無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
まだこんなちんぴらなのに気が強くてわがままでこまっしゃくれて美しい女、またあるときは三歳の赤い金魚。
小説書きのおじさまは、飼ってる金魚の画を、ちょっと描いた。小さな文章もつけて。
瞳は大きく、お腹はデブちゃんな、出目金。燃えるような朱い色をしている。
のめのめしたあぶら、や、すぼっとしたお臀。おじさまの体の上ではしゃぎ、キスをする。小生意気な口をたたき、おじさまとの恋仲をたのしむ。
おじさまと金魚の子、そのほか、ひょっこり現れて来たおばさまとのやりとりがずっと聞こえている。会話のみで構成する美しい小品。金魚鉢をずっと眺めているような夏を思わせる。
Posted by ブクログ
カヴァーに「生涯最高の活動期ともいうべき晩年の名作五篇を収録。」とありますが、ほんとうに犀星晩年作品は素晴らしい。『密のあわれ』が好きな方は多いことだろう。こんなふうに自分のことを「あたい」と呼び、「おじさま」と語りかける、なんとも魅力的な少女。朱い金魚(出目金)を思い浮かべながら読むと、尚更。ガン闘病記『われはうたえども やぶれかぶれ』からもまた、犀星その人の「構え」を感じることができる。そして遺作、最後の詩「老いたるえびのうた」。この講談社文芸文庫には、解説、作家案内も詳しい。著作目録が載っているのも有り難い。陶古の女人密のあわれ/後記 炎の金魚火の魚われはうたえども やぶれかぶれ老いたるえびのうた以上を所収。
Posted by ブクログ
老年の小説家“おじさま”と可愛らしい“金魚”との全篇対話形式で展開する短編『蜜のあわれ』が読みたくて。
金魚の一挙一動がとにかく可愛いです。
子供のようなあどけない口調に反して立ち振る舞いは艶っぽく、何気ない会話や仕草が妙に官能的、喜怒哀楽の豊かさはこちらも愉快な気持ちになり、こんな可愛らしい女の子が自分の周りをくるくると舞っていたら…そりゃあ老年のおじさまは夢中にもなるし翻弄されたところで本望でしょうと納得してしまいます。
生き生きとした光で溢れた“生”と、会話の端々で顔を見せる“死”の対比が美しい表情豊かな一篇でした。
「おじさまは、何時も、しんせつだから好きだわ、弱っちゃった。また好きになっちゃった、あたいって誰でもすぐ好きになるんだもん」
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。