奥田亜希子のレビュー一覧

  • 夏鳥たちのとまり木
    一見良くないこと、道徳に反することに見えても、もしかしたらそれである意味では救われてる人もいるっていうことにハッとさせられた。命を続ける、命をつなぐっていうことは本当に複雑なんだ。
  • 求めよ、さらば
    【内容】
    主人公の志織には、周りからも羨ましがられる夫の誠太がいる。見た目は平凡でパッとしないが、志織のことが大好きでとても優しく、家事もササっとこなしてしまう。そんな夫婦の間には、不妊治療という壁が立ち塞がっている。精子と卵子には異常はみつからず、原因不明の不妊…医者からは相性も疑われてしまう。志...続きを読む
  • 求めよ、さらば
    不妊治療中の夫婦の物語。
    もっとドロドロした感じをイメージしていたけど、とても清々しい読後感。
    夫婦はもちろん人との関わり合いには、時に本音でぶつかり合うことが大事だよなと思った。
    誠太みたいな人がすごく好きだけど、リアルではなかなか出会わないタイプ。
  • 白野真澄はしょうがない
    5人の性別、年齢、住む場所など異なる白野真澄の物語。全てにおいて名前にまつわるしがらみや喜びが書かれている。身近にある日常を描く表現がとてもリアルで、知人の話のように感じられた。

    方言に馴染みのない私には、少し読みづらいところがあった。ただそれも、それぞれの環境による違いを表しているので、面白いと...続きを読む
  • 行きたくない
    最初の2つは自分の好みではなかった。
    (面白いと感じる人はいると思う。自分の好みじゃないってだけ。)
    その後の4つはどれも面白かった。
    特に渡辺優先生のピンポンツリースポンジが好き。
  • 白野真澄はしょうがない
    共通点は「白野真澄」という名前。
    5人の白野真澄が主人公の短編集。

    「砂に、足跡」が好きだった。
    装丁もなんか好き!


  • クレイジー・フォー・ラビット
    「友達」とはなんなのか、自身がいろんなステージで「友達」地獄に息苦しさを感じていた少女であったことを思い出した。いつの日か、そこから逃れられるのか、という淡い期待は、大人になってあっさり打ち砕かれたことも。でも大人になったから割り切れたこともたくさんあるなと。
  • 求めよ、さらば
    不妊治療の描写はものすごくリアルで、経験者は共感できると思う。友人の赤ちゃんを抱っこして号泣するシーンや、夫に離婚してまで子供を欲しいとは思わないと伝えたところで感極まってしまった。惚れ薬に関しては少々飛躍しすぎな感じもしたが、スパイスにはなってたのかなー、と。お互いに相手を深く想う気持ちを感じて、...続きを読む
  • クレイジー・フォー・ラビット
    「他人の嘘が匂いで分かってしまう」

    自分がそんな能力を持っていたらどうでしょう…!
    子ども、ましてや思春期の頃は、人と関係を築くのに苦労すること間違いなしだよね。

    愛衣がどんな大人になるのかな…?と少し心配しつつ読みました。

    物語が進むごとに、時代が移っていっている様子が描写から感じられ、なん...続きを読む
  • 求めよ、さらば
    毎朝、祈る様な思いで咥え続けた基礎体温計。
    下がった数値を見た瞬間感じる絶望感。
    痛みに耐えきれず叫んでしまった子宮卵管造影検査。
    排卵誘発剤の注射後に訪れる不快感。

    主人公の苦悩が過去の自分とリンクして苦しい。

    そんな妻に寄り添い、優しかった夫の突然の失踪。

    一体何が起きたのか?
    妻を置き去...続きを読む
  • 夏鳥たちのとまり木
    刺さる。

    ネグレクトの母親を持ち、中二の夏にネットの掲示板で声を掛けて来た男の元に身を寄せた経験を持つ葉奈子は、安定を求め公立中学校の教師になる。
    奇しくも教え子の女子生徒が無断外泊し、有名インスタグラマーの家に身を寄せる。

