奥田亜希子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
油断してた~~~~!!
めちゃくちゃ面白かった!
前作を読んだ記憶はあるけど、わりとさーっと読んじゃったので、今回もまあ、軽い感じで楽しめたらいいなと思いつつ(棚に差してあったので)借りたんやけど、なんやろう、今回は食い入るようにむさぼり読んだ。
前作と同じくアルコールをテーマにしたアンソロジーなんやけど、ほろよいになるのはアルコールじゃなくて恋愛やった。
恋愛やった。(二度言う)
まさかこんな恋愛短編ばかりとは思わず、いやいや、案外アルコールと恋愛は近しいものなのかもしれない。
恋愛小説が好きというわけではないけど、そうと思って読んでいなかったので毎回この「甘酸っぱさ」に「ワーッ」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「最低な人と食べても、牡蠣はきっと美味しいんでしょうね」『オイスター・ウォーズ』/朱野帰子
真理。牡蠣だけは牡蠣好きと食べないと。仲良しが牡蠣好きなのが一番いいけれど。
この作家さんはテンポが良くて、他のも読んでみたい。こちらも初めての奥田亜希子の『君はアガベ』もよかったし、一穂ミチはやっぱりいい。
「愛おしいという言葉を教えてくれたのは先生。もとは厭う。困ったとか苦痛だとか、心が痛むさまが、可愛くて大切なことを表すようになった。だから日本語の愛は悲しみであり、英語のloveとは異なるニュアンスだと」『ホンサイホンベー』/一穂ミチ -
Posted by ブクログ
「身体の中で、人はみんな1人なんだよ。自分以外の人間が何をどう見ているかなんて、絶対に分からないし、寝返りをうちたくなったら、大事な人の手だって離してしまう。身体があるかぎり、人は一人ぼっちで、つまり、寂しいのは当たり前のことなんじゃないかって、最近僕は思う。」
こんなこじらせ哲学を語る吉住くんは、早希子の初恋相手。早希子はこの初恋が忘れられない。
初恋をいい思い出にできず「自分のことを分かってくれるのは吉住くんだけだ!」とか思っちゃう早希子も、こじらせ女子(笑)
ただこの作品は決して孤独に囚われた女の話でない。
この作品の1番の魅力は、
孤独という「価値観を共有できる人こそ真の理解 -
Posted by ブクログ
「家族」という言葉は、いつも重荷を感じる。
私は実母と折り合いが悪く、「母みたいなお母さんには絶対なりたくない」と言えるほど、母の存在はもはや立派な反面教師だ。
とはいえ肉親である限り、親子関係を切り捨てることはできない。そのせいで母が毎度電話をくれる度は応戦するが、終話後の疲労感はマラソン試合に出たほどしんどい。
親は子の心配をするのが当たり前。母親は自己犠牲は当たり前。この世の中の当たり前がたくさんあって、もしかして私も知らぬうちに「母親だからこうあるべきだ」というものを母に押し付けてしまったかもしれない。けれど、この世にたった一人の私のお母さんだから、他に比べようがない。
さ -
Posted by ブクログ
人が嘘をつくと、匂いで敏感に察知してしまい、距離を置いてしまう。
そんな特質をもつ愛衣の、小学生時代から大人、そして母親になるまでの物語。
仲良くなりたくて嘘をついたこと。
デザインじゃなくてブランドを重視するようになること。
独りが嫌で”友人ごっこ”をすること。
友達になりたいけどなれない、遠い存在で憧れの女の子のこと。
ショッピングモールは「なかなかいけない夢の楽しい場所」から「遊ぶにはダサい場所」になること。
「学校以外の場所で会う友だち」という、宝石のような存在。
それぞれの世代での女の子の友情の「あるある」が描かれていて、それぞれに共感した。
「本物の友だち」を、幼い頃の私もずっ -
Posted by ブクログ
ここで日々星をつけている者にとっては、なんとも言えない気持ちになるタイトル。それだけに、刺さる部分の多い一冊でした。
なんといっても設定といい心理描写といい、絶妙かつそして鋭い。奥田亜希子さんの作品は初読でしたが、絶妙かつ鋭い今を切り取る感性と、それを生かした心理描写に感嘆した短編集です。
収録作品は6編。いずれもネットやSNSが話に関わってくる。そうした現在的なものを扱いつつ、そこから浮かび上がる人の普遍的な心理を鮮やかに描き切ります。
表題作『五つ星をつけてよ』は、ネットのレビューを読み込む女性が主人公。ある日自分の母の介護ヘルパーの悪い噂を耳にした彼女は……。
「五つ星をつけてよ -
Posted by ブクログ
