室生犀星のレビュー一覧

  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    赤い金魚が人間の女の子となって、老齢の男性と交流する話…
    と聞いて、読んでみたい!と思い室生犀星初挑戦。

    表題作はじめ全5篇の物語なのだけれども、
    特に「蜜のあわれ」は期待を上回る作品。
    室生犀星の理想の“女ひと”像の結晶ということらしいのだが、
    全篇対話形式で描かれる二人(?)のやりとり及び関係は
    とてもエロチック。
    いや日本語で、色っぽい。あるいは艶っぽいとするべきか。
    森見登美彦の「宵山万華鏡」でも金魚というモチーフ自体が、
    妖しい少女として描かれていたように、
    文学的に描写されるのは、メス=少女が似合う。
    また金魚としての命の儚さと、老齢の男性が避けられぬ死。
    エロスとタナトスと言っ

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    2012年04月22日
  • 哈爾濱詩集 大陸の琴

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    好きだ、としか言いようがない。とろっとした文章でつむがれている所在のない時間はもうあまやかな味わいで、詩的であるということ以上に気持ちがいい。じぶんのなかの、自分の目や気持ちや生き方の中は非常にあたたかく居心地がいい。外にでたときのきまりわるさやいたたまれなさを大陸のたびに重ねて、人のきもちのご都合主義に重ねて、生きていることそのものじゃないか。とも思う。人通りのおおいまちを、すきなように歩いていくのはきもちがいい。

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    2012年03月08日
  • 杏っ子

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    古本屋で何か惹かれるモノを感じて数年前に読みました。

    とても長い作品なのですが、飽きません!
    古さを感じさせず、読みやすかった記憶があります。

    今度、再読しようっと。

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    2012年04月28日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    いやあ……オッサンおいこらwwwと云いたくなる内容から、あ、やっぱセンスいいよなあ、という表現まで、幅広い楽しみ方ができてなかなか。どんだけ女好きなんすか室生先生。鏡花センセは強く気高い女性が大好きですが、犀星センセはキレのいい小悪魔な若い女が好きみたいですね(笑)

    短篇に一作だけ入っていた詩もよかった。小説でも随筆でも、妙に生活感がありながら、どっかフェティッシュで優美な印象でした。
    でも闘病生活の随筆「われはうたえどもやぶれかぶれ」は、最初から最後まで睾丸と排尿と…とにかくそういう話を延々するのでちょっと困惑する。

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    2011年10月22日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    「蜜のあわれ」が艶っぽくて素敵。金魚のはすっぱな感じが可愛らしい。
    にしても犀星先生、女の人好きねー!(笑)

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    2011年09月11日
  • 杏っ子

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    浦野所有。
    ◆以下、ネタバレ注意◆

    作者の室生犀星が詩人であるという先入観のためか、全体的に詩的な雰囲気のただよう作品でした。詩というにはあまりにも長い、父娘ふたりの数十年の歩みをつづっているわけですけど、ほとんど直観的に筆を走らせ切ったのではないか? と思ってしまうほどストレートで、よどみなく、流麗な筆致でした。

    また、抽象的な心理描写が多いことも特徴といえるでしょう。父と娘の会話も、核心のところまでは言葉に表さないですし、会話以外の部分(全体は三人称形式なのですが)でも、あまりにも細かすぎる心理描写はでてきません。それゆえ、父――平山平四郎――や、娘――杏子――ら、登場人物の表情や息づ

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    2010年05月10日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    老作家の「をぢさま」と金魚の「あたい」の物語。
    金魚の「あたい」が「をぢさま」に甘えたおして、だらしのない「をぢさま」を叱ったりして・・・
    「をぢさま」はたまに反論しつつも基本的にはそれを受け入れて、金魚を甘やかせてかわいがる。
    いつか(もっと早くかもしれない)終る関係でも、いいなと思う。

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    2011年01月25日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    少し前に、ヨナキウサギさんに『陶古の女人』を教えていただいて探していた。
    見つけたのが、そちらを含めて『蜜のあわれ(「後記 炎の金魚」を含む)』『火の魚』『われはうたえども やぶれかぶれ』『老いたるえびのうた』の5作、解説・作家案内・著書目録が収録されたこの1冊。

    『陶古の女人』もおもしろかったのだけれど(でも私はきっと一生、こんな風に物に耽溺することはないなぁ、よかれ悪しかれ)、『蜜のあわれ』が思わぬ拾い物だった(本当ならば刊行時のように『蜜のあはれ』の方がしっくりくる気がするのだが。新仮名にしないとならないのかなぁ)。
    表紙の金魚の魚拓が見たかったなぁ。巻末の解説に表紙写真が付されている

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    2012年06月18日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    「蜜のあわれ」は金魚とおじさんの話。
    金魚がしゃべる。おじさんとしゃべる。

    こういうの、コケティッシュというのだろうか。

    そこはかとなくセクシーで、ちょっとあわれっぽくて。

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    2010年06月06日
  • 杏っ子

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    これ読んで室生犀星の文章に嵌りました。こんな父娘関係かっちょいいです。「父親にとって娘とは最後の女である」。深い…。