    葉奈子と女子生徒、二人の行動がリンクする。

    感受性豊かな時期に、誰か...続きを読む
  • クレイジー・フォー・ラビット
    「クレイジー・フォー・ラビット」「テスト用紙のドッグイア」
    「ブラックシープの手触り」「クラッシュ・オブ・ライノス」「私のキトゥ」
    噓や秘密を敏感に嗅ぎ取ってしまう主人公・愛衣の五つの年代を切り取った連作短編集。

    実際に起きた事件や事故、音楽などを絡めながら愛衣の成長が描かれる。

    甘酸っぱい香り...続きを読む
  • 白野真澄はしょうがない
    5編収録されている短編集だけど主人公は白野真澄。でも年代も住む場所も違う同姓同名の別人の5人。悩みや生きづらさを抱えている白野真澄。自分の名前や他人の名前を通して何かの気づきを得て少し自分の世界が変わっていく。その変化の過程が丁寧に描かれていて読み終わったときに自分が少し軽くなるような、嫌な気分を掬...続きを読む
  • 白野真澄はしょうがない
    同じ「白野真澄」という名前の、それぞれ全く違う境遇の主人公たちが送る日常を描く短編集。(全5編)

    姓名判断ってあるけど、結局人生は「その人」でしかない。
    同姓同名なら、性格も考えも能力も同じかと言われたら…
    そうではないですよね。
    なんなら、性別まで違う場合もある。
    この「白野真澄」さん、この作品...続きを読む
  • 左目に映る星
    あなたは、オンラインで行われる会議に出席したことがあるでしょうか?

    2020年春に突如世界を襲ったコロナ禍。あれから二年以上の年月が流れても私たちの生活はそれ以前の状況に戻る気配がありません。ある出来事に起因する大きな変化をもって新しい日常に慣れていく、私たちがこの世を生きるにはそれもやむを得ない...続きを読む
  • 透明人間は204号室の夢を見る
    『書けないときの苦しみは窒息に似ている。浜に打ち上げられて、ぱくぱく口を開いている魚の気分だ。必死に跳ね、もがいても、一向に酸素は得られない』。

    人は誰でも何かしら夢中になれることがあると思います。他の全てのことを差し置いてもあることに夢中になれる瞬間。それは幸せ以外の何ものでもないでしょう。それ...続きを読む
  • 求めよ、さらば
    在宅で翻訳の仕事をしている志織とその夫誠太は不妊治療中だった。…前知識もなく、不妊の話だな、と思いながら読んでいた。とても協力的な旦那様なのに、なかなか子供に恵まれないのは辛いだろうと漠然と考えていた。途中で急な展開があり、志織と一緒にびっくりしながら、次の誠太の過去の章に進み、すっかり混乱してしま...続きを読む
  • 夏鳥たちのとまり木
    ハナちゃんは大丈夫だよ。世間的には間違っていることで救われた人もいる。でもその優しさの裏側には何があったのだろう?無害なフリをして弱者から搾取する気持ち悪さ。葉奈子が過去と決別し、星来を助けることが出来たのは溝渕のおかげだった。最初は嫌悪感しかなかった溝渕と徐々に距離を縮めていく(恋愛感情ではない)...続きを読む
  • 求めよ、さらば
    夫婦の妻サイドと夫サイドから書かれた作品。
    最初は妻サイドから。
    学生時代のバイト仲間だった夫はとても良い人。
    不満などない。
    ふたりの間に子どもがいないことを除けば。
    不妊治療に心を削られながら過ごす妻はバイト時代の友人が妊娠したことを知る。
    友人たちの集まりでは大人しかった夫とマドンナだった妻が...続きを読む
  • 夏鳥たちのとまり木
    心の奥にある痛痒いところを上手に刺激してくれる一冊。
    もっといろんな人に奥田亜希子さんのこと知って欲しいな。彼女の作品は本当に絶妙で巧い。
    中学生という1番多感な時期のこと。前略プロフとか懐かしすぎて…やっぱり同世代だなと思っちゃったり。繊細な時期。未成年に近寄ってくる優しい大人。あの頃は怖いことな...続きを読む