていく.きれいごとではない本音が見え隠れするのが良かった.

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    2015年10月15日
  • 医学生

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    頭も要領も良い国立医学生の話.さらっと描かれている.だいたい当たってるが,本当の医学生は恋愛も学業ももっとドロドロしててもっと面白い.末期癌の患者に息が止まるまでモルヒネ打ちまくるのはどうかと思う.

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    2015年10月13日