桜井亜美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かなりのインパクトでした。
桜井亜美という作家の名前は知っていましたが、若い女性作家が同世代相手の本を書いている位の認識しかありませんでした。
インターネットで調べたところ、桜井亜美さんは覆面作家だそうですが、他の人も書いていたように、かなり老練な(とはいってもそれなりに若い)作家さんのように思えます。特異な文体。ストーリーやプロットの正確さ。感性だけで書き上げられるものではなく、その上にちゃんと計算が乗っています。
とは言え、丁度私たちが若い頃の庄司薫や柴田翔のように、新しい感性と手法をもって登場した作家さんのようです。なかなか楽しく読ませてもらいました。
こういった新しい作家さん -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当の自分は誰にも見せない主人公とそんな主人公にグイグイ踏み込んでくるリク。
夢見がちでオタク気質な絵描きとポジティブで夢を追いかけているサーファーのリクは価値観があまりにも合わないような気がして最初はつきあっているのが不自然に感じた。
それでも日本にいる間はうまくいっていただけに海外に行ってからの二人のすれ違いが見ていてつらい。
全体を通して二人とも性格が嫌いだし、文章中にでてくるアニメや漫画の固有名詞もあからさまな感じがして嫌だけれど(オタクぶっているけど薄っぺらいというか・・)、ハッピーエンドにならなかったことで逆に強く印象に残ったのが良かった。
情だけでは長続きしない。 -
Posted by ブクログ
「Aプラス」から「Cマイナス」
生まれつき人々が、9つに階級分けされている世界の物語。
リアリティに欠けるのに、訴えてくるものがとても強い。
Aプラスの苦悩やCマイナスの葛藤。
それに、夢に向かう強さや、未来の見えない絶望感。
桜井さんの言葉は、たまにすごく悲しくて、鋭い。
・この世界は目的を失ってただ生存のためだけに生きていくには、あまりに酷くでたらめな所だ。
・自分自身に何かが不足してると思うから、その部分を夢で補う。
・夢と一緒に生きることで、自分が初めて1つの輝く球体になる。
精神の補完作用だよ。
・あたしの身体がどこにいようと、心だけは檻から自由でいられる。