あらすじ
クラスの隅で冴えない日々を送る中学三年生の基哉。想いを寄せるクラスメイトの咲を想像して自慰行為をしては、贖罪の気持ちでゲームのモンスターを一匹ずつ逃がしている。ある日、大学デビューを果たした兄にサークル主催のBBQに誘われ、そこでAV出演経験のある女子大生と出逢い……。人気者も引っ込み思案も、みんなが性に翻弄される思春期の中で基哉が手に入れた「切り札」とは!?
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Posted by ブクログ
「リバース&リバース」を読んでから、同一作者の作品をもっと読みたいと思って買ってみた。
この本も面白かった。基本的に奥田亜希子さんの作品はものすごく考えさせられるから好きだ。
たしかに、学生時代に「セックス」はジョーカー的役割を果たしていたし、それに憧れていたのは間違いない。けど、それだけを目的に付き合いをしようとしていただけで、本当に愛情があったかどうかと聞かれると、自信を持って答えられない。
「本当の愛って片想いなのかもね」というフレーズがこの本の中にもあったが、たしかに実らない恋が1番純粋で愛情深いものなのかなと思った。実際僕は自分が一目惚れしたり、自分から告白した人は付き合えたことがないですけど、その人達は本当に好きでした。
男性は特に読むべき小説だと思います。ちゃんと女性を愛し、性行為だけじゃなく、日常の小さなことを楽しめる人間になろうと思いました。そしてそういった小さなことを一緒に楽しめる人をパートナーにします。
Posted by ブクログ
中学3年の基哉が、大学生になって変わった兄や両親、友人、好きな女の子、そしてBBQで知り合ったAV出演経験のある女子大学生との関係の中で成長していく青春物語。
性体験の有無がクラスのヒエラルキーを逆転するジョーカーなんだという表現は面白い。親の職業、年収、身長、体型、容姿、学力、運動神経等、人生は手持ちのカードがどれだけ豪華かによって大きく異なってくる。後から増やせるカードもあったりして、それらの使い方で異性からどれだけ受け入れられるかが決まる。ただし、そのカードだけでは決まらないところも人生の面白いところ。つらいところでもある。
猫の去勢手術と絡めて、使えないのにこんなもの(性欲)持っている方がつらいという中学生の思いはなんか懐かしい。でもこんなものがあるから満たされる瞬間もあるし、夜に出回る様々な物語に深みが増すということだ。
この作者の違う本も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
中学生の日常を痛いくらい切り取った話。性欲に突き動かされるのかな。なかったよな中学のとき、そんなの。あとは人に媚びるような学生生活を送ってなくてよかったと思いました。くだらねえ。
「理解できないならしなくていいよ。理解できてしまうと持っていかれることもあるから。気持ちとか情とか、そういうもの。許せないは許せないでいいんだ」
ってせりふが残った。
たしかにな。分かろうとしたから、変にしんどくなってしまった。でもなんか変な中学生の距離感とか懐かしくなったなあ