あらすじ
【第37回すばる文学賞受賞作!】小学5年生の時に出会った奇跡のような存在の少年・吉住を忘れられないまま大人になり、他者に恋愛感情を持てなくなった26歳の早季子。恋愛未経験で童貞、超がつくほどのオタクで、人生をアイドル・リリコに捧げる宮内。どうしようもない星たちを繋げるのは、片目を閉じる癖、お互いが抱える虚像。透明度0%のこじらせ女子と、あまりにピュアな純度100%のアイドルオタク。二人の恋の行方は――。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「身体の中で、人はみんな1人なんだよ。自分以外の人間が何をどう見ているかなんて、絶対に分からないし、寝返りをうちたくなったら、大事な人の手だって離してしまう。身体があるかぎり、人は一人ぼっちで、つまり、寂しいのは当たり前のことなんじゃないかって、最近僕は思う。」
こんなこじらせ哲学を語る吉住くんは、早希子の初恋相手。早希子はこの初恋が忘れられない。
初恋をいい思い出にできず「自分のことを分かってくれるのは吉住くんだけだ!」とか思っちゃう早希子も、こじらせ女子(笑)
ただこの作品は決して孤独に囚われた女の話でない。
この作品の1番の魅力は、
孤独という「価値観を共有できる人こそ真の理解者」だと思い続けてきた早希子が、
「自分とは考え方が根っから異なる」男性に出会い、惹かれていくところ。
とても可愛い恋愛小説でした。
でもわたしは、小学生でこんなこじらせた事をいっちゃう吉住くんがすき(笑)
Posted by ブクログ
主人公の神田早季子は都内の文具メーカーで仕事をしている26歳。小学校の同級生で大好きだった吉住君のことが忘れられずに、その時の刷り込みで孤独を抱えて生きています。他人に恋愛感情が持てずに、合コンで出会った男とその時だけの関係を結ぶこともあります。ある合コンの時に、吉住君と同じ片目を瞑る癖をもつ人の話が出て、紹介してもらいます。その同じ癖をもつ宮内は、女性アイドルを追っかける、早季子とは全く違う人でした。宮内と話をするために、福岡でのライブに同行し、なぜか度々アイドルイベントに同行するようになります。その度に、宮内と自分との違いを感じます。
早季子と3年間付き合った元カレは嫌なやつなので触れませんが、特に後半、甘くて幸せな感じが、心を満たしてくれます。
Posted by ブクログ
あれ、あれ、あれ
片目だけに乱視を持つ主人公、早季子は子供の頃、知り合った同じ症状を持つ吉住の言葉から、人は孤独で分かりあうことはできないと諦めの人生を送っていた。自己否定の前半はネガティブで面白くない。だがオタクの宮内と行動を共にすることで、心の氷が溶けていく。クライマックスでの早季子の洗いざらいのぶちまけは、正直、爽快なくらいだった。気づけば後半は一気に読んでいた。
Posted by ブクログ
人は自分と似ている人か正反対の人を好きになると聞くが、正反対の人を好きになった早紀子にとても共感した話だった。早紀子と宮内は、あの合コンがなければ決して交わることのない2人だったし何もかもが異なっていた。私も、自分とは全く違った人を好きになりがちだから、宮内に惹かれた早紀子の気持ちはよくわかった。
短い話でとても読みやすかった。
最後の日向はあんなことを言うためにわざわざ跡をつけてきたのかと思うと、かなり気持ち悪いと思った。
Posted by ブクログ
オミクロンにかかり、暇すぎてひたすら小説を読んでいる。
この本は自分の境地と似ている部分があって面白かった。
僕も恋愛経験が多いわけでもなく、性格的にもとても難しい人間だ。
だから、主人公の早希子がいう「特定の誰かと付き合えないんじゃないか?」というフレーズは何度も頭の中を巡っている。少なくとも、早希子は合コンでたくさん出会いの機会があるだけマシなのではないかとさえ思う。
ただ、この本の中にある「不一致」というキーワードはとても参考になった。
どうしても人と話したり関係を築く時に、共通点や何か自分と似ている部分を探してしまい、その一致具合で親近感を覚えてしまう。けど、逆に「不一致」が心地よかったり、愛おしさが芽生えたりするなら、それが本当に通い合っているのではないかとも思う。
すごく新鮮な感覚だった。あとは、この文庫の解説がとてもわかりやすく、要点を捉えてて面白かった。良い本でした。
自分に自信がなかったり、迷いがある人は読んでみると良いかもしれません。
Posted by ブクログ
熱中して読んでしまって、一瞬で読み終わった。
とてもホッコリする話。
昔好きだった人を引きずってる系ね、と思わせてそれとは違う。一概には言えないけど、死んでしまった恋人とか死んでしまった好きな人っていうのは安易じゃないかという捻くれ心がありまして。死んだ途端に誰も敵わないもん。けど本当の死じゃなく表現しているところに好感を持てた。
誰しも?少なくとも私はものすごく好きだった人がいるけど、たぶんまたその人と会ってもたしかに好きじゃないだろうなと思う部分はある。私のこと好きだったその人が好きだったから、もう私のこと好きじゃないその人は好きではない。。自己愛もあるけど。愛されてる自分が好きだった。
まぁそんなのはどうでもよく、こちらは良き作品でした!
