室生犀星のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、室生犀星さんとげみさんのコラボ作品「詩集『抒情小曲集』より」です。げみ三のイラスト、のどかなあったかい風景が主に描かれていたのが印象的でした。
室生犀星さんって、大変失礼ながら聞いたこともなくって(^-^;)
「ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの」
これは、知っていました!!って威張れるようなことじゃないけど…。故郷の金沢への思いとその風景が、作中でたくさん描かれています。金沢に限らず、どこに故郷があっても似たような感覚を覚えるから、今の時代でも室生犀星さんの詩が親しまれているんでしょうね…。四季のある日本で、自然を愛でることができる -
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Posted by ブクログ
「蜜のあわれ」
全編が対話で、中心となるのは金魚の化身である少女と老齢の小説家とのおしゃべり。小説家はコティッシュで天真爛漫な少女に「おじさま」と呼ばれ振り回されながらも、彼女を可愛がる。他に田村ゆり子という、生前、小説家の友人だった幽霊が出てくる。小説家は犀星、ゆり子は犀星が愛した女性がモデルになっているようだ。
たわいない対話が続き、とらえどころのない小説だが、全体を通して艶っぽい雰囲気があふれており、犀星の女性への並々ならぬ関心が伝わってきた。
「われはうたえどもやぶれかぶれ」
犀星が昭和36年夏、軽井沢で滞在中、小便が出にくくなり、帰京後、入院した虎ノ門病院で過ごした体験がベース -
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Posted by ブクログ
『蜜のあわれ』はやはり金魚の「あたい」が可愛い。コケティッシュな感じと言えば良いかなぁ。生き生きと動き回る金魚ちゃんと、おじさまと会えない(会わない)幽霊の対比がいい。地の文がない、会話だけで書かれている作品なのに、登場人物がとても生き生き動き回りますね。
あわせて収録されている『火の魚』は舞台裏話みたいなところもありますが、ここにも強い女性の姿が。
収録されてるどの作品を読んでも感じられるのは、犀星さん、ホントに女性が好きなんだなあ(いやらしい意味でなく、愛する対象なんだなあ)って事ですね。
<収録作メモ>
陶古の女人
蜜のあわれ
後記 炎の金魚
火の魚
われはうたえどもやぶれかぶれ
老い -
Posted by ブクログ
性欲に反して美人と縁のない生活を送ってきた「をじさま」は作家だから、脳内で愛人をいっぱい作り小説に書いたりする。
その「をじさま」がずっと会話して遊んでいる「あたい」は金魚。
金魚は容姿端麗なお嬢様になったり、かと思えば出目金の姿でメダカを齧ったりしている。
「をじさま」にはお小遣いを5万円せびったりしている。
そうして講演会で、「をじさま」の昔の知人「をばさま」に出会って、ふたりを引き合わせようとするのだが…。
かわいいお話。
ただ、会話だけで進むので、脚本を読んでいるよう。
小説を読んでいるという感覚はなかった。
室生犀星よんでみたかったので叶って満足。