奥田亜希子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ高校生で小説新人賞を受賞したが、それから6年間、小説が書けないままの実緒。書店で自分の著書を手にする青年を目撃し、思わず後をつけ、家と名前を特定する。
それ以来、嘘のように書けるようになった掌編を彼(春臣)の郵便受けに投函し続けていた実緒だが、やがて彼の恋人(いづみ)とも知り合い、3人で交流するにようになり…。
実緒が一方的に送り付け続けていた掌編を、春臣がいづみに見せて(もしくはいづみが偶然見つけて)、その内容に非凡なものを感じたいづみが、自分名義の作品に仕上げて新人賞に応募。実緒はいづみのゴーストライターとして、歪な三角関係を続けていく…みたいな展開を想像していたが(実緒の場合、その展開でも喜びそう)、春臣が物凄く冷静でまっとうなリアリストだった為、そうはならなかった。
春臣が実緒の本を手に取ったのなんて、本当に偶然と言うか、意味の無い流れの中の一瞬の行動で、たぶん彼は、実緒の紡ぎだす全てが、不可解で気持ち悪くてたまらなかったんだと思う。
一番相容れない相手に希望を見出してしまった実緒の、突っ走り方がリアル。
「こじらせ女子×SNS」系ストーリーを書かせたら、この作家さんに敵う者はいないんじゃないかと思う。
そんな純度の高い青春ゾンビである実緒も、ひと夏の全裸生活とストーキングを経て、次の段階に向かう。本来向けるべき矛先・向かうべき居場所へと、変態を遂げる。
人に見つけて貰うんじゃない。
自分は自分にしか見いだせない。
ラスト、透明人間の気づきが、鮮やかな輪郭を象った。 -
Posted by ブクログ
「キャンディ・イン・ポケット」通学の30分間だけの友達。見た目も付き合う人も世界が違い、なんとなく一緒に登校してるだけなんだろなと思われていると感じている沙耶。控えめで内気な感情や憧れ。後半に向かい少しずつ感情が溢れ出していく鮮やかさ。後悔と喜びの間で揺れながらも前に進む沙耶が素敵。
「ジャムの果て」ジャムの描写がいい。気分のいい時には光り色鮮やかに、子供達への不満を感じた後には鈍くどろりと重たいようなものに。良かれと思ってたことが押し付けだと言われ今までの自分はなんだったのかという失望。ジャムとうまく絡み合って面白い仕上がり。
6編全てに人への想いや距離感や他人の肯定、自分自身への肯定と、こうだったはずという思いをなかなか消せない日常が描かれていて面白かった。 -
Posted by ブクログ
どこかで見たことある名前と思ってたら、すでに一冊読んでた方でした。
タイトルと装丁はポップで可愛いけれど、内容はきゅっとなったり、読んでて苦しくなったりしました。
携帯電話ができて、インターネットが普及して、
いろんな情報がダイレクトに届くなか、
情報に踊らされたり、その沼にはまってしまったり、
誰かから承認されないと満たされなかったり。
確かにショッピングサイトの評価を見て、購入を決めたりするし、ブログに反応があれば嬉しいし、いいねが、つけば嬉しいし。
でも渇望してる気持ちは満たされず。
他者の目、ことば、評価にさらされて
じゃあ自分はどうするのか。
改めて自分のいまの状況を考えさせられる一冊。 -
Posted by ブクログ
奥田亜希子、二冊目。
以下、ネタバレ注意。
26歳の早季子には、小学生のまま時を止めた想いびと、吉住くん以上に好きになれる人がいない。
そのことを認識してからは、割り切った関係しか築けなかったのだが、早季子と同じ乱視を持つ男性の話を聞き、吉住くんに近い匂いを感じる。
しかし、その男性は、吉住くんどころか、リリコというアイドルのために休日を費やす、真性のオタクなのであった。
早季子にとっては吉住くん、宮内さんにとってはリリコは、偶像崇拝の対象だ。
当の吉住くんが変わってしまっても、リリコが実は不倫していても、そのこととは無関係に、あの日あの時の彼、彼女が二人の心を占めている。
また、そのことだけが、二人を繋ぐ脆い橋にもなっている。
でも、そんな二人を見ていても、なぜか否定的な気持ちにはならない。
二人は、現実世界をシャットアウトしているわけではないからだと思う。
そこでは誰にも分かってもらえないことを分かりながら、ただひたすら分かってもらえる世界に足を浸すことが、いじらしいからだ。
ちょっと厨二病というか、アオいんですね。
なので、お互いが「分からなくてもいい」相手になってゆく後半は、早季子の年齢から考えると、「りぼん」かと思うくらい甘酸っぱい(笑)
そこに元カレが登場して、というお決まりパターンまで踏襲するわけだけど、そこは26歳設定だからか、割と生々しい。
「俺のコト一番好きじゃねーんだろー」とキレて、勢いで別れて、まもなく別の彼女と結婚するくせに、早季子に付き纏っては許せない元カレ。
この人と結婚しなくて正解だと思います。
子供時代を抜けきれなかった男女の、青春小説と思って読んで欲しい。