室生犀星のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
萩原朔太郎と室生犀星という二人の巨匠がそれぞれについて書いた文章のまとめ本。今となっては二人とも近代詩の伝説のような存在だが、当時の文章を読むと一人の人間として生き生きと見えてくるから不思議だ。パンチのあるエピソードをそれぞれが面白く書き記しており、共著のフィクションを読んでいるような気分にもなる。全部実話なのだけれど。
詩作品だけを見てきたので、朔太郎という人間はもっと孤独で異様な雰囲気のある人なのかと思っていたが、本人の書くエッセイは意外と明るく軽妙な語り口でびっくりした。「室生のことは自分がいちばんよくわかっているから」と自信満々に語るさまには(犀星曰く「決めつけてかかるところがある」 -
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文庫としてはちょっと高いけど、充実の一冊!!
手にして良かった~!
室生犀星が敬愛する詩人たちを一人ずつ取り上げて語る。
当時の犀星の様子や、交流の様が、正直に、温かく優しい目線で語られていた。
タイトルには伝記とあるけれど、本書はそんな堅苦しいものではなくて、思い出の記といった感じだった。
詩人への愛が詰まっている。
第一章は「北原白秋」。
明治四十二年に自費出版された白秋の処女詩集『邪宗門』を、早速注文した犀星。
自らをキリシタンになぞらえながら官能や幻想を唄う本作を、「解らないまま解る顔をして読んでいた」という。
正直だなぁ。
『屋上庭園』という詩の雑誌も、編集していた白秋宛てに直接 -
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内容が濃い!
萩原朔太郎と室生犀星の共著である本書は、互いへの思いをそれぞれに語った記事を纏めた興味深い1冊で、めちゃくちゃ面白かった!
犀星の幾つかの詩に朔太郎が解釈をつけていたり、互いへ向けた詩を詠んでいたり。
二人が互いに向けた思いをぶちまける。
無花果さん、勧めて下さって有難う御座います♪
本書はまず萩原朔太郎の目線で犀星が語られる。
どうやら彼と犀星は性格も好みも真逆だったよう。
犀星の誘いで移り住んだ田端も朔太郎に言わせれば、「妙にじめじめして、お寺臭く、陰気で、俳人や茶人の住みそうな所」だそうで、「第一始めから印象が嫌いであった。」とバッサリ 笑
芥川龍之介にまで飛び火して、彼 -
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夫・兼家との結婚生活での苦悩やささやかな喜びを描いた、回想録。
己のプライドの高さゆえに、兼家の浮気が許せず嫉妬に苦悩する。
現代の恋愛にも通じる文学を、室生犀星の現代語訳で楽しめる。
熱烈にアプローチしてきたのは向こうなのに、溺れて苦しむ道綱の母の苦悩は、現代の私たちにも痛いくらいわかります。
自分だけが想っているのかしら、他の誰かと笑っているのかしら、肌を寄せあっているのかしら、と。
もちろんそんなことは書いてありませんが、文章を読み進めていくうちに、彼女の想いが強く伝わってきます。
原文は上中下巻に分けられていますが、この本は一冊にまとめてあるので、お手軽に読めると思います。
個人 -
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ネタバレ室生犀星の自伝的長編小説。
文庫で600ページ超という長さだし、50年以上前に書かれた小説。
正直、途中で挫折しても仕方がないと思っていたが、読んでみたらするする読める。知らない言葉もたまに出てくるが(重畳、●●輩など)、勉強になるので良かった。
作家平山平四郎が生まれるところから物語は始まり、金沢で不遇の少年時代を過ごす。大人になった平四郎は東京で作家として生計をたてるようになり、やがて娘の杏子(きょうこ)が生まれる。
杏子の成長を軸として、戦時中の暮らしなどが綴られ、何気ない日常の一コマでも当時の人々の息遣いが感じられるようで興味深い。
平四郎は杏子を自分の好みの美しい女性としてつくり -
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ネタバレ友人より借りました。
小説。私小説風。文章は古いタイプ。
「蜜のあわれ」は七十歳ぐらいの老小説家と、若いぴちぴちの女の子の姿になる金魚との対話風小説。
なんとなく、劇調。(地の文がないから、台詞で説明するせい)
金魚(出目金・赤・三年子)との会話が妙に艶かしい。小説家には金魚にしか見えないらしいのだが、尻尾のぬめぬめを舐めてとか、金魚が言ったり、お金をせびったり(すごくせびる)、ヤキモチやいたり、キスしたり。
最後に他の金魚との間に子供を作って、おなかの中の卵は「おじさまの子よ」。
魅力的です、この金魚。我儘で、積極的。いい女です!
新聞に解説が載っていて、どうしても読みたくな -
Posted by ブクログ
まだこんなちんぴらなのに気が強くてわがままでこまっしゃくれて美しい女、またあるときは三歳の赤い金魚。
小説書きのおじさまは、飼ってる金魚の画を、ちょっと描いた。小さな文章もつけて。
瞳は大きく、お腹はデブちゃんな、出目金。燃えるような朱い色をしている。
のめのめしたあぶら、や、すぼっとしたお臀。おじさまの体の上ではしゃぎ、キスをする。小生意気な口をたたき、おじさまとの恋仲をたのしむ。
おじさまと金魚の子、そのほか、ひょっこり現れて来たおばさまとのやりとりがずっと聞こえている。会話のみで構成する美しい小品。金魚鉢をずっと眺めているような夏を思わせる。