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    2009年10月04日
  • 杏っ子

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    長編だけど、気軽に読めるお話。はっと(ほっと?)する様な描写に、作家と娘、その周囲で起こる日常生活。お気に入りです。

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    2009年10月04日
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    なるほど、詩にイラストをつけるのはいいかもしれないな。読解の助けになるだろう。
    とはいえ、室生犀星だと、それだけでは読みきれないところがあると思われる。簡単な解説があってもいいのかも。いや、そういうのをつけないというポリシーでやっているのかもしれないな。自由に解釈するのがいいのか、ある程度は導いたほうがいいのか。うーん、どっちがいいんだろう。

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    2025年05月20日
  • 二魂一体の友

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     萩原朔太郎、室生犀星いずれも昭和前半期のビッグネームだが、これほどまでに深い友情で結ばれていたとは知らなかった。詩はほとんど読まないので、室生犀星が詩人として出発したことすら知らなかったし、『抒情小曲集』としてまとめられる詩を読んで朔太郎が感動し、ファンレター的な手紙を出して交わりを求めたことなど、本書で初めて知った。

     本書では、犀星との交流や犀星論を語る朔太郎の文章と、犀星が朔太郎との交流や朔太郎の性格などについて語った文章、それぞれの詩集に寄せた序文などが収録されているが、お互いの性格が文章から窺われるところが読み比べていて愉しい。殊に朔太郎の犀星に寄せる文章が実に熱いのに対して、犀

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    2025年05月21日
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)

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    初めて室生犀星の本をまともに読んだ、と思ったけど、「ふるさとは遠きにありて〜」は知ってた。
    繰り返し読んでもわからないものはわからなかったけど、詩を味わおうとするのも新鮮でいいなと思った

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    2024年10月01日
  • 現代語訳 蜻蛉日記

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    かなり正直に気持ちをぶっちゃけていて、心配になってしまうほど。当時、周りの反応はどうだったのかしら。その分、平安時代を身近に感じられた。

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    2024年04月29日
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)

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    室生犀星文学忌、犀星忌。
    1918年の作品 

    小景異情 その2
    ふるさとは遠きにありて思ふもの
    そして悲しくうたふもの

    この作品は、高校のたしか2年の現代国語の授業で扱われた。そして当時から詩は苦手という意識と たぶん教師にもそれを見抜かれていた事実。
    まず、この詩は何処で読まれたかという問いに早々に一番に当てられた。
    当然、あほ丸出しで「みやこ?」と答え、その後の授業は集中的な指導をいただき散々なものになった。
    そうです、彼は故郷金沢で読んだ故郷との訣別の詩なのです。当時は、今のような情報はなく、国語便覧あたりが重要情報源。養子先の孤独な幼児期だの妾の子だの知り得るのはハードルが高かった

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    2024年03月26日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    二階堂ふみも大杉漣の声で再生できた、、
    コケティッシュでおじさまを振り回す赤子ちゃんと余裕のあるおじさま、お似合いだった。
    おじさまのことぞんざいに扱っているようで実は愛していて、ゆり子さんと会わせてあげようとか。でもやはり「惚れた男を自分だけのものにしておきたいのなら、前の女とは会わせようとしないことね、自分でちゃんと抱きしめとかなきゃ。人を好きになるということは愉しいことでございます」

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    2024年02月25日
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)

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    最近、詩はほとんど読まないなあ。
    室生犀星といえば、高校生の頃に読んだ「杏っ子」ぐらいかな。
    この詩集は室生犀星の詩に絵がピッタリ合っている。
    詩の情景をより豊かにしてくれる絵だ。
    げみさんの絵、色合いも、優しいタッチもいいなあ。

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    2024年02月12日
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ

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    金沢出身の詩人・小説家である室生犀星の作品集。晩年に書かれた短編5篇+詩1篇(+α)収録。室生犀星はまだ詩集しか読んだことがなかったので、小説作品を読むのは新鮮だった。

    表題作のひとつ「蜜のあわれ」は、70過ぎの老作家と金魚の化身である少女の物語。全編が会話文のみで構成されており、モノローグというものが無い。奔放な少女(17〜20歳くらい? 口調はもっと幼い感じもする)に振り回されつつ受け入れる老先短い作家はどこか、老いた自分のことも、かつての若い自分のことも、両方受け入れられないように見える。

    「われはうたえどもやぶれかぶれ」は、作者の肺癌闘病記。思い通りに動かない体や治療の苦しみを描き

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    2023年08月15日
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)

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    なぜか「小景異情その二」の「ふるさとは遠きにありて思ふもの~」は知っていた。

    言葉の響きがやわらかく、すっと心に染み入るような詩集。

    添えられたげみさんの端麗な絵も相まって豪華な絵本を読んだ心地になった。

    「秋の終り」という片想いの詩が一番好き。

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    2023年08月12日