奥田亜希子のレビュー一覧

  • 左目に映る星

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    ネタバレ

    主人公の早季子(26歳)は、小学生の頃の「吉住くん」のことが忘れられず、現実の恋愛にのめり込めない。ただし、現在の吉住くんに会ってもその時の感情を持つことは出来ず、好きだった吉住くんはあくまで小学生の頃の吉住くん。早希子も、小学生の頃の吉住くんは、周りに気を使っていたために無理にふるまっていたと分かっているが、その幻想の吉住くんのことが忘れられない。
    この小説を読んで谷崎潤一郎の『春琴抄』を連想した。
    ところで、早希子がなぜ、オタクの宮内に惹かれたのかよく分からなかったのだが、どこか読み落としたのだろうか…。

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    2019年06月23日
  • 五つ星をつけてよ(新潮文庫)

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    5つの短編の中でも、特に「キャンディ・イン・ポケット」の情景描写や人物の心の中を表現した言葉が特に気に入った。人物が生き生きと描かれていて、詩的な表現も多く、気に入った。女性の視点から描かれた男性は、こんな風に頼りなげに映っているのかという現実も感じた。

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    2019年06月02日
  • ファミリー・レス

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    何かが欠けた6人の男女は、家族と呼ぶには遠く他人と呼ぶには近すぎる存在に救われる。家族の定義を考えさせられる、心を揺さぶる連作短編集。
    奥田亜希子さん初読み。あらゆる事情で厄介な存在になってしまった家族でも、気になるということは心のどこかで、まだ家族愛を信じている。それが断ち切ることができない家族という存在の運命なのかもしれない。脇役が次の物語の主人公になる設定も面白い。

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    2019年05月11日
  • 左目に映る星

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    自分の全部を、ありのままに理解してくれる人なんて、
    きっと誰にもいない。

    でも、
    たとえ思うことや感じることは違っても、
    自分を大切に思ってくれていれば、
    理解しようとしてくれているならが、
    その人が一番の理解者となってくれる日は近いのだ思う。

    そして、人まかせじゃなく、自分から
    理解してもらおうとする気持ちももちろん大切で。


    主人公にあまり共感することはできなかったけど
    幸せを予感させる終わり方で良かったと思う。

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    2018年11月03日