室生犀星のレビュー一覧

  • 杏っ子
    浦野所有。
    ◆以下、ネタバレ注意◆

    作者の室生犀星が詩人であるという先入観のためか、全体的に詩的な雰囲気のただよう作品でした。詩というにはあまりにも長い、父娘ふたりの数十年の歩みをつづっているわけですけど、ほとんど直観的に筆を走らせ切ったのではないか? と思ってしまうほどストレートで、よどみなく、...続きを読む
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    老作家の「をぢさま」と金魚の「あたい」の物語。
    金魚の「あたい」が「をぢさま」に甘えたおして、だらしのない「をぢさま」を叱ったりして・・・
    「をぢさま」はたまに反論しつつも基本的にはそれを受け入れて、金魚を甘やかせてかわいがる。
    いつか(もっと早くかもしれない)終る関係でも、いいなと思う。
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    少し前に、ヨナキウサギさんに『陶古の女人』を教えていただいて探していた。
    見つけたのが、そちらを含めて『蜜のあわれ(「後記 炎の金魚」を含む)』『火の魚』『われはうたえども やぶれかぶれ』『老いたるえびのうた』の5作、解説・作家案内・著書目録が収録されたこの1冊。

    『陶古の女人』もおもしろかったの...続きを読む
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    「蜜のあわれ」は金魚とおじさんの話。
    金魚がしゃべる。おじさんとしゃべる。

    こういうの、コケティッシュというのだろうか。

    そこはかとなくセクシーで、ちょっとあわれっぽくて。
  • 杏っ子
    これ読んで室生犀星の文章に嵌りました。こんな父娘関係かっちょいいです。「父親にとって娘とは最後の女である」。深い…。
  • 杏っ子
    長編だけど、気軽に読めるお話。はっと(ほっと?)する様な描写に、作家と娘、その周囲で起こる日常生活。お気に入りです。
  • 現代語訳 蜻蛉日記
    かなり正直に気持ちをぶっちゃけていて、心配になってしまうほど。当時、周りの反応はどうだったのかしら。その分、平安時代を身近に感じられた。
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)
    室生犀星文学忌、犀星忌。
    1918年の作品 

    小景異情 その2
    ふるさとは遠きにありて思ふもの
    そして悲しくうたふもの

    この作品は、高校のたしか2年の現代国語の授業で扱われた。そして当時から詩は苦手という意識と たぶん教師にもそれを見抜かれていた事実。
    まず、この詩は何処で読まれたかという問いに...続きを読む
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    二階堂ふみも大杉漣の声で再生できた、、
    コケティッシュでおじさまを振り回す赤子ちゃんと余裕のあるおじさま、お似合いだった。
    おじさまのことぞんざいに扱っているようで実は愛していて、ゆり子さんと会わせてあげようとか。でもやはり「惚れた男を自分だけのものにしておきたいのなら、前の女とは会わせようとしない...続きを読む
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)
    最近、詩はほとんど読まないなあ。
    室生犀星といえば、高校生の頃に読んだ「杏っ子」ぐらいかな。
    この詩集は室生犀星の詩に絵がピッタリ合っている。
    詩の情景をより豊かにしてくれる絵だ。
    げみさんの絵、色合いも、優しいタッチもいいなあ。
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    金沢出身の詩人・小説家である室生犀星の作品集。晩年に書かれた短編5篇+詩1篇(+α)収録。室生犀星はまだ詩集しか読んだことがなかったので、小説作品を読むのは新鮮だった。

    表題作のひとつ「蜜のあわれ」は、70過ぎの老作家と金魚の化身である少女の物語。前編が会話文のみで構成されており、モノローグという...続きを読む
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)
    なぜか「小景異情その二」の「ふるさとは遠きにありて思ふもの~」は知っていた。

    言葉の響きがやわらかく、すっと心に染み入るような詩集。

    添えられたげみさんの端麗な絵も相まって豪華な絵本を読んだ心地になった。

    「秋の終り」という片想いの詩が一番好き。
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)
     乙女の本棚シリーズから、室生犀星さんとげみさんのコラボ作品「詩集『抒情小曲集』より」です。げみ三のイラスト、のどかなあったかい風景が主に描かれていたのが印象的でした。

     室生犀星さんって、大変失礼ながら聞いたこともなくって(^-^;)

     「ふるさとは遠きにありて思ふもの
     そして悲しくうたふも...続きを読む
  • 詩集『抒情小曲集』より(乙女の本棚)
    【収録作品】小景異情/旅途/祇園/ふるさと/犀川/桜と雲雀/かもめ/砂山の雨/魚とその哀歓/時無草/月草/松林のなかに座す/砂丘の上/秋の終り/都に帰り来て/街にて/夏の国/合掌

    イラストレーションの美しさに惹かれて手に取った。押しつけがましくない、静かな筆致が、詩情をより高めてくれるように感じる...続きを読む
  • 猫は神さまの贈り物〈小説編〉
     「猫は神さまの贈りもの」、全くそうだと思います(^-^)9人の作家の猫短編小説・詩アンソロジーです。次の4作品を楽しみました。①吉行理恵(1939~2006)「雲とトンガ」②室生犀星(1889~1962)「猫のうた」「愛猫」③佐藤春夫(1892~1964)「猫と婆さん」④宮沢賢治(1896~193...続きを読む
  • 現代語訳 蜻蛉日記

    開始:2023/2/20
    終了:2023/3/4

    感想
    宮廷の煌びやかさと人の想いの瞑さ。それでも歌に乗せてしまえばどこか清々しさすら感じさせる。女性の心情の変化はまるで秋の空。
  • 杏っ子
    私生児であったのも驚きだけど、生まれてすぐ、ごうつくばばあに育てられるのも、明治生まれの常識なのかな。しかし、室生犀星が侍の子であることは確からしいし、それが文筆の才や娘の美貌に繋がってるのかな、と思う。
    やっぱり、血筋、遺伝なのだろうな。
  • P+D BOOKS 幼年時代・性に眼覚める頃
    自伝的色彩が濃い小説『幼年時代』『性に眼覚める頃』を読むと室生犀星の詩の中に揺曳している「哀しみ」「寂しさ」は複雑な家庭事情や突然の両親(殊に母親)との別れが影響しているのだと感じた。『或る少女の死まで』は岩波文庫で既読だったが、久しぶりに再読してみて、しみじみと切なく思った。『あにいもうと』は繰り...続きを読む
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    「蜜のあわれ」
     全編が対話で、中心となるのは金魚の化身である少女と老齢の小説家とのおしゃべり。小説家はコティッシュで天真爛漫な少女に「おじさま」と呼ばれ振り回されながらも、彼女を可愛がる。他に田村ゆり子という、生前、小説家の友人だった幽霊が出てくる。小説家は犀星、ゆり子は犀星が愛した女性がモデルに...続きを読む
  • 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ
    大学の授業で扱うため読みました。
    ぬめぬめ、ぬらぬら、文章のテクスチャーが面白いです。
    二階堂ふみの映画化もあるようなので、時間ある時に見ようと思いました。