室生犀星のレビュー一覧

  • 二魂一体の友

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    萩原朔太郎と室生犀星という二人の巨匠がそれぞれについて書いた文章のまとめ本。今となっては二人とも近代詩の伝説のような存在だが、当時の文章を読むと一人の人間として生き生きと見えてくるから不思議だ。パンチのあるエピソードをそれぞれが面白く書き記しており、共著のフィクションを読んでいるような気分にもなる。全部実話なのだけれど。

    詩作品だけを見てきたので、朔太郎という人間はもっと孤独で異様な雰囲気のある人なのかと思っていたが、本人の書くエッセイは意外と明るく軽妙な語り口でびっくりした。「室生のことは自分がいちばんよくわかっているから」と自信満々に語るさまには(犀星曰く「決めつけてかかるところがある」

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    2024年12月23日
  • 我が愛する詩人の伝記

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    文庫としてはちょっと高いけど、充実の一冊!!
    手にして良かった~!
    室生犀星が敬愛する詩人たちを一人ずつ取り上げて語る。
    当時の犀星の様子や、交流の様が、正直に、温かく優しい目線で語られていた。
    タイトルには伝記とあるけれど、本書はそんな堅苦しいものではなくて、思い出の記といった感じだった。
    詩人への愛が詰まっている。

    第一章は「北原白秋」。
    明治四十二年に自費出版された白秋の処女詩集『邪宗門』を、早速注文した犀星。
    自らをキリシタンになぞらえながら官能や幻想を唄う本作を、「解らないまま解る顔をして読んでいた」という。
    正直だなぁ。
    『屋上庭園』という詩の雑誌も、編集していた白秋宛てに直接

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    2024年11月16日
  • 二魂一体の友

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    内容が濃い!
    萩原朔太郎と室生犀星の共著である本書は、互いへの思いをそれぞれに語った記事を纏めた興味深い1冊で、めちゃくちゃ面白かった!
    犀星の幾つかの詩に朔太郎が解釈をつけていたり、互いへ向けた詩を詠んでいたり。
    二人が互いに向けた思いをぶちまける。
    無花果さん、勧めて下さって有難う御座います♪

    本書はまず萩原朔太郎の目線で犀星が語られる。
    どうやら彼と犀星は性格も好みも真逆だったよう。
    犀星の誘いで移り住んだ田端も朔太郎に言わせれば、「妙にじめじめして、お寺臭く、陰気で、俳人や茶人の住みそうな所」だそうで、「第一始めから印象が嫌いであった。」とバッサリ 笑
    芥川龍之介にまで飛び火して、彼

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    2024年03月18日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    表題の「密のあわれ」は作者の変態性、というよりかは彼の中の美の哲学を外に出した結果、金魚との対話という形式になった感じがする。
    何はともあれ他では味わえない異質な作品で、とても楽しく読んだ。金魚が可愛い。

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    2022年09月03日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    『蜜のあはれ』が読みたくて買った。すべてが会話文で書かれているコケティッシュな超現実小説。金魚ちゃんとおじさまのやり取りが可愛い。

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    2022年07月13日
  • 現代語訳 蜻蛉日記

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    夫・兼家との結婚生活での苦悩やささやかな喜びを描いた、回想録。
    己のプライドの高さゆえに、兼家の浮気が許せず嫉妬に苦悩する。
    現代の恋愛にも通じる文学を、室生犀星の現代語訳で楽しめる。


    熱烈にアプローチしてきたのは向こうなのに、溺れて苦しむ道綱の母の苦悩は、現代の私たちにも痛いくらいわかります。
    自分だけが想っているのかしら、他の誰かと笑っているのかしら、肌を寄せあっているのかしら、と。
    もちろんそんなことは書いてありませんが、文章を読み進めていくうちに、彼女の想いが強く伝わってきます。

    原文は上中下巻に分けられていますが、この本は一冊にまとめてあるので、お手軽に読めると思います。
    個人

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    2020年08月08日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    あまりにもつるつると完成されていて。少し怖気づくも、ユーモアにすくわれる。しかし、そのユーモアの冷えびえとしていることよ。

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    2013年09月05日
  • 我が愛する詩人の伝記

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    色んな文学者にまつわるエピソード満載で笑顔になる


    折口信夫がお気に入りの弟子にせがんで眼鏡かけさせて連れ回してルンルンだった話がちょっと忘れられない

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    2013年03月03日
  • かげろうの日記遺文

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    『蜻蛉日記』それ自体にはあまり描かれることのない「町の小路の女」に焦点が合わせられている。
    平安時代の物語を現代語のように読むことができれば、きっと、こんな感じだろうと思わせる流麗な文章が良い。

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    2012年12月21日
  • 随筆 女ひと

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    どこを引用したらいいかわからないのでもう読んで下さいとしか。
    室生犀星の好きなところは、ユーモアがあるところ。人の笑いを誘う明け透けな表現は、彼の素直さと磨き上げられた言語感覚とそして優しさから生まれているのだと思う。読みながら、彼の鑑賞対象となる女という人種であることが誇らしかった。こんなに無垢なサービス精神のある、そしてそれを存分に引き立てる豊かな言葉たちを携えた室生犀星という作家をもっともっと知りたくなる、いとおしい随筆です。

