南木佳士のレビュー一覧

  • 阿弥陀堂だより
    売れない作家の孝夫は、心の病に罹った妻の美智子の療養も兼ねて、故郷の信州に戻ることにした。
    不器用ながら田舎暮らしをしていくうちに、挫折を知らないエリート医師だった妻の、病以降の屈託がほどけてゆく。

    集落のはずれで村人の霊を祀るおうめ婆さん。
    山の上にある小さな阿弥陀堂に住み、ほぼ自給自足で暮らし...続きを読む
  • 医学生
    すごく人間味あふれる本だと思いました。
    悪い意味ではなくただ淡々とリアルな人間生活が描かれており興味深い内容だと思いました。

    自分自身医者にお世話になるときにもう一度読み直したいと思います。
  • 医学生
     マニュアルに若干の経験を加えて診断、治療をする。治る者は治り、治らない者は治らない。よほど鈍感な医者でない限り、自分が神でないことを知るのは早い。その後、神に近づこうとする医者と、神という言葉で表現される大いなる自然の摂理に自分を含めた人間の予後をゆだねてしまう医者とに分かれる。

    ……2020/...続きを読む
  • ダイヤモンドダスト
    味わいがあって読みやすい。芥川賞なので勿論ドラマチックではありません。ただ、しっとりと文学の趣を噛み締めることが出来る良い作品です。大人とはこう言うことだろうと思う。わからぬように食いしばって生きてるんです。飄々とね笑。だからダイヤモンドダストが染みるんです。
  • 医学生
    解剖実習も医学部の雰囲気もリアル。解剖班4人組も全員親近感がありました。

    部活やキラキラした恋愛のような「いわゆる青春」は登場しないけれど、立派な青春だよなぁと思いながら読みました。
  • 薬石としての本たち
     南木佳士さん、42歳でタバコを吸う元気がなくなったそうです。手元にないと落ち着かない本は、坂口安吾「堕落論」、深沢七郎「楢山節考」、丘沢静也「マンネリズムのすすめ」など。「薬石としての本たち」、2015.9発行。哲学的な本がお好きなようです。エピクロス「教説と手紙」、大森荘蔵「流れとよどみ 哲学断...続きを読む
  • 猫に教わる
     芥川賞の作品は寝て書いても完成させられるが、直木賞の小説はトラック数台分の資料を集めて読み込まないと書けない。一家統合の要の存在として15年生きたトラの命日は4月26日。南木佳士「猫に教わる」、2022.3発行、36編のエッセイ集。①脳の血流を良くするべく歩くには、ある程度の速度が必要だが、無理を...続きを読む
  • 猫に教わる
    お医者さんだけど、芥川賞を受賞した作家でもある。医者として患者の死に真摯に向き合われていたのだと思う。パニック障害やうつ病も克服して、今。素敵な奥さんや家族、同僚との交流も素敵だなと思う。
    いきるということは、いつも一生懸命生きることを親子の猫の姿から学んだ。自分ができることをできる範囲で一生懸命、...続きを読む
  • ダイヤモンドダスト
    芥川賞作品ということで読んだが、面白いという感じの小説ではない。
    でもつい最後まで読んでしまった。面白いという感じではないが、面白くないというわけでもない。芥川賞作品ということで、そうなのかよくわからないが、最後まで読んでしまった。どこか実体験に基づいた小説なのだろうと思う。芥川賞全集14に収録され...続きを読む
  • 猫に教わる
    新聞の随筆欄に寄稿した文章を再推敲してまとめられたエッセイ本。

    身の回りの出来事や思い出が淡々と、鮮明に綴られている。信州の田舎で非常勤医として暮らす筆者の生活が目に浮かぶようだった。
  • 猫に教わる
    滋味深く、人間味にあふれた本
    地味でも不器用でも良いんだと、否定することなく背をそっと押してくれる。モスグリーンの一冊。

    □治る病気で死ぬのは喜劇ですよ
    □小説には全体をおおう色がある
    □騙りへの傾斜
  • 阿弥陀堂だより
    小説家として結果を出せず苦しむ夫。優秀な医師として多忙な妻。都会で支え合いながら生活する中、妻は心を病んでいく。夫の故郷信州の山村に戻る決意をする。そこは、母を亡くし父が家を出た後、祖母と二人、自然と共に暮らした懐かしい場所だった。
    都会で傷を負った二人に自然は懐が深い。妻は、以前の笑顔を取り戻して...続きを読む
  • 猫に教わる
    ぽつぽつと寡作で地味な作家さんですが、新しい本を見つけると気になって読んでしまう。
    今もお元気で非常勤の勤務医をされているようで、そんな日常の一コマや、医者と作家という二足の草鞋時代の体調を崩した苦しい思いの綴りだったり、もっとさかのぼって幼い頃に母親を亡くし、思春期時代の新しい家族との葛藤や進学に...続きを読む
  • ダイヤモンドダスト
    タイ・カンボジアで難民キャンプでの医療ボランティアに3ヶ月従事し、病院へ戻った"ぼく"は、信州の病院に戻っても、調子の出ない日々が続いた。そんな中、終末期の患者として、千絵子が転院してくる。がんが転移し、弱った千絵子とは、高校のときに出会っていたのだった…。『冬への順応』

    小説という形では有るが、...続きを読む
  • 医学生
     医学生が地方の大学の医学部で解剖学や試験などに取り組む姿を描いている。作者の自伝的な小説というだけあって、内容は非常にリアルだし、一昔前が舞台のようだが今の医学部もあまり大きくは変わっていないのだと思う、そんなに違和感なく、内容にいちいち納得しながら読むことができた。そんなにドラマチックな展開があ...続きを読む
  • 医学生
    風景・街の描写が丁寧で場面を容易に想像できました。また人物描写についても、それぞれの大学生のリアルさがすごく共感できるものでした。
    話の流れとしては医学生の日常ということもあり起伏は少ないですが、そこがかえってリアルさを出してるのかな、と感じました。
  • ダイヤモンドダスト
    母が骨折で入院中に南木佳士さんは心の拠り所、と言っていた事からこの作家を知り、芥川賞受賞作である題名の話を含む短編集というこの作品に触れる。カンボジア難民キャンプでの医療団であったと言う作者の経験がものを言う医療現場の実情を知る事が出来た事は、今まで漠然としていた難民や医療の問題に少しでも触れる事が...続きを読む
  • 阿弥陀堂だより
    難病の小百合ちゃんがおうめ婆さんを取材して村の広報に掲載する『阿弥陀堂だより』の短くも優しい記事文が、疲れた心に沁みてくる。
    医師である主人公の妻の心を病むまでの仕事ぶりはすごいし、売れない作家でダメな感じと見える主人公の、故郷の山に移住して妻を再生させるまでの献身ぶりは素晴らしい。
    ダイヤモンドダ...続きを読む
  • 山行記
    ここのところテレビでも本町でも、山登りのスペシャリストのような方々を目にすることが多かった。そんななかで、登山の大変さが伝わってきてとても楽しく読めた。まるで一緒に登山したような気持ちになれた。登山は苦しいし、怖いこともある。けど、登山でしか味わえないものがあるのだと改めて思い、山に行きたくなった。
  • 医学生
    どう感じたんだろう…と振り返っても、どこか他人事に、面白かった〜としか言えないんだけど、でもなんだかすごく好きな小説だった。

    好きの理由を少しだけ掘り下げてみると…
    ・色々な設定にリアリティがある※自伝的だから
    ・キラキラしてない普通の登場人物達に親近感
    ・世の中って、働くって、ほんとそうだよね、...続きを読む