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Posted by ブクログ
「家族」という言葉は、いつも重荷を感じる。
私は実母と折り合いが悪く、「母みたいなお母さんには絶対なりたくない」と言えるほど、母の存在はもはや立派な反面教師だ。
とはいえ肉親である限り、親子関係を切り捨てることはできない。そのせいで母が毎度電話をくれる度は応戦するが、終話後の疲労感はマラソン試合に出たほどしんどい。
親は子の心配をするのが当たり前。母親は自己犠牲は当たり前。この世の中の当たり前がたくさんあって、もしかして私も知らぬうちに「母親だからこうあるべきだ」というものを母に押し付けてしまったかもしれない。けれど、この世にたった一人の私のお母さんだから、他に比べようがない。
さて、「ファミリー・レス」は講談社ウェブマガジン「ミモレ」の編集部の @batayomu が、「真夜中の読書会、おしゃべりな図書室」というpodcastで紹介されて、購入した一冊。六つの短編が収録され、それぞれの家族風景を描いた連作。その中の家族たちは、ねじれた関係性も猟奇的なストーリーもなく、ごく普通(私にとっては)の家族風景だった。そんな家族風景はどれも愛おしくて、私のちぐはぐのような家族では生まれない、暖かく心に染みるような話に、ただただ羨ましかった。
それぞれの家庭に、それぞれの事情があるとは分かっていても、心底のどこかに「この家で生まれていなかったら」
考えたって仕方ない。そういえば一度友人から「読書は現実逃避ではなく、現実を向上させるという考えがあるよ。」と言って頂いた。あれから何度もこの言葉を咀嚼して考えていました。私は読書から、何を得てきたかについて。多分救いが欲しかったかもしれない。かつて少女の頃、無我夢中にほんの世界に浸って、ただただ現実から逃れたかったかもしれない。
現実を向上させるには、どうしたらいいだろう。
Posted by ブクログ
奥田亜希子三冊目。
「プレパラートの瞬き」
幼い頃に母親に言われたのは、「否定的な言葉を口にするのは、自分の未来を自ら閉ざす」ということ。
それから希恵は、悪口を言わずに来た。
一方で、シェアハウスで共に住んでいる葉月さんは、朝から晩まで文句を言っているような人だ。
前向きに文句も言わずにやっていると、あの子はノリが悪いと言われ、飲み会に誘われない。
反面、あれやこれやと愚痴ばかり言うと、一緒にいても楽しくないと言われてしまう。
そんな正反対の二人が、お互いに救われる。
素直に、嬉しかった。
電車の中で、泣きそうになった。
悪い部分を、悪い部分とは思わない相手。
「私ね、鉄ちゃんと結婚できて、本当によかったと思ってるんだよ。私、愚痴とか、不満とかよく言うじゃない?すぐに怒るし」
「でも鉄ちゃんは、私のそういう話も楽しそうに聞いてくれるよね。出会ったときからずっと。だから私、会社では全然怒らないでいられるの。家に帰れば鉄ちゃんに聞いてもらえるって思うから」
続く、「指と筆が結ぶもの」の一台詞。
絵描きという、低収入のない婿を、彼女の親族は揃って批判する。
鉄平も親族や親戚付き合いを毛嫌いしていた。
その中で、彼女の祖父母宅に泊まることとなり、盲目の祖父だけが鉄平を受け止める。
キレイな部分さえ、汚してしまうような物語ばかりなのに、汚れていても、いいなあ、愛おしいなあと思わされてばかりだ。
他の話に出て来る離婚した後の娘とも、無愛想な同僚とも、実の娘のように可愛がってきた女の子とも、腹違いの弟とも、結局は分かり合えない。
いや、分かりきれない。
でも、そのザラっとした感じが、そりゃあそうだよなーと、すんなり思うのだ。
恐らく波長の合う作家さんと出会えて、しあわせ。
Posted by ブクログ
それまでの家族という形態の何処かを欠かせた人達の連作短編6編。
登場人物を少し重ねて、他の人から見た彼らとして作品に登場させます。見失うくらいで楽しいです。
「いちでもなく、さんでもなく」は、双子の姉亡き後、その娘を引き取り育てた妹夫婦のお話。血縁は濃いけれど、本当の親子にはなれなかった家族。彼女は、姉になりたかったのか、母になりたかったのか、両方なのか。本当の親子だけが家族というわけでないね。って娘の巣立ちの時に、思いが溢れる優しい作品です。
“家族か他人か互いに好きな方を選ぼうか”がこの本のコピーのようになっていますが、血縁者との関係は何処か許している感じがして、そこが優しい希望になっているかなと思う。
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