主人公の神田早季子は都内の文具メーカーで仕事をしている26歳。小学校の同級生で大好きだった吉住君のことが忘れられずに、その時の刷り込みで孤独を抱えて生きています。他人に恋愛感情が持てずに、合コンで出会った男とその時だけの関係を結ぶこともあります。ある合コンの時に、吉住君と同じ片目を瞑る癖をもつ人の話が出て、紹介してもらいます。その同じ癖をもつ宮内は、女性アイドルを追っかける、早季子とは全く違う人でした。宮内と話をするために、福岡でのライブに同行し、なぜか度々アイドルイベントに同行するようになります。その度に、宮内と自分との違いを感じます。
早季子と3年間付き合った元カレは嫌なやつなので触れませ -
Posted by ブクログ
ネタバレ04
めっっちゃすき。
誰もが持ってて、でも隠している暗いところを
ちくちくと攻撃してくる。
全部好きだけど、読み終わって二週間経ってもタイトルも内容も覚えているのは キャンディインマイポケット、ジャムの果て、五つ星をつけてよ。
高校生の時、自分よりレベルの高い友達と一緒にいると誇らしさと劣等感があるよね。でも対等じゃないって思ってるから、一歩引いたりしたよね。
ジャムの果てはもうつらい。つらいからこそ心にすごく残る。最後裸足でどこに行ったんだろうか。
五つ星をつけてよ はもーーわかるわかる!
これだけ情報も物も溢れる世界で、自分の評価に自信がなくなって失敗したくないからレビュー参考 -
Posted by ブクログ
ネタバレどうしても行きたくないときだって、ある。を綴った6人の作家さんの物語。
内容紹介:誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。 ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。 ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。 僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
こちらの著書を購入したきっかけは、作家の一人の住野よるさんの作品が載っててそれで読んでみたいと思って購入したんですが、読んで見るとどの話も良かったです。特に心に残ったのが
阿川 -
Posted by ブクログ
息子が通う幼稚園では年長を対象とした百人一首大会が、毎年1月に開催されるが、その練習でいつもたくさん札を取ると聞いて…と初対面の親子に声をかけられて、かるた教室を紹介された希海。
希海は、子どもと一緒に参加したかるた教室で、ルールやマナーを教えてもらい、百人一首も覚えていく。
子どもと一緒に学ぶことの喜びを感じながら、かるたの札を払ったときに指先に感じた新鮮なエネルギーは、忘れられなかった。
息子が小学校になり、時間が取れなくなり久しぶりに行くと札を取れなくて悔しい思いをしてから辞める。
サッカーに通いだした息子に対して、希海は大人も通えるところがあると聞いて通い出す。
競技かるたを始め -
Posted by ブクログ
皆川希海(みながわ のぞみ)は幼稚園の息子・郁登(いくと)と一緒に子ども向けのかるた教室に通っていたが、郁登は小学校に上るとかるたへの情熱を急速に失った。年下に負けて大暴れしたのをきっかけにかるた会をやめ、少年サッカーチームに入ってしまう。取り残された気分の希海は、自分の中でかるたへの未練があることに気づく。
勧められて一般向けのかるたの会「光のどけき会」に入るが、練習日の土曜日は、夫の勇助がコーチを務めるようになった、郁登のサッカーチームの練習日でもある。月に2回だけ、サッカーに同行せずかるたの練習に行くことを夫と息子は許してくれたが、後ろめたい気持ちとかるたを続けたい気持ちのせめぎ合いに悩 -
Posted by ブクログ
帯の「最愛の相手を手に入れるためなら、惚れ薬を使いますか?」の一文がズルすぎる。読んじゃうよね。
『傲慢と善良』に続き、「突然パートナーが失踪する」系はやっぱりおもしろい。
本作では、不妊治療中の夫婦の“夫”が姿を消す。
献身的に妻のメンタルケアや家事、仕事をこなし、温厚で穏やかな彼が、なぜ突然いなくなったのか。その経緯が少しずつ明かされていく。
気温の寒暖差が激しいと体調を崩すように、自尊心の高低差が大きいと、コミュニケーションに支障をきたすのだと感じた。
相手の気持ちを察するための「ものさし」の目盛りが合わないというか、思いやっているつもりで、むしろ傷つけてしまっていることに気づけない