奥田亜希子のレビュー一覧
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帯タイトルは、
「私はたぶん、この世界の
誰とも付き合えない」
私はいつもブックカバーをつけて読んで、
読み終わったあとに装丁を改めて見るんですが、
夜景がぼけてキラキラしているのも、読み終わったあとに見ると、なんとも言えない気持ちに。
20代って、気持ちが不安で、毛羽立ってるときって、すごく多かったなあ、と思う。
30代の今もそうなんですが、でも、なにかちょっと違う。
その隔たりも感じた一冊。
たぶん20代前半で読んでた刺さってたのかなあ。
ただ、学校生活も会社も一定程度の協調や同調は必要で、そこから誰か一人と深く繋がって…って行為は私にとっても奇跡に近いかもしれない。
「違い」に敏感で、勝手に押し付けて、勝手に落ち込んで、自分の気持ちしか見えなくなっちゃう。
「違い」を喜べて、発見して、愛しさに変えられる力が自分にはあるのか。
そんな関係を築くことができるのか。
早季子は、このあと、どう切り開いていくのかな。 -
Posted by ブクログ
コミュ障な作家崩れの遅れてやってきた青春
主人公・実緒は極端でイタい女性だ。それ故に、本作に共感できるかどうかは人によって差が大きいと思う。
子どものころから人との関わりを苦手とし、自分は周りの人のようにはできないと卑屈になる。それが高じて、勉強ができるのに大学進学を避け、高校卒業後に専業作家になる。そのくせ新作はさっぱり書けず、デビュー作の在庫や新しい感想がないかをチェックして承認欲求を満たそうとする日々を過ごしている。タイトルの「透明人間」とは、誰からも忘れられてしまった作家としての実緒による自意識だ。
そしてある日、書店で自分の著書を手に取った(でも買わなかった)春臣を見かけ、好意のような執着を覚える。そして彼を尾行して家を特定し、ポストに自作の掌編を入れるようになる。私も同人作家の端くれとして、自分のファンを好きになる気持ちはよくわかる。でもファン未満の相手を物理的にストーキングするのはさすがに一線を越えている。そして実緒は社会性に欠けているのか、その異常性を理解していない様子なのだ。
実緒の普通じゃない行動はこれに限らない。しかし、いづみや春臣との交流が始まることで世界が色づき始める。自分には縁がないと考えていたものに触れ、時には自分から手を出すという成長を見せる。
ラストは予想通りにビターだが、希望を感じさせるものでもあり、彼女の不器用な歩みがどこか愛おしく思えた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレテーマとしては思春期真っ只中の中学生の未熟さや、大人になっても本当に大切なことみたいな感じでした。解説にもありましたが、あらすじを読んだ時は「見えてるものが全てではなく、未成年誘拐のような間違いに救われることもある」みたいなテーマだと思いましたが、ナオくんはしっかり変質者だったのでそこはいい意味で裏切られました。
また、中学生の星来が成年男性を信じきって自分だけは違うと思い込むことで現実から逃げる中、それを助けようとする葉奈子自身も変わっていくという構図も良かったです。「夏鳥たちのとまり木」というタイトルの「とまり木」が、若者にとっては歪んだ欲望に満ちた人間しかない世間に警鐘を鳴らし、身近な人間たちが若者のとまり木になるべきというメッセージを感じました。副担任の溝渕にとっては宗教団体が、葉奈子にとってはナオくんが、星来にとってはSNSで出会った男がとまり木になっており、確かにそれがなければダメになっていたかもしれません。しかしそれによって失ったものもあり(葉奈子は人に頼れなくなり、溝渕は家を手放した)、その時頼れる人間がいたらよかったのにという後悔を抱えながら生きている様子が描かれていました。そのような成長物語だったので心に響くものがありました。
ただ物語として、どうして葉奈子は学校祭でぶつかった男が星来の彼氏だとわかったのかが不明瞭だったり、母親の描かれ方が浅く感じたり、表現や文章が雑に感じたり、わかりづらい文があったりという点はいくつか感じました。 -
Posted by ブクログ
妊活する夫婦の話…ですが、主軸としては恋愛小説です。明るくて快活な妻の志織と目立たないけれど穏やかで優しい夫の誠太。傍目には上手くいっていそうな夫婦ですが、夫が突然離婚届を置いていなくなってしまいます。
妻と夫の両方の視点で描かれていますが、夫視点は妻と出会った大学生時代の話です。
人気者の志織となんとか近づきたいと願いながら積極的には動けない誠太…ストーカーではないのですが、他人のフリをしてマイミクになり、志織の日記を見てこっそり保存までしているのがちょっと気持ち悪い。純粋な恋心だとは分かるんですが、ちょっと引くかな…。誠太が信じる過去のある出来事も中学生が信じるなら分かるのですが、34歳としてはあまりに幼すぎるような…そういう部分もあり、ちょっと物語に入り込めなかったです。