南木佳士のレビュー一覧

  • ダイヤモンドダスト

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    母が骨折で入院中に南木佳士さんは心の拠り所、と言っていた事からこの作家を知り、芥川賞受賞作である題名の話を含む短編集というこの作品に触れる。カンボジア難民キャンプでの医療団であったと言う作者の経験がものを言う医療現場の実情を知る事が出来た事は、今まで漠然としていた難民や医療の問題に少しでも触れる事ができた気がして良かった。今後医療や生と死に関する出来事や問題にぶっかった時、これまでとは違う受け止め方となるのではないかと思った。

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    2021年07月10日
  • 山行記

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    ここのところテレビでも本町でも、山登りのスペシャリストのような方々を目にすることが多かった。そんななかで、登山の大変さが伝わってきてとても楽しく読めた。まるで一緒に登山したような気持ちになれた。登山は苦しいし、怖いこともある。けど、登山でしか味わえないものがあるのだと改めて思い、山に行きたくなった。

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    2021年06月30日
  • 医学生

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    どう感じたんだろう…と振り返っても、どこか他人事に、面白かった〜としか言えないんだけど、でもなんだかすごく好きな小説だった。

    好きの理由を少しだけ掘り下げてみると…
    ・色々な設定にリアリティがある※自伝的だから
    ・キラキラしてない普通の登場人物達に親近感
    ・世の中って、働くって、ほんとそうだよね、という共感
    ・医学部ってこんな感じなのかと知ることができた
     →医者の友達が多い割に、医学部のこと、なんとなくしか分かってなかったんだなぁ。

    読書好きだなー、小説っていいなー、って思わせてくれた小説だった。

    そりゃそうか。芥川賞受賞作家の小説なんだから。

    ざっと4時間くらい、子育て中だが睡眠時

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    2021年06月29日
  • 医学生

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    ネタバレ

    姉が医学生で、彼女から聞く医学生の生活とよく似ていてかなり現実に即した話なんだということがわかった。
    日常を綴ったような話で特別な起伏はないけれど、登場人物の鬱屈とした気持ちなどはかなり巧みに表現されて伝わってくるため、飽きずにサクサクと読み進められた。
    青春時代に誰もが悩んだり鬱屈とした気持ちを抱えたりしたことはあるはずなので共感しやすい物語だと思った。
    また、日常の中にも登場人物の精神的な成長や変化があり、楽しめたし同世代として刺激も多少もらえた。

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    2021年04月08日
  • 小屋を燃す

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    著者の文庫本を店頭で見つけ久々に読むと、いつのまにか定年退職されて近所の人々と酒を汲みかわす人となっていた。それでも小説の内容は変わらず、この人は最後まで自分をもてあます感情からたすかろうとされるのだろうと感じた。

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    2021年04月08日
  • 医学生

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    ネタバレ

    6年間という人生においては一瞬に過ぎない時間の中で、解剖や臨床実習など医学部特有の経験を積み、浮き沈みを繰り返しながら、医師として巣立っていく脆くも頼もしい医学生達の姿に親近感を覚えた。

    作中でも取り上げられている中島みゆきの「時代」が学生達の葛藤を上手く表現していた。

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    2021年02月13日
  • 阿弥陀堂だより

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    新聞で南木さんの書いた文章を読み、興味を持って読んだ。
    コロナ禍の中で重たい内容ではあったけど、最終的には晴れやかな気分になったのでよかった。生と死、死生観。所詮、人の命も自然の一部の流れ・・。
    まあ、でも次は軽めの小説を読みたい気もする。

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    2021年01月30日
  • 医学生

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    地方の医学部という特殊な環境に集まった学生たちの決して明るくはない青春を描いた1冊。
    様々な境遇にある登場人物の交流がリアル。

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    2021年01月06日
  • 阿弥陀堂だより

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    小さな山奥の村、その山里の山の方の阿弥陀堂に暮らす老婆。祖先の霊を守ってくれる老婆にお礼として、老婆には食糧が運ばれる。
    40年、50年この閉ざされた風景から一歩も外に出ないで暮らしてきた老婆。
    都会で精神的に病んだ妻と売れない作家の自分。口の聞けない若い女性。圧倒的な大自然のなかで、生きるとは何か、考えさせられる名作。
    田舎で暮らし、病気と単なる身体の故障の違いとは、心が病んでるかどうかであると気づく妻。
    深いですね。

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    2020年11月09日
  • 阿弥陀堂だより

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    地に足がつく….というか、土地に根付いて身も心も健全に生きたくなるな。