Posted by ブクログ
他の誰かと関係を持つときは誰もがその人の虚像を創り上げてしまう
どれだけ親密にしていたり濃密に情報を共有しても、その人の本質的な部分に触れることは難しい
ましてや、その人が観て聴いて味わって感じたことなんてその人にしか分からない。
人は誰しもが孤独である。
そのジレンマの狭間で繋がり、踠き、苦しんで、生きていて、何も考えずに生きている人はそんなジレンマにも気付かないけど、早希子や吉住くんはそんな構図にいることを気付いてしまっているから、本当に辛い。
孤独ぶって自分のことしか考えてない、周りの人は傷ついていると言われても、たぶんきっと一番傷ついてるのはその本人で、お気楽で一人で過ごしているわけではないと思う。
孤独を越えて繋がるのもしんどいし、孤独でいるのもしんどい。
Posted by ブクログ
面倒くさい女のラブストーリー。早季子は「人は皆孤独。分かり合えない」と教えてもらった小学生の頃の初恋の相手を26歳になっても忘れられない。初恋相手と同じ特徴を持つ宮内に興味を持つが、宮内はアイドルオタクでオタ活に全てを注ぐ人であった。早季子は孤独と過去に浸っているイタイ女という印象で、あまり魅力は感じなかった。でも「目」がキーワードになっている物語は新鮮。そして学生時代ってちょっとしたことで好きになったり冷めたりってのはあるよね、と共感。そして終盤はときめく展開と名台詞でハッピー気分が伝染する。
Posted by ブクログ
好き!「勝手にふるえてろ」然り、学生時代の恋愛って神格化してしまう。それが叶わないものだとしたらなおさら。虚像なんだけどね。宮内にも早季子にも苛立ったところはあるけど、それを上回る可愛さ。あ〜わかるわかる。宮内、可愛い〜!宮内〜!!!
Posted by ブクログ
奥田亜希子、二冊目。
以下、ネタバレ注意。
26歳の早季子には、小学生のまま時を止めた想いびと、吉住くん以上に好きになれる人がいない。
そのことを認識してからは、割り切った関係しか築けなかったのだが、早季子と同じ乱視を持つ男性の話を聞き、吉住くんに近い匂いを感じる。
しかし、その男性は、吉住くんどころか、リリコというアイドルのために休日を費やす、真性のオタクなのであった。
早季子にとっては吉住くん、宮内さんにとってはリリコは、偶像崇拝の対象だ。
当の吉住くんが変わってしまっても、リリコが実は不倫していても、そのこととは無関係に、あの日あの時の彼、彼女が二人の心を占めている。
また、そのことだけが、二人を繋ぐ脆い橋にもなっている。
でも、そんな二人を見ていても、なぜか否定的な気持ちにはならない。
二人は、現実世界をシャットアウトしているわけではないからだと思う。
そこでは誰にも分かってもらえないことを分かりながら、ただひたすら分かってもらえる世界に足を浸すことが、いじらしいからだ。
ちょっと厨二病というか、アオいんですね。
なので、お互いが「分からなくてもいい」相手になってゆく後半は、早季子の年齢から考えると、「りぼん」かと思うくらい甘酸っぱい(笑)
そこに元カレが登場して、というお決まりパターンまで踏襲するわけだけど、そこは26歳設定だからか、割と生々しい。
「俺のコト一番好きじゃねーんだろー」とキレて、勢いで別れて、まもなく別の彼女と結婚するくせに、早季子に付き纏っては許せない元カレ。
この人と結婚しなくて正解だと思います。
子供時代を抜けきれなかった男女の、青春小説と思って読んで欲しい。
Posted by ブクログ
読み終えて、作者のプロフィールを見てみて、なるほど哲学科なのね納得と思った。
全体的に明るい話ではなくて、人と自分がみているものは同じじゃないと、過去の経験から刹那的な人間関係を通りすぎていく主人公の早季子に、だけれど希望を持たせるラストが秀逸。
Posted by ブクログ
好きだった人がもういない
付き合えなかった好きな人って最強
それを更新できることってなかなかない
でも、また別の部分を別の人と通じ合って、新しいものを積み重ねて大人になっていきたいなと思った
Posted by ブクログ
子供の頃に世界の見方を教えてくれた人。その人に救われたこと。そして大人になっても忘れられないこと。同じように見てくれた人はその人だけ。なかなかうまく馴染めない世界で自分を守る方法。世界の見え方は人それぞれで、でもそれが相手に伝わらないもどかしさ。人と違うこと、感じ方の差。同じ場面で笑えなくても、泣けなくても、だからこそ楽しいってことがあるはず。全てが同じなら一人と同じなのかもしれない。同じじゃないから孤独も感じるけれど一人じゃないと感じることもできる。そして世界は広がる。
Posted by ブクログ
帯タイトルは、
「私はたぶん、この世界の
誰とも付き合えない」
私はいつもブックカバーをつけて読んで、
読み終わったあとに装丁を改めて見るんですが、
夜景がぼけてキラキラしているのも、読み終わったあとに見ると、なんとも言えない気持ちに。
