奥田亜希子のレビュー一覧

  • 白野真澄はしょうがない

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    5編収録されている短編集だけど主人公は白野真澄。でも年代も住む場所も違う同姓同名の別人の5人。悩みや生きづらさを抱えている白野真澄。自分の名前や他人の名前を通して何かの気づきを得て少し自分の世界が変わっていく。その変化の過程が丁寧に描かれていて読み終わったときに自分が少し軽くなるような、嫌な気分を掬い取ってくれるような心地よさがある。もっとたくさんの白野真澄に出会いたくなる。

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    2022年12月12日
  • 白野真澄はしょうがない

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    同じ「白野真澄」という名前の、それぞれ全く違う境遇の主人公たちが送る日常を描く短編集。(全5編)

    姓名判断ってあるけど、結局人生は「その人」でしかない。
    同姓同名なら、性格も考えも能力も同じかと言われたら…
    そうではないですよね。
    なんなら、性別まで違う場合もある。
    この「白野真澄」さん、この作品にピッタリのお名前ですよね。
    中性的だし、かなり珍しいタイプのお名前でもない。
    結局、名前はある種の記号みたいだなと思えて、肩の力が抜けるようでした。
    (決して軽く捉えてるわけではないです!
    我が子が生まれた時も、願いを込めて大事に名付けました。)

    大きな事でも小さな事でも、自分で選択肢から選ぶの

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    2022年11月30日
  • 彼方のアイドル

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    冒頭「理想のいれもの」では、悪阻に苦しむ主人公が登場する。
    マタニティマークをつけることで、疎んじる敵よりも、ふと労ってくれる味方が圧倒的に増えた。
    「でも、その世界に自分がいないような気がするのはなぜだろう」

    理想のいれものになろうとして、なれないのは自分だと、目が覚めるような思いをすることがある。

    以前に単行本版『魔法がとけたあとも』を読んでいて、ふと、なぜ改題されたのだろう?と思った。
    そこに触れてくれていたのが、解説の瀧井朝世さんで、ちょっとビックリした。

    「魔法がとけたあとも人生は続く」と彼女が解釈したことにも、納得した。

    単行本版では、最後の「キャッチボール•アット•リバー

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    2022年07月17日
  • 左目に映る星

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    オミクロンにかかり、暇すぎてひたすら小説を読んでいる。

    この本は自分の境地と似ている部分があって面白かった。

    僕も恋愛経験が多いわけでもなく、性格的にもとても難しい人間だ。

    だから、主人公の早希子がいう「特定の誰かと付き合えないんじゃないか?」というフレーズは何度も頭の中を巡っている。少なくとも、早希子は合コンでたくさん出会いの機会があるだけマシなのではないかとさえ思う。

    ただ、この本の中にある「不一致」というキーワードはとても参考になった。

    どうしても人と話したり関係を築く時に、共通点や何か自分と似ている部分を探してしまい、その一致具合で親近感を覚えてしまう。けど、逆に「不一致」が

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    2022年05月05日
  • 青春のジョーカー

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    「リバース&リバース」を読んでから、同一作者の作品をもっと読みたいと思って買ってみた。

    この本も面白かった。基本的に奥田亜希子さんの作品はものすごく考えさせられるから好きだ。

    たしかに、学生時代に「セックス」はジョーカー的役割を果たしていたし、それに憧れていたのは間違いない。けど、それだけを目的に付き合いをしようとしていただけで、本当に愛情があったかどうかと聞かれると、自信を持って答えられない。

    「本当の愛って片想いなのかもね」というフレーズがこの本の中にもあったが、たしかに実らない恋が1番純粋で愛情深いものなのかなと思った。実際僕は自分が一目惚れしたり、自分から告白した人は付き

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    2022年05月05日
  • リバース&リバース(新潮文庫)

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    僕は結構好きな作品でした。

    タイトルのように、文中でさまざまなものが入れ替わる。

    世の中に当てはめても色々と思うことがある。お金を持っている人と持ってない人、働いてる人と働いてない人、強い人と弱い人、互いに反し合うものが世の中に溢れている。

    でも、どちらが良いってことはないし、いずれか一方にずっとい続けることは難しい。それを自覚して生きるだけでも大分生きやすくなる。

    登場人物の現在と過去の話を通じて、とてもわかりやすい文章だったかつ、凄く考えさせられるよい物語だった。

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    2022年05月02日
  • ファミリー・レス