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    2013年02月28日
  • 随筆 女ひと

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    どこを引用したらいいかわからないのでもう読んで下さいとしか。
    室生犀星の好きなところは、ユーモアがあるところ。人の笑いを誘う明け透けな表現は、彼の素直さと磨き上げられた言語感覚とそして優しさから生まれているのだと思う。読みながら、彼の鑑賞対象となる女という人種であることが誇らしかった。こんなに無垢なサービス精神のある、そしてそれを存分に引き立てる豊かな言葉たちを携えた室生犀星という作家をもっともっと知りたくなる、いとおしい随筆です。

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    2013年02月28日
  • 杏っ子

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    ネタバレ

    室生犀星の自伝的長編小説。
    文庫で600ページ超という長さだし、50年以上前に書かれた小説。
    正直、途中で挫折しても仕方がないと思っていたが、読んでみたらするする読める。知らない言葉もたまに出てくるが(重畳、●●輩など)、勉強になるので良かった。

    作家平山平四郎が生まれるところから物語は始まり、金沢で不遇の少年時代を過ごす。大人になった平四郎は東京で作家として生計をたてるようになり、やがて娘の杏子(きょうこ)が生まれる。
    杏子の成長を軸として、戦時中の暮らしなどが綴られ、何気ない日常の一コマでも当時の人々の息遣いが感じられるようで興味深い。

    平四郎は杏子を自分の好みの美しい女性としてつくり

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    2012年07月06日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    「おじさま」と三年子の赤い金魚との会話によって構成されている短編、「蜜のあわれ」が特に好き。
    「おじさま」と金魚屋さんにとっては小さな可愛い金魚、他の人にとっては人間のはずなのに、どこからが金魚でどこからが人間なのかわからなくなる。
    金魚である方が官能的で美しい気すらする。

    その他の短編も秀逸。

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    2012年03月05日
  • 杏っ子

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    「あんずっこ」こと主人公の娘、杏子が非常に魅力的。
    家族から向けられる父親への視線が注目される点。

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    2012年03月05日
  • 随筆 女ひと

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    女ひとに対する室生犀星の可愛らしい下心がいい。二の腕の美しさについて延々と語るのがいい。―女の人というものはどこかに美点の幾つかをかくしているものであって,虫も殺さぬやさしい性質の人が恐るべき偉大な足をかくしていることに,たくさんの例があった(「為すなきことども」より)。

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    2012年02月15日
  • 随筆 女ひと

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    女ひとに対する室生犀星の可愛らしい下心がいい。二の腕の美しさについて延々と語るのがいい。―女の人というものはどこかに美点の幾つかをかくしているものであって,虫も殺さぬやさしい性質の人が恐るべき偉大な足をかくしていることに,たくさんの例があった(「為すなきことども」より)。

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    2012年02月15日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    ネタバレ

    友人より借りました。

     小説。私小説風。文章は古いタイプ。
    「蜜のあわれ」は七十歳ぐらいの老小説家と、若いぴちぴちの女の子の姿になる金魚との対話風小説。
     なんとなく、劇調。(地の文がないから、台詞で説明するせい)
     金魚(出目金・赤・三年子)との会話が妙に艶かしい。小説家には金魚にしか見えないらしいのだが、尻尾のぬめぬめを舐めてとか、金魚が言ったり、お金をせびったり(すごくせびる)、ヤキモチやいたり、キスしたり。
     最後に他の金魚との間に子供を作って、おなかの中の卵は「おじさまの子よ」。

     魅力的です、この金魚。我儘で、積極的。いい女です!
     新聞に解説が載っていて、どうしても読みたくな

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    2011年05月28日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    犀星がいろんな作品で語るものが全部集約されたかのような「蜜のあわれ」金魚のラストが切ない。レビューで語りきれないくらい好きだ。いろんなひとに読んでみてほしい。

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    2011年01月03日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    この中では1番蜜のあわれがすきです。可愛いらしい金魚ちゃんとたまに変態臭いところもありますが優しい上山さんの会話にすごくときめき、癒されました…こんなおじいちゃんと孫のような歳の離れた関係…大好きです

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    2010年12月01日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    まだこんなちんぴらなのに気が強くてわがままでこまっしゃくれて美しい女、またあるときは三歳の赤い金魚。
    小説書きのおじさまは、飼ってる金魚の画を、ちょっと描いた。小さな文章もつけて。
    瞳は大きく、お腹はデブちゃんな、出目金。燃えるような朱い色をしている。
    のめのめしたあぶら、や、すぼっとしたお臀。おじさまの体の上ではしゃぎ、キスをする。小生意気な口をたたき、おじさまとの恋仲をたのしむ。

    おじさまと金魚の子、そのほか、ひょっこり現れて来たおばさまとのやりとりがずっと聞こえている。会話のみで構成する美しい小品。金魚鉢をずっと眺めているような夏を思わせる。

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    2010年08月05日