20代って、気持ちが不安で、毛羽立ってるときって、すごく多かったなあ、と思う。
30代の今もそうなんですが、でも、なにかちょっと違う。
その隔たりも感じた一冊。
たぶん20代前半で読んでた刺さってたのかなあ。
ただ、学校生活も会社も一定程度の協調や同調は必要で、そこから誰か一人と深く繋がって…って行為は私にとっても奇跡に近いかもしれない。
「違い」に敏感で、勝手に押し付けて、勝手に落ち込んで、自分の気持ちしか見えなくなっちゃう。
「違い」を喜べて、発見して、愛しさに変えられる力が自分にはあるのか。
そんな関係を築くことができるのか。
早季子は、このあと、どう切り開いていくのかな。
Posted by ブクログ
人種が違うように感じる早季子と宮内の共通点、最初の目だけではなく一人の人間に固執することでお互いを理解できたところ。読みやすいですが感情移入できる登場人物がいなかった。
Posted by ブクログ
26歳の早季子は、小学生の頃に恋したマセガキ吉住君の「身体の中で、人はみんな一人なんだよ」という中二病セリフに感化されて以来、孤独ぶった投げやりな人生を送っている。どうせ理解しあえないからと、恋人も含めた人間関係をドライに消化している。
その上、久しぶりに再会した吉住君の内面も変わってしまっていたものだから、悲劇のヒロインぶりに一層の拍車がかかる。
「私はたぶん、この世界の誰とも付き合えない」なんて言っちゃう。
しかしこれは達観しているのではなくて、理解しあえないという現実を直視させられることが怖いだけなんだよな。
実際、宮内に異星人のような別の世界の人間として扱われることに嫌悪感を示しているわけだし。
吉住君の変化に関してもそう。
相手の虚像を実像だと思い込んで、勝手に期待して裏切られた気になっている。
その気持ちはよくわかる。
自分が信頼を寄せていた人が変わってしまった(ように見える)ことにショックを受けてしまう気持ちもわかる。
でも、相手のことを100%理解することはできないからといって、理解しようとすることをやめたら、1%も理解することはできない。
それどころか、人間関係においては、自分からとった距離以上に相手からも離れられてしまうものだ。
「私はたぶん、この世界の誰とも付き合えない」なんてセリフを聞かされた友人はきっと「何言ってんだこいつwww」て思ってる。
相手のことを理解していけば、裏切られたと思うことは減るんじゃないだろうか。
相手の変化は価値観の変化ではなくて、物事への向き合い方が変わっただけだったなんて言うことにも気づくかもしれない。
寂しがり屋なら、寂しさから離れようとか寂しさを受け入れようとかする前に、積極的に人間関係を構築していったほうがいい。
Posted by ブクログ
孤独を抱える早季子は、かつて存在した『完璧な理解者』と同じ癖を持つ人の存在を知り…。奇妙で愛しい出会いの物語。第37回すばる文学賞受賞作。
現代社会を安寧な精神で生き抜くためには、自分のネガティブな部分を愛さなければならない。そして誰かの共感を得るか、または誰かに共感するか。それが人間関係の構築と愛の形成に繋がるのだろう。
Posted by ブクログ
こじらせ女子の話って書いてあったけど、そこまでこじらせてなかったからその部分が残念。
恋愛において、共通言語の多い方が良いのか全く逆の方が良いのかというのは結構平凡な議題ではあるが、そうゆうお話。
現在全く正反対の旦那を持つ主婦としては、ふと無性に共通言語を持つ人と話がしたくなるけどね。
うーんなんちゅーかあくまでも私個人的な好みの問題になるけど、
もっともっと底意地の悪い小説が読みたかったです。
終盤で主人公が『孤独ぶってる』と元カレにやり込められるところは良かったけど、
宮内側からももっとやり込められて欲しかった。
私が主人公に感じる嫌悪は完全に同族嫌悪であり、人とは違うと思ってる自分、
傷ついている自分、人を信用できない自分、孤独な自分、
私を分かってくれるのはあの人だけ、他の人達とは違う感覚を私は持ってる、
アイドルに心酔する人達、合コンに来る人達の浅さ、その人たちを心の中で見くびって蔑んでる自分、
みたいなものをもっとぐちゃぐちゃにしてほしかった。
そこまでしてようやくこじらせ女子の話でしょう。笑
Posted by ブクログ
主人公の早季子(26歳)は、小学生の頃の「吉住くん」のことが忘れられず、現実の恋愛にのめり込めない。ただし、現在の吉住くんに会ってもその時の感情を持つことは出来ず、好きだった吉住くんはあくまで小学生の頃の吉住くん。早希子も、小学生の頃の吉住くんは、周りに気を使っていたために無理にふるまっていたと分かっているが、その幻想の吉住くんのことが忘れられない。
この小説を読んで谷崎潤一郎の『春琴抄』を連想した。
ところで、早希子がなぜ、オタクの宮内に惹かれたのかよく分からなかったのだが、どこか読み落としたのだろうか…。