    『器に合った分の、それもなるたけいい話を聞いていたい』
    このSNS時代にグッと来る言葉だ。

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    2020年09月24日
  • 阿弥陀堂だより

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    六川集落出身の孝夫が結婚し妻を連れて移住してくる。そこで暮らしながら出会う人との触れ合いが描かれている。
    タイトルでもある阿弥陀堂は、山の中腹にあるお堂で、選ばれたお婆さんが守っていくしきたりになっている。
    96歳のおうめ婆さんはそこに住み、祖先の霊を守っていてくれるのでそのお布施として村人は食料や燃料を運ぶ。
    病んでいた人々がおうめ婆さんと、この村での暮らしで元気を取り戻していく。
    映画化もされている。

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    2020年05月25日
  • ダイヤモンドダスト

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    東南アジアに難民医療のため一時派遣されたときの経験・出会った人についての短編が三つ。最後の一編はベトナム戦争で空軍パイロットだった牧師が死の床について語る言葉、「乗り物は早くなるほど罪深くなる」が印象的。

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    2019年09月23日
  • 山行記

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    新穂高から笠ヶ岳と槍を通る周回や、北岳から農鳥までの大縦走が書かれていますが、声高になる事なく静かに淡々と時が流れて行きます。山行記ではありますが文学作品。良い本だと思います。

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    2019年04月11日
  • 医学生

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    新設間もない秋田大学医学部で解剖実習でチームを組んだ4人の物語。皆医者になっていく過程で考え方を変えながら一人の医師として成長していく。青春物語。

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    2018年01月31日
  • 医学生

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    裏表紙に曰く"軽やかに爽やかに綴る永遠の青春小説"と。
    ナヌー!!南木佳士が"軽やかで爽やか"だと!!!というわけで、興味津々、読んでみました。
    確かに"軽やかで爽やか"ですね。ええ、あくまで南木作品としては、ですが。普通の人なら普通の作風くらいでしょうね。
    "意識して大衆小説にした"と作者自身が言ってる様に、普通の南木作品とは大きく違います。自己の経験を下敷きにしては居ますが、主人公も"自分"では無いようです。しかし、別の言い方をすれば"らしさ"が消えて、平凡な作品に

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    2017年10月30日
  • 阿弥陀堂だより

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    ネタバレ

    映画化もされた名作。わたしはこの作家の作品を読むのは3回目であるが、やはりこの静謐な世界は非常に好みである。作家である主人公とパニック障碍を患って田舎の診療所に赴任してきた女性医師の夫婦をメインに描いていて、これは完全なフィクションかとも思ったのだが、一部は実体験を取り入れた、半私小説なのかもしれない。著者が病気になったということは知っていたのだが(そのため後年登山に傾倒するようになり、近年の山岳小説につながる)、Wikipediaによれば著者の年齢はちょうど学園紛争激しい頃に受験を控えていたという作中の設定と合致するし、なにより著者の本名は「霜田(しもだ)」らしいので、まったく無関係に上田姓

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    2017年09月05日
  • 医学生

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    まさに私小説という感じだったが、なかなか人間臭い医者が書かれてある。
    安易に偏差値の低い伝統のない医学部を目指す若者が、低きに流れる。
    読む人は自分のようだと思っているに違いない。
    専門病院の自己顕示欲の固まりみたいな医者の人間的な小説も読んでみたい。

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    2017年09月04日
  • ダイヤモンドダスト

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    「地に踵のついた」(巻末 加賀乙彦との対談参照)短編集。このような静謐な話は、病気の経験がないと書けないかもしれない。

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    2017年08月11日
  • ダイヤモンドダスト

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    むかし現文の模試で読んだことがあったはず。

    死にゆく人と決意と、小説による美化と、医療従事者の目による冷静で現実的な視点。
    タイの難民キャンプでの医師派遣の話は、著者の体験によるものだろう。死を扱っているが平和な日本の病院と、カンボジア人たちとの割り切った態度の治療。実際に行った人にしかわからない感想が興味深かった。

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    2017年05月09日
  • 阿弥陀堂だより

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    医者という人の生死に関わる仕事につき、自らも精神を病んでしまう妻。新人賞を受賞したものの次が思うように書けない夫。山の人となり前時代的な生活を続けているおうめ婆さん。病の再発から再起した小百合ちゃん。暗くなりがちな登場人物の設定だがそうならないのは、自然が圧倒的だからなのかもしれないですね。

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    2016年08月26日