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    全ての章で前回の主人公がほんの少し登場して、人によって見え方が違って面白い。
    物語的には暗い雰囲気で始まるが、最後きちんと暖かく終わる。ウーパールーパーだけ少し切ない。

    でもどの話も本当によかった。

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    2022年03月10日
  • クレイジー・フォー・ラビット

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    同世代だなぁーって。そうそう、消しゴムの交換とか、ウサギのお世話とか、SPEEDとか酒鬼薔薇聖斗とか、三木道三とか全部同じ時代に生きたので思わず唸るほど懐かしい。そして現代のポケモンGO。。わたしもハマったから、ここに飛んだかって。

    本当に思ったよりも友達って選べない。いつの間にか友達になってるしなくなってる。失う方が多かったような気もするし、意外なあの人とまだ繋がってるってことも多い。
    ウソの香り、さぞかし香ばしいんだろな。しんどいだろうな。
    人付き合いの難しさをすごく丁寧に描いていて読んでいて苦しくなりながらもわたしは大好きでした。

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    2022年02月19日
  • 愛の色いろ

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    ポリアモリー(複数愛)という言葉ははじめて。話の主軸ではないが、ところどころに出てくる食べ物がすごく印象に残った。良成のたい焼きも、黎子さんの手料理も、千瀬ちゃんの金鍔もみんな食べたい。

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    2021年09月09日
  • クレイジー・フォー・ラビット

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    奥田亜希子さんの新刊に飛びつく。
    ややネタバレ含むので、注意。




    小学生時代から、章を追う毎に大人になってゆく愛衣は、他人が嘘をつくと、匂いで分かってしまう不思議な感覚を持っている。

    そして、そんな感覚があるからこそ、友達という関係性に怯えてしまう。
    小学生の愛衣が、憧れの女の子に合わせるために、嘘をついて、自ら匂いを発してしまうシーンは、読んでいて本当に辛くなった。
    結局、その女の子には嘘がばれてしまい、そんな子とは友達になれない、とハッキリ断られてしまう。
    愛衣のこの体験は、中学生になっても尾を引く。

    でも、愛衣がしたことは、すごくよく分かる。
    この頃、誰かと一緒にいるという事実

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    2021年07月18日
  • 左目に映る星

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    ネタバレ

    熱中して読んでしまって、一瞬で読み終わった。
    とてもホッコリする話。
    昔好きだった人を引きずってる系ね、と思わせてそれとは違う。一概には言えないけど、死んでしまった恋人とか死んでしまった好きな人っていうのは安易じゃないかという捻くれ心がありまして。死んだ途端に誰も敵わないもん。けど本当の死じゃなく表現しているところに好感を持てた。
    誰しも?少なくとも私はものすごく好きだった人がいるけど、たぶんまたその人と会ってもたしかに好きじゃないだろうなと思う部分はある。私のこと好きだったその人が好きだったから、もう私のこと好きじゃないその人は好きではない。。自己愛もあるけど。愛されてる自分が好きだった。

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    2021年07月10日
  • リバース&リバース(新潮文庫)

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    他者に対しての理解、共有、傲慢さ。自分でも気づかなかったうちに見下していたり傷つけていたり。その微妙な変化をとてもうまく切り取っていてじわじわと、時には一瞬で傷を負い、傷つける。二つのパートがリンクする瞬間に現れるもの。一瞬で傷ができるように一瞬で前も向けそうな気持ちになる。

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    2021年05月18日
  • リバース&リバース(新潮文庫)

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    中学生の未熟な、まっすぐな感じが眩しい。悩んで、傷ついて、もがいて、そうやって大人になるんだよなあと昔を思い出しながら読んだ。
    小学生や中学生女子向けの雑誌に親としてあまりいい印象を持っていなかったが、素敵な大人達が使命を持って取り組んでいるんだと思うと、世の中捨てたもんじゃないと思う。

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    2021年05月13日
  • リバース&リバース(新潮文庫)

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    奥田亜希子に、相変わらず揺さぶられてる!

