室生犀星のレビュー一覧
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カヴァーに「生涯最高の活動期ともいうべき晩年の名作五篇を収録。」とありますが、ほんとうに犀星晩年作品は素晴らしい。『密のあわれ』が好きな方は多いことだろう。こんなふうに自分のことを「あたい」と呼び、「おじさま」と語りかける、なんとも魅力的な少女。朱い金魚(出目金)を思い浮かべながら読むと、尚更。ガン闘病記『われはうたえども やぶれかぶれ』からもまた、犀星その人の「構え」を感じることができる。そして遺作、最後の詩「老いたるえびのうた」。この講談社文芸文庫には、解説、作家案内も詳しい。著作目録が載っているのも有り難い。陶古の女人密のあわれ/後記 炎の金魚火の魚われはうたえども やぶれかぶれ老いたる
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げみさんが描くと、心なしか室生犀星もイケメン風味。イラストは、やはり素晴らしかったです。
詩は作者の感情のままに紡がれた言葉。読み手も自由にその気持ちを受け取っていいと思うので、そのときの自分の感情で印象が変わると思います。
室生犀星のこの詩集は、じっくり言葉をたどっていくのが、私にはぴったりでした。有名な「ふるさとは遠きにありて思ふもの····」ではじまる詩は、ふるさとがもう温かくは迎えてはくれない物悲しさが、書かれています。げみさんのイラストが、よく合っていました。
私が好きだったのは、その六のあんずを詠んだ詩、ふるさと、犀川、桜と孔雀、秋の終り。げみさんのイラストも、詩の情景とぴっ -
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やはり人生に詩は必要だ
ということで、第二十一おネエは室生犀星の詩集『抒情小曲集』です
聞いた風なこと言ってますけどね
聞いた風なこと言うチャンピオンですけどね
まず『抒情小曲集』が読めてないですからね
詩がどうの言う資格ないです
まぁ、とりあえず調べてみますか
ここはひとつ謙虚な気持ちでね
詩を読むときは謙虚さが大切ですから(聞いた風なこと)
はいはい読み方ね「じょじょうしょうきょくしゅう」だそうです
意外とそのまんまだった!
そして完全に早口言葉だった!
「ふるさとは遠きにありて思ふもの」だそうですよ
私ふるさとから出たことないんだよなー
はい、げみさんのイラストが最高過ぎるので -
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老年の小説家“おじさま”と可愛らしい“金魚”との全篇対話形式で展開する短編『蜜のあわれ』が読みたくて。
金魚の一挙一動がとにかく可愛いです。
子供のようなあどけない口調に反して立ち振る舞いは艶っぽく、何気ない会話や仕草が妙に官能的、喜怒哀楽の豊かさはこちらも愉快な気持ちになり、こんな可愛らしい女の子が自分の周りをくるくると舞っていたら…そりゃあ老年のおじさまは夢中にもなるし翻弄されたところで本望でしょうと納得してしまいます。
生き生きとした光で溢れた“生”と、会話の端々で顔を見せる“死”の対比が美しい表情豊かな一篇でした。
「おじさまは、何時も、しんせつだから好きだわ、弱っちゃった。また好 -
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4月17日、日曜日のFM「メロディアスライブラリー」で小川洋子さんが「蜜のあわれ」を紹介されているのを聴き、その日の午後、近くの本屋で入手。
室生犀星を読むのは初めて。
当然、「蜜のあわれ」から読む。
金魚が少女の姿で老作家の元に訪ねてくる。地の文がなく、会話だけで続く奇妙な物語。この金魚の娘がやたらお金を作家にせびったり、ポンポンと奔放な会話の応酬があり、昔の知ってた女の幽霊が現れたりという展開。小川さんも番組で笑ってたけど、お臀に夕栄が当たった美しさとか、お臀の上で首を縊りたいとか、馬鹿馬鹿しさが突き抜けたような印象。もう怖いものなんかないと開き直ったのか。
「火の魚」。蜜のあわれの表 -
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この金魚との会話、楽しんで書いたんだろうな、と想像してみる。
“あたい”の口調のテンポのよさに紛れてしまいそうだけれど、会ってもらえない幽霊の手首についた、腕時計をねじり取られた傷跡とか、身につけたハンドバッグの錆びついた留め金なんていう描写を目にすると、冷え冷えしたものを感じる。以前読んだ犀星の「後の日の童子」での、童子の残した足跡に群がるたくさんの“”うじうじ”した馬陸(ヤスデ)という描写もそうだった。
美しいものを愛した犀星らしいといえばらしいのだけれど、「火の魚」で折見とち子を評するにあたって、“美人ではないためのりこうさ”とか、“美人でないための穴埋め”とか、“美人であるなしをい -
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「密のあわれ」のみ、院生の頃日本幻想文学集成で読んでたのですが、やっと残りを読みました。ので、感想編集。
きんぎょちゃんかわいいです。オジサンと女の子の組み合わせっていいよね。「火の魚」とかも読むと、作者にとって金魚はほんとに女性を象徴するものやったのか、と思ったけど後から「陶古の女人」読んで、なんだ、へんたいか、と考えを改めてしまっt…
背表紙でガン闘病記とかいうから「われはうたえども やぶれかぶれ」は結構構えてしまったんやけども面白かったぞ。思い付くままに流れるように文を繋いでいて、治療しかすることない入院中はそうやって思考が流れるんやろなあと、腰をこごめてウンウンしているおっさんを想像