    ティーン雑誌「Can•Day!」にある、お悩み相談室こと〈ハートの相談室〉の回答者「ろく兄」のパートと。
    「Can•Day!」の読者である中学生の女の子、郁美のパートが交互に展開されていく。
    二つのパートがどんな風に重なるかというのは、まぁ読んでのお楽しみなのですが。

    個人的には、雑誌のお悩み相談室という存在と、時間感覚という組み合わせが秀逸だと思う。

    こういう文通募集とか雑誌の投稿欄って、どんどんインターネット、つまりオンラインに換わっていっているわけだけど。(もはや文通は死語?)
    本当に、即時即答が良いのかっていう疑問を提示してくれている。

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    2021年04月24日
  • 左目に映る星

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    他の誰かと関係を持つときは誰もがその人の虚像を創り上げてしまう
    どれだけ親密にしていたり濃密に情報を共有しても、その人の本質的な部分に触れることは難しい
    ましてや、その人が観て聴いて味わって感じたことなんてその人にしか分からない。
    人は誰しもが孤独である。
    そのジレンマの狭間で繋がり、踠き、苦しんで、生きていて、何も考えずに生きている人はそんなジレンマにも気付かないけど、早希子や吉住くんはそんな構図にいることを気付いてしまっているから、本当に辛い。
    孤独ぶって自分のことしか考えてない、周りの人は傷ついていると言われても、たぶんきっと一番傷ついてるのはその本人で、お気楽で一人で過ごしているわけで

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    2021年04月04日
  • 行きたくない

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    会社に行きたくない、学校に行きたくない、断れない誘いに本当は行きたくない…そんな「行きたくない」をテーマにしたアンソロジー。行きたくないという感情はしかし、本人ですら自覚できていなかったり、理由がわからなかったりするものなのですね。それゆえなかなかに奥が深いストーリーばかりでした。渡辺優さんと住野よるさんのお話はSFっぽくてユニーク。小島陽太郎さんの『シャイセ』も良かったです。

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    2021年03月06日
  • 青春のジョーカー

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    中学3年の基哉が、大学生になって変わった兄や両親、友人、好きな女の子、そしてBBQで知り合ったAV出演経験のある女子大学生との関係の中で成長していく青春物語。
    性体験の有無がクラスのヒエラルキーを逆転するジョーカーなんだという表現は面白い。親の職業、年収、身長、体型、容姿、学力、運動神経等、人生は手持ちのカードがどれだけ豪華かによって大きく異なってくる。後から増やせるカードもあったりして、それらの使い方で異性からどれだけ受け入れられるかが決まる。ただし、そのカードだけでは決まらないところも人生の面白いところ。つらいところでもある。
    猫の去勢手術と絡めて、使えないのにこんなもの(性欲)持っている

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    2021年01月29日
  • 透明人間は204号室の夢を見る

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    夢と現実と、各者の中で混じり合っている感覚が好き。

    実緒の言動が、犯罪的な部分もおかしいことは理解しつつ、それを興味深く読み進められた。

    奥田さんの作品は2作目だけれど、人間誰しもある自分の嫌な部分と認めてもいいのかなっていう部分の表現が絶妙で、私は前向きになれる作品だった。
    全部きらきらしていなくてもいいんだと思える。

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    2020年12月20日
  • 左目に映る星

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    面倒くさい女のラブストーリー。早季子は「人は皆孤独。分かり合えない」と教えてもらった小学生の頃の初恋の相手を26歳になっても忘れられない。初恋相手と同じ特徴を持つ宮内に興味を持つが、宮内はアイドルオタクでオタ活に全てを注ぐ人であった。早季子は孤独と過去に浸っているイタイ女という印象で、あまり魅力は感じなかった。でも「目」がキーワードになっている物語は新鮮。そして学生時代ってちょっとしたことで好きになったり冷めたりってのはあるよね、と共感。そして終盤はときめく展開と名台詞でハッピー気分が伝染する。

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    2020年11月30日
  • 行きたくない

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    ネタバレ

    行きたくないというテーマからよくこんなに物語を発展させることができるなぁと感嘆する。まだ読んだことのない作家の物語も楽しめたので徐々に広げていきたいなぁ。

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    2